トンネルや橋梁などの構造物の 遠隔非破壊検査方法 熊本大学大学院 自然科学研究科 自然科学研究科 産業創造工学専攻 機械知能システム講座 教授 森 和也 1 新技術の概要 • ウォータージェットを用いた打音検査 コンクリート壁 集音マイク はく離部 音響 ポンプ 水滴 ノズル ウォータージェットを放水し、打撃音をマイクで収集して検査を行う。 2 従来技術の問題点 • 打音検査 株式会社ダイム ①時間がかかる ②経費がかかる ③作業者不足 3 従来技術の問題点 ・遠隔で非破壊検査を行う技術:赤外線サーモグラフィ法 コンクリート壁 太陽光など可熱源が必要 赤外線サーモグラフィ 赤外線 ①強力な加熱源が必要 ②装置が高価 ③人工加熱では時間がかかり、深い欠陥の検出が難しい 4 従来技術の問題点 ・遠隔で非破壊検査を行う技術:レーザ法 コンクリート壁 高価 レーザ加振装置 レーザ振動計 ①装置が高価 ②計測範囲が狭い ③危険 ④汚れた面は計測困難(レーザ反射が得られにくいため) 5 従来技術の問題点 ・遠隔で非破壊検査を行う技術:音響可振法 コンクリート壁 うるさい 音響加振装置 レーザ振動計 ①うるさい ②装置がやや高価 ③汚れた面は計測困難(レーザ反射が得られにくいため) 6 新技術の特徴・従来技術との比較 方法 概要 長所 短所 水撃音響法 水で加振 音響で振動計測 装置・作業費用が安い 作業効率がよい 検査面の洗浄効果がある 水が必要 水が飛び散る 打音法 ハンマで加振 音響で振動計測 信頼性が高い 装置費用が不要 作業効率が悪い 検査費用が高い 作業者不足 加熱で温度差 カメラで計測 計測範囲が広い 作業効率が悪い(4km/h) 装置費用が高い 深強力な加熱源が必要 サーモグラフィ法 レーザ法 レーザで加振 自動化が容易 レーザで振動計測 装置費用が高い 計測範囲が狭い 汚れた面は計測困難 7 国土交通省 道路局公募( 道路局公募(平成25年 公募(平成25年6月) 平成25年6月) 道路トンネルの覆工コンクリートの うき・はく離を検知する新技術 • 「近接目視」と「打音検査」の組み合わせである従来技術を代替 できるか、従来技術と新技術の組み合わせで代替できること。 • 1万平方メートルあたりの検査日数が1.35 日(実稼働時間10.8 時間)以下であること。 • 従来技術の高所作業車等による「近接目視」+「打音検査」に必 要な交通規制と同等もしくは軽減できること。 • 直接費が1万平方メートルあたり245,000 円を大きく上回らない こと。 すべてを満足可能! 8 公募技術にて代替しようとする従来技術 公募技術にて代替しようとする従来技術 「近接目視」と「打音検査」の組み合わせである従来技術を代替で きるか、従来技術と新技術の組み合わせで代替できること。 つまり、打音検査の代替えができること。 水による打音検査 代替え可能 9 検査速度 1万平方メートルあたりの検査日数が1.35 日(実稼働時間10.8 時間)以下であること。 つまり、0.5m幅の20kmを10.8時間で検査 (時速2km=秒速0.6m) 0.5m×0.5m検査を0.1s 0.5m 秒速5m 10 交通規制 従来技術の高所作業車等による「近接目視」+「打音検査」に必 要な交通規制と同等もしくは軽減できること。 つまり、交通規制を従来の検査以下にする。 走行型検査 交通規制不要 11 費用 直接費(人件費+機械器具費)が1万平方メートルあたり245,000 円を大きく上回らないこと。 つまり、1日で、245,000円以下。 人件費2万×2 機械レンタル10万? 15万円以下 12 想定される用途 トンネル 高架床版下面 13 実施例 • ウォータージェットを用いた打音検査 コンクリート壁 集音マイク はく離部 0.2 m 音響 ノズル ポンプ 水滴 4m ノズル直径1mm、流速10m/s、計測時間0.2秒。 14 実施例 音響シグナル 欠陥なし 欠陥あり 音響シグナルからは、欠陥の有無はわからない。 15 実施例 振幅スペクトル 欠陥によるピーク 欠陥なし 欠陥あり 振幅スペクトから明確に欠陥の有無が判別できる。 16 実用化に向けた課題 • 現在、直径200mm・深さ25mmの欠陥に対して、4mの位置か らの試験のみ確認済み。 • 今後、多様な欠陥に対して実験データを取得し、それぞれの 欠陥に最適なウォータージェットの条件設定を行っていく。 • 実用化に向けて必要な事項: ①移動式検査措置の開発・実験 ②打音検査と同時にビデオカメラで検査箇所を収集し、 問題箇所をマッピングするソフトの開発 17 企業への期待 • 移動式検査装置の開発については、問題ないと考えている。 • 問題箇所のマッピングは、ユーザーの立場で企業で開発して もらいたい。 • 国交省等の公募に共同出願する企業との共同研究を希望。 • また、各種遠隔非破壊検査法を開発中の企業には、本技術 の導入が有効と思われる。 18 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :構造物の非破壊検査方法及び 非破壊検査装置 • 出願番号 :特願2015-177167 • 出願人 :国立大学法人熊本大学 • 発明者 :森 和也 19 産学官連携の経歴 機械加工メーカーと共同研究 JST A-Step事業に採択 JST A-Step事業に採択 複数の企業と SIP社会インフラ応募 • 2014年-2015年 JST A-Step事業に採択 • • • • 2010年2013年 2013年-2014年 2014年 20 お問い合わせ先 熊本大学 産学連携ユニット・研究コーディネーター 松浦 佳子 TEL096-342 - 3145 FAX096-342 - 3239 e-mail y-matsuura@jimu.kumamoto-u.ac.jp 熊本大学 産学連携ユニット・研究コーディネーター 和田 翼 TEL 096-342 - 3247 FAX 096-342 - 3239 e-mail t-wada@jimu.kumamoto-u.ac.jp 21
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