弓削多醤油株式会社

インタビュー
み つ ぼ し
初心に帰って造った
「醤油」
に国際的☆☆☆
国産原料と伝統の木桶仕込みにこだわりぬいて
「本物の醤油」が広げるビジネスの可能性
2014年初夏、埼玉県坂戸の
「弓削多醤油」
に、
美しく輝くクリスタルのトロフィーが届いた。
ベルギー・ブリュッセルで毎年開かれる
国際味覚審査機構(iTQi)の食品審査会は、
“食品のミシュラン・ガイド”とも呼ばれ、
世界的にその権威を認められている。ここで
同社の「有機しょうゆ」と「柚子醤油」が3
年連続で最高賞の「三つ星」を受賞したこと
を記念して贈られたのが、特別賞である「ク
リスタル味覚賞」
。醤油業界初のこの栄誉に、
小さな醸造会社は大いに沸いた。
伝統的な製法にこだわりながら、多彩な商
品開発や醸造文化の発信にアグレッシブに取
り組んでいる同社の4代目・弓削多洋一社長
弓削多醤油株式会社
四代目当主/代表取締役
ゆ
げ
た
よ う い ち
弓削多 洋一
氏
1967年埼玉県坂戸市生まれ。1989年明治屋入社、営
業担当。1991年弓削多醤油入社。1998年4代目代表取
締役に就任。200年以上続く醤油醸造蔵の当主として「醤
油は食品だから、安心して口に入れられるものでなくて
はいけない、醤油は調味料だから、うまくなければ意味
がない」というモットーの元、国内産原材料、木桶醸造
などの製法にこだわった醤油造りで、国内外で高い評価
を受けている。代表的な商品に、吟醸純生しょうゆ、有
機しょうゆ、柚子醤油、醤クリーム(醤油アイス)など。
醤油文化の継承とPRのため、2006年にオープンした
「 醤 遊 王 国 」 は、 醤 油 工 場 見 学 や 醤 油 搾 り 体 験・ 飲 食・
直売所を備えた年間8万人もの観光客を集める人気ス
ポットとなっている。
・川越style倶楽部会員
・小豆島木桶職人復活プロジェクト会員
・埼玉中小企業家同友会会員
・埼玉醤油工業協同組合会員
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ぶぎんレポート No.184 2015 年 1 月号
に、世界に誇る和の美味しさ・醤油造りに賭
ける熱い想いを伺った。
温暖な気候と名水にめぐまれた坂戸で
醤油造りに賭けた4代の歴史
― 「弓削多醤油」は、埼玉の、そして和食
文化を支える醤油醸造会社として、近年ます
い」という考えを、自らのモットーとしてい
ます。
どれも当たり前のことですが、だからこそ
初心を忘れずに醤油造りに臨まなくてはと、
日々身の引き締まる想いです。
ます脚光をあびています。
200年以上の伝統をもつ蔵の、創業の経緯
などをまずお聞かせください。
200年というのは、江戸時代入間の醤油造
りを含めてというお話です。弓削多醤油は大
さ じゅう
正12年、私の祖父にあたる弓削多佐 重 が事
情あって売りに出された現在の入間市にあっ
た醤油蔵から、蔵の設備や杜氏さんを丸ごと
迎え入れて創業した会社です。
醤油や酒など、醸造業の世界には創業500
創業の地で、今も昔ながら
の醤油造りに打ち込む弓削多
醤油本社。白壁の蔵と木桶
が誇らしげな敷地内には、醤
油のいい香りが漂っている。
弓削多醤油で使用されてい
る年代物の貴重な木桶。中
には前身の蔵元から受け継
いだ、100年以上も使い込
まれたものもあるという。
年を超える老舗もありますから、我々はまだ
まだ後進メーカーかもしれませんが、杜氏さ
んの技術や製法、今では貴重になってしまっ
た木桶などの設備は前身からそっくりそのま
ま引き継いでいますので、これを含めて創業
200年としております。
坂戸で農業をしていた祖父が醤油造りに本
格的に乗りだそうと決めたきっかけは、やは
時代の流れの中で途切れかけた
本業を立て直すために
― 今では世界が認める存在となった弓削多
醤油ですが、ここまでのあゆみは順調だった
のでしょうか?
