非鉄金属資源と需給動向 非鉄金属市況(銅、亜鉛、ニッケル、金・白金) 平成26年12月9日 おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、 本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。 なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 非鉄金属市況(2014.10/27~12/5) ベースメタル: 11月に入り中国の景気減退懸念が拡大し、概ね下落基調にあったものの、11月中旬には鉱山におけるストライ キが懸念され上昇、また11月21日には中国人民銀行が利下げを行ったことが好感された場面もあった。しかし、ストライキ懸念 が解消された11月下旬以降はドル高を背景に下落に転じ、原油価格下落の影響もあり金属価格も軟調な値動きとなった。 貴金属: 10月下旬、米国の景気回復を背景に下落基調にあった中、米国の量的緩和終了宣言によるドル高の影響により、金 やプラチナ価格は急落した。その後は、いずれの貴金属についても中国や欧州の景気動向を様子見する動きから、価格は横 ばいで推移、11月中旬には、ECB総裁が量的緩和について言及したことを材料に金・銀相場は上昇傾向に転じた。また、金価 格においては、スイス中央銀行が金準備高を全資産の20%へ引き上げることに対する国民投票が11月30日に行われ、その結 果が注目されたが、反対多数で否決された。 米国経済: 11月製造業PMIは58.7。 11月非農業部門雇用者数は前月比+32.1万人(予想+23万人、前月+21.8万人)。失業率は5.8%( 前月5.8%)で低水準を維持している。 中国経済:11月製造業PMI(HSBC)50.0、10月鉱工業生産指数は前月比+7.7%(予想+8.0%、前月+8.0%)と、伸びが鈍化している。 欧州経済: 11月製造業PMIは50.3、9月鉱工業生産は前月比+0.6%(前月+0.7%)。10月失業率は11.5%(前年比-0.4%)と横ばい推移。 欧米中の製造業購買担当者景況指数(PMI) 1 銅市況と需給動向(2014.10/27~12/5) ■LME価格: 10月末、複数の銅鉱山が11月よりストライキに入るとの報道を受け6,800US$/t まで上昇したものの、一部ストラ イキの中止が明らかになったことや、中国の経済指標が振るわなかったことを要因に、11月5日には6,646US$/t まで下落し た。その後、わずかに回復し11月中旬まで6,700US$/t 前後で推移し、11月21日には、中国人民銀行が利下げに踏み切ったこ とが好感されて6,790US$/t まで上昇したが、同政策への期待薄及びAntamina銅山のストライキ終結、原油安などを背景に、 12月1日には6,385US$/t まで反落した。足元は、やや回復し6,500US$/t 前後で推移している。 ■需給動向:LME在庫は、10月以降増加しており、10月から11月上旬までに15万tから16万tの在庫高にまで上昇。11月中旬ま で16万t前後で推移した後、11月下旬以降は再び増加傾向となり、足元在庫は16.4万tとなっている(2.9日分)。 ✍ 国際銅研究会(ICSG)秋季大会の予測によると、 2014年は30.7万tの供給不足、2015年は39.3万tの供給過剰に転じる見 通し。春季の発表では、2014年は40.5万tの供給過剰、2015年は59.6万tの供給過剰と予測されていた。 ✍ 2014年1~8月の需給バランスは、50.0万tの供給不足。8月単月では、2か月連続での供給過剰。 ✍ 11月は、インドネシアやペルーの銅鉱山でストライキが懸念されたが、実際には、ペルー・Antamina銅鉱山で20日間ほどス トライキが実施されたのみで、現在は通常操業に戻っている。 銅平均価格 US$/t 2012年 7,950 2013年 7,321 2014年1月 7,295 2014年2月 7,152 2014年3月 6,668 2014年4月 6,671 2014年5月 6,884 2014年6月 6,806 2014年7月 7,105 2014年8月 7,001 2014年9月 6,872 2014年10月 6,739 2014年11月 6,741 銅地金の需給バランスと価格動向 価格(US$/t) 12,000 需給バランス / LME在庫(千t) 800 700 600 500 400 300 200 100 0 (100) (200) (300) 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 LME在庫 バランス LME価格(Cash settlement) SHFE価格 ※SHFE価格(Shanghai Future Exchange;上海期貨取引所):増値税(17%)を控除しUS$換算 2 亜鉛市況と需給動向(2014.10/27~12/5) ■LME価格:10月末は在庫の減少傾向などから上昇基調で推移し、10月31日には2,335US$/tをつけたものの、中国の経済指 標悪化から需要減退懸念が加速、以降は下落傾向に転じ、 11月4日には前日比-3%と急落して、2,219 US$/tまで値を落とし た。その後は緩やかに上昇し、11月14日には2,279 US$/tまで回復したものの、中国の需要減退懸念やドル高ユーロ安が続い ていることが嫌気され、11月後半は軟調な値動きが続き、足元は2,200US$ /t前後を横ばいに推移している。 ■需給動向:LME在庫は、10月以降減少傾向が続いており、10月27日の71.1万tから11月26日には66.6万tまで減少。足元はや や回復して67.9万t(約18.8日分)。 ✍ 国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)秋季大会によると、 2013年実績は9.5万tの供給不足、また予測においても2014年は40.3万tの 供給不足、2015年は36.6万tの供給不足となる見込み。 ✍ 2014年1~9月累計の需給バランスは、31.7万tの供給不足 US$/t 2012年 1,946 2013年 1,909 2014年1月 2,036 2014年2月 2,035 2014年3月 2,017 2014年4月 2,031 2014年5月 2,059 2014年6月 2,127 2014年7月 2,311 2014年8月 2,329 2014年9月 2,294 2014年10月 2,273 2014年11月 2,275 価格 (US$/t) 亜鉛地金の需給バランスと価格動向 需給バランス / LME在庫(千t) 3000 1400 1200 2500 1000 2000 800 1500 600 400 1000 200 500 0 0 -200 2009/1 3 5 7 9 11 2010/1 3 5 7 9 11 2011/1 3 5 7 9 11 2012/1 3 5 7 9 11 2013/1 3 5 7 9 11 2014/1 3 5 7 9 亜鉛平均価格 LME在庫 千t バランス千t LME価格(Cash settlement) SHFE価格 ※SHFE価格(Shanghai Future Exchange;上海期貨取引所):増値税(17%)を控除しUS$換算 3 ニッケル市況と需給動向(2014.10/27~12/5) ■LME価格:10月以降、在庫の増加を背景に下落傾向をたどり、10月27日に14,650 US$/tと9か月ぶりの安値をつけたが、11 月3日に韓国のニッケル鉱石購入等から15,815US$/tまで上昇。その後わずかに値を下げながらも横ばい推移した後、11月中 旬は、コロンビアのCerro Matosoニッケル鉱山におけるストライキ懸念を要因に、16,535 US$/t まで上昇した。同ストライキの 延期が明らかとなった11月25日以降は軟調な値動きが続いていたところ、12月に入り、インドネシアの憲法裁判所が同国の鉱 石輸出規制を支持する判決をくだしたことから価格は上昇、足元は16,800 US$/t前後で推移している。 ■需給動向:LME在庫は引き続き増加傾向。足元で40.8万t(82.7日分)と過去最高量を更新した。 ✍ 国際ニッケル研究会(INSG) 秋季大会の予測によると、2014年は1万tの供給過剰、2015年は2万tの供給不足との見通し。 ✍ 住友商事が27.5%の権益を有するAmbatobyニッケル鉱山で、生産がフル稼働時の76%水準に達したとSherritt社が発表。 (11月13日) ✍ Vale社及びStandard銀行は、今後フィリピンが雨季に入る影響で鉱石輸出が減少、ひいては中国国内の在庫が減少するた め、今後数か月はニッケル価格は回復に向かうと予測。 US$/t 17,526 15,003 14,079 14,195 15,660 17,375 2014年5月 19,440 価格 (US$/t) 一次ニッケルの需給バランスと価格動向 30,000 需給バランス / LME在庫(千t) 450 400 25,000 350 300 20,000 250 15,000 200 150 2014年6月 18,574 10,000 2014年7月 19,050 5,000 2014年8月 18,571 2014年9月 18,079 2014年10月 15,770 2014年11月 15,758 100 50 0 0 (50) 2009/1 3 5 7 9 11 2010/1 3 5 7 9 11 2011/1 3 5 7 9 11 2012/1 3 5 7 9 11 2013/1 3 5 7 9 11 2014/1 3 5 7 9 ニッケル平均価格 2012年 2013年 2014年1月 2014年2月 2014年3月 2014年4月 LME在庫 バランス LME価格(Cash settlement) 4 金・プラチナ・パラジウム市況(2014.10/27~12/5) ■金市況:10月下旬から11月上旬までに大きく下落。米国の景気回復を背景に下落基調にあったことに加え、米国の量的緩 和終了宣言によるドル高の影響を受け、10月27日1,230US$/oz だった金価格は、11月5日には1,144US$/oz まで値を下げた。 その後、中国や欧州の景気動向を様子見し、価格は横ばいで推移していたところ、11月17日にECB総裁が量的緩和の準備が ある、と発言したことを材料に価格はやや回復し、11月下旬から足元まで1,200US$/oz を前後する値動きが続いている。 ■プラチナ・パラジウム市況:プラチナは10月中旬以降、1,250US$/oz強を維持していたものの、10月末の日銀の追加金融緩 和発表後、11月上旬にかけて軟調な値動きが続き、11月7日には1,196US$/oz まで下落した。その後は、米国経済指標で好 調な結果が続いたことがから、価格は回復せず、11月中旬は1,200US$/oz 前後で推移。11月21日にはECBが追加緩和に言 及したことや、中国で利下げが行われたことを好感して、1,220US$/ozまで回復し足元も同じレベルで推移している。パラジウ ムは、11月中旬まで760~780US$/ozのレンジで推移後、中国で利下げが行われたことを背景に需要増が見込まれ上昇。足 元では800US$/oz前後で推移している。 金・プラチナ 平均価格 金 US$/oz プラチナ US$/oz 2012年 1,669 1,552 2013年 2014年1月 2014年2月 1,410 1,244 1,300 1,485 1,423 1,410 2014年3月 1,336 1,451 2014年4月 1,298 1,430 2014年5月 2014年6月 2014年7月 1,288 1,274 1,312 1,456 1,453 1,491 2014年8月 1,297 1,449 2014年9月 1,240 1,364 2014年10月 1,223 1,260 2014年11月 1,221 1,259 5
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