D主なQ&

2014 年度中間決算説明会
主な Q&A
Q :メディアの銀行収益の見方が分かれている。本業不振といった記事がある一方、好調な
決算という記事もある。どのように見ているか教えて欲しい。
A :確かにメディアの論調は分かれている。仮に、本業をリテールと国内法人と定義するの
であれば、不振というのも分からなくはない。一方で、MUFG はグローバルにビジネスを
展開しており、成長の機会を海外に求めている部分がある。これは、日本の成長企業に
共通の戦略なのではないか。そこも含めて総合的に見ると決して不振とはならないと思
う。もう一点、銀行の決算を語る際に、与信コストを除く観点がある。これは、与信コスト
は銀行の努力を超えた部分があり、切り分けて考えるというもの。正しい面もあるが、利
鞘の動きを見るのであれば、与信コストも勘案するべきではないか。つまり、利鞘と与信
コストには一定の相関があり、クレジットが良化すれば、利鞘も低下する。ただ、与信コ
ストは利鞘に先行して動くので、クレジット環境が悪化する場面がきた場合は、注意を要
する。
Q :資本活用の考え方について教えてほしい。説明資料上の資本政策の考え方には、ほと
んど変更が無い一方、今回は、期中での増配に加え自社株取得も発表しており、これ
までとは変わった印象を持った。背景には何があるのか。
A :資本政策に関しては従来の基本的な考え方は変えていないが、変わった点があるとす
れば以下の通り。まず、経営陣の ROE、資本効率に対する意識がより高まってきている。
次期中期経営計画の議論において、私は「ヒト・モノ・カネの生産性」を高めることを話し
ているが、「カネの生産性」がまさしく資本の効率性向上に当たる。次に、なぜ今回、増
配と自社株買いを判断したかというと次の通り。つまり、資本政策に関する基本的な考
え方として、「株主還元の一層の充実」「充実した自己資本の維持」「収益力強化に向
けて資本活用」という三角形がある。これを変えることはしないし、その三角形をバラン
スさせるという点も変えていない。ただ、その時々においてどこに重点を置くかということ
は変わる。例えば、M&A で買収機会があれば「収益力強化に向けた資本活用」に重
心を置くし、規制への対応が必要になれば「充実した自己資本」に重心を置くことにな
る。5 月の決算発表時には、規制の不透明感も強かったため、自社株買いの判断はし
なかった。ただし、ここにきて少なくとも TLAC についてはある程度目処がついた。また、
IRRBB についても、ある程度時間がありそうだということが見えてきた。以上が判断の背
景である。
Q :国際金融規制の議論のなかで、なぜ日本の発言力が高まったのか。IRRBB の議論の
中でも、その発言力に期待できるのか
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A :規制対応の分野で、日本が進んでいるということが、世界で認識されてきたのだと思う。
課題先進国と言われることもあったが、銀行業界においては課題をいち早く片付けた
国だと思っている。バブル崩壊に始まり、アジア危機、公的資金問題などを経て預金保
険機構の整備等が進められてきた。加えて、当局と民間の関係がこれほど建設的で、
コミュニケーションが活発な国はそうない。最終的には監督力が重要であり、総合的に
それが高まってきていることが、海外でも理解されるようになった。リーマンショック後は、
投資銀行の経営に注目が集まっていたが、世界経済の持続的な成長には、商業銀行
の資金供給機能の重要性が、欧米の当局者に認識されるようになってきた。
Q :今回、自社株取得と増配をしたが、配当性向は、30%手前に留まっている。これを 30%
にするには何が必要か。
A :基本的には安定配当を目指している。個人株主は金融株を配当株としていて見ている
面がある他、海外の機関投資家の中にもロングの投資家を中心に配当を重視している
ところもある。一方、配当性向 30%は常に念頭にある。それは、収益と資本のアロケーシ
ョンとして「30%を中心ゾーン」においておきたいということを意味する。業績が動いても、
右肩上がりに安定的に配当が増えるような運営を心がけている。
Q :ROE の向上は今後も可能か。また、どうやって向上させるのか教えて欲しい。資本の成
長が非常に堅調な一方、リスクアセットの成長に見合った収益性の維持が可能なのか。
A :ROE の向上に関しては、やらなければいけないと思っている。資本の生産性をより重視
するという観点から、いろんなものを見直す余地があると考えている。それは例えばリス
クアセットの使い方、より効率的な使い方はあると思うし、そういうビジネスモデルへ資本
配分を変えていくことはあると思う。例えば、受財部門のビジネスは ROE の観点ではプ
ラスであり、逆に使っていない貸出枠については削減の検討余地があると思う。また、
ROE の分母に当たる資本についても、資本の適正化という考えがあると思う。要は資本
レバレッジに対する考え方であり、これに対する基本的な思想は変えていないし、また
その進め方もさらに柔軟にしようと考えている。
Q :日本国債は今後も残高を減らしていくのか。また、日本国債の売却により現預金の残高
も増えている。ROA の観点ではネガティブと考えるが、どうか。
A :日本国債の残高について、どんどん減らしていくということにはならないだろう。担保繰り
を考えると最低 30 兆円程度は必要であり、現状の水準近辺を推移するのではと考えて
いる。足元の変化としては、10 年を超える長期国債の残高増加に伴い、平均期間が長
期化している。すぐに 4 年にするということはないと思うが、ある程度弾力化している。
以 上
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