非伝統的手段による金融政策の課題-日銀とFedの比較考察(PDF

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80
25
13
09
質金利も大幅なマイナスとなってい
進捗とともに累積的に強まる性質の
かになった。では、非伝統的手段による類似の金融政策運営を行ってきた海外の主要な中央銀行、とり
に議論を進めて、実際の政策運営を展開してきたのだろうか。
も の で あ る こ と を 踏 ま え る と、 経
済・物価に対する限界的な押し上げ
は、これに賛成する委員と反対する
日銀が追加緩和を決めた 月 日
の金融政策決定会合の議事要旨から
追加的な金融緩和を行うべきであ
維持するために、このタイミングで
転している期待形成のモメンタムを
たリスクの顕現化を未然に防ぎ、好
遅 延 す る リ ス ク が 大 き い 」「 こ う し
進んできたデフレマインドの転換が
力が残存する場合、これまで着実に
の効果について「…金利は一段と低
や 副 作 用 に 見 合 わ な い 」、 追 加 緩 和
和による効果は、それに伴うコスト
これに対して、反対派である「何
人 か の 委 員 」 は、「 追 加 的 な 金 融 緩
われる可能性もある」と述べている。
日本銀行に対する信認が大きく損な
を反故にするものであると理解され、
緩和のコスト・副作用について、「複
も疑問がある」と付け加えた。追加
委 員 」 は、「 効 果 の 持 続 性 に つ い て
まる」と述べた。このうち「一人の
と比べてかなり限定的なものにとど
させる効果を持ったが、追加的にこ
和』は導入時には人々の期待を変化
かけについて、「『量的・質的金融緩
効 果 は 大 き く な い 」、 期 待 へ の 働 き
委員との間で、相当に激しい議論が
る」と述べた。そのうち「一人の委
下すると見込まれるものの、名目金
数の委員」は、市場機能の一段の低
政策委員会は二分
あった様子がうかがわれる。以下、
員 」 は、「 … こ こ で 政 策 対 応 を 行 わ
利は既に歴史的な低水準にあり、実
れを拡大しても、その効果は導入時
その一部を抜粋する。
なければ、そうしたコミットメント
31
「多くの委員」
は、「短
賛成派のうち
期的とはいえ、現在の物価下押し圧
10
4
2014.12.8[月] 金融財政ビジネス 第 3 種郵便物認可
日本総合研究所上席主任研究員
河村小百合
88
かわむら・さゆり 年3月京
大法学部卒、
同年日本銀行入行、
年2月日本総合研究所入社
(調査部)
、 年7月から現職。
年から国税審議会委員、 年か
ら内閣官房行革推進会議歳出改
革WG構成員、 年から住宅金
融支援機構事業運営審議委員会
委員をそれぞれ務める。
14
ることや、資産買入れの効果はその
14
わけ米国の連邦準備制度(Fed)においては、その効果やコストなどをどのように認識し、どのよう
れた議事要旨からは、QQEの効果やコスト、副作用について、両者の見解に隔たりがあることも明ら
11
91
非伝統的手段による金融政策の課題
日銀とFedの比較考察
60
去る 月 日、日本銀行はマネタリーベースの年間増加ペースをこれまでの「 〜 兆円」から「
兆円」に拡大することを柱とする追加緩和策(「量的・質的金融緩和(QQE)」の拡大)を決定した。
31
ただし、その際の政策委員会の採決の結果は賛成5委員対反対4委員の僅差であり、 月 日に公表さ
10
説
解
1票差の採決
た市中発行額の大半を買い入れるこ
買入れを行うとなれば、フローでみ
ように検証して認識し、議論を進め
副作用、リスクなどについて、どの
外の主要な中央銀行は、その効果や
下 を 指 摘 し た。
「 何 人 か の 委 員 」 は、 では、類似の非伝統的な手段によ
り、近年、金融政策を行ってきた海
兆円の増加ペースで国債
もとで考えられる金融政策運営の手
とおりであるが、ゼロ金利の制約の
になった。その主な内容は図表1の
の理論的なバックボーンないし基盤
段による金融政策運営に踏み切る際
銀行がその後、実際に非伝統的な手
されたものであった。日銀は
このバーナンキ論文は、日銀が量
的緩和を実施しているただ中に執筆
得る、と述べていた。
実体経済に影響を及ぼすことがあり
政効果─という三つの経路によって、
財政ファイナンスであるとみなされ
経済の低成長状態やデフレ状態の長
バブル崩壊後の銀行危機、その後の
確認しよう。主要先進国のなかで、
それに先立ち、まず、各国中銀の
政策運営の出発点となった考え方を
ではFedの例からみてみよう。
さ せ る 政 策(「 オ ペ レ ー シ ョ ン・ ツ
ス・シートにおける資産構成を変化
移されたもの)②中央銀行のバラン
ンス」などの名称で、その後実行に
