A n tib io tics La b o ra to ry - 化合物バンク NPDepo

Antibiotics Laboratory
抗生物質研究室ニュース Antibiotics Laboratory News
No. 41: June 2014
http://www.antibiotics.riken.go.jp
〒351-0198 埼玉県和光市広沢2-1 TEL: 048-467-9542
EDITORS: 二村、加藤、天貝、杉野、阿部
Contents
トピックス
!  新メンバーの紹介
!  一般公開
!  MPI-RIKENシンポジウム
!  送別会
!  CB棟ほぼ完成!
竹本さんのドイツMPI滞在記
学会見聞録
!  MPI-RIKENシンポジウム
研究成果
!  学会発表
!  誌上発表
2014年度メンバー (撮影日 2014年4月)
トピックス
新メンバーの紹介
長田研に新たに、テクニカルスタッフ3名、学生4名の計7名が加わり4月4日と6月16日に新人歓迎会が行なわ
れました。抗生物質研究室最後の年ではありますが、これからますます活気づいていくことでしょう!新メン
バーの皆さまから抱負を頂いています。
どうぞよろしくお願いいたします!
伊藤吹夕さん
(二村チーム)
石山文菜さん (M1)
(川谷チーム)
柴崎典子さん
(高橋チーム)
長田麻由香さん (B4)
(野川チーム)
田中陽子さん
(本山チーム)
清水謙志郎さん (B4)
(合成チーム)
山田朋也くん (B4)
(中野チーム)
一般公開
理化学研究所 和光研究所の一般公開が4月19日に開催されまし
た。来場者数は開始以来初めて1万人を超え(!!)、大盛況のうちに
終えることが出来ました。
長田研のブースは例年通りの盛況で、分子模型作りや研究紹介
が催され、来場された方々は普段見ることの出来ない科学の世界
を楽しまれているようでした。
!
"
MPI-RIKENシンポジウム
5/21-24にドイツのミュンヘン近郊にあるマックスプランク協会が
所有する研修施設(Schloss Ringberg)にて連携センターの第3回
シンポジウムが開催されました。
日本からは玉尾皓平グローバル研究クラスター長、長田裕之
連携センター長、谷口直之グループディレクターをはじめとする
22名(長田研からは渡邉信元ユニットリーダー、川谷誠専任研究
員、和田章上級研究員、加藤直樹研究員)が参加しました。参加
者が全体でも50名弱と少ないこともあり、森の中に静かにたたず
むお城での数日間はいつも以上に研究の議論や交流に盛り上
がりました。
和田さんの学会見聞録や理研Newsも是非ご覧下さい。
http://www.riken.jp/en/pr/topics/2014/20140528_1/
送別会
4月4日に早瀬大貴さん、6月16日に林輝雄さん、杉野公美さんの送別会が行われました。
早瀬さん(2011年4月 )は「マラリア」と聞くからに危なそうな実験材料を使いこなし、動物実験にも積極的で長
田研に新風を吹き込んでくれました。またソフトボールでは快刀乱麻の好投でバッタバッタと相手打者をなぎ倒し、
化療杯初優勝へと導いてくれました。
林さん(2008年5月 )、杉野さん(2011年4月 )は在籍期間中、様々な生理活性物質の誘導体展開、化合物
ビーズ作製に用いるリンカー合成、生合成研究に必要な化合物合成など、多岐にわたって私たちの研究をサ
ポートして下さいました。これまでの多くの研究成果がこのお二方に依存していたといっても過言ではありません。
本当にありがとうございました。
なお、早瀬さん、杉野さんは昨年から今年にかけてニュース係として情報発信に尽力して下さいました。編集長
の無茶ぶりにもめげず、おもしろい原稿を書いてくれた早瀬さん、持ち前のセンスで”reader-friendly”なニュース
を作成してくれた杉野さん、この場を借りて御礼申し上げます。『長田研ニュース edited by Sugino』が読めなくな
ることにがっかりする読者も多いのではないでしょうか?私は次号以降のニュース作成が今から心配です。。
CB棟ほぼ完成!
ケミカルバイオロジー棟の増設
工 事 は 着 々 と 進 行 し て い ま す。
ついに足場が取り外され、4階建
てになった全体像を見渡せるよ
うになりました!
