特集 平成28年度予算について 主計局総務課主計官 江島 一彦 1.予算編成の前提となる経済 情勢及び財政事情 (1)経済情勢 期債務残高が対GDP比207%程度と主要先進国中 最悪の水準となる見込みであるなど、極めて深刻 な状況にある。こうした中政府としては、2020年 平成27年度の我が国経済をみると、雇用・所得 度(平成32年度)までの国・地方を合わせた基礎 環境が改善し、原油価格の低下等により交易条件 的財政収支(以下「PB」という)の黒字化目標の が改善する中で緩やかな回復基調が続いている。 達成に向けて、 「経済財政運営と改革の基本方針 ただし、年度前半には中国を始めとする新興国経 2015」 (平成27年6月30日閣議決定)において、 「経 済の景気減速の影響等もあり、輸出が弱含み、個 済・財政再生計画」を策定した。さらに昨年末に 人消費及び民間設備投資の回復に遅れがみられ 改革工程表を策定し、約80項目の歳出改革の具体 た。 的内容や実施検討時期を明らかにしており、これ こうした中、 政府は「希望を生み出す強い経済」 、 に基づく取り組みを進めていくこととなる。 「夢をつむぐ子育て支援」 、 「安心につながる社会保 また、計画の中間時点である2018年度(平成 障」の実現に向け、平成27年11月26日に「一億 30年度)において、PB赤字対GDP比▲1%程度、 総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対 及び国の一般歳出の水準等の「目安」に照らして、 策」 (以下「緊急対策」という。 )を取りまとめた。 改革の進捗状況を評価することとしており、必要 雇用・所得環境が改善する中、 「緊急対策」等の な場合は、デフレ脱却・経済再生を堅持する中で、 効果もあって、景気は緩やかな回復に向かうこと 歳出、歳入の追加措置等を検討し、2020年度(平 が見込まれる。 成32年度)の財政健全化目標を達成することとし 物価の動向をみると、原油価格等の下落の影響 があるものの、経済の好循環が進展する中で物価 の基調は緩やかに上昇している。この結果、平成 27年度の実質国内総生産(実質GDP)成長率は1.2 ている。 2.28年度予算編成の大要 (1)平成28年度予算の姿 %程度、名目国内総生産(名目GDP)成長率は交 平成28年度予算は、昨年6月に閣議決定された 易条件の改善もあって2.7%程度と見込まれる。ま 「経済・財政再生計画」の初年度にあたる予算で た消費者物価(総合)は0.4%程度の上昇と見込ま あり、現下の重要課題に的確に対応しつつ、経済 れる。 再生と財政健全化の両立を実現するものである。 (2)財政事情 具体的には、一億総活躍社会の実現という政権の 大きな目標に向け、子育て支援や介護サービスの 我が国財政は、平成27年度予算では公債依存度 充実、地方創生の本格展開などを進めるほか、国 が38.3%にも及び、同年度の国・地方合わせた長 土強靭化の推進、外交予算の充実など、日本の諸 2 ファイナンス 2016.3 平成28年度予算特集① 平成28年度予算について 課題に取り組むこととしている。 進することとしている。 公共事業関係費については、国民の命と暮らし た診療報酬の適正化、改革工程表の策定など歳出 を守る防災・減災等の課題に対応するため、投資 改革を進め、社会保障関係費及び一般歳出の伸び の重点化等を図りつつ、真に必要な社会資本整備 を「経済・財政再生計画」の「目安」に沿って抑 等に取り組むこととしている。 制している。 経済協力費については、本年5月の伊勢志摩サ 歳 出 に つ い て み る と、PB対 象 経 費 は、73兆 ミットを控え、平和構築やユニバーサル・ヘルス・ 1,097億円であり、前年度より2,185億円の増加に カバレッジ等の課題への対応に重点化しつつ、 なっている。これは、社会保障関係費が高齢化等 ODAについても予算・事業量ともに必要な額を確 の影響により増加する一方で、地方税収の伸び等 保している。 を反映して地方交付税交付金等が減少したこと等 中小企業対策費については、生産性向上のため によるものである。このPB対象経費に国債費23兆 の革新的なものづくり等への支援を充実するほか、 6,121億円を加えた一般会計総額は96兆7,218億円 資金繰り対策等にも万全を期すこととしている。 となっている。 