PHITS紹介資料 - 日本原子力研究開発機構

PHITS
Particle and Heavy Ion Transport code System
仁井田浩二1, 松田規宏2, 橋本慎太郎2, 岩元洋介2,
佐藤達彦2, 古田琢哉2, 岩瀬広3, 小川達彦2, 安部晋一郎2,中島宏2,
深堀智生2, 奥村啓介2, 甲斐哲也2, 千葉敏4, L. Sihver5
1. 高度情報科学技術研究機構(RIST), 日本
2. 日本原子力研究開発機構(JAEA), 日本
3. 高エネルギー加速器研究機構(KEK), 日本
4. 東京工業大学 (TITech), 日本
5. チャルマース工科大学, スウェーデン
Last update 2014/8/27
1
Table of Contents
1. 概要
2. 物理モデル
3. 応用例
3.1 加速器設計への応用
3.2 医療,放射線防護への応用
3.3 宇宙線挙動解析への応用
3.4 その他の応用
4. まとめ
2
PHITSの概要
Particle and Heavy Ion Transport code System
PHITSとは?
任意の体系中における様々な放射線の挙動を、核反応モデル
や核データを用いて模擬するモンテカルロ計算コード
適用例
加速器遮へい設計
放射線治療&防護研究
宇宙・地球惑星科学
入手方法
• PHITS講習会に参加する
• RISTの原子力コードセンターに依頼する(国内ユーザー,手数料12,810円)
• OECD/NEA DatabankもしくはRSICCに依頼する(国外ユーザー)
http://phits.jaea.go.jp/
3
PHITS計算結果の例
137Cs
から放出された100,000個の光子の挙動を模擬
個々の放射線挙動を乱数を用いて模擬することにより,全体的な挙動(平均値)を導出
4
PHITS開発体制
KEK
JAXA
• 宇宙分野への応用
Chalmers工科大
• EGS5の組込
原子力機構
• 欧州普及担当
• 医療・宇宙分野への
応用
• 開発とりまとめ
(PHITS事務局)
• 配布&講習会
• 開発全般
九州大学
理研
• 核反応モデルINCELFの組込と高度化
• 精度検証実験
• メモリ共有型並列
• 核反応モデル改良
• 人体シミュレーション
RIST
• プログラミング
• 核反応モデル改良
CEA (フランス)
• 核反応モデルINCL
の組込と高度化
5
PHITSの特徴
 言語 Fortran (Intel Fortran 11.1, Gfortran 4.71 or later)
 入力データ形式 任意フォーマットのASCIIコントロールファイル
 幾何形状
ユーザーがFortranプログラムを書く必要はない!
• 任意の3次元体系
• 2D&3D描画ツール
(ANGEL)
• GUI入力支援ソフト
(SimpleGEO*, option)
 計算できる物理量
ANGELで描画した2D&3Dジオメトリ
SimpleGEO
粒子フルエンス, 発熱量,核反応生成粒子, 電離密度分布 など
 出力データ形式
テキストデータ,ヒストグラム,等高線図
 プラットフォーム
Windows,Mac, Linux (MPI & OpenMP並列対応)
* GUI-based software originally for FLUKA, http://theis.web.cern.ch/theis/simplegeo/
6
Table of Contents
1. 概要
2. 物理モデル
3. 応用例
3.1 加速器設計への応用
3.2 医療,放射線防護への応用
3.3 宇宙線挙動解析への応用
3.4 その他の応用
4. まとめ
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PHITSで扱う物理現象
輸送過程
衝突と衝突の
間の移動
衝突過程
原子核との
衝突
外部場及び光学デバ
イスによる偏向
電離過程による
エネルギー損失
低エネルギー中性子
光子・電子・陽電子
• 電磁場
• 重力
• スーパーミラー (反射)
• T0 チョッパー
• 阻止能 : SPARもしくは ATIMAコード
連続エネルギー損失仮定(CSDA)
• δ線(ノックアウト電子)生成
• マイクロドジメトリ機能
(独自機能)
高エネルギー核子
• 核データ(JENDL-4.0 etc.)
