輸出拡大で急回復のマレーシア経済 2015年までに国民所得5割増を

楽読
(ラクヨミ)
2010年9月17日
Vol.297
輸出拡大で急回復のマレーシア経済
2015年までに国民所得5割増をめざす!
アジア主要国の中でも経済の輸出依存度が高く、世界的な景気後退の影響を大きく受けたマレーシアですが、
2010年に入り、アジア経済の好調に伴なう輸出改善などを背景に、景気回復が続いています。同国の2010年
4-6月期GDP成長率は前年同期比+8.9%と1-3月期(同+10.1%)に続く高い水準となりました。こうした力強い
景気回復などが好感され、足元のマレーシア株式市場は、世界的な金融危機以前に記録した史上最高値に
迫る勢いとなるなど、上昇傾向を強めています。
「2020年までに先進国(高所得国)入り」を目標に掲げてきたマレーシアにおいて、足元の景気動向とともに注目
されているのが、今後の政策運営です。2009年春に就任したナジブ首相は、2010年6月に「第10次5ヵ年計画
(期間:2011年~2015年)」を発表し、次の5年間で年6%の成長、1人当たり国民所得の5割増をめざす方針を
示しました。同計画内で明らかにされている開発予算の内訳をみると総額2,300億リンギ(2009年のGDPの
34%相当、約6兆円*)のうち約40%が人材育成や技術開発などに充てられています(前計画では約22%)。これ
は、次なるステージに進むためには、製造拠点としてアジアの中でも優位性を打ち出していくことが必要であり、
そのためにも、産業の一段の高付加価値化が急務であるという、政府の強い姿勢の表れと言えるでしょう。
中所得国から高所得国へ、その道のりはそう簡単なものではないかもしれません。しかしながら、その姿に着実
に近づいていくためにも、「第10次5ヵ年計画」の実現に向けて力が注がれることが期待されます。
輸出依存度が高いマレーシア
*1リンギ=26.8円
(2010年8月末時点)で円換算
主な輸出先はアジア。アジアの力強い成長がマレーシア経済の活力に。
マ
レ
ル
シ タ
ア イ
ー
50%
シ
ン
ガ
ポ
0%
韓
国
ー
100%
フ
ィ
150%
マレーシアの輸出品構成
(2009年)
アジア主要国の輸出比率(対GDP)
(2009年)
200%
台
湾
リ
ピ
ン
中
国
イ
ン
ド
ネ
シ
ア
イ
ン
ド
天然ゴム
その他 電気・電子
1%
製品
29%
アパレル
40%
製品
パーム油
2%
および
石油製品
木材
4%
液化 同製品
および
同製品 原油 天然ガス 9%
6%
4% 5%
マレーシアの主要輸出先
(2009年)
シンガ
フィリピン
ポール
その他
1%
14%
台湾
22%
中国
3%
インド
米国 12%
インド 3%
11%
ネシア
日本
3% 韓国
10%
香港 タイ
EU 7%
4%
5% 5%
マレーシアの第10次5ヵ年計画(期間:2011年~2015年)
年6%の経済成長、1人当たり国民所得の5割増をめざす。
(%)
12
8
マレーシアのGDP成長率(前年比)
(2000年~2015年計画)
第10次5ヵ年計画では
年6%の経済成長をめざす
(米ドル)
マレーシアの1人当たり国民所得(GNI)計画
15,000
10,000
12,139
8,256
4
5,000
0
2010年はIMF予想
-4 2011年~2015年はマレーシア政府計画
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年)
約5割増
0
2010年 (計画)
2015年(計画)
出所:(上段左)アジア開発銀行、(上段中)マレーシア統計局、(上段右)JETRO、マレーシア中央銀行のデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
(下段) IMF「World Economic Outlook, April 2010」 、THE ECONOMIC PLANNING UNIT PRIME MINISTER’S DEPARTMENT 「TENTH
MALAYSIA PLAN 2011-2015」
※グラフ・データは過去のものおよび計画であり、将来を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
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