Bulletin

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Preceptorship in Head and Neck Cancer
国立がん研究センター東病院頭頸部内科頭頸部内科長
田原 信
背景
研修の目的
頭頸部は多臓器の集合体であり,その原発部位と進行
進行・再発頭頸部癌患者の治療オプションを経験豊か
度によって治療方針・予後も異なる。頭頸部癌は初期
なMDTから学ぶ機会を与えることである。治療方針の
症状が少なく,約半数以上が進行癌で発見されること
決定,治療の実践に関する症例検討やディスカッション
が多い。また嚥下,咀嚼,発声などの重要な機能を担っ
を通じて,MDTと参加者との交流が促される。
ているために,癌の進行あるいは治療によってこれら
研修課題
の機能が障害されることがある。特に進行癌では外科切
除による機能の損失が顕著になることがあり,機能温存
本教育研修を修了した参加者は:
を重視し非外科的治療を希望する患者も増えている。ま
頭頸部癌患者の治療管理における集学的治療アプロー
た,進行癌では予後改善のために,外科切除,放射線療
チに関する方法論を明らかにすることができる。
法,化学療法を組み合わせた集学的治療が必要となって
頭頸部癌患者に対する現在・最新の治療アプローチを
おり,治療はますます複雑となっている。このような状
概説することができる。
況から,頭頸部癌の治療に関しては集学的治療チーム
頭頸部癌患者治療における支持療法の重要性を理解す
(multidisciplinary team;MDT)で実践することが推奨
ることができる。
されており,海外では法制化されている国もある。
対象
わが国は縦割り社会であり,医療においても臓器別
に行われてきた。そのため,他科,さらに多職種との
頭頸部癌治療の経験を有する外科医,腫瘍内科医,放
連携は少なく,単科で治療方針を決定,治療の実施な
射線治療医。
どが行われてきた。それゆえに,患者の治療をMDTで
前期:日本人
行うという基盤整備が整っていない。そこで,われわ
後期:アジア人(日本人も含む)
れはスイスの医療教育プロバイダーであるEXCEMED
研修内容
(excellence in medical education,https://www.
excemed.org/)の支援のもと,頭頸部癌に関する教育研
表 1 ~ 3 に示す通り, 3 日間にわたって講義,症例検
修を国立がん研究センター東病院にて行っている。
討,ディスカッションを行う。毎週行っている頭頸部癌
合同カンファレンスにも参加し,実際のキャンサーボー
SAMPLE
頭頸部癌 FRONTIER Vol.4 No.1 2016
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