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平成28年1月
財務大臣年頭所感
財務大臣
麻生 太郎
あけましておめでとうございます。平成28
ていくためには、企業が行動を起こし、過去
年の年頭に当たり、謹んで新春のお慶びを申
最高水準の企業収益を設備投資や賃金引上げ
し上げますとともに、我が国の経済財政運営
等に回していくことが必要であり、この認識
等につきまして一言所感を述べさせていただ
の共有を図っていくことが重要です。そうし
きます。
た中、企業の大胆な投資を後押しするため、
政権発足から丸3年。安倍内閣は、
「経済最
昨年、新たな取り組みとして「未来投資に向
優先」の考えの下、長引くデフレ不況からの
けた官民対話」が始まりました。11月26日の
脱却に最重要課題として取り組んできました。
第3回官民対話では、設備投資と賃上げにつ
足下の経済状況を見ると、これまでの取組に
いて、産業界から積極的な方針が示されたと
より、企業の経常利益は過去最高に達し、賃
ころであり、今後の各企業の動向を注視して
上げ率は2年連続で前年を上回る伸び、有効
いきたいと思っております。
求人倍率は23年ぶりの高水準となるなど、経
加えて、デフレ不況を脱却しつつある今こ
済の好循環が着実に回り始め、日本経済はデ
そ、少子高齢化という構造的課題に真正面か
フレ不況から脱却しつつあります。
ら取り組むべく、
安倍内閣は昨年、
新たに「一億
本年は、こうした成果を踏まえて、長年の
総活躍社会」の実現を目指すこととしました。
課題の解決に向け、未来を見据えた新たな国
そのために「希望を生み出す強い経済」
、
「夢
づくりに取り組むべき年であると考えていま
をつむぐ子育て支援」
、
「安心につながる社会
す。すでに昨年中、我々は、いくつかの重要
保障」を新・三本の矢として掲げ、それぞれ
な政策を決定しました。
「GDP600兆円」
、
「希望出生率1.8」
、
「介護離職
安倍政権の基本方針は「経済再生なくして
ゼロ」という具体的な目標を目指します。目
財政健全化なし」です。経済再生と財政健全
標達成に向けては、昨年既に、新設の一億総
化の両立に向け、民需主導の好循環を確立し
活躍国民会議において「緊急に実施すべき対
策」を取りまとめ、最低賃金の全国加重平均
に向けた診療報酬の適正化、改革工程の策定
1,000円を目指すこと、保育所等の受け皿拡大、
など、歳出改革を強力に進め、社会保障関係
介護施設等の受け皿拡大と国有地の更なる活
費及び一般歳出の伸びを「経済・財政再生計画」
用等による介護施設整備の促進といった具体
の「目安」に沿って抑制しており、計画の初
的施策を盛り込みました。
年度にふさわしい、経済再生と財政健全化を
昨年10月5日に大筋合意に至ったTPP(環
両立する予算に仕上がったと考えております。
太平洋パートナーシップ)交渉も、日本の未
財政健全化については、昨年6月に、2020
来を見据えた重要な決断でした。TPPは、地方
年度の基礎的財政収支の黒字化に向けて、
「経
の中堅・中小企業の海外展開の後押しや、貿易、
済・財政再生計画」を策定いたしました。日
投資の促進による生産性向上等を通じて、我
本の財政の3分の1を占める社会保障関係費
が国の経済を押し上げることが期待されてお
は、少子高齢化が進展していく中、今後不可
ります。
避的に急増していきます。国民の安心を支え
一方で、大筋合意以降、国民、地方公共団体、
る社会保障制度を持続可能なものとするとと
関係団体等から、懸念・不安の声が寄せられ
もに、日本の財政に対する国民の信頼及び国
ていることも事実です。TPPの効果を真に日本
際的な信認を確保するため、財政健全化は、
の経済再生・地方創生に直結させるとともに、
避けては通れないものです。安倍政権は発足
こうした国民の不安を払拭するため、昨年、
以来真摯に財政健全化に取り組み、2015年度
これも新たに設置されたTPP総合対策本部に
の基礎的財政収支の赤字対GDP比半減目標の
おいて、
「総合的なTPP関連政策大綱」を決定
達成を見込みうるなど着実な成果を示してき
