援助は現場で起きている ODAの現地機能強化を どのように推進すべきか FASID国際開発援助動向研究会 2005年7月22日 在バングラデシュ日本大使館・経済協力班長 紀谷昌彦 はじめに 目的 バングラデシュ現地での実務の視点と経験から ODAの現地機能強化のあり方につき問題提起 構成 現地で何が起きているのか 現地でどのように対応しているのか 構造的な問題は何か 今後の具体策は何か-チェンジ・マネジメント- 現地で何が起きているのか バングラデシュの特徴 グローバルな開発アジェンダの登場と浸透 成長を続ける最貧国、盛んな援助協調、現地NGO PRSP:本年夏に策定 MDGs:各種公式文書で強調 調和化・整合化:SWAPsや公共財政管理など 結果重視マネジメント:PRSPとのリンクなど ガバナンスの課題の顕在化 開発への「政治的意思」をいかに引き出すか 現地でどのように 対応しているのか(1) 組織横断的なセクター・チームの編成 スキーム横断的なセクター援助方針の策定 先方政府・他ドナー・日本側関係者各々との 対話・連携枠組みの設定 開発政策への積極関与と質の向上(バングラ デシュ開発フォーラム、PRSP等) ICTの活用(ウェブサイト、メーリングリス ト等) 対バングラデシュ外交政策との関係の整理 現地でどのように 対応しているのか(2) 国別援助計画プロセスの開始 主要ドナーとの戦略的連携(日・ADB共同の 貧困と成長調査、日・UNICEF共同フィール ド訪問、日・世銀共同セミナー、日英ハイレ ベル共同訪問、世銀/ADB/DFID/日本共通国 別援助戦略等) セクター・ローリングプランの作成 各種リソースの動員と活用(ODA評価、調和 化・整合化関連調査、要員増等) 構造的な問題は何か(1) 「政策」 「人」 動機付けと評価、人材活用をどうするか 中長期的な育成をどうするか 「情報」 開発を実現する決意か、外交的成果を目指すのか 情報インフラ整備の潜在的効果(ICTの衝撃) 日本の知恵は十二分に活用されているか 「スキーム」 誰のためのスキームか、弛みない商品開発 構造的な問題は何か(2) 開発プロセスに対する深い理解の必要性 途上国・他ドナー・日本が関係 それぞれに政府・企業・NGO・研究者等が存在 その中で、途上国の政府等の強化(チェンジ・ リーダーの育成)、他のドナーとの連携が鍵 「本部」と「現地」の付加価値の再考 「本部」の付加価値:高次政策目標の提示、資源 の配分、モニタリングの実施、体制の整備、研究 開発(R&D) 「現地」の付加価値:現状の理解、途上国政府へ の関与、他ドナーとの連携、個別案件の実施 今後の具体策は何か -チェンジ・マネジメントー 「政策」 「人」 既存要員の能力強化と外部要員の活用 人こそが付加価値の源泉:中長期的な育成戦略 「情報」 「内なる改革」への組織的な取り組み=決意の表明、 関係者の巻き込み、担い手の明確化、成果の検証 インターネットの徹底的な活用 世界と日本の知恵の深化(内なるフロンティア) 「スキーム」 情報の整理、簡素化・統合、予測可能性の向上 現地から行動を起こす -「有言実行」「結果重視」- 現地が使えるツールを活用して実施・問題提起 ~自らのJob Description を書き直す~ 現地ODAタスクフォース・メーリングリスト (さらにはウェブサイトによる情報共有) 現地機能強化遠隔セミナー(FASID委託) (主要セクターに関する本部の最先端の知見と現地の 問題意識の突合せ、主要ドナーとの援助協調) 国別援助計画・ローリングプランの現地主導による策 定 等々 異なる組織・場所を結ぶネットワーキングが鍵 おわりに:各人が何をすべきか 政府(外務省、財務省、経済産業省、文部科学 省等) 実施機関(JICA、JBIC、JETRO等) 研究・教育機関(シンクタンク、大学、学生) コンサルタント・企業 国際機関 NGO メディア ⇒以上を踏まえ、どのように行動に移すべきか 【参考】ご関心を持たれた方のため に バングラデシュ現地ODAタスクフォース http://www.bd.emb-japan.go.jp/bdmodel/ バングラデシュ現地ドナー調整グループ(LCG) http://www.lcgbangladesh.org/ ワシントンDC開発フォーラム http://www.developmentforum.org/ 在バングラデシュ日本大使館・経済協力班長 紀谷昌彦(きや・まさひこ) [email protected] http://www.kiya.net
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