完成はもうすぐです!!
お楽しみにっ!!
MPI便り
竹本 靖
皆様、お久しぶりです。お元気でしょうか。私がドルトムントに参りまして、早くも4ヶ月が経ちました。2月にこち
らに来た際には夕方4時過ぎには暗くなり、朝も8時ぐらいまで暗かったですが、今は夜の9時を過ぎても明るく、
また朝の5時には既に明るくなっており、日照時間のあまりの差に驚いています。サマータイムが導入される
のもうなずけます。ただ、気候は日本に比べると涼しく、雨が降ったりするとかなり寒くなり、研究室でもまだ暖
房が入ったりしています。
こちらでの生活ですが、大分慣れてきました。ただ、一つびっくりしたのは、火事の避難訓練です。通常日本
ですと、予め避難訓練の日時がアナウンスされていますが、ドイツ、少なくともMPIではそのアナウンスがなく、
突然非常ベルが鳴って始まります。私はその時酵素アッセイの実験を行っていたのですが、研究室に留まっ
ているわけにもいかず、泣く泣く外に出ました。その日はMPIでかなり大きなシンポジウムも行われておりまし
たが、その出席者達も避難していたことから、避難訓練が行われることはほとんど知らされていなかったので
はないかと思います。日本とドイツのやり方でどちらがいいかは分かりませんが、何も知らされていないと、避
難の真剣さは高まるかなとは思いました。
こちらの食事は美味しく、日々の生活では問題がないのですが、たまに日本食が恋しくなり
ます。そのような時には、電車で1時間半かけてデュッセルドルフに行き、日本人街に行きま
す。いくつか日本食のお店がありますが、私はついラーメン屋さんに入ってしまいます。そこ
はほとんどの店員さんが日本人であり、注文も日本語で可能なので、支払いがユーロである
ことを除けば、本当に日本にいるような感じになります。
ドイツに留学させて頂いて、研究ばかりでなく様々な面で本当に貴重な体験をさせて頂いて
いるな、と日々実感しております。この経験を自分の糧にできるように、毎日頑張っていきた
いと思っております。
学会見聞録
理研-マックスプランク連携研究センター第3回シンポジウム
和田 章
2014年5月21日から24日の四日間、ドイツのシュロス・リングバーグ(シュロスとは、ドイツ語で
「城」)において、「理研‐マックスプランク連携研究センター・第3回シンポジウム」が開催されま
した。今回、両国の研究者の研究発表および宿泊の施設となった「リングバーグ城」は、都会の喧騒
から離れた(ミュンヘン空港からバスで約1.5時間)湖畔の山の上に立てられており、そこから見下ろす
美しい湖と穏やかな森の景色は、まさにドイツのグリム童話に代表される「メルヘンの世界」そのも
のでした。
本シンポジウムでは、システムズケミカルバイオロジー研究の推進に取り組む理
化学研究所をはじめとする慶応大学・筑波大学・京都大学などの日本人研究者と、
ドルトムントやミュンヘンを拠点とするマックスプランク研究所のドイツ人研究者
が一堂に会し、連日連夜、最新の研究成果・トピックスの発表と討論が精力的に行
われました。特に、「各種がん・疾患を対象にした創薬候補の探索と作用機作の解
明」、「構造生命科学を駆使した生物活性化合物の構造活性相関の解析」、「細胞
レベル・個体レベルでの糖鎖の合成・代謝機構の解明と治療へ展開」に関する研究
の進展は目覚ましく、若手研究者にとっては、世界トップレベルの研究者らによ
る“基礎から応用に至る奥行きのある科学研究”を知る絶好の機会となりました。ま
た、システムズケミカルバイオロジーにおける喫緊の課題を解決する新たな分子や
技術開発に関する成果発表も目立っており、本研究分野の今後の動向に目が離せな
いことを実感しました。さらに、今後のシステムズケミカルバイオロジーの発展に
資する研究活動、日本とドイツの共同研究・人的交流の活性化などについても意見
交換がなされ、有意義かつ充実した四日間であったことは言うまでもありません。
今回、本シンポジウムの開催にあたり、マックスプランク研究所のワルドマン先生をはじめとするドイツ人研
究者の方々には、多大なるご尽力を頂きました。そして、我々が、今回の研究・文化・人の国際交流に関して
大きな充実感と満足感を持って帰国の途に着けたことは、ドイツ人の人柄と「おもてなし」によるものに他なら
ないと痛感しています。来年、理化学研究所がホストとなり、「理研‐マックスプランク連携研究センター第4回
シンポジウム」を開催する予定です。その時は、日本人の「お・も・て・な・し」の精神でドイツの友人たちを迎え
たいと切に願っております。
成果発表
学会発表
The 3rd RIKEN-SNU Workshop on Chemical Biology for Health and Resouece Sciences、 和光、 2014年4月
Profiling for target identification of bioactive small molecules”, Osada H.