弓削多醤油は私で4代目。ここまでの歴史
りこの地が醸造の適地だったからでしょう。
は、前身を築いてくれた親族、創業者である
秩父山系から流れ出す清らかな伏流水と、麹
祖父、祖父を助けて商売を拡大してくれた伯
のもととなる小麦の生産に適した温暖な気候
父、それから父、私へという一族のあゆみで
が、当地にはあります。
もあります。
地元のよい素材と、長年伝えられてきた製
その中には、さまざまな危機がありまし
法を大切にして商品を造れという祖父の精神
た。戦争もそうですし、好景気も不景気も
は、「商売に羽織を着せろ」という教えとなっ
あった。二代目が伯父、そして三代目が九人
て、当家に代々受け継がれています。
兄弟の末っ子だった父になったのも、後継者
― 「商売に羽織を着せろ」というのは、ユ
問題などがあったからだそうです。
ニークな家訓ですね。どんな意味なのでしょ
うか?
さらに、父の時代はちょうど関東エリアの
交通網が整備された頃で、醸造業の傍らやっ
羽織というのは当時の正装ですから、商品
ていた問屋業の方が、醸造業よりもずっと繁
づくりに対してもお客様に対しても、礼儀を
盛していました。
忘れず誠意をもって向き合え…という意味だ
ここですっぱりと醤油造りから手を引くと
と私は解釈しています。
いう道もあったはずですが、父はやはり、
この他にも、「醤油は食品なので安心して
代々の稼業に愛着があったのでしょう。細々と
口に入れられるものでなくてはいけない。醤
昔ながらの醤油造りを続けていてくれました。
油は調味料なのでうまくなければ意味がな
大学を出た私が明治屋に勤めたのは、食品
ぶぎんレポート No.184 2015 年 1 月号
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製造業と卸(問屋)業のふたつを兼ね備えた
では、どうするか。父の代はともかく、いず
会社なら、いずれ自分が家業を継ぐときに役
れ事業を引き継ぐ自分の代で「弓削多醤油株
立つだろうと思ったからなのですが、果たし
式会社」をどんな会社にしたいのか。真剣に
てどちらが本業となるのかはまだ分からな
話し合って出したのが「昔の醤油造りに戻ろ
い。そんなタイミングだったのです。
う」という答えでした。
― 社長が会社に戻られたのはいつごろなの
先祖代々のなりわいである醤油造りを、再
ですか?
び事業の柱にしようという試行錯誤が私の
卒業して2年で戻ってきましたから、24
20代後半のテーマとなり、実際に父から事
歳の時ですね。最初は主に問屋業の営業を担
業を引き継いだのは1998年、31歳の時のこ
当していました。
とでした。
私は高校時代から、夏休みにはバイト代わ
こだわりこそが生き残る道
大手に先駆けた「丸大豆醤油」のヒット
りに配送トラックに同乗して業務を手伝って
いましたから、問屋業がいかなるものかは十
分理解していたつもりです。
しかし、数年ぶりに目の当たりにしたビジ
ネス環境は、激変していました。かつての得
意先であった酒屋や食料品店など、小売店の
多くはスーパーやコンビニに業態を変え、経
― 改めて、初心に帰ることを決意したその
判断に誤りはなかったと思いますが、当時は
どんなお気持ちで、どんな取組から始めたの
ですか?
