テクニカルレポートNo.01 活用術 【リフリート工業会内部資料】テクニカルレポートNo.01 活用術 本書は、テクニカルレポートNo.01「マクロセル腐食が気になりませんか?」の解説資料です。 ■マクロセル腐食とは マクロセル腐食とは、部分補修した 個所と補修しなかった個所の境界にお いて、隣接する補修しなかった個所の 鉄筋が激しく錆びるとされる症状で す。左図は、マクロセル腐食が発生し た例です(日経コンストラクション 長寿命化時代のコンクリート補修講座 より引用)。 ■リフリート工法(塩害仕様)とは リフリート工法の中で塩害対策工として実施される仕様で、「DS仕様」と 呼んでいます。劣化部の補修だけでなく、塩化物イオンが残存してしまう未補 修部に対しても防錆成分が拡散・浸透して鉄筋腐食抑制に効果を発揮します。 今回の試験では、RF弾性コートも併用しております。RF弾性コートはポリ マーセメント系でありながら弾性があり、下地コンクリートのひび割れ等にも 追従して、劣化因子の侵入を抑制します。 ■試験概要(試験体形状:図1) :150×150×530mm 寸法 塩化物イオン量 :2.4kg/m3 :D19 2本 鉄筋 :30mm かぶり厚 :中央部 補修部位置 :60×150×150mm 補修部寸法 :千葉県千葉市稲毛区 暴露場所 :10年間 暴露期間 ■暴露試験後の鉄筋の様子(図2) 取り出した2本の鉄筋の錆は、ごく少ない状況でした。また、試験体の外観 は塗膜の切れや剥離はありませんでした。 ■境界部の鉄筋の腐食状況(図3、参考図1) 鉄筋が腐食している一般的な他工法(参考図1)では、補修部と未補修部の 境界部において著しい腐食(マクロセル腐食)が見られたのに対し、リフリー ト工法(図3)では境界部の腐食は、ほぼ発生しておりませんでした。 断面修復部 コンクリート (境界) 補修材中央部 鉄筋のこの部分を表示 No.1 テクニカルレポートNo.01 活用術 【リフリート工業会内部資料】テクニカルレポートNo.01 活用術 ■暴露10年後の分析結果。何が境界部の腐食抑制に効いているのか? 鉄筋に沿って切り出した断面修復部とコンクリートを用いて、亜硝酸イオン と塩化物イオンの含有量を分析しました。 断面修復部 コンクリート (境界)ここを「0」として 1)断面修復側10mm、コンクリート側50mmで分析 2)コンクリートは10mm毎にスライス。 分析結果は図4の通りで、鉄筋の錆を抑制する亜硝酸イオン量は断面修復部 側が最も高く、かつ、コンクリート部側にも認められました。これは、補修部 から未補修部へ移動していることを示しています。一方、鉄筋の錆を誘発する 塩化物イオン量は、コンクリート側にほぼ一定に存在し、かつ、断面修復側に もわずかながら存在が認められました。コンクリート側の塩化物イオン量は、 土木学会編2013年制定コンクリート標準示方書[維持管理編]を参考として 算出した鉄筋の発錆限界値(1.45kg/m3)以上でした。 亜硝酸イオン量と塩化物イオン量は、モル比と呼ばれる比率により「発錆」 か「防錆」かが決まり、防錆に有効なモル比は0.6~1.0とされています。図4 の結果を亜硝酸イオン量と塩化物イオン量を用いた算出したモル比の結果は図 5の通りです。マクロセル腐食が発錆しやすいとされる境界部コンクリート側 の20mmまでで1.0以上、50mmまでで0.6以上となり、防錆雰囲気であるこ とが確認できました。 ■10年以内の境界部の腐食は?(図6、参考図2) 10年以内の境界部分(境界部を挟み断面修復側、コンクリート側各々 10mm)、断面修復部分、コンクリート部分における鉄筋の腐食状況です。図 6はリフリート工法の場合、参考図2は一般的な他工法の場合です。 一般的な他工法では、コンクリート部分の腐食は、時間とともに徐々に進行 しています。また、境界部分では短期間で急激に進行していることがわかりま す。 一方、リフリート工法の場合、いずれの部分においても鉄筋の腐食は10年間 の間非常に少ないことがわかります。 ■最後に -リフリート工業会施工部会会員様へ相手先 場面 マクロセル腐食を存じ上げていない行政、設計コンサルタント様が対象 まずは、リフリート工法の特長を述べたい時 ポイント 1)施工後、早い時期から効果を発揮する点(図6 対比参考図2) 2)10年後も効果を維持している点(図6 対比参考図2) 3)効果の要因は、亜硝酸イオン量による点(図4、図5) 4)何に活かされる特長なのか?→1回の修繕工事で10年以上効果を 保持できる。よって、次回の工事は10年以上先とみなされ、修繕 工事を計画的に進められる。 5)ここでは、触れられておりませんが、亜硝酸塩系塗布型防錆材の 鉄筋防錆効果は、固化型けい酸塩系表面含浸材との併用でさらに 有効に働くという論文があります。 No.2
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