中期経営計画(2014年度~2015年度)の アップデートについて 2015年4月28日 株式会社日本証券クリアリング機構 目次 1.現在の中期経営計画(2014年度~2015年度)の概要 2.前期(2014年度)の個別事業総括 3.当社を取り巻く環境の変化と求められる役割 4.具体的な事業計画のアップデートについて 2 1.現在の中期経営計画(2014年度~2015年度)の概要 的確なリスク管理態勢を踏まえ た事業運営基盤の強化 清算機能の提供範囲の一層の 拡大 システム基盤の確実な強化 [主な事業計画] [主な事業計画] [主な事業計画] <全社に係る計画> <全社に係る計画> <全社に係る計画> FMI原則やバーゼルⅢ等を基本と した新たな国内規制の枠組みや、 海外当局による直接・間接の規 制・監督を意識した、経営・組織レ ベルでの体制の強化及びFMI原則 を踏まえた情報開示の拡充。 商品横断的なリスクモニタリング手 法の導入や証拠金モデルの高度 化等、リスク管理のさらなる高度化 に向けた対応。 海外参加者の利用促進としての米国 商品取引所法に基づくDCOの登録、 欧州EMIRにおける第三国清算機関 承認の取得。 <各事業部門に係る計画> 次期上場派生売買システム導入に 併せ、リスク管理機能向上。 国債店頭取引における、担保制度 の改善や清算参加者の破綻に備 えた財務資源の拡充など、国際的 な基準強化の動きを踏まえたリス ク管理機能を高度化。 国債取引の決済期間短縮の実現 に向け、制度面・システム面での具 体的な検討を推進。 国債店頭取引清算業務における収 支構造改善に向けた検討を推進。 清算参加者や清算委託者の拡大に 向けた取り組み。 <各事業部門に係る計画> 取引所取引におけるデリバティブ取 引を中心とした対象商品の拡大への 対応。 円金利関係のクロスマージン制度の 導入。 開発・運用体制や処理能力等に係 るシステムリスク管理の強化。 <各事業部門に係る計画> 新日銀ネットへの対応等の大規模 システム開発プロジェクトを推進。 上場デリバティブ取引に係る清算 システムの統合。 OTCデリバティブ取引の清算対象 商品の拡大等に向けたシステム面 での対応。 OTCデリバティブ取引の清算対象取 引範囲の拡大。 ―シングルネームCDSの取扱い開始。 ―外貨建て金利スワップ取引・ス ワップションの取扱い検討。 国債店頭取引清算業務への資産管 理専業信託銀行の参加の実現。 3 2.前期(2014年度)の個別事業総括① 1.的確なリスク管理態勢を踏まえた事業運営基盤の一層の強化 主な事業計画 • 2014年度における対応状況 FMI原則やバーゼルⅢ等を基本とした新たな 国内規制の枠組みや、海外当局による直 接・間接の規制・監督を意識した、経営・組織 レベルでの体制の強化及びFMI原則を踏ま えた情報開示の拡充。 • FMI原則への自己評価を行い、定性的情報開示を実施 (2015年3月)するとともに、定量的開示の実施に向け準 備を実施。 • 商品横断的なリスクモニタリング手法の導入 や証拠金モデルの高度化等、リスク管理のさ らなる高度化に向けた対応。 • 商品横断的なモニタリングを開始(2014年5月~)。 • 金利スワップ取引清算業務における当初証拠金(2014年 11月)、国債店頭取引清算業務における当初証拠金 (2014年10月)の算出方法の見直しを実施。 • 次期上場派生売買システム導入に併せ、リ スク管理機能向上に向けた対応。 • 次期派生売買システム導入に併せ、ポジションモニタリン グの高度化等、リスク管理機能向上に向けた、具体的な 制度の検討を実施。 • 国債店頭取引における、担保制度の改善や 清算参加者の破綻に備えた財務資源の拡充 など、国際的な基準強化の動きを踏まえたリ スク管理機能を高度化。 • 国債店頭取引清算業務における清算基金制度の導入及 び損失補償スキームの見直し等を実施(2014年10月)。 • 国債店頭取引清算業務における流動性調達スキームの 見直しを実施(2014年6月)。 • 国債取引の決済期間短縮の実現に向け、制 度面・システム面での具体的な検討を推進。 • 国債取引の決済期間短縮に向け、銘柄後決めレポ取引 の清算業務に係る制度要綱案を公表(2014年11月)。 • 国債店頭取引清算業務における収支構造改 善に向けた検討を推進。 • 国債取引の決済期間短縮の実施を見据え、国債店頭取 引清算業務の手数料の見直しに着手。 • 新たな規制・監督を踏まえ整備を行った包括的リスク管 理の枠組みに基づき、着実な運用を実施(2014年4月~)。 4 2.前期(2014年度)の個別事業総括② 2.