間軸政策」や「フォワード・ガイダ
短期金利予想に働きかける政策(「時
段のオプションとしては、①将来の
マネタリスト的な経路によって、市
ても、それが信用乗数理論に基づく
緩和を行って準備を大幅に積み上げ
面に異論はみられない。他方、量的
で有効であった点に関しては、各方
和が金融システムの安定を図るうえ
年3月をもって打ち切った。量的緩
月から開始した量的緩和政策を、
「年間約
とになるため、国債市場の流動性を
て政策運営を行ってきたのか、ここ
年3
著しく損なうだけでなく、実質的な
るリスクが、より高くなる」と指摘
期化という事態に近年、初めて見舞
イスト」として実行)③中央銀行の
政策金利の引き下げ余地がなくな
った後も、何らかの手段によって金
ットとする量的緩和を実施した。
ネタリスト的な信用乗数効果が発現
プライの増加につながるという、マ
は、以下に述べるように、準備の大
250.0
200.0
150.0
ベースマネー
100.0
M2+CD
信用
(貸出)
バーナンキ論文
融政策は実体経済を刺激できるの
することが前提とされていたことに
リ オ・ リ バ ラ ン ス 効 果、(b) 政 策
300.0
している。
われたのは、言うまでもなくわが国
れていた。このうちの③量的緩和に
バランス・シートの規模を拡大する
〜
か? こ の 新 た な 課 題 に 対 し、 当 時、
注意する必要がある。
関しては、この論文の段階において
米連邦準備制度理事会(FRB)理
ー ナ ン キ 論 文 」、 正 式 名 称 は 図 表1
金利の将来的なパスに関する期待を
幅な積み上げがそのままマネー・サ
事(後に議長)であったバーナンキ
年、共著の形で論文(以下「バ
の〈出所〉参照)を発表している。
氏は
バーナンキ氏はこのうちの「量的
緩 和 」 に つ い て、(a) ポ ー ト フ ォ
年には、日銀当座預金残高をターゲ
それをいったん解除した後の
で あ る。 日 銀 は、1999 〜
Expectations
Altering the Composition of
the Central Bank's Balance
Sheet
(注)
政策の呼称の例は、
その後の各中央銀行が実際の政策運営上、
用いたもの。
このうち、
バーナンキ論文にお
いて言及されていたのは3の
「量的緩和」
のみ
(出所)
Ben S. Bernanke and Vincent R. Reinhart [2004]. Conducting Monetary Policy at Very Low
Short-Term Interest Rates (Policies to deal with Deflation) , American Economic Review, The
American Economic Association, May 2004を基に日本総合研究所作成
06
(注1)
M2+CDは連続する統計がないため、
2003年4月時点の旧統計ベースの指数
(1999年1月=100とすると111.2)
が一致するように新統計を接続して表示
(注2)
貸出金は国内銀行銀行勘定と信託勘定の合計
(出所)
日本銀行時系列統計データを基に日本総合研究所作成
14 (年)
09
04
0
1999
消費者物価
50.0
06
政策(量的緩和)─の三つが考えら
Expanding the Size of the
Central Bank's Balance
Sheet
01
変 え る シ グ ナ ル 効 果、(c) 拡 張 財
350.0
量的緩和
(2001/3月∼2006/3月)
400.0
量的・質的金融緩和
(2013/4月∼)
〈図表2〉
日本のマネタリー・ベース、
広義マネー、
信用と消費者物価指数の推移
(1999年1月=100)
450.0
効果波及の経路
政策の呼称の例
オプション 内容
(a)ポートフォリオ・リバランス効果
(b)シグナル
(政策金利の将来のパス
に対する期待を変える)
効果
(c)拡張財政
(財政ファイナンス)
効果
中央銀行のバランス・シートの 「量的緩和
規模の拡大
(Quantitative Easing)
」
3
中央銀行のバランス・シートに 「オペレーション・ツイスト」 市場がイールド・カーブを形成する
際のターム・プレミアムに働きかけ
おける資産構成の変化
2
将来の短期金利予想への働きかけ 「フォワード・ガイダンス」
S h a p i n g I n t e r e s t R a t e 「時間軸政策」
1
04
そこで提示した考え方は、各国中央
2014.12.8[月]
金融財政ビジネス 第 3 種郵便物認可
5
01
80
2000年にゼロ金利政策を採用し、
〈図表1〉
2004年のバーナンキ論文が示した、