+イベントジェネレータモード
(独自機能)
• 核内カスケード模型(INC)
原子核
• 量子分子動力学模型(QMD)
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PHITSに組み込まれた物理モデル
中性子
陽子・π粒子
(その他の核子)
低 ← エネルギー → 高
200 GeV
100 GeV/n
核内カスケード模型 JAM
3.0 GeV + 蒸発模型 GEM
量子分子
動力学模型
d
JQMD
核内カスケード模型 INCL4.6
+
t
+
蒸発模型 GEM 3He 蒸発模型
GEM
20 MeV
核データ
ライブラリ
JENDL-4.0
10-5 eV
α
1 MeV
1 keV
μ粒子
重イオン
電子・
陽電子
光子
100 GeV 100 GeV
100 GeV
仮想光子
原子
原子
光
核反応
データ
データ 核反応
JAM/ ライブラリ ライブラリ JAM/
JQMD
EEDL /
JENDL- JQMD
+
+
ITS3.0 /
4.0
EPDL97 / EPDL97 GEM
GEM
10 MeV/n
電離損失
SPAR or ATIMA
200 MeV
or
EGS5
or
EGS5
1 keV
+
JENDL
2 MeV
1 keV
イベントジェネレータモード:
核反応による2次粒子を特定可能!
PHITSに組み込まれた物理モデルとその適用エネルギー範囲*
*モデル及びその適用エネルギー範囲は入力ファイルにて変更可能
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JAM (Jet AA Microscopic Transport) モデル
• 高エネルギー核子同士の衝突によって生成する様々な共鳴状態や反粒
子などを共鳴モデルやストリングモデルを使って再現する核反応モデル
• 幅広いエネルギー(20MeV~200GeV)の核反応を模擬可能
Au+Au 200GeV/n in CM
Y. Nara et al., Phys. Rev. C61 (2000) 024901
10
INCL4.6 & INC-ELF
(A) Pb(p,n) @ 8 deg
2
10
Meier et al.
JAM
INCL4.6
INC−ELF
0
10
0
10
1
10
Double Differential Cross Section
(mb/sr/MeV)
Double Differential Cross Section
(mb/sr/MeV)
最新の核内カスケードモデルは,高エネルギーフラグメント生成を考慮可能
(B) Fe(p,d) @ 20 deg
0
10
Beck et al.
−2
JAM
INCL4.6
INC−ELF
10
2
10
Neutron Energy (MeV)
1
10
2
10
3
10
Deuteron Energy (MeV)
Pb(p,n) 及び Fe(p,d) 反応に対する2重微分断面積
Version 2.52よりINCL4.6をp, n, d, t, 3He, α粒子
の標準核反応モデルとして採用
11
JQMD (JAERI Quantum Molecular Dynamics) モデル
• 原子核を核子の集合体と仮定して,全ての核子間力を数値解析で解く手法
• 入射放射線の核種・エネルギーとターゲット核種の情報から核反応の終状態
を予測することができる
Iwase et al
Double differential cross section of neutron
56Fe
K. Niita et al., Phys. Rev. C52 (1995) 2620
800 MeV/u on 208Pb
12
統計マルチフラグメンテーションモデル (SMM)
SMM
核内カスケード
JAM / INCL4.6 / JQMD
or
蒸発過程
励起核
核分裂
GEM
PHITSで核反応を模擬する流れ
2
2
10
10
75
Cross section (mb)
Cross section (mb)
24
(A) Na
Ogawa et al.
0
10
−2
10
0
with SMM
without SMM
200
Energy (MeV/n)
(B) Se
Ogawa et al.
1
10
0
10
−1
400
10
0
with SMM
without SMM
200
400
Energy (MeV/n)
鉛に炭素イオンを照射したときに生成される24Naと75Seの生成断面積
標準設定ではSMMは起動しないことに注意!
