産業組織論 II 課題 • 締め切り:最終回の講義終了時 • 提出方法:解答のコピーを手渡しで提出(返却しないのでコピーを提出すること)。 以下の問いに全て答えなさい。 第0章 1. 固定費用,可変費用,平均費用,平均可変費用,限界費用の定義を述べなさい。 2. 費用を C(q) = 2q 2 + 4 とする。この時,q = 3 における固定費用,可変費用,平均費用,平 均可変費用,限界費用を求めなさい。 3. 市場に独占企業のみが存在する状況を考える。逆需要関数を p(q),費用を C(q),利潤を π(q) で表す。この時,利潤を最大にする生産量 q ∗ において,限界収入と限界表が等しくな ることを示しなさい。 4. 市場に独占企業のみが存在する状況を考える。逆需要関数を p(q) = 1 − q ,限界費用を c で 一定とする。この時,利潤を最大にする生産量 q ∗ および,q ∗ における利潤を求めなさい。 第 24 章 1. ある市場では競争を激しくする政策が行われ,別の市場では参入規制や価格規制が行われて いる。この状況を正当化する理由を説明しなさい。 2. 自然独占産業で規制を緩和し,競争的な市場を作る政策を考える。この政策は社会的に望ま しい結果を導くか議論しなさい。 3. 社会厚生の上昇を目指す場合,どのような効率性の指標に注目するべきか説明しなさい。 4. 自然独占の定義を述べた後で,自然独占産業における平均費用は生産量とともに減少しない ことがあることを説明しなさい。 5. 費用が劣加法性を満たすとは,どのような条件を満たすことなのか説明しなさい。また,劣 加法性と自然独占との関係について述べなさい。 1 6. 自然複占となる状況を平均費用曲線と需要曲線を用いて表しなさい。 7. 費用関数が C(q) = cq 2 + f で与えられるとする。この時,自然独占が成立している最大の 生産量 q N M を求めなさい。 8. Salvanes and Tjøtta (1998) の研究では,契約数と劣加法性の程度について,次の図 1 で示 される結果が示された。この図からどのようなことが主張できるか述べなさい。 図 1 規模(契約数)と劣加法性の関係 ዎ⣙ᩘ䠄䝜䞊䝗ᩘ䠅 0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 0 -2 ຎຍἲᛶ䛾⛬ᗘ Max Sub -4 -6 -8 -10 -12 出所:Salvanes and Tjøtta (1998) より出題者が作成。 9. 強い意味での自然独占と弱い意味での自然独占のそれぞれにおいて,限界費用価格を実現す る規制を行ったとする。この時,企業の利潤および持続可能価格についてどのような違いが あるか説明しなさい。 10. 自然独占産業において価格規制を行わずに,オークションを使って独占権の販売を行う場合 を考える。この政策の利点と欠点について説明しなさい。 11. Demsetz (1968) では,オークションによって自然独占産業における独占権を販売する政策 が考えられた。この時,市場で実現する価格はどのようなものになるか図を用いて説明しな 2 さい。また,その産業が自然独占でない場合,独占権のオークションによって実現する価格 はどのようになるか図示しなさい。 12. 自然独占産業をに対する主張として,「市場がコンテスタブルであれば価格規制は必要ない ので,政策を用いて市場をコンテスタブルな状態に近づけるべきである。」というものを考 える。この主張に反論しなさい。 13. 起こり得る全ての状況に対して,どのような取引を行うのかを事前に決めることが難しい状 況を考える。この時,自然独占産業において独占権が与えられる企業とどのような契約を結 んでおくべきか議論しなさい。 14. 社会的に望ましくない規制が存在し続ける理由について説明しなさい。 第 25 章 1. 自然独占産業においてファーストベスト価格を実現する規制を行ったとする。この時,企業 の利潤が正になる状況と負になる状況を需要曲線,平均費用曲線,限界費用曲線を用いて図 示しなさい。 2. 自然独占産業におけるラムゼイ価格とはどのような価格かを需要曲線,平均費用曲線,限界 費用曲線を用いて図示しなさい。 