非鉄金属市況と需給動向 非鉄金属相場(銅、亜鉛、ニッケル、金・白金) 平成27年2月24日 おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはお 本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負い なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 非鉄金属市況(2015.1/26~2/20) ベースメタル: 原油価格下落の影響から12月より継続して下落基調が続いていたところ、1月22日にECBが量的緩和に踏み切 り、ドル高ユーロ安が進行した他、1月28日の米国・FOMC声明で利上げに向けた準備が続いているとの見方が広がったことに よるドル高進行などが非鉄相場を圧迫。銅は、1月29日に5年半ぶり安値の5,390US$/t を記録。2月に入って原油価格回復を 受け、ベースメタルも価格が上昇し、2月半ばになるとギリシャ債務交渉が進展するとの期待感やドル高が和らいだことを受け て銅や亜鉛は小幅に続伸した。 貴金属: ベースメタルとは反対に、12月から1月にかけて堅調な値動きが続いていたものの、原油価格の回復や米国の経済指 標が好調であったこと、2月16日に欧州財務相会合でギリシャへの支援策に関する合意がなされると期待されたこと等から当 該期間は下落傾向が続いた。最終的には同会合でギリシャへの支援策が合意に至らず価格は一時小幅に上昇したものの、春 節に入ったこともあり、足元は軟調に推移している。 米国経済: 12月製造業PMIは前月と同じく53.9。12月非農業部門雇用者数は前月比+25.7万人(予想+22.8万人、前月+32.9万人)。失 業率は5.7%(前月5.6%)。 中国経済:1月製造業PMI(国家統計局)49.8、1月製造業PMI(HSBC)49.8。 欧州経済: 1月製造業PMIは51.0。12月世界製造業PMIについても51.7と、1年半ぶりの低水準。 欧米中の製造業購買担当者景況指数(PMI) 1 銅市況と需給動向(2015.1/26~2/20) ■LME価格: 12月半ばより下落局面が続き、1月28日の米国・FOMC声明を受けて翌日に5年半ぶり安値となる5,390US$/t を 記録した。しかし、2月に入ると、原油価格が回復し始めたことやドル高相場が和らいだことから、価格は上昇基調に転じた。ま た、2月11日には、中国人民銀行が春節前の景気支援策として、都市部に限定していた短期融資の対象を全国に拡大する旨 発表したことを受けて中国需要の改善が期待されて続伸し、2月13日には5,700US$台まで回復した。足元 価格は5,707US$/t (2/20)。 ■需給動向:LME在庫は10月以降増加を続けており、2月初旬には28~30万t(約5日分)レベルに達した。足元在庫は29.8万t となっている(5.2日分)。 ✍ 国際銅研究会(ICSG)秋季大会の予測によると、 2014年は30.7万tの供給不足、2015年は39.3万tの供給過剰に転じる見 通し。春季の発表では、2014年は40.5万t の供給過剰、2015年は59.6万t の供給過剰と予測されていた。 ✍ 2014年1~11月の需給バランスは、65.8万t の供給不足。11月単月では、4.2万t の供給不足となった。 US$/t 2012年 7,950 2013年 7,321 2014年1月 7,295 2014年2月 2014年3月 2014年4月 7,152 6,668 6,671 2014年5月 6,884 2014年6月 6,806 2014年7月 7,105 2014年8月 7,001 2014年9月 2014年10月 2014年11月 2014年12月 2015年1月 6,872 6,739 6,701 6,423 5,816 価格(US$/t) 銅地金の需給バランスと価格動向 12,000 需給バランス / LME在庫(千t) 800 現在 10,000 700 600 500 8,000 400 300 6,000 200 100 4,000 0 (100) 2,000 (200) 0 (300) 2009/1 4 7 10 2010/1 4 7 10 2011/1 4 7 10 2012/1 4 7 10 2013/1 4 7 10 2014/1 4 7 10 2015/1 3か月先物 1年先物 2年先物 銅平均価格 LME在庫 バランス LME価格(Cash settlement) SHFE価格 ※SHFE価格(Shanghai Future Exchange;上海期貨取引所):増値税(17%)を控除しUS$換算 2 亜鉛市況と需給動向(2015.1/26~2/20) ■LME価格:1月~2月は、概ね堅調に推移した。1月末まで2,100US$前後で推移し、2月に入ると、LME在庫の減少による需給 のタイト感や原油価格の上昇などを背景に、小幅な上昇が続き、2月13日には2,152US$/t となった。足元はやや値を下げて 2,047US$/t となっている(2/20)。 ■需給動向:LME在庫は、1月以降減少傾向が続いており、当該期間でおよそ5万t が減少した(1.5日分)。足元在庫は58.1万t となっている。(16.1日分) ✍ 国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)秋季大会によると、 2013年実績は9.5万tの供給不足、予測においても2014年は40.3万tの供給 不足、2015年は36.6万tの供給不足となる見込み。 ✍ 2014年1~11月累計の需給バランスは、25.7万tの供給不足。