エネルギー対策費については、再生可能エネル 一方、歳入については、租税等の収入は57兆 ギーの導入等に向けた支援を強化するほか、国内 6,040億円、その他収入は4兆6,858億円を見込ん 資源の開発や海外資源の権益確保等を推進するこ でいる。また公債金は、34兆4,320億円となって ととしている。 おり、前年度当初予算に対し2兆4,310億円減少 している。 (2)主要な経費の概要 社会保障関係費については、持続可能な社会保 障制度を確立していく観点からその伸びを抑制す 農林水産関係予算については、農林水産業の競 争力強化等を図るため、輸出の促進や農業基盤整 備の充実等に取り組むこととしている。 国家公務員の人件費については、給与改定や給 与制度の総合的見直し、定員純減等を的確に予算 に反映している。 るため、診療報酬の適正化、社会保障に係る改革 東日本大震災からの復興については、平成27年 工程表に沿った制度改革の着実な実行等に取り組 度までの「集中復興期間」を経て、平成28年度か むこととしている。また、一億総活躍社会の実現 らの5年間の「復興・創生期間」に入ることとなる。 に向けて、安定財源を確保しつつ「希望出生率 その初年度となる平成28年度東日本大震災復興特 1.8」 、 「介護離職ゼロ」に直結する子育て支援や介 別会計においては、復興のステージに応じた課題 護サービス等の拡充を図ることとしている。 に対応し復興の加速化を進めるため、3兆2,469 文教及び科学振興費については、教職員定数の 億円を見込んでいる。 効率化と必要な分野への充実を図るほか、大学改 革、学校の老朽化対策等を推進することとしてい このように平成28年度予算は、 「経済・財政再 る。また科学技術基盤を充実するとともに、イノ 生計画」の初年度の予算として、これを具体化し ベーション創出に向けたシステム改革を推進して ていく第一歩となるものである。本年2月に内閣 いく。 府から提出された「中長期試算」においては、 地方財政については、地方税収増等を反映して 2015年 度( 平 成27年 度 ) の 国・ 地 方 のPBは 対 地方交付税交付金等を縮減する一方、 いわゆる「一 GDP比▲3.3%となり、2010年度(平成22年度) 般財源総額」については適切な規模を確保してい の水準(▲6.6%)からの対GDP比半減目標を達 る。 成する見込みであることが示されている。今後も 防衛関係費については、中期防衛力整備計画に 現下の重要課題に対応しながら、改革工程表に基 基づき所要の施策を講じるとともに、沖縄の基地 づき歳出改革を継続・強化し、 「経済・財政再生 負担軽減等のための在日米軍再編事業を着実に推 計画」の「目安」に沿って毎年度の予算編成を行 ファイナンス 2016.3 3 特集 同時に、持続可能な社会保障制度の確立に向け 特集 っていくなど、2020年度(平成32年度)におけ 向けて「経済・財政再生計画」を一歩ずつ具体化 る財政健全化目標(国・地方のPB黒字化)実現に していくことが重要である。 平成28年度予算のポイント 経済再生と財政健全化の両立する予算 ▶一億総活躍社会の実現に向けて、 「希望出生率1.8」 、 「介護離職ゼロ」に直結する、子育て支援や介護サービ ス等の充実を図るほか、教育費の負担軽減等を進める。また、地方創生の本格展開を図る。 ▶持続可能な社会保障制度の確立に向けて、社会保障関係費の伸びを「経済・財政再生計画」の「目安」に沿っ て抑制(+4,400億円*) 。診療報酬の適正化、改革工程表の策定などの改革を推進。 * 「経済・財政再生計画」における「目安」との関係では、平成27年度予算における一時的な歳出の影響額等を除き、実質+5,000億円。 ▶事前防災・減災対策の充実や老朽化対策など国土強靭化を推進。また、 「攻めの農林水産業」に向けた施策を 推進。 ▶伊勢志摩サミットの議長国として、充実した外交予算により「地球儀を俯瞰する外交」を推進。また、防衛予算を 充実し、防衛力を着実に整備。 ▶教育の質向上に向けた取組みや科学技術の基盤強化を推進。 ▶復興ステージに応じた課題に対応し、復興を加速化。 財政健全化 ▶一般歳出の伸びを「経済・財政再生計画」の「目安」に沿って抑制(+4,700億円*) 。 * 「経済・財政再生計画」における「目安」との関係では、平成27年度予算における一時的な歳出の影響額等を除き、実質+5,300億円。 ▶国債発行額(34.4兆円)は前年度から▲2.4兆円の減額。公債依存度は35.6%とリーマン・ショック以前(平 成20年度当初予算以来)の水準まで回復。 *国税税収(57.6兆円。