3. 強い意味での自然独占となっている市場を考える。この市場においてラムゼイ価格規制が行 われた場合に発生する死荷重の大きさを図示しなさい。 4. ファーストベスト価格と比べてセカンドベスト価格が極めて非効率になり得るのはどのよう な場合か説明しなさい。 5. 2 つの財の需要が独立している場合を考える。市場 i (= 1, 2) における逆需要関数を pi (Qi ) とし,Qi を生産する場合の限界費用を M Ci (Qi ) とする。この時,価格規制により価格 p′i が指定され,その場合の需要量が Q′i であったとする(ただし,p′i (Q′i ) > M Ci (Q′i ) を満た す)。このような状態で発生する死荷重 DW Li の大きさを図示し,それを数式で表しなさ い。 6. 2 つの財の需要が独立している場合,ラムゼイ価格の条件はどのように表されるか説明しな さい(証明を行うひつようはない)。 3 7. 2 つの財の需要が独立している場合,ラムゼイ価格は需要の価格弾力性の値が小さい財の価 格を高くする傾向にある。この理由を説明しなさい。 −ε 8. 需要関数が Q1 = 2p−3 1 ,Q2 = 5p2 で与えられ,各財を生産する場合の限界費用はともに c で一定とする。この時,ラムゼイ価格による規制が行われた結果,価格が p1 > p2 となる ε の範囲を求めなさい。 9. 2 つの財の需要に相関がある場合,ラムゼイ価格の条件はどのように表されるか述べなさい。 10. 2 つの財が代替的である場合を考える。この時,需要の価格弾力性の値が小さいにも関わら ず,ラムゼイ価格によって指定される価格が安くなってしまうのはどのような場合か説明し なさい。 11. 2 つの財が補完的である場合を考える。この時,ラムゼイ価格によって指定される価格が限 界費用を下回るのはどのような場合か説明しなさい。 12. 現実の政策においてラムゼイ価格を実施する状況を考える。この政策を実施する際に生じる 問題点を 3 つ以上挙げ,その内容を説明しなさい。 13. 企業が 2 種類の財を生産しており,両財を生産するのに共通の投入物を用いているとする。 この時,消費者が費用に見合った価格に直面しているか判断する方法として stand-alone cost test と incremental-cost test の 2 つが考えられる。この 2 つの方法はどのようなもの か説明しなさい。 14. Vogelsarg and Finsinger (1979) において提案された VF メカニズムとはどのような方法か 説明しなさい。 15. ラムゼイ価格を実施するために必要な情報と VF メカニズム (Vogelsarg and Finsinger, 1979) を実施するために必要な情報とを比較し,どのような違いがあるのか説明しなさい。 16. Vogelsarg and Finsinger (1979) において提案された VF メカニズムの問題点を 2 つ説明し なさい。 17. ピークロード問題とはどのような問題か説明しなさい。 18. ピーク時の需要を Dp ,オフピーク時の需要を Do とし,企業のキャパシティが k となって 4 いる状況を考える。この時,生産量が Q ≤ k を満たす場合,限界費用が M C = b となり, 生産量が Q > k となる場合,限界費用が限りなく大きくなるとする。キャパシティの大き さを変更できない場合,このような限界費用関数を持つ企業に対して,どのような価格規制 を行うべきか説明しなさい。その際には,需要の大きさに応じて場合分けを行うこと。 19. ピークロード問題を考える。この時,企業がキャパシティを増やした方が望ましい条件はど のように決定されるか述べなさい。 20. ピークロード問題において,オフピーク時にキャパシティを余らせることが最適となる状況 を図示しなさい。 21. ピークロード問題において,ピーク時にキャパシティが不足することが最適となる状況を図 示しなさい。 5
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