しました。
ております。
平成27年度補正予算は、これら一億総活躍
「経済・財政再生計画」については、先般、
国民会議の「緊急に実施すべき対策」及び「総
その実現に向けた取組の具体的内容及び実施・
合的なTPP関連政策大綱」を踏まえ、緊急に実
検討時期を明確にした改革工程表を策定しま
施すべき施策を行うものです。こうした施策
した。
により、
「強い経済」の実現に向けた歩みを確
また、来年4月には、社会保障制度を次世
固たるものにしつつ、少子高齢化という課題
代に引き渡す責任を果たすとともに国の信認
に正面から向き合う第一歩としてまいります。
を確保するため、税制抜本改革法の規定に従
もちろん、今年度における基礎的財政収支赤
い、消費税率を10%に引き上げさせていただ
字半減目標を堅持するなど、財政健全化とも
くことになっています。消費税増収分は全て、
両立させております。
社会保障の安定化と充実に活用します。消費
平成28年度予算でも、子育て支援や介護サ
税率の引上げを確実に実施するための経済状
ービスの充実、地方創生の本格展開など、
「一億
況を作り出すという決意の下、経済財政運営
総活躍社会」の実現に向けた取組みを前に進
に万全を期し、財政健全化への歩みを進めて
めるとともに、国土強靭化の推進、外交予算
まいります。
の充実、科学技術の基盤強化など、日本の諸
同時に、来年4月、所得の低い方に配慮す
課題にしっかりと取り組むこととしておりま
る観点から、
「酒類や外食を除く飲食料品」と
す。同時に、持続可能な社会保障制度の確立
「新聞の定期購読料」を対象に、軽減税率制度
を導入します。その導入に当たっては、財政
中国では成長が減速し、構造改革の必要が叫
健全化目標を堅持し、
「社会保障と税の一体改
ばれているほか、原油価格の下落や各種地政
革」の原点に立って、28年度末までに歳入及
学的リスクの影響も予断を許しません。一方
び歳出における法制上の措置等を講じ、安定
で、アジア・太平洋地域に目を向ければ、TPP
的な恒久財源を確保してまいります。
交渉の大筋合意、ASEAN経済共同体の発足等、
平成28年度税制改正大綱では、この軽減税
世界経済の飛躍的成長の萌芽が見てとれます。
率制度の導入を含む、様々な税制上の措置を
アジア発のブレイクスルーに向け、今こそ日
決定いたしました。
本が、地域で、世界で、存在感を示すときで
具体的には、たとえば、成長志向の法人税
はないでしょうか。伊勢志摩サミットや2020
改革を更に大胆に推進し、課税ベースの拡大
年の東京オリンピック・パラリンピック競技
等により財源をしっかりと確保しつつ、法人
大会等は、その良い機会です。
実効税率の「20%台」への引き下げを実現し
ております。
このほか、少子化対策・教育再生や地方創
生の推進等に取り組むための税制上の措置、
グローバルなビジネスモデルに適合した国際
課税ルールの再構築、震災からの復興を支援
するための税制上の措置等を盛り込みました。
これらを通じて、安倍内閣の最重要課題で
あるデフレ脱却と経済再生に向けた取組みを
進め、
「一億総活躍社会」の実現を目指してま
いります。
さて、本年は日本がG7の議長国となり、5
月26、27日にG7伊勢志摩サミットを開催す
る予定です。それに先立ち、5月20、21日に、
仙台市の秋保地区にて、G7仙台財務大臣・中
央銀行総裁会議を主催します。各国の財務大
臣・中央銀行総裁等を迎え、豊かな自然環境
と調和した仙台・秋保の魅力を生かし、くつ
ろいだ雰囲気の中で議論ができることを期待
しています。財務大臣・中央銀行総裁会議と
しての議論を有意義なものとすることはもち
ろん、東日本大震災の被災地での開催である
ことを踏まえ、震災からの復興や開催国とし
ての日本の独自性をアピールする場ともなる
ようにしていきたいと思っています。
いま、世界経済は大きく揺れ動いています。
本年が、世界における日本の存在感を高め
る年となるよう、副大臣、政務官とともに、
全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げ、
新年の挨拶とさせていただきます。