省エネルギー部における 国際事業について 平成27年11月 NEDO省エネ部 目次 1. 国際事業の概要・スキーム 2.具体的な取り組み・成果 3.二国間クレジット制度と関連するNEDO事業 4.国際エネルギー実証事業において重視するポイント 2 1.(1) 国際事業の概要・スキーム 事業名称 国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業(国際エネルギー実証) 事業概要 日本の優れた技術を核に、各国の多様なニーズやエネルギー政策、規制環境等を踏 まえ、海外において技術・システムを実証。 技術は必ずしも最先端なものにこだわらず、相手国の要求スペックや有効需要に合 致した技術を優先。企業の海外展開戦略に適合した技術であることを重視。 関係省庁・機関と協力し、海外展開にかかわる関連施策との連携を図りつつ、事業内 容に応じ相手国における普及支援策の新設や参入障壁となっている制度の改正等を 働きかけ。 技術の実証だけでなく、実証後における我が国の技術・システムによる売上獲得を目 指し、もって我が国のエネルギーセキュリティの確保、環境対策の推進、エネルギー 産業等の海外展開、市場開拓に結びつける。 海外のニーズ・ ポテンシャル 実証 日本の技術・ システム エネルギーセキュリティ 日本の技術・ システムの海 外展開促進 温室効果ガスの排出削減 日本の経済成長・雇用創出 3 1.(2) 国際事業の概要・スキーム 国際事業スキーム(国際エネルギー実証の例) 国際実証事業の実施にあたっては、日本が強みを有する技術・システムを軸に、相手国政府や産業界の ニーズに合わせ、相手国政府・関係機関と役割を分担する。 NEDOは、両国間のフレームワーク構築、プロジェクトマネジメントを担うとともに、相手国政府に対して普及 促進に向けた政策的支援を求めるなど、日本の技術・システムの海外普及展開を強く推進。 日本 Memorandum of Understanding (MOU) 相手国 NEDO 担当省庁 委託 協力指示 Implementation Document (ID) 委託先企業 実施サイト企業等 MOUにおいて ○実証事業終了後、現地での普及活動を相手国が主体的に行うことを明記。 ○(相手国・事業によって)相手国政府等のエネルギー・環境で同事業へ の政策的支援措置の実施を明示。 4 1.(3) 国際事業の概要・スキーム 標準的な進め方(国際エネルギー実証の例) 国際実証事業は、実現可能性を検証する“実証前調査”、実際に日本の技術・システムを現地に持ち込みそ の導入効果や新たなビジネスモデルを実証する“技術・システム実証事業”、さらに実証した技術・システム の普及の推進や新たな案件形成のための情報収集を行う“フォローアップ事業”から構成。 <技術・システム実証事業> <実証前調査> 実証前調査の結果、事業計画・実施体制の妥当性、省・新 エネ効果、普及戦略・ビジネスプランの実現性、将来の市 場規模等が高く評価された場合に実証事業化。 当該実証事業を通じて、技術的・経済的課題を解決すると ともに、新たなビジネスモデルを構築。 対象国政府の政策や法律の詳細分析、設備投 資等の産業動向分析、実証事業による省・新エ ネ効果予測、対象国等における普及可能性等を 検証し、実施可能性を評価。 採択審査 事業化評価 ・外部有識者 普及状況調査 ・外部有識者 ・電話 ・調査票 実証フェーズ 公募 ビジネス展開 実証前調査 LOI ※1締結 実証事業 MOU※2締結 これまでの成果・経験 ※1:LOI:Letter of Intent ※2:MOU:Memorandum of Understanding フォローアップ <フォローアップ事業> 実証事業を通じて構築した新たなビジネスモデルを社会 実装するため、対象国政府やサイト企業、日本企業ととも に普及活動を推進し、広範な普及につとめる。 また、これまでに実施した実証事業の成果・経験に基づ き、両国政府・産業界関係者のニーズ・シーズを踏まえた 新たな実証案件の形成に必要な情報収集を実施。 5 2.(1) 具体的な取り組み・成果 世界各国での実証事業の展開 我が国企業によるシステム輸出の世界市場確保の端緒となるべき実証事業等を世界各国で実施。