11月単月は1.7万t の供給過剰となった。 US$/t 1,946 1,909 2,036 2,035 2,017 2,031 2014年5月 2,059 2014年6月 2014年7月 2014年8月 2014年9月 2014年10月 2014年11月 2014年12月 2015年1月 2,127 2,311 2,329 2,294 2,273 2,259 2,172 2,111 価格 (US$/t) 亜鉛地金の需給バランスと価格動向 3000 需給バランス / LME在庫(千t) 1400 1200 2500 1000 2000 800 1500 600 400 1000 200 500 0 0 -200 2009/1 3 5 7 9 11 2010/1 3 5 7 9 11 2011/1 3 5 7 9 11 2012/1 3 5 7 9 11 2013/1 3 5 7 9 11 2014/1 3 5 7 9 11 亜鉛平均価格 2012年 2013年 2014年1月 2014年2月 2014年3月 2014年4月 LME在庫 千t バランス千t LME価格(Cash settlement) SHFE価格 ※SHFE価格(Shanghai Future Exchange;上海期貨取引所):増値税(17%)を控除しUS$換算 3 ニッケル市況と需給動向(2015.1/26~2/20) ■LME価格:1月半ば、世界銀行が2015年の世界経済成長見通しを引き下げたことや中国需要に対する不安が広がったことに よりニッケル価格は大幅下落し14,000US$/t台前半で推移していたものの、1月26日以降は上昇と下落を繰り返しながらも価格 は着実に回復した。2月3日には、原油価格の回復などから1か月半ぶりに15,000US$/t まで上昇したものの、その後は軟調な 値動きが続いており、18日には1年ぶりに14,000US$/tを割り込んだ。足元も、13,950US$/t (2/20)と低迷。 ■需給動向:LME在庫は、小幅な動きはあるものの、概ね横ばいで推移しており、当該期間で3,000t の在庫が積み増しされた。 足元在庫は42.6万t(86.4日分)。 ✍ 国際ニッケル研究会(INSG) 秋季大会の予測によると、2014年は1万tの供給過剰、2015年は2万tの供給不足との見通し。 ✍ 2014年1~12月累計の需給バランスは、予想を上回る9.4万tの供給過剰。12月単月は1.3万t の供給過剰となった。 ニッケル平均価格 2012年 2013年 2014年1月 2014年2月 2014年3月 2014年4月 2014年5月 2014年6月 2014年7月 2014年8月 2014年9月 2014年10月 2014年11月 2014年12月 2015年1月 US$/t 17,526 15,003 14,079 14,195 15,660 17,375 19,440 18,574 19,050 18,571 18,079 15,770 15,706 15,919 14,771 価格 (US$/t) 一次ニッケルの需給バランスと価格動向 30,000 需給バランス / LME在庫(千t) 450 400 25,000 350 300 20,000 250 15,000 200 150 10,000 100 50 5,000 0 0 (50) LME在庫 バランス LME価格(Cash settlement) 4 金・プラチナ・パラジウム市況(2014.1/26~2/20) ■金市況:1月は上昇傾向にあったものの、1月28日の米国・FOMC声明で利上げが間近との観測が出たことにより、下落に転じ た。米国景気の回復のみならず、ギリシャ問題解決に向けて欧州財務相会合が開催されることを受け金が売られた結果、 1月 下旬1,270US $/oz 前後だった金価格は、2月半ばには1,220US$/t 台まで下落した。2月16日に欧州財務相会合が物別れに終 わったことを受けて金価格は一時反発したものの中国の春節に伴う薄商いもあり足元の価格は1,205.9US$/oz (2/20)と軟調。 ■プラチナ・パラジウム市況:プラチナ価格は、米国の利上げ観測や欧州経済への不安を受けて軟調に推移した。1月下旬には 1,280US$/t 弱だったものの、足元は1,161.5US$/oz(2/20)と2009年7月以来の安値となっている。パラジウムについては、当該 期間、大きな変動は無く760~800US$/t を上下しながら推移し、金やプラチナとは異なる値動きを示した。足元は781US$/oz (2/20)付近を推移している。 金・プラチナ 平均価格 金 US$/oz プラチナ US$/oz パラジウム US$/oz 2012年 1,669 1,552 643 2013年 1,410 1,485 725 2014年1月 1,244 1,423 734 2014年2月 1,300 1,410 728 2014年3月 1,336 1,451 772 2014年4月 1,298 1,430 791 2014年5月 1,288 1,456 820 2014年6月 1,274 1,453 832 2014年7月 1,312 1,491 871 2014年8月 1,297 1,449 876 2014年9月 1,240 1,364 878 2014年10月 1,223 1,260 778 2014年11月 1,221 1,259 780 2014年12月 1,201 1,216 805 2015年1月 1,251 1,243 785 5
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