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核データライブラリJENDL4.0
低エネルギー中性子は原子核と共鳴して,
特定の核種・エネルギーのみ断面積が極めて大きくなる
原子核を核子の集合体として扱う核反応モデルは使えない
各核種ごとに断面積を実験値ベースで評価した核データライブラリが必要
112Cd
113Cd
JENDL4.0に格納されている112Cdと113Cdの中性子反応断面積
http://wwwndc.jaea.go.jp/jendl/j40/J40_J.html
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Table of Contents
1. 概要
2. 物理モデル
3. 応用例
3.1 加速器設計への応用
3.2 医療,放射線防護への応用
3.3 宇宙線挙動解析への応用
3.4 その他の応用
4. まとめ
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PHITSのJ-PARC設計への応用
Japan Proton Accelerator Research Complex
Materials and Life Science
Experimental Facility
Nuclear and Particle Physics
Experimental Facility
Nuclear
Transmutation
Neutrino to Kamiokande
50 GeV Synchrotron
(0.75 MW)
Linac(350m)
3 GeV Synchrotron
(25 Hz, 1MW)
物質生命科学・素粒子物理学などを目的として,KEKと原子力機構が共同開発
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中性子発生装置周辺の電離量計算
Energy
Deposition
tt == 201000
100
410nsec
nsec
nsec
nsec
Be reflector
Fe reflector
Moderators
Proton
Hg target
Moderators
水銀ターゲット付近の電離量計算
Hg target
水銀ターゲット付近の幾何形状
M. Harada et al. J. Nucl. Material 343, 197 (2005)
17
中性子ビームラインの遮蔽設計
物質生命科学施設の中性子ビームライン周辺の発熱量計算結果
ダクトソース機能
• 中性子ビームライン専用の線源決定機能
• 短時間で統計誤差の小さい結果が得られるよう中性子の生成数を自動調整
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遮へい体の厚さの最適化
Fe
Magnetite
Concrete
この部分の厚さを最適化!
Fe 36 cm, Concrete 55 cm
cm,
Concrete
75 cm
set: c1[65.0]
c1[36.0] Fe 65 $
concrete
[cm]
set: c2[75.0]
c2[55.0]
$ Fe [cm]
set: c50[60]
$ x-top of duct
20
1 時間
10
min
30
20
10
30
2 hours
min
時間
[surface]
1
px c50+c1
2
px c50+c1+c2
3
…… ……
計算の途中結果を可視化表示。一度終了した計算の再開始も可能
PHITSを使えば施設の最適化設計を効率的に行うことが可能
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ビームライン設計に対する特殊機能
 荷電粒子(電子・陽電子除く)
- 2重極・4重極磁石,ワブラー磁石
 低エネルギー中性子
- 2重極・4重極・6重極磁石
中性子スピンと磁場の相互作用を考慮
- パルス状(時間変化)磁場
- 光学デバイス:スーパーミラー
- メカニカルデバイス: T0 チョッパーなど
- 重力
高精度なビームライン設計が可能
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その他の施設における遮蔽設計の例
RIBF at RIKEN by T. Ohnishi
FRIB at MSU by I. Baek
Super-FRS at GSI by H. Iwase
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Table of Contents
1. 概要
2. 物理モデル
3. 応用例
3.1 加速器設計への応用
3.2 医療,放射線防護への応用
3.3 宇宙線挙動解析への応用
3.4 その他の応用
4. まとめ
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BNCT用治療計画システム:JCDS
JAEA Computational Dosimetry System
• 原子力機構JRR-4で行われていたホウ素捕捉療法(BNCT)用の治療
計画システム
• DICOMフォーマットのCTとMRIデータからPHITS入力ファイルを作成
• 腫瘍部分の定義などは,画像を元に各自が判断する必要有
PHITSで出力した患者の3次元画像
PHITSで計算した発熱量分布
H. Kumada et al. J. Phys.: Conf. Ser. 74, 021010 (2007)
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CT撮影時の線量評価システム:WAZA-ARI
WAZA-ARIとは?