“Bioactivity of tenuazonic acid and its production control mechanism in Magnaporthe oryzae”, Yun C.-S., Motoyama
T., and Osada H.
“RK-270A-C, new oxindole derivatives isolated from a microbial metabolite fraction library of streptomyces sp.
RK85-270”, Jang J.-P., Nogawa T., Uramoto M., Okano A., Futamura Y., Shimizu T., Takahashi S., Jang J.-H., Ahn J.S., and Osada H.
文科省新学術領域・がん支援「化学療法基盤支援活動」第3回シンポジウム、 沖縄、 2014年5月
“理研天然化合物バンクNPDepoの構築と活用”、長田裕之
“理化学研究所天然化合物バンク(NPDepo)が提供する創薬研究支援”、斎藤臣雄、 近藤恭光、 長田裕之
2014 KSBMB Annual Meeting 、 ソウル、 2014年5月
“High-throughput screening of cell cycle inhibitors from NPDepo library”, Osada H.
公益社団法人日本薬剤学会 第29年会、 さいたま、 2014年5月
“破骨細胞を標的とする薬剤のケミカルバイオロジー”、 長田裕之
“From drug dispensing back to drug creation. The education of industry focused pharmacists, a global problem”,
Konstanty W.
3rd Annual symposium of the RIKEN-Max Planck joint research center for systems chemical biology、 Munich、 2014
年5月
“Pyrrolizilactone, a new drug lead found by the integrated dug discovery program in RIKEN Chemical Biology
Group”, Nogawa T., Futamura Y., Muroi M. and Osada H.
“High throughput screening for inhibitors of phosphorylation dependent protein-protein interaction”, Watanabe N. and
Osada H.
“Target identification of collismycin A, a cytotoxic microbial product, by proteomic profiling”, Kawatani M., Inoue G.,
Muroi M., Futamura Y., Aono H. and Osada H.
“Genetic safeguard against mycotoxin cyclopiazonic acid production in Aspergillus oryzae”, Kato N., Tokuoka M.,
Shinohara Y., Kawatani M., Takahashi S., Koyama Y. and Osada H.
“Ribosome display technique for in vitro identification of target proteins of bioactive small molecules”, Wada A., Hara
S. and Osada H.
日本農芸化学会関東支部2014年度第1回例会シンポジウム、 東京、 2014年5月
“リベロマイシンA生合成反応のin vitro再構成”、 高橋俊二、 長田裕之
天然ケミカルバイオロジー第5回若手研究ワーショップ、 名古屋、 2014年5月
“生理活性化合物の標的同定と創薬への試み”、 川谷 誠、 長田裕之
日本ケミカルバイオロジー学会第9回年会、 大阪、 2014年6月
“破骨細胞分化阻害剤の作用機構解析”、 笹澤有紀子、 森下佳典、 杉野公美、 川谷 誠、 長田裕之、 清水史郎
“B型肝炎ウイルスの複製を阻害する化合物探索のための生細胞高速評価系の構築”、 小川健司、 市川保恵、 安倍昌子、
大貫哲男、 斎藤臣雄、 長田裕之、 吉田 稔
第29回日本放線菌学会大会、 つくば、 2014年6月
“Characterization of BR-1 activity on LAL family regulator in reveromycin biosynthesis”, Panthee S., Takahashi S.,
Matsuoka S., Onuki T., Yoshida M. and Osada H.