まずは自分たちが持っている技術のレベル
営者の高齢化も進んでいて、このまま問屋業
や、ハード・ソフト両面の設備がどんなもの
を柱にしていたら、5年先、10年先にどれ
なのかを確かめ、他社との差別化ポイントを
だけ取引先が残っているのだろうと、私は
知ることでした。そして時代がどんな醤油を
すっかり不安になってしまいました。
求めているかをリサーチすることから始めま
これはまずい、早々にビジネスの方向性を
した。
見定めなくてはと父に相談したところ、やは
醤油造りには昔から“一に麹、二に櫂入れ
り、問屋業の先行きを不安視していました。
で(撹拌)
、三に火入れ”という極意があり
LEADER’S INTERVIEW COLUMN
弓削多醤油の製品ができるまで~伝統の木桶造りを守り継いで
弓削多醤油の商品(有機醤油や
木桶仕込醤油)は、木桶でじっくり
と1年間寝かす昔ながらの製法で生
み出される。
木桶の中でゆっくりと分解・発酵
炒る
ひき割る
種麹
した大豆・小麦・塩水は、やがて「も
ろみ」と呼ばれるどろりとした状態
になる。そのもろみを搾ったのが醤
30℃に保ちながら3日間
かけて麹菌を育てます。
油だ。
古いものでは100年以上も使い続
けられている木桶には、もろみの発
酵を促す多種の醸造菌(「蔵つき菌」
大豆
蒸す
まぜる
麹を作る
冬に仕込み(寒仕込み)
、
春から夏にかけ醗酵さ 麹と塩水をまぜて木桶に
せます。さらに秋から 仕込み、もろみを作りま
冬にかけ熟成させます。 す。一年間ねかせます。
海水から太陽の熱により
干し上がった塩です。
とも呼ぶ)が棲みついており、この
菌こそが、弓削多の醤油に独自の深
い味わいをもたらしている。
4
麹菌の胞子です。
小麦
ぶぎんレポート No.184 2015 年 1 月号
天日塩
塩水にする
仕込み
ます。その大切な麹を、当社では自前で造っ
時は脱脂加工大豆(大豆から大豆油を搾油し
ていますが、実は日本にある約1,500軒の醤
た後のもの)を原料とした醤油が主流でした。
油醸造会社の中で、自社で麹を造っているの
しかし、収穫したままの大豆を丸ごと使っ
はわずか200軒程度しかないのです。
た丸大豆醤油は、本来の油分を含むためなん
埼玉には今、当社を含めて11軒の醤油屋
ともまろやかなこくがあり、色が明るく、香
さんがありますが、そのうち9軒が麹を自社
りもいいのです。コストはかさみますが美味
で造っていることからも、埼玉の醸造技術が
しさは確か。だから、これを造ろうと。
全国に誇るべき水準であることがご理解いた
出来上がった「丸大豆醤油」は味にこだわ
だけると思います。
るお客様が多い百貨店などを中心によく売れ
おいしい醤油を造る技術力は十分にある。
ました。大手メーカーのほとんどがまだ未着
伝統的な製法をよく知るベテラン杜氏もい
手だった贅沢な醤油を、いち早く完成させ、
る。その実力は、当時の主力商品だった「こ
ヒットを飛ばしたことで、やはりこだわりと差
いくちしょうゆ」が農林水産大臣賞や食料庁
別化こそが当社の生き残る道だという手応え
長官賞など、多くの賞を獲得していたことか
をくれた、画期的な商品といえるでしょう。
らも分かっていました。
その後も改良を重
けれど、それだけでは売れない。大手メー
ね、発売当時使用し
カーが主流の市場に割って入ることはできま
ていたアメリカ産大
せん。
豆から、たんぱく質
新たな商品には、もっと消費者にアピール
豊富な地元埼玉産大
するメッセージ性や、明確なコンセプトが必
豆に切り替えたこと
要だと私は考えました。
で、よりおいしい地
― そこからどんな商品が生まれたのでしょう?
産地消の醤油へと進
まず着手したのが、大豆を丸ごと使った醤
油の開発です。いわゆる「丸大豆醤油」です。
最近ではどこのメーカーも出していますが、当
化しています。
原料は県産小麦と大豆。創業の地
にもほど近い曼珠沙華の名所・高
麗郷の名をもらった丸大豆醤油
要冷蔵
吟醸純生醤油
もろみをふろしきに包み、一枚一枚
ていねいに重ね、しぼります。
吟醸純生しょうゆは冷蔵庫内で瓶詰
めされます。
しぼる
冷蔵庫で瓶詰め
一般の醤油
常温保存可能
醤油の品質検査をします。
検査
加熱することにより色・香・味をと
とのえます。
加熱
一般の醤油は常温で瓶詰めされます。
瓶詰め
ぶぎんレポート No.184 2015 年 1 月号
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LEADER’S INTERVIEW COLUMN
健康ブームを背景に人気急上昇
弓削多の名を世に知らしめた有機しょうゆ
6
高い評価を得られた
iTQi食品コンクール
最優秀味覚賞
3つ星受賞
のは本当に嬉しかっ
たですね。
有機しょうゆ
続いての挑戦は、より安心で安全な純国産