 CT撮影時の患者の線量を評価する
Webベースのシステム
 PHITSと日本人ボクセルファントムを組
み合わせて計算したCT機種毎の被ばく
線量データベースを格納
PHITSによるCT線量計算
実験的検証に基づ
いて機種毎の線源
強度を決定
線源モデル
CT検査
人体モデル
F. Takahashi et al. PNST, 2011, http://waza-ari.nirs.go.jp/waza_ari/
24
ALLEGROプロジェクト
• 放射線治療時における正常部位の早期・晩発影響を実験・計算の両面
から評価する欧州主導のプロジェクト
• チャルマース工科大学とGSIがPHITSを使って参加
Yield (1/sr)
MLC
Dose (arb unit)
Filter
Water
Phantom
PHITSで模擬した
電子加速器
炭素イオン400MeV/n照射に対する線量の深さ&横方向分布
Courtesy of M. Puchalska
Exp: Haettner et al., RPD 122, 485 (2006)
Depth (cm)
EUROATOM EU FP7 Project, http://allegroproject.org/
Angle (deg)
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生物学的線量評価モデル
生物学的線量 = 吸収線量 × 生物学的効果比(RBE)
治療効果推定
発熱量計算
マイクロドジメトリ機能で計算した染色体レベルの線量分散(y分布)+MKモデル
PHITSを用いた生物学的線量評価モデルの特徴
1. 全ての放射線治療(光子,陽子,重粒子,BNCTなど)に適応可能
2. コリメータなどビーム上流機器で発生する2次放射線の寄与も含めて評価可能
Relative dose
200
Pencil
Wobbler Tantalum
Beam
Magnet
Scatterer
100
Carbon
= 0.4dose
mm)
(cal)
290 MeV/nucleon (tBiological
Beam
Monitor
1100
5
10
2
Al Collimator
5x5 cm2 hole
voxel phantom
Physical dose (cal.)
Physical dose (Measured by Kase)
0
0
Ridge
Filter
15
Depth from front surface (g/cm )
0
1000 891
433 420
80
腫瘍部位付近の線量深さ分布
Distance from the center of human body in cm (Not to the scale)
ボクセルファントムを用いたHIMACのSOBPビームに対する生物学的線量評価
T. Sato et al. Radiat. Res. 171, 107 (2009)
26
ICRP2007年勧告に基づく線量換算係数の計算
被ばく線量 = 放射線のフルエンス × 線量換算係数
計算方法
1. 人体ファントム内における放射線挙動をPHITSで解析
2. 各臓器の吸収線量及び平均線質係数を計算
3. 組織荷重係数や放射線荷重係数を乗じて線量換算係数を導出
ICRP/ICRUの標準成人
男性(左)&女性(右)ファントム
ICRP Pub.116
ICRP Pub.123
ICRPによる線量換算係数の評価に利用
T. Sato et al. Phys. Med. Biol. 54, 1997, (2009), T. Sato et al. Phys. Med. Biol. 55, 2235, (2010)27
Table of Contents
1. 概要
2. 物理モデル
3. 応用例
3.1 加速器設計への応用
3.2 医療,放射線防護への応用
3.3 宇宙線挙動解析への応用
3.4 その他の応用
4. まとめ
28
MATROSHKA実験の再現シミュレーション
Virtual Kibo Module
Dose (mGy/day)
■Exp.
▼Cal. (Total)
●Cal. (T.P)
▲Cal. (GCR)
JAXA
MATROSHKA実験とは?