“Ⅲ型ポリケタイド合成酵素DpyAによるラクトン化の分子機構の解明”、 谷 美生夏、 相澤光輝、 金 承榮、 高橋俊二、
長田裕之、 鮒 信学
“Butylmalonyl-CoAの選択的生産に関与するRevRの機能解析”、 宮澤 岳、 高橋俊二、 鈴木健裕、 堂前 直、 長田裕之
“異種発現によるtautomycin生合成遺伝子クラスターの解析”、 寺井淳高、 高橋俊二、 橋本絢子、 新家一男、 池田治生、
川崎 寿、 長田裕之
生合成マシナリー第7回公開シンポジウム、 東京、 2014年6月
“経路特異的転写因子を活用したテルペノイド生合成遺伝子群の一括発現と有用物質生産”、 高橋俊二
“糸状菌二次代謝産物のユニークな構造形成に関わる新規酵素の同定と構造多様化への展開”、 加藤直樹
第18回日本がん分子標的治療学会学術集会、 仙台、 2014年6月
“プロテオーム解析を用いた薬剤標的解析システムChemProteoBaseの拡張”、 室井 誠、 近藤久恵、 川谷 誠、 長田裕之
“シスプラチン抵抗性関連因子ERCC1を分解誘導する新規低分子化合物の同定”、 松永 司、 斎藤臣雄、 長田裕之、
遠藤良夫
“ChemProteoBaseを用いたcollismycin Aの作用標的同定”、 川谷 誠、 室井 誠、 二村友史、 青野晴美、 長田裕之
“プロテオーム解析と細胞形態変化を利用したpyrrocidine Aとallantopyrone Aの作用機序解析”、 上杉祥太、 二村友史、
室井 誠、 長田裕之、 木村賢一
誌上発表
“Detection of oxygen addition peaks for terpendole E and related indole-diterpene alkaloids in a positive-mode ESIMS.” J. Mass Spectrom., 49, 537-542 (2014). Hongo Y., Nakamura T., Takahashi S., Motoyama T., Hayashi T.,
Hirota H., Osada H. and Koshino H.
“The 7th Japan-Korea chemical biology symposium: chemical biology of natural bioacrive molecules.” ACS Chem.
Biol., 9, 1070-1074 (2014). Pandey R. P., Kwon H. J., Ahn J. S., Osada H. and Sohng J. K.
“Effects of acivicin on growth, mycotoxin production and virulence of phytopathogenic fungi.” Lett. Appl. Microbiol.,
in press., Maeda K., Nakajima Y., Motoyama T., Kitou Y., Kosaki T., Saito T., Nishiuchi T., Kanamaru K., Osada H.,
Kobayashi T. and Kimura M.
“Boseogazepines A-C, pyrrolobenzodiazepine derivatives from a Streptomyces sp. 11A057.” Bioorg. Med. Chem.
Lett., 24, 1802-1804 (2014). Oh M., Jang J. H., Choo S. J., Kim S. O., Kim J. W., Ko S. K., Soung N. K., Lee J. S.,
Kim C. J., Oh H., Hong Y. S., Ueki M., Hirota H., Osada H., Kim B. Y. and Ahn J. S.
“NPPlot (Natural Products Plot)を活用した天然化合物の探索”、化学と生物、 52, 395-402 (2014).
野川俊彦、長田裕之
“インドールジテルペンかび毒生合成経路の解明とテルペンドールEの鍵中間体としての位置づけ” JSM Mycotoxins,
64, 75-86 (2014). 本山高幸、植木雅志、長田裕之
トリコテセン系毒素産生制御機構の解明と汚染低減化に向けた基盤研究 、 JSM Mycotoxins, 64, 69-74 (2014). 前田一行、 中嶋佑一、 市川雛代、 鬼頭良幸、 古崎貴大、 斎藤臣雄、 本山高幸、 長田裕之、 小林哲夫、 木村 真
編集後記
長田抗生物質研究室最終年度が始まり早いものでもう三ヶ月が経ちました。記念すべき最終年度の長田研
ニュースは、二村編集長のもと加藤、天貝、杉野(今月号のみ)、阿部でお送りします。
CB棟の竣工、抗生物質研究室60周年記念祝賀会、ラボのクローズなどなど様々な行事が目白押しな一年に
なりそうですが、二期目突入の二村編集長の手腕により素晴らしいニュースを続々とお届けできると思います。
ニュース係一同、精一杯頑張りますので、温かい目で見守って頂きますよう、よろしくお願いいたします!!
(K.S.)