ゼロ金利の制約のもとで考えられる
金融政策運営の手段のオプション
QQEを実施しているなかでも共有
っ た 際( 図 表3)
、 ま た 日 銀 が 現 在、
加につながることはなかった(図表
中に流通するマネー・サプライの増
ては、実証分析結果は「あり」
「なし」
リバランス効果」のチャネルについ
れている。他方、
「ポートフォリオ・
ルのうちの「シグナル効果」につい
Fedやイングランド銀行(BOE、 お よ び、「 量 的 緩 和 」 の 効 果 チ ャ ネ
2、5 ㌻)
。 こ の 経 験 は、 後 に
の両論があり、まちまちとなってい
る大規模な資産買い入れ(LSAP、 ては、その有効性がおおむね確認さ
英中央銀行)が、量的緩和に類似す
る 模 様 で あ る。 ち な み に、「 拡 張 財
については、その後、各方面による
に示す四つの局面における政策運営
ここではそのうちのLSAPにつ
いてみてみよう。実際には、図表4
われた。
を組み合わせる形での政策運営が行
と大規模な資産買い入れ(LSAP)
としては、フォワード・ガイダンス
かにサーベイすれば、「時間軸政策」、 融政策運営を開始し、その主な手段
実証分析が行われた。それらを大ま
が 行 わ れ た 結 果、Fedの バ ラ ン
Fedは非伝統的な手段を用いた金
事実上の下限に達した。この頃から、
マネタリーベースを採用することは
とは、ゼロ金利下で政策手段として
たらさないと示唆している。このこ
中期には、マネタリーベースの変化
の証拠は、流動性の罠のとき、短期、
ー ナ ン キ 議 長〈 当 時 〉)、「 ほ と ん ど
と は 異 な る 政 策 を 議 論 し た い 」( バ
った。それゆえ、我々は量的緩和策
ブだ。私には大きな効果が見えなか
関する私の評決は、極めてネガティ
)を行
e
s
a
h
c
r
u
P
t
e
s
s
A
e
l
a
c
S
e
g
r
a
L
300.0
ベース・マネー
200.0
M2
100.0
商業銀行信用
年までの日銀の量的緩和の効果
(1999年1月=100)
800.0
700.0
600.0
400.0
500.0
(出所)
Board of Governors of the Federal Reserve Systemデータ、
Datastream
を基に日本総合研究所作成
ャネルに関しては、当時はわが国に
政(財政ファイナンス)効果」のチ
これらのオペレーションに関して
すように大きく拡大した。ただし、
ス・シートは、図表5(7㌻)に示
総 裁〈 当 時 〉) と い う 発 言 が あ っ た
( イ エ レ ン・ サ ン フ ラ ン シ ス コ 連 銀
不適切であることを意味している」
は経済にほんのわずかの効果しかも
わな
されることになる。
おいて拡張的なスタンスの財政政策
MBS
財務省証券
ことが明らかにされている。Fed
QE3
(量的緩和3)
Fedはあえて量的緩和(QE)と
財務省証券(短期債を売 総需要刺激策
却し、
長期債を買い入れ)
がとられていたわけではなかったた
満期拡張プログラム
2011/9月∼
(オペレーション・ツイスト)
いう呼称は避け、一貫してLSAP
かな
〈図表4〉
連邦準備制度のLSAP
(大規模資産買い入れ)
プログラムの内容
め、当時の経験からの実証は叶わな
2010/11月∼ 財務省証券
2011/6月
という呼称を用いてきた。その理由
QE2
(量的緩和2)
目的
買い入れ資産
かった。
央銀行が「ゼロ金利」の状態で政策
2008/11月∼ GSEエージェンシー債
2010/3月
MBS
財務省証券
(=米国債)
危機の収束
QE1
(量的緩和1)
は、当初から米連邦公開市場委員会
(FOMC) メ ン バ ー が、 先 行 し て
非伝統的な手段による金融政策運
営の可能性に関して、当時唯一の経
金利の誘導に必要なレベルを大幅に
(出所)
Fed資料を基に日本総合研究所作成
Fedの考え方と政策運営
験だった日銀の量的緩和も踏まえ、
上回る規模でベース・マネーを供給
年
銀の経験に関して「量的緩和政策に
月のFOMC議事録においては、日
12
2012/9月∼
2014/10月
いた日本の量的緩和の経験から、中
このような理論的検討がなされつつ
しても、市中に供給されるマネー・
サプライの大幅な増加につながるこ
%と、
08
時期
プログラム
あったなかで、各国は世界的な金融
危機に見舞われることになる。
ていたためである。実際に、
月には0・
25
とはない、という点を明確に認識し
危機以降、Fedも他中銀と同様、
政策金利であるFFレートを断続的
年
12
に引き下げ、リーマン・ショックの
3カ月後の
08
消費者物価
0