消費税率8%引上げ分6.3兆円を除くと51.3兆円)は平成19年度決算(51.0兆円)を上回る水準まで回復。 *地方税収等(41.8兆円。平成19年度決算40.2兆円)の増を反映し、平成21年度以降措置してきた地方交付税の別枠加算を廃止。 平成28年度予算フレーム (単位:億円) 27年度予算 (当初) 28年度予算 27'→28' 備 考 (歳 入) 税 そ の 公 他 収 債 収 545,250 576,040 30,790 入 49,540 46,858 △2,681 金 368,630 344,320 △24,310 60,030 60,500 470 うち4条公債(建設公債) うち特例公債(赤字公債) 308,600 283,820 △24,780 計 963,420 967,218 3,799 1,614 ○公債依存度 35.6%程度(27年度当初 38.3%) (歳 出) 費 234,507 236,121 基礎的財政収支対象経費 国 債 728,912 731,097 2,185 うち一般歳出 うち社会保障関係費 うち社会保障関係費以外 573,555 315,326 258,229 578,286 319,738 258,549 4,731 4,412 319 うち地方交付税交付金等 155,357 152,811 △2,547 963,420 967,218 3,799 計 ○地 方税収の伸び等を反映。地方税・地方交付税等の 地方の一般財源総額について実質的に同水準を確保。 (注1)一般歳出及び社会保障関係費の増加額は、「経済・財政再生計画」における「目安」との関係では、平成27年度予算の一時的な歳出の減によ る影響額等を除き、それぞれ実質+5,316億円、実質+4,997億円。 (注2)社会保障関係費の平成27年度予算は、平成28年度予算との比較対照のため、組替えをしてある。また、計数は、それぞれ四捨五入によってい るので、端数において合計とは一致しないものがある。 (注3)特例公債の発行根拠は平成27年度末で期限を迎えるが、財政健全化目標や「経済・財政再生計画」を踏まえ、今後5年間の特例公債の発行根 拠を設ける法案を提出する方向で検討中。 4 ファイナンス 2016.3 平成28年度予算特集① 平成28年度予算について 主要経費別内訳 社会保障関係費 27年度予算 28年度予算 増減率 備 考 319,738 4,412 53,584 53,580 12,857 12,929 3,932 3,421 ▲511 155,357 152,811 ▲ 2,547 ▲ 1.6% 地方税収の伸び等を反映。地方税・地方交付税等の地方の 一般財源総額について27年度と実質的に同水準を確保。 防衛関係費 49,801 50,541 740 + 1.5% 中期防対象経費の増 +386億円(+0.8%)SACO・米 軍再編関係経費等の増 +354億円 公共事業関係費 59,711 59,737 26 +0.0% 経済協力費 5,064 5,161 97 + 1.9% (参考)ODA 5,422 5,519 98 + 1.8% 中小企業対策費 1,856 1,825 ▲ 31 ▲ 1.7% 景気回復に伴う信用補完関連予算の減 ▲18億円新型交 付金への拠出 ▲51億円 エネルギー対策費 8,985 9,308 323 + 3.6% 温対税増税を踏まえた省エネ・再エネ等予算の増 +585 億円 食料安定供給関係費 10,417 10,282 ▲ 135 ▲ 1.3% 収入減少影響緩和対策移行円滑化交付金の減 ▲385億円 その他の事項経費 61,379 61,193 ▲ 185 ▲ 0.3% 文教及び科学振興費 うち科学技術振興費 恩給関係費 地方交付税交付金等 315,326 増減額 + 1.4% 27年度予算の一時的歳出の影響額等 ▲585億円 ▲4 ▲ 0.0% 新型交付金への拠出 ▲120億円 72 + 0.6% ▲ 13.0% 受給者の減少に伴う自然減等 ▲511億円 予備費 3,500 3,500 - - 合 計 728,912 731,097 2,185 + 0.3% (注1)平成27年度予算は、平成28年度予算との比較対照のため、組替えをしてある。 (注2)計数は、それぞれ四捨五入によっているので、端数において合計とは一致しないものがある。 