自動運転の法律問題 Legal issues of auto-driving

自動運転の法律問題
Legal issues of auto‐driving
高橋郁夫
(株式会社ITリサーチ・アート/
代表取締役弁護 )
代表取締役弁護士)
注目を浴びる自動運転(K.I.T.T以外))
• 2014年
年
– Googleが自動運転車の運転実験
• 2013年
– トヨタが、自動運転の実験状況をデモしたさいに、
トヨタが 自動運転の実験状況をデモしたさいに
ハンドルから手を話していたことが、問題
• 政府の検討会
– 国土交通省のオートパイロットシステムに関する
検討会
– 経済産業省は、「自動走行ビジネス研究会」
自動運転のメリット
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衝突事故の減少
衝突事故
減少
移動性の向上
交通混雑の緩和
環境負荷の軽減
高齢者等の移動支援など
課題の整理
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「事業・ニーズ面」
「事業
ズ
「制度面」
「技術安全面」
「社会受容面」
「インフラ面」
「社会経済的効果面」
法的にどのような問題があるのか
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自動運転の定義
自動運転の許容性
運転手の問題
運転技術の問題
自動車両の問題
道路の問題
責任の問題
デ タ 問題
データの問題
その他
自動運転の定義
• 自動運転(Autonomous vehicle (AV))
自動 転
– 「加速、操舵、制動のうち、複数またはすべての
加速、操舵、制動のうち、複数またはす ての
操作を自動車が行う運転」
• 自動運転システム(オ
自動運転システム(オートパイロットシステム)
トパイロットシステム)
– 運転支援システム(運転は、運転者主権・責任/
運転者は 運転やシステムの監視を行う)
運転者は、運転やシステムの監視を行う)
– 無人運転システム(運転は運転手以外に主権・
責任がある/運転手は、運転以外のことをして
過ごせる)
National Highway Traffic Safety Administration(NHTSA))
の自動運転の個別のレベルの分析
レベル 0
自動化なし
•運転者が車のすべての機能についての完全なコントロールを有している状態
レベル1
特定機能の自動化
•ACC(Adaptive Cruise Control)、衝突被害軽減ブレーキ、レーンキープアシスト等により加速、操舵、制動のいずれかの操作を自動車が行う
運転(緊急時対応はドライバー)
レベル2
複合機能の自動化
•ACCとレーンキープアシストとの組み合わせ等により、加速、操舵、制動のうち、複数の操作を一度に自動車が行う運転-同時に、複数の機
能(ハンドル操作・アクセルなど)が自動化されているが、運転手は、常に、注意をしていなければならない状態
レベル3
半自動運転
•システムをさらに高度化することにより、加速、操舵、制動をすべて自動車が行う運転(緊急時対応はドライバー)-運転機能は、十分に自
動化されており、運転者は、他の活動に従事できるもの
レベル4
完全自動運転
•加速、操舵、制動をすべて自動車が行う運転(緊急対応も自動車)-車両は、人間の運転手なしに走行できる
なお その他の分類
なお、その他の分類
• SAEインターナショナル
タ
• 欧州SMART64プロジェクト
• ISO/TC204/WG14
自動運転の許容性
• 1949年ジュネーブ交通条約(道路交通に関
する条約)
– 第8.1条:
• 一単位として運行されている車両又は連結車両には
単位として運行されている車両又は連結車両には、
それぞれ運転者がいなければならない。
– 第8.5条:
第8 5条:
• 運転者は、常に、車両を適正に操縦し、又は動物を誘
導することができなければならない 運転者は 他の
導することができなければならない。運転者は、他の
道路使用者に接近するときは、当該他の道路使用者
の安全のために必要な注意を払わなければならない
ジュネーブ条約(続)
• 第10条:
第 条
– 車両の運転者は、常に車両の速度を制御していなけ
ればならず また 適切か 慎重な方法で運転しな
ればならず、また、適切かつ慎重な方法で運転しな
ければならない。運転者は、状況により必要とされる
とき 特に見とおしがきかないときは 徐行し 又は停
とき、特に見とおしがきかないときは、徐行し、又は停
止しなければならない。
• 道路交通法70条(安全運転の義務)
– 「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレー
キその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通
及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさ
ないような速度と方法で運転しなければならない。」
「運転者」の定義
• 複数の「運転者」
複数 「 転者
– 物理的に入力、電気的にリアルタイムの入力を
する場合が並列しうる?