人体ファントムをISSに搭載して
宇宙飛行士の宇宙線被ばく線量
を測定する欧州主導プロジェクト
Position (mm)
PHITSによる再現結果
L. Sihver et al. Radiat. Environ. Biophys. 49, 351 (2010), M. Puchalska, Adv. Space Res. (2012)
29
実効線量もしくは実効線量当量率 (mSv/day)
宇宙飛行士の被ばく線量評価
ISSに滞在する宇宙飛行士の実効線量及び実効線量当量率
PHITSで計算したISS内の宇宙線フラックスに線量換算係数を乗じて導出
T. Sato et al. Radiat. Environ. Biophys. 50, 115-123 (2011)
30
大気圏内の宇宙線挙動解析
1.5
1
–2 –1
–1
Neutron Flux (cm s lethargy )
PHITSシミュレーション
2
d = 101 g/cm (~16.0 km)
rc = 0.7 GV
smin
• 入射宇宙線スペクトル:太陽活動度,地磁気
強度を考慮した独自モデル
• 核反応モデル:JENDL高エネルギーファイル
Exp. (Goldhagen
et al.)
Exp.*
*P. Goldhagen
SimulationSimulation**
PHITS
PARMA
Analytical
Model
0.5
0
測定値をよく再現!
ただし計算時間が掛かる…
2
d = 201 g/cm (~11.8km)
rc = 4.3 GV
smin
0.4
0.2
EXPACS
0
PHITS計算結果を解析し,宇宙線フラックスの
太陽活動度,地磁気強度,高度依存性を解明
2
d = 1030 g/cm (ground level)
rc = 2.7 GV
smin
0.0015
0.001
大気圏内の任意地点・時間における宇宙線フ
ラックス・被ばく線量を瞬時に計算可能な数学
モデルを構築
0.0005
0 –8
10
–4
10
0
10
Neutron Energy (MeV)
大気圏内の中性子フラックス
4
10
Webで一般公開
http://phits.jaea.go.jp/expacs
日本の航空会社による乗務員被ばく線量管理や地球惑星物理学に利用
T. Sato et al. Radiat. Res. 166, 544 (2006), T. Sato et al. Radiat. Res. 170, 244 (2008)
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Table of Contents
1. 概要
2. 物理モデル
3. 応用例
3.1 加速器設計への応用
3.2 医療,放射線防護への応用
3.3 宇宙線挙動解析への応用
3.4 その他の応用
4. まとめ
32
材料損傷指標DPAの計算
DPAとは?
• 放射線照射により結晶格子からはじき出される原子の平均値
• DPAが大きくなる(欠陥が増える)と材料特性が劣化する
従来(PHITS2.24以前):
核反応による損傷のみ考慮
改良後(PHITS2.30以降):
クーロン散乱による損傷も考慮
改良前後のPHITSで計算したDPAの深さ分布
Y. Iwamoto et al. Nucl. Instr. and Meth. B, 274, 57-64 (2012)
33
トカマク型核融合装置への適用
 複雑形状を有するトカマク型装置の放射線による発熱、損傷や
放射化量評価のため精度の良い放射線輸送計算が必要不可欠
ポロイダル断面
トロイダル断面
プラズマ形状を模擬
できるトーラス放射線
線源を整備
トカマク型核融合装置
装置周辺の中性子束
時間変化の計算結果
A. Sukegawa et al. Prog. Nucl. Sci. Technol. 1, 36-39 (2011)
34
レーザー駆動イオン加速研究への応用
 高強度レーザーを物質に照射することで発生する電場にてイオンを加
速するレーザー駆動小型加速器の開発が世界各地で進められている
 そのビーム診断系開発や軌道計算、線量評価にPHITSを利用
生成イオン核種とエネルギー分布を診断
した結果とPHITSによる計算値の比較
レーザー1ショットあたりに発生する線量
測定値とPHITSによる計算値の比較
Y. Sakaki et al. レーザー研究, 42(2) 163-167 (2014)
35
半導体ソフトエラー発生率評価
半導体ソフトエラーとは?