モンドセレクション
のおいしい醤油である「有機しょうゆ」の開
では2008年~ 2010
発でした。
年に3年連続金賞を
おりしも健康食品ブームにのって、安心・
獲得。iTQiでは2012
安全な国産食品へのニーズや、地産地消の意
年~ 2014年まで3
識が高まり、本当によいもの、安全で美味し
年連続の三つ星獲
いものであれば、多少高くても買ってもらえ
得。海外での高い評
る。そういう時代が到来しつつあったのです。
価は、国内市場の拡大にも大いに役に立ちま
当時国内にはほとんどいなかった有機栽培
した。
の小麦と大豆の生産者を探しだし、仕入契約
この成功に力をもらって、私たちはそれから
を結び、醤油造りに適した品種を栽培しても
も意欲的に商品開発・改良に取り組んでいます。
らいました。合わせてこちらも自社工場が
中でもご好評いただいているのが、
「生
「有機JAS認証」を受けられるよう環境を整
醤油」という分野ですね。これも丸大豆醤油
弓削多の名を
日 本、 そ し て
世界へと広め
た「 有 機 し ょ
うゆ」
。厳選さ
れた国産素材
を 用 い、 木 桶
で丁寧に発酵
さ せ た、 蔵 を
代表する商品
なま
しょうゆ
備しながら試作を繰り返し…なにしろ醤油の
同様、今では多くのメーカーから追随商品が
仕込みは1年がかりですから、結果が出るま
登場していますが、先鞭をつけたのは当社で
でにも時間がかかるのです。
あると自負しています。
納得のいく有機しょうゆが完成し、販売に
― 通常の醤油とはどこが違うのでしょう?
こぎつけるまでには5年近くかかりました。
一般的な醤油には、出荷前の仕上げとして
― 「クリスタル味覚賞」を受賞した「有機
必ず「火入れ」という加熱工程があります。
しょうゆ」は、そんな苦労の末に生まれた自
この火入れは醤油造りの極意とも謳われてい
信作なのですね。
る重要な作業で、熱によって色・香り・味を
はい。開発途中に国の有機JAS基準が改訂
整えると同時に、発酵・醸造に欠かせない微
されてしまったりと、かなり振り回されなが
生物(常在菌)を殺菌し、常温での保存や流
らも諦めずに造った商品だけに、発売早々に
通を可能にします。
学んで 遊んで 味わって
彩の国
しょう
ゆ
おう
こく
は大人の社会科見学にもおすすめ!
坂戸の本社からほど近い日高市に、弓削多醤油の第二工
場を兼ねた観光施設「醤遊王国」がある。
大豆モチーフのかわいいマスコット・ソイキングが率いる
この施設では、ガイドに沿って実際に醤油を造っている蔵
の中や、巨大な木桶の様子を見学することができる。
体験コーナーの人気は、自らもろみを搾れる「無料しぼり体験」
。
このほかにも、醤油ソフトやたまごかけごはんなど、自慢
の醤油グルメを味わえる軽食コーナーや、ここでしか買えな
い生搾りしょうゆが買える売店などが設けられている。
最近では大人の社会科見学のスポットとしても人気を博し
ており、年間8万人もの来客を集める人気スポットだ。
ぶぎんレポート No.184 2015 年 1 月号
モンドセレクション
3年連続金賞受賞
バ ラ エ テ ィ 豊 か な
弓削多の醤油関連商品
火入れなし、精
密 ろ 過 な し で、
蔵に息づく常在
菌をそのまま生
かした「吟醸純
生しょうゆ」
また「生醤油」と名乗っていて
も常温保存ができる商品は、火入
①醤油・だしつゆ
こいくち、うすくち、さらに濃厚な再仕込み
など、味わいいろいろ。味自慢の醤油・だし
②+αの醤油バラエティ
人気の玉子かけ専用醤油や、県産の柚子、梅、
梨などを加えたバラエティ豊かな醤油がある。
れをしないかわりに精密ろ過で菌
を除去しています。
これに対して弓削多の「吟醸純
生しょうゆ」は、熱殺菌・精密ろ
過・成分調整をいっさい行ってい
ません。ヨーグルトのように、菌
が生きているため、瓶詰も流通も
保存も要冷蔵という、非常に手間
のかかる商品なのです。
この商品の誕生には、“食べる
な、危険!”などのベストセラー
で知られる「NPO法人食品と暮
らしの安全基金」や「生協」など、
食の安心・安全に関して、高い意
識を持つ皆様からの熱いリクエス
③おなめ・みそ
ご飯や野菜のおともにぴったりの「おな
め」や金山寺味噌も、観光客に大人気
④醤油スイーツ
醤油を隠し味につかったアイスやロール
ケーキは、ほんのり甘じょっぱい、誰も
が大好きな味わい
▲
気の軽食コー
人
ナーでは「玉子
かけごはん」や
「醤油ソフトク
リ ー ム 」「 醤 油
だんご」などが
楽しめる。
▲
木
桶は直径2.3m、高さ2.3mの巨大
なもの。使い込まれた桶には「蔵つき
菌」と呼ばれる多くの微生物が棲みつ
き、蔵独特のうまみをつくりだす。
削多醤油のバ
弓
ラエティ豊かな
製品が揃った蔵
元直売所。試食
するとわかる味
わいの違いに
きっとびっくり
するはず!