• 法人でも、運転手となりうるのではないか
法人でも 運転手となりうるのではないか
• 物理的に車両内にいる必要はないのではな
いか‐牽引
• 類似の概念として「操作」
米国における州法の状況
• 州法で何らかのさだめをなしたところ
法 何
さだ をな た
– ネバダ、フロリダ、カリフォルニア、ミシガン、ワシ
ネバダ、フ リダ、カリフォル ア、ミシガン、ワシ
ントン特別区
• 「制定法の範囲」
– 運転操作者によって積極的にコントロールもしく
はモ タされる場合を除いて定義
はモニタされる場合を除いて定義
– 上述のレベル1、レベル2では、自動運転とはい
えない
運転手の問題
• 身体障害のために運転が不可能であったという場合
– 自動運転に限定しての運転免許‐可能
• 法人等が運転者たりうることをみとめる場合
– 運転免許をどのようにすべきか
• ネバダ州
– 運転手は、適合証明書を取得した際に、運転免許に特別の保証記
載をうけることになり、自動運転時においては、そのような運転手に
よって操作されなければならない。
• フロリダ州
– テスト等の場合でない限り、人間が車両の動作等をモニタしなければ
ならない
• カリフォルニア州
カリフォル ア州
– テストのために、自動車両製造業者の従業員、請負者、もしくは、そ
の指定するもののみが操縦しうると定めている
運転の制御の問題
• 制御をどのようにして認証しうるのか
• それを認証しうる組織はどこなのか
– 「制御」自動運転として、適切な機能を果たしうる
「制御」自動運転として 適切な機能を果たしうる
•
ネバダ州
– 適合証明書が必要
– 種々の技術的仕様
• 事故に際して、衝突等の30秒前からのセンサーデータを記録す
る機能
– 民間の操作技術認証装置市場を構築に挑戦
• ワシントン特別区
– 手動によって、自動運転がオーバーライドされる機能が
備わっていないといけない
自動車両
• フロリダ州
ダ
– 機能として必要なもの
機能 し 必要なも
• 自動運転技術使用時と非使用時についての安全メカ
ニズム
• 自動運転時であることがわかる表示
表
• 技術的不具合がある場合の表示
• 自動自動車としての登録制度
• 自動運転自動車のテストの問題
責任分担の問題
• 欠陥があるかどうか
欠陥がある どう
– 製造上の欠陥
製造
欠陥
– 設計上の欠陥
– 人間とコンピュータの連携の問題
人間とコンピュ タの連携の問題
– 警告の欠陥など
• ネバダ州、フロリダ州、ワシントン特別区
– 第三者によって改造組立がなされた場合に製造
業者(car manufacturer)は、責任を追わない
保険の設計と自動運転技術の採用
• 交通事故を減少‐保険料を減少‐自動車保険の意義
交通事故を減少 保険料を減少 自動車保険の意義
• 運転手の責任の概念
– 薄まってくるのではないか
• プログラミングのエラーから事故が発生
– 損害額が多大
• 自動車両の運転の任が、運転者から、運転車両に移転
転
が
転
転
転
– 事故時における法的な責任が、製造業者に移転
– 完全自動運転や部分的自動運転の場合
• 当初‐そのような自動車を運転することが危険
• 損害が予測可能性
– 製造業者‐技術の採用に臆病になる「萎縮効果」
アトリエ駒澤に移転
しました
• 2F駒澤綜合法律事務所
駒澤綜合法律事務所
• 4 株式会社ITリサ
株式会社ITリサーチ・
チ
アート
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