平成28年度一般会計歳出・歳入の構成 一般会計歳出 国債費 236,121 24.4% 債務償還費 137,161 14.2% 地方交付税 交付金等 152,811 15.8% 食料安定供給 中小企業対策 エネルギー対策 恩給 経済協力 その他の事項経費 予備費 利払費等 98,961 10.2% 一般会計 歳出総額 967,218 (100.0%) 基礎的財政収支 対象経費 731,097 75.6% 社会保障 319,738 33.1% 公共事業 59,737 6.2% 防衛 その他 文教及び 94,690 50,541 科学振興 9.8% 5.2% 53,580 5.5% 10,282 1,825 9,308 3,421 5,161 61,193 3,500 (1.1) (0.2) (1.0) (0.4) (0.5) (6.3) (0.4) 一般会計歳入 (単位:億円) 公債金 344,320 35.6% 所得税 179,750 18.6% 特例公債 283,820 29.3% 建設公債 60,500 6.3% (単位:億円) 一般会計 歳入総額 967,218 (100.0%) その他 その他収入 102,110 46,858 10.6% 4.8% 租税及び 印紙収入 法人税 576,040 122,330 59.6% 12.6% 消費税 171,850 17.8% 「基礎的財政収支対 ※「一般歳出」(= 象経費」から「地方交付税交付金等」 を除いたもの)は、 578,286(59.8%) (注1)計数については、それぞれ四捨五入によっているので、 端数において合計とは合致しないものがある。 (注2)一般歳出※における社会保障関係費の割合は55.3%。 ファイナンス 2016.3 5 特集 主要経費 (単位:億円) <経済指標> 特集 平成24年度 (実績) 名目GDP成長率 名目GDP 平成25年度 (実績) 平成26年度 (実績) 平成27年度 (実績見込み) 平成28年度 (見通し) 0.0% 1.7% 1.5%(0.1%) 2.7% 3.1% 474.4兆円 482.4兆円 489.6兆円 503.1兆円 518.8兆円 0.9% 2.0% ▲1.0% 1.2% 1.7% ▲0.3% 0.9% 2.9%(0.9%) 0.4% 1.2% 4.3% 3.9% 3.5% 3.3% 3.2% 実質GDP成長率 消費者物価上昇率 完全失業率 (注1)平成27年度及び平成28年度は、「平成28年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」 (平成27年12月22日 閣議了解)による。 (注2)平成26年度の名目GDP成長率及び消費者物価上昇率のカッコ内の計数は、消費税率引上げによる影響を除いた計数。 <財政(一般会計※当初予算)> 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 (政府案) 基礎的財政収支対象経費 71.0兆円 70.4兆円 72.6兆円 72.9兆円 73.1兆円 一般歳出 54.4兆円 54.0兆円 56.5兆円 57.4兆円 57.8兆円 42.3兆円 43.1兆円 50.0兆円 (4.5兆円) 54.5兆円 (6.2兆円) 57.6兆円 (6.3兆円) 41.3兆円 36.9兆円 34.4兆円 税 収 ※ ( )は消費税率引上げ (5%→8%)に伴う増収分 公債金収入 44.2兆円 ※別途、基礎年金国庫負担2分の1へ ※年金特例債2.6兆 の引上げに伴う年金特例債あり 基礎的財政収支 42.9兆円 ※年金特例債2.6兆円 ▲24.9兆円 ▲23.2兆円 ▲18.0兆円 ▲13.4兆円 ▲10.8兆円 47.6% 46.3% 43.0% 38.3% 35.6% 公債依存度 (注1)計数は全て当初予算ベース。なお、平成24年度は基礎年金国庫負担2分の1ベース。 (注2)一般歳出とは、一般会計歳出から国債費及び地方交付税交付金等を除いたもの。 公債発行額、公債依存度(当初予算ベース)の推移 (兆円) (%) 100 公債依存度 (右軸) 90 80 70 37.9% 公債発行額 (左軸) 44.6% 44.6% 37.6% 35.6% 34.3% 30.7% 21.6% 40 20.0% 14.4% 30 11.8% 11.2% 8.4% 10.1% 7.6% 10 7.1 5.6 5.3 7.3 8.1 13.7% 19.1 10.5 9.7 9.0 16.7 15.6 3 4 5 6 7 8 36.4 36.6 6.4 6.1 5.9 34.4 33.3 30.0 6.4 6.5 6.2 30.0 7.6 5.5 25.4 25.3 6.8 9.3 9.2 8.8 5.2 5.2 31.1 