清算機能の提供範囲の一層の拡大 主な事業計画 2014年度における対応状況 • 海外参加者の利用促進としての米国商品取引所 法に基づくDCOの登録、欧州EMIRにおける第三国 清算機関認証の取得。 • DCOの登録及びEMIRの認証取得に向けた対応を継 続。 • 清算参加者や清算委託者の拡大に向けた取り組 み。 • 金利スワップ清算業務においては清算参加者2社、 クライアント14社が新たに参加。CDS取引については 清算参加者1社が参加。 • 取引所取引におけるデリバティブ取引を中心とした 対象商品の拡大への対応。 • JPX日経400先物取引の取扱い開始(2014年11月)。 • 円金利関係のクロスマージン制度の導入。 • クロスマージン制度の導入に向け制度要綱を公表 (2015年2月)。 • OTCデリバティブ取引の清算対象取引範囲の拡大。 • シングルネームCDSの取扱い開始(2014年12月)。 • 金利スワップ取引に係るOIS・DTIBORの取扱い開始 ―シングルネームCDSの取扱い開始。 及びZTIBORの年限拡大(2014年11月、12月)。 ―外貨建て金利スワップ取引・スワップションの取 • 外貨建て金利スワップ取引の取扱い開始に向け、制 扱い検討。 度要綱を公表(2015年2月)。 • 国債店頭取引清算業務への資産管理専業信託銀 行の参加の実現。 • 資産管理専業信託銀行3行が国債店頭取引清算参 加者として新たに参加(2014年6月~)。 5 2.前期(2014年度)の個別事業総括③ 3.システム基盤の確実な強化 主な事業計画 2014年度における対応状況 • 開発・運用体制や処理能力等に係るシステムリスク 管理の強化。 • システムリスクに係る発生事象に対する組織横断 的な展開のフローを構築(2014年4月) • OTCデリバティブ取引に係るシステムの能力増強を 実施(2014年11月)。 • 新日銀ネットへの対応等の大規模システム開発プ ロジェクトを推進。 • 新日銀ネットの稼働及び国債店頭清算業務に係る システムのリプレースに向け、設計・開発を着実に 実施。 • 上場デリバティブ取引に係る清算システムの統合。 • 上場デリバティブ取引に係る清算システムの統合・ 稼働を実現(2014年11月)。 • OTCデリバティブ取引の清算対象商品の拡大等に 向けたシステム面での対応。 • 清算対象商品の拡大(シングルネームCDS、OIS・ DTIBORの取扱い等)に応じたシステム面での対応 を実施(2014年11月、2014年12月)。 6 3.当社を取り巻く環境の変化と求められる役割① 1.市場環境をめぐる動向 • 株式市場は、アベノミクスの追い風を受け株価が上昇し取引も活況を呈する一方、国債市場等の金利マーケッ トは、日銀の金融緩和を受けた超低金利状態が継続している状況。 ⇒今後、こうした市場環境が急激に変化し、大幅な相場変動が発生したとしても、市場の安全性・信頼性を維持す べく、清算機関として確固たるリスク管理の枠組みを構築することにより対応する。 2.清算機関をめぐる動向 <海外清算機関の動向> • 各国規制当局の清算集中に向けた対応が進む中、各国規制当局から承認を得て、クロスボーダーで清算を 行うグローバルなCCPが規模を拡大している状況。 • 我が国においても、海外清算機関が、OTCデリバティブ取引の清算事業を開始するため、ライセンス申請の 準備を行うとの報道がなされている。 ⇒海外清算機関との競争が一層激しくなることが見込まれることから、競争力強化のための施策を実施する。 <清算機関に対する規制の動向> • 2015年2月、CPMI/IOSCOにより「清算機関のための定量的な情報開示基準」が公表。今後、CCPには、ルー ルに則った開示が求められる。 • 2014年10月、 CPMI/IOSCOにより「金融市場インフラの再建」が、FSBより「金融機関の実効的な破綻処理の枠 組みの主要な特性」が公表され、清算機関の再建計画及び破綻処理に係る議論が活発化。 ⇒国際的な規制の枠組みに沿った形での情報開示や制度構築等の対応を実施する。 7 3.当社を取り巻く環境の変化と求められる役割② 3.金融市場の枠組みをめぐる動向 <金融機関に対する規制の動向> • • 金利スワップ取引に係る清算集中義務の対象として、店頭デリバティブ取引の残高が3,000億円以上の金商 業者等(2015年12月)、保険会社及び信託財産(2016年12月)が新たに追加される予定。 店頭デリバティブ取引の残高が6兆円以上の金商業者等について、特定の店頭デリバティブ取引に係る電子 取引基盤の使用が義務化される予定(2015年9月)。 • 清算機関を利用しない店頭デリバティブ取引に対する証拠金の預託の義務化が開始される予定(2016年9 月)。 • バーゼルⅢにおけるレバレッジ比率規制について2017年1月まで試行期間とされており、2015年1月からは、 各金融機関のレバレッジ比率及び構成要素の開示が求められている状況。また、2018年1月から第1の柱へ の移行を視野に、2017年前半までにレバレッジ比率の定義及び水準について最終的な調整がされる予定。 ⇒市場関係者に係る各種規制が強化される中、当該規制を踏まえた清算機関としての施策を実施する。 <決済リスク削減に向けた取組み> • • 我が国では、国債取引の決済期間の短縮(T+1化)に向け、グランドデザイン(市場参加者におけるT+1化対 応の概要・基本方針及び具体的な対応イメージをまとめたもの)が公表され、2017年以降の速やかな実施を 目指している状況。 株券の決済期間について、欧州の多くの国において、株券の決済期間がT+2に移行(2014年10月) 。米国で は業界団体において決済期間短縮に向けた検討が開始され、シンガポールやオーストラリアでは2016年に 決済期間をT+2化すべく市中協議書が提案。 ⇒決済リスク削減に向けた議論への積極的な参画と対応を実施する。 8 4.具体的な事業計画のアップデート① • 現在の事業計画については、前述の通り、順調に実施してきたところであるが、最近の 環境の変化を踏まえると、次期中期経営計画の策定に向け、清算機関として、市場環 境の変化に備えたリスク管理の一層の強化や、清算機関としての競争の激化に備え た機能強化などがより重要な課題となってくることが想定される。 • そうした状況を踏まえ、今期においては、具体的な事業計画について、これまでの進捗 を踏まえたアップデートを行うとともに、次期中期経営計画の策定に向け、来期以降を 見据えた取り組みについても併せて整理を行う。 9 4.具体的な事業計画のアップデート② 1.的確なリスク管理態勢を踏まえた事業運営基盤の強化 ※変更箇所は下線で表示。 [主な事業計画] <全社に係る計画> FMI原則を踏まえた情報開示の拡充等、清算機関に対する規制の動向を踏まえた対応。 清算対象取引の拡大等に伴うモニタリング業務に係る見直し等リスク管理のさらなる高度化に向けた対応。 <各事業部門に係る計画> 株券等の現物取引に係る清算基金のサバイバーズペイ担保への見直し。 CDS清算業務におけるコンプレッション制度(取引を期限前に解約することで取引残高を圧縮する仕組み) の導入。 金利スワップ清算業務におけるコンプレッション制度の見直し(取引毎コンプレッション制度の導入等)。 <次期中期経営計画に向けた検討課題> 次期上場派生売買システム導入に併せた、リスク管理機能向上に向けた対応の継続。 株式の決済期間の短縮化に向けた検討。 金利スワップ清算業務におけるコンプレッション制度の更なる機能拡充(クーポンブレンディング制度の導 入等。MarkitWire関係の機能向上を含む。)の検討。 金利スワップ取引の清算業務に係る稼働時間の延長。 国債取引の決済期間短縮の実現に向けた、制度面での具体的な検討の継続。 10 4.具体的な事業計画のアップデート③ 2.清算機能の提供範囲の一層の拡大 [主な事業計画] <全社に係る計画> 海外参加者の利用促進として、米国及び欧州を含めた海外の当局に対する清算業務の認可取得に向け た対応の継続。 利用者の拡大に向けた取り組みの継続。 <各事業部門に係る計画> 取引所取引におけるデリバティブ取引を中心とした対象商品の拡大への対応。 円金利関係のクロスマージン制度の導入に向けた対応。 OTCデリバティブ取引の清算対象取引範囲の拡大。 ―シングルネームCDSの銘柄拡大。 ―外貨建て金利スワップ取引の取扱い開始に向けた対応。 <次期中期経営計画に向けた検討課題> OTCデリバティブ取引の清算対象取引範囲のさらなる拡大。 ―NDF(ノン・デリバラブル・フォワード)・スワップションの取扱い検討。 円金利関係のクロスマージン制度の対象範囲の拡大に向けた検討。 物価連動国債の清算取扱いに向けた対応の検討。 11 4.具体的な事業計画のアップデート④ 3.システム基盤の確実な強化 [主な事業計画] <全社に係る計画> 開発・運用体制や処理能力等に係るシステムリスク管理の強化の継続。 <各事業部門に係る計画> 新日銀ネットへの対応等の大規模システム開発プロジェクトを推進。 OTCデリバティブ取引の清算対象商品の拡大等に向けたシステム面での機能改善。 <次期中期経営計画に向けた検討課題> 上場派生清算・リスク管理・担保管理機能リプレースに向けた検討。 国債取引の決済期間短縮への対応に向けたシステム面での対応。 その他、次期中期経営計画に向けた検討課題へのシステム面での対応。 12
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