• 放射線照射により有感領域にあるしきい値以上のエネルギー付与があると
その半導体のビットが反転し,プログラムのエラーが起きる
• 地表面では,宇宙線中性子が有感領域で核反応を起こして発生する
中性子核反応で生成する2次粒子を評価可能なイベントジェネレータモードが不可欠
中性子の核反応モデルにPHITSを使った半導体ソフトエラー発生率計算
Kobayashi et al. SONY Corporation, IRPS 2009
36
除染効果評価システムCDE
• 除染作業前後の空間線量率の計算から除染効果を評価するソフトウェア
• PHITSを用いて汚染環境中の空間線量率計算に必要なデータベースを作成
空間線量率の計算と
結果の可視化
除染前
除染後
使いやすい表計算ソフト
ベースで提供
除染区域
除染地域の地図の上に汚染
分布のデータを入力
http://nsed.jaea.go.jp/josen/ (←ホームページにて無償提供中)
37
Table of Contents
1. 概要
2. 物理モデル
3. 応用例
3.1 加速器設計への応用
3.2 医療,放射線防護への応用
3.3 宇宙線挙動解析への応用
3.4 その他の応用
4. まとめ
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PHITSの特長
 幅広いエネルギー範囲の全ての放射線の挙動を解析可能
 シンプルなユーザーインタフェイスに基づく多様な計算機能
 洗練された核反応モデルと核データ
(INCL4.6, INC-ELF, JQMD, JAM, JENDL-4 etc.)
 様々な用途に使える独自の計算機能
(イベントジェネレータモード,マイクロドジメトリ機能,ビームライン設計機能)
国内外1,500名以上のユーザーが
工学・理学・医学の様々な分野で利用している
教育版PHITSも公開中(大学の講義で利用可能)
39
最近の改良点①:PHITS2.64
2013年11月にパッチファイル公開
PHITS2.52からの変更点(担当者)
 光核反応モデルの改良(E < 1GeV)(野田・佐藤)
脱励起モデルEBITEMの開発と組込(小川)
離散スペクトル線源・相関線源に対応(仁井田・佐藤)
電磁混合場に対応(電子除く)(仁井田)
中性子カーマファクターの改訂(奥村)
DICOM2PHITSの開発(古田・橋本)
計算時間の短縮(大日向・佐藤)
40
最近の改良点②:PHITS2.70
本講習会で配布したバージョン
PHITS2.64からの主な変更点(担当者)
 光核反応モデルの組込(E>1GeV)(野田・安部)
DWBA(歪曲波ボルン近似)の導入(橋本)
ミューオン核反応モデルの組込(安部・野田)
Gy単位出力オプションの追加(古田)
円錐形状線源への対応(仁井田)
領域エラーチェック機能の開発と導入(仁井田・佐藤)
イベントジェネレータモードVer.2の開発と組込(小川)
標準出力(phits.out)とエラー出力の改訂(仁井田・佐藤)
Dumpを使った再開始計算機能の追加(橋本)
R-JQMDモデルの導入(小川・仁井田)
検出器分解能考慮オプションの導入(佐藤)
EGS5の組込(一部機能未対応)(岩瀬・仁井田)
41
今後の予定
EGS未対応機能の完成
 メモリ共有型並列(OpenMP)への対応
核反応モデル改良
 核共鳴蛍光散乱反応の組み込み
 JENDL高エネルギー核データファイルとのセット配布
ユーザー支援機能の拡充




GUIの開発
複数のタリー結果を統合する機能の開発
DCHAIN-SPとの親和性の向上
ポリゴン形状の読み込み機能の開発
42
お願い
 更新にはML登録が必要ですので,最新版への更新をご希望の
方は,PHITSホームページを参照の上,必ず登録してください
 バグを見つけた場合や,改良の要望がありましたら,PHITS事務
局<[email protected]>までご連絡ください
更新情報は,PHITSホームページ及び
Facebookページにて随時お知らせします
現在,177
http://phits.jaea.go.jp/
https://www.facebook.com/phitscommunity 43