スマートコミュニティー関連(EV・ZEB を含む)を重点分野として資源配分。 <ロシア> <イタリア> <EU> ●高度交通信号システム実証事業(2014~15) ●直流送電システム向け自励式変換器(2014~15) ●電気炉製鋼設備への環境対応型高効率アーク炉の適用(2014~15) <スペイン> <ドイツ・英国・米国> ●超電導電力ケーブルシステム導入に向けた現状分析(2014~15) ●自動車運行監視・管理等による省エネシステム(2014~15)→終了 ●実系統への超電導ケーブルシステム導入実証(2015) <ウズベキスタン> ●分散型中・小型ガスタービン高効率コージェネシステムの普及(2014~15) <ウクライナ> ●グリーン都市システム・熱供給発電所の省エネ化実証(2015) ●キエフメトロ回生電力活用による省エネ実証(2015) <タンザニア> ●アスファルト舗装廃材活用による省エネ/省資源システム導入及び普及 の実現可能性(2014~15) <インド> ●ICT活用型グリーンホスピタル実証(2014~15) ●携帯電話基地局エネルギーマネジメントシステム実証事 業(2013~15) ●高性能工業炉実証事業(2014~15) ●製鉄所向けエネルギーセンターの最適制御技術(2014~15) <オーストラリア> ●地産地消を目指す、エコリプリーでの街づくり実証(2015) <米国> ●省エネビルニューヨーク州立大学実証(2011~15) ●データセンターに関するHVDC給電システム実証(2014~16)→実証移行 ●ヒートポンプ、蓄電システム等と太陽光発電の連携によるエネルギー効率 化システム実証(2014~15) <中国> ●アルミ製品製造工場でのESCO技術(2015~17)→実証移行 ●省エネルギービル実証事業(上海)(2013~15) ●中国南方5省におけるエネマネ・アグリゲータ(2014~15) <タイ> ●産業用自家発電設備を有する工場の創エネ技術システム実証(2014~15) ●都市ごみ廃棄物と産業廃棄物の混合焼却による熱回収実証(2014~15) ●石炭代替燃料の製造・活用に基づく省エネ推進事業(2014~15) <インドネシア> ●CNG車普及に向けたインフラ構築を含む持続可能な環境整備実証(2014~15) ●省エネ・環境対応型油田インフラシステム(2014~15) <マレーシア> ●マレーシア・インスカンダル開発地域の工業団地におけるスマコミ実証事業(2014~15) ●セミセルフリジェネバーナーの加熱炉導入(2014~15) <フィリピン> ●分散型冷熱等エネルギー需給ネットワークシステム実証事業に関する実証要件(2014~ 15) ●mobility as a System実証(2015) <ベトナム> ●都市廃棄物を利用したセメントプラント石炭代替システム実証事業(2014~15) <ミャンマー> ●環境順応型通信ネットワークシステムに関する調査(2014~15) <台湾> ●既設建物におけるBEMSとESCOによる省エネルギー化に関する実証要件(2015) <ブラジル> ●苛性ソーダ・ 塩素製造プロセ スの省エネシス テム(2014~15) 2.(2)具体的な取り組み事例 省エネ事業 ~日本の省エネ技術を各国で普及促進~ 経済成長が著しく、エネルギー消費量が増大するアセアン諸国において、地域のニーズを踏まえた民生及び産業部門 の省エネ技術を実証 民生ビル省エネルギー技術実証事業 米国におけるデータセンターに関するHVDC給電システム等実証事業 直流 交流 HVDC給電システム HVDC整流装置 直流分電盤 HVDC対応データ センター HVDC照明 380VDC 商用電力 受電設備 実証事業範囲 HVDC対応サーバーHVDC空調 太陽光発電システム 太陽電池パ ネル HVDC対応 リチウムイオン電池 パワーコンディショナー 【米国におけるデータセンターに関するHVDC(高電圧直流)給電システム等実証事業】 【民生ビル省エネルギー技術実証事業】 実施期間:平成23~25年度 実施サイト:アマリ・ウオータゲート・ホテル(バンコク市内) 実施期間:平成27~28年度 実施サイト:テキサス大学 □タイの首都バンコクの民生ビル等に日本のビル省エ ネ技術(ヒートポンプ、LED照明設備、高効率ボイラ等) を導入・実証し、同技術の適用可能性を検証。 □今後、ESCO(Energy Service Company)の形 で省エネ事業を行う前提であったタイ首都圏配電公 社と協力関係を継続・強化し、更なる普及に繋げる。 □テキサス大学のデータセンターを実証サイトとして、大 容量(500KW級)のHVDC給電システム、太陽光発電シ ステム、蓄電池を組み合わせた給電システムを構築。 □省エネ性能を評価し交流給電に対する直流給電の優 位性を実証するとともに太陽光発電の発電能力の時 間変動に対する電源装置の運転台数制御の省エネ効 果を評価し、その有効性を実証する。 7 3.(1)二国間クレジット制度 二国間クレジット制度(JCM)とは 温室効果ガスの排出削減活動を幅広く対象にし、途上国の状況に柔軟かつ迅速に対応 した低炭素技術移転や対策実施の仕組みを構築することにより、以下の実現を目指す。 途上国への温室効果ガス削減技術・製品・システム・サービス・インフラ等の普及や対策実施を 加速し、途上国の持続可能な発展に貢献。 相手国における活動を通じて実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的 に評価し、日本の削減目標の達成に活用すること。 地球規模での温室効果ガス排出削減行動の促進を通じ、国連気候変動枠組条約の究極的な 目的の達成に貢献。 日本 技術・製品・システム・ サービス・インフラ等 GHG排出削減・ 吸収効果を定量 評価し、適切な MRVを実施 日本の削減目 標達成に活用 排出削減・吸収量 相手国 削減・吸収 活動 排出削減・ 吸収量 これまでに、モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシアがJCMに係る二国間文書に署名(11月末現在)。 8 3.(2)具体的な取り組み 世界各国での実証事業の展開(地球温暖化対策技術普及等推進事業) 温室効果ガスの排出削減活動を幅広く対象にし、途上国の状況に柔軟かつ迅速に対応した低炭素技術移転 や対策実施の仕組みを構築することにより途上国への温室効果ガス削減技術・製品・システム・サービス・イ ンフラ等の普及や対策実施を加速し、途上国の持続可能な発展に貢献することを目指す。 <ベトナム> ●国立病院における省エネ/環境改善によるグリーンホスピタル(2013~15) ●V-BEMS開発によるホテル省エネ促進(2013~15) ●省エネ型軽量クラフトライナー製造プラント(2015~17) ●水熱源ヒートポンプユニットによる空調省エネプロジェクト(2015) ●輸配送管理システムの導入による静脈物流効率化支援プロジェクト(2015) <インドネシア> ●石油精製プラントの運転制御最適化による省エネルギー(2013~15) ●動力プラントへの運用最適化技術の適用(2014~15) <モルディブ> ●海洋深層水多段利用インフラ事業(2015~17) <ラオス> ●コンテナ型データセンターの導入(2015~17) <ミャンマー> ●スーパーマーケットへの省エネシステム導入プロジェクト(2014~15) 9 4.国際エネルギー実証事業において重視するポイント • 実証案件については、政府方針に沿って、単なる「機器売り」ではなく、「システム」で あることが要件。(システムの例:IPP事業など運営管理を含むエネルギー供給を行う もの、スマートコミュニティなど複数の技術の組み合わせによるもの、ESCO等の新し いサービス提供を含むもの、など) • その上で、実証事業化(FSの前まで)には、下記の点を明確化することが必要。 • 実証事業終了後は営利事業として実施して頂くことが前提(売上等を調査)。 1.事業の位置付け・必要性 2.実証事業実現可能性 3.普及可能性 (1)意義 (2)政策的必要性 (3)NEDO関与の必要性 (1)相手国との関係構築 (2)実施体制 (3)事業内容・計画 (4)省エネ・CO2削減効果 (1)商材の競争力(IRR等による普及性評価) (2)普及体制(対象国での普及活動体制等) (3)ビジネスモデル(製造・販売連携等) (4)政策形成・支援措置(追加性等) (5)市場規模、省エネ・CO2削減効果 10
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