▲
▲巨 大な桶に仕込まれたもろみの熟成
具合をチェックする蔵人の作業風景
が見られることも
ぶぎんレポート No.184 2015 年 1 月号
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トがありました。
そう
てだけでなく、社内に対するアピールも不足
「菌が生きた発酵食品は腸内の細菌叢を整
していると、自分では思っているのですから。
えてくれる」「醤油の菌が腸管免疫系に刺激
当社の社員やパートさんたちは皆実直で頼
を与え、活性化する」「ヨーグルトなどの乳
もしく、とてもよい関係が築かれているのです
酸菌食品は、生きた菌がもてはやされている
が、ややおとなしい。今後はもっと、商品や
のに、醤油などの発酵食品は、流通上の問題
サービス開発にも積極的に関わってもらえたら
で殺菌しているというのはおかしい」…そん
と、私は期待をしています。
な声に応えて、「菌の生きた生醤油」という
また来春には北海道の農大を卒業する女性
新ジャンルを創造できたことを、私は誇りに
杜氏が、数ある蔵の中から、あえて当社にと
思っています。
志願して入社する予定です。
商品開発へ、醤油文化の普及へ
さらに広がる、弓削多の醤油ワールド
― 多彩な商品展開に加え、醤油文化の発信
基地「醤遊王国」のオープンなど、社長の醤
こういう“なにか弓削多でやりたいことが
ある”とやってくる人や、
“弓削多の醤油が
いい”と言ってくださる人とのご縁を大切に
しながら、末永く伝統の醤油造りに励んでい
きたいですね。
油愛にはしみじみと敬服しています。最後に、
今後のビジョンなどをお聞かせください。
現在、当社の業績は比較的順調ですが、事
実として国内の醤油消費量は年々減ってお
り、蔵をたたむ会社も後を絶ちません。
この試練を乗り越え、世界文化遺産にも指
定された和食の味わいを支える醤油や味噌の
醸造文化を守るためにも、我々にできること
はなんでも前向きにやってみよういうのが今
の気持ちです。
ただその際、気をつけなければと思っている
のが、海外や都心への進出やインターネット
販売の強化といった拡販戦略と、地道に足元
を固める取組を同時に行うことです。我々は
弓削多醤油株式会社概要
なによりもまず、醤油のおいしさ・奥深さを
創 業
1923年
資 本 金
4,600万円
売
上
高
3億7,000万円(2014年3月期)
従
業
員
20名(2014年3月期)
本社・坂戸工場
〒350-0246
埼玉県坂戸市多和目475
売るのではなく、楽しみながら学び、味わ
電 話
049-286-0811㈹
い、興味を抱いて好きになってほしいという
日高工場・醤遊王国
〒350-1201
埼玉県日高市田波目804-1
電 話
042-985-8011
ホームページ
http://yugeta.com/
取
坂戸支店
伝え、醤油好きな人を増やしたいのですから。
2008年に開設した「醤遊王国」は、醤油
搾り体験や、伝統的な木桶仕込みの見学な
ど、体験型の社会科見学コースとして、幅広
い層に人気を博しています。ただ造る、ただ
当社の想いが、こうした取組から伝わってく
れたら嬉しいですね。
― きっと伝わっていることでしょう。
いやいやまだまだです。消費者の方に向け
8
ぶぎんレポート No.184 2015 年 1 月号
引
店