32.6 9.2 8.4 21.7 5.8 5.6 5.3 7.3 8.1 10.5 9.7 10.1 7.5 7.1 1.3 平成 2 元 44.3 44.3 44.2 42.9 28.3 23.5 19.6 23.2 30.0 30.1 28.2 ファイナンス 2016.3 24.5 25.7 20.2 20.1 38.0 38.2 38.3 41.3 5.8 6.0 36.9 20 34.4 6.0 6.1 37.1 35.2 30.9 10 28.4 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 (注1)計数は当初予算ベース。公債依存度は公債発行額を一般会計歳入額で除して算出。 (注2)平成24年度の公債依存度は、基礎年金国庫負担2分の1ベース。 6 30 30.5% 25.5% 50 0 38.3% 40 37.6% 36.9% 60 20 43.0% 41.8% 38.4% 4条公債 特例公債 50 47.9% 47.6% 46.3% 48.0% 0 (年度) 平成28年度予算特集① 平成28年度予算について 平成28年度予算の特徴(各歳出分野の特徴) 特集 社会保障 ○ 社会保障関係費の伸びを、「経済・財政再生計画」の「目安」に沿って抑制(+4,412億円*)。 * 「経済・財政再生計画」 における 「目安」 との関係では、 平成 27 年度予算における一時的な歳出の影響額等を除き、実質+4,997 億円。 ○ 28年度診療報酬改定において、診療報酬本体+0.49%(+498億円)、薬価▲1.22%(▲1,247億円)、 材料価格▲0.11%(▲115億円)。別途、外枠で、医薬品価格の適正化、大型門前薬局等に対する評価の 適正化などの制度改革を実施(▲609億円)。 ○「骨太方針2015」に掲げられた制度改革検討項目について、改革の方向性、検討実施時期を明確化した 工程表を策定。 ○ 今後、 「骨太の方針2015」に掲げられた改革検討項目について、 「経済・財政再生計画改革工程表」に沿っ て改革を着実に実行。 ○ 一億総活躍社会の実現に向けて、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」に直結する施策を充実。 公共事業 ○ 公共事業関係費は前年度同水準(5兆9,737億円(+0.0%))としつつ、局地的豪雨等を踏まえた防災・ 減災対策を充実するとともにインフラの老朽化対策を計画的に推進。また、民間投資を誘発し、経済活 性化につながる物流ネットワークの整備等を推進。 農林水産 ○ 27年度補正において措置したTPP関連政策大綱に基づく体質強化策(3,122億円)に加え、輸出促進策(各 産地における円滑な輸出検疫手続きの構築等)や農業経営の高度化支援(経済界の技術・人材の導入等) など、「攻めの農林水産業」に向けた施策を推進。 ○ 更に、土地改良事業(農業農村整備事業関係予算)の充実を図り、防災・減災事業を推進。 外交・防衛 ○ サミット等を見据え難民対策などグローバルな課題に貢献。テロ等を踏まえた邦人の安全対策や戦略的 対外発信に取り組む。一般会計全体のODA予算は、無償資金協力等の増額により、平成11年度以来、 17年ぶりの増(+1.8%)。 ○「中期防衛力整備計画」に沿って、南西地域の防衛態勢の強化等を図るなど、中期防対象経費について +0.8%を確保。沖縄等の負担軽減等のために行う米軍再編事業も着実に推進し、防衛関係費全体として は+1.5%の5兆541億円。 教育・科学技術 ○ 教育 → 教育現場が抱える諸課題への対応として、小学校の専科教育、貧困対策、特別支援教育など必 要な教職員定数を充実するほか、チーム学校(専門人材活用)の推進、民間教育機関と連携した教員研 修を実施。国立大学の機能強化に向けた運営費交付金の適正化・再配分ルールを導入。 ○ 科学技術 → 人工知能の基盤技術の研究拠点の構築をはじめ、産学連携促進・若手研究者支援等システ ム改革も推進。 復興 ○ 長期避難者のケアやコミュニティ形成などの被災者支援や除染、産業の再生等を推進し、復興ステージ の進展に伴う課題に対応。 地方財政 ○ 地方税収増等を反映して、別枠加算(0.2兆円)を廃止し、地方交付税交付金等は減額(15.5兆円→ 15.3兆円)しつつ、地方の一般財源総額を適切に確保。 ファイナンス 2016.3 7
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