1999 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年)
06
〈図表3〉
米国のマネタリー・ベース、
広義マネー、信用と消費者物価指数の推移
6
2014.12.8[月] 金融財政ビジネス 第 3 種郵便物認可
ム・プレミアムの縮小を目指す「信
利の信用リスクプレミアムやター
あくまで、QEとは異なり、市場金
としてはその後もこの考え方を貫き、
年8月のカンザスシティ連銀
ながら、政策運営を進めてきた。例
もFOMCにおいてたびたび議論し
同時にその副作用やリスクについて
が、 続 く6月 のFOMCで は、「 出
期金利が跳ね上がる場面もみられた
開始すると予告したことを受け、長
発な実証分析によって効果を確認し、 言でLSAPの段階的な縮小を近々
行して、組織内外の研究者による活
口戦略」の原則に関する検討が再度
るはずであるとFOMCは見込んで
準備への付利水準を上回って推移す
場におけるFFレートは、この超過
預託されている状況下において、市
のように巨額の超過準備がFedに
用いることが想定されている。現状
4
QE1
QE2
2.5
3
1.5
2
0.5
1
(出所)
Federal Reserve Statistical Release, Factors Affecting Reserve Balances(H.4.1)のデータを基に
日本総合研究所作成
金利の引き下げに寄与した、との複
年物の長期
キ前議長は、LSAPが米国の金融
のシンポジウムにおいて、バーナン
き 上 げ 誘 導 が で き る か ど う か、「 リ
の引き上げ、すなわち市場金利の引
売却することなく、実際に政策金利
LSAPによって買い入れた債券を
行 わ れ た。 同 年 9 月 か ら は、
れず、基本的に保有証券の満期落ち
を売却することは基本的には想定さ
ートの規模縮小のために、保有資産
いる。また、Fedのバランス・シ
を毀損する②Fedが緩和的な政策
なコストとして、①証券市場の機能
の基本的な考え方や、その際に採用
なお、この間、同9月のFOMC
に お い て は、「 出 口 戦 略 」 に 向 け て
い入れは停止された。
〈図表6〉
日米欧中央銀行の資産規模の推移
(名目GDP比)
(%)
60.0
50.0
40.0
30.0
ECB
10.0
Fed
BOE
0.0
市場において、実際に
数の実証分析結果を紹介し、その効
バースレポ・オペ」の試行も開始さ
からスムーズに脱出できることに関
する予定の政策運営やオペレーショ
そ れ に よ れ ば、Fedは 今 後 の 経
日銀
20.0
年1月からは
果は第一次・第二次LSAP(通称
れている。そして、
実際に、毎月ではないものの、1回
〜
120 bp 低下したと推計され、
当たり百億㌦ずつの、債券買い入れ
QE1・QE2) の 累 計 で
経済的に意味のあるものだ、と述べ
額の減額を開始し、
する大衆の信認がそがれる③金融の
月をもって買
た。また、LSAPにかかる潜在的
安定性に対するリスクとなる④
ンの内容についても公表されている。
があり得る─と指摘した。
利であるFFレートのターゲット・
き そん
Fedが財務面での損失を被ること
こうした認識を背景に、Fedは
「QE3」 の オ ペ レ ー シ ョ ン の 実 施
レンジの引き上げを実施する。実際
にそのレンジにFFレートを誘導す
済・金融情勢次第で、まず、政策金
年6月のFOMCから、
いわゆる「出口戦略」の原則に関す
るのに際しては、主として、超過準
に先立つ
る検討を開始し、その内容を対外的
備に対する付利の水準の引き上げを
(出所)
Datastream.
(原資料)
日本銀行、
内閣府、
FRB、
U.S.BEA、
ECB、
Eurostat、
BOE、
ONS
80
(年)
14
12
10
08
06
04
02
2000
1998
14
10
(年)
14
13
12
11
10
09
08
07
ーナンキ前議長が米議会における証
用緩和」との位置付けで、各局面に
えば
オペレーション・
ツイスト QE3
3.5
10
年5月には、バ
2014.12.8[月]
金融財政ビジネス 第 3 種郵便物認可
7
おけるLSAPを行ってきた。
(兆ドル)
4.5
12
に公表している。
13
レポ約定
MBS
連邦エージェンシー
負債証券全て
Notes Bonds 名目
Notes Bonds インフレ
連動
インフレーション・
コンペンセーション
T-Bill
ローン
Maiden Lane LLCs
ネットポートフォリオ保有
中銀流動性スワップ
0
2006
11
なお、Fedとしては、このよう
な政策運営によるデータの蓄積と並
〈図表5〉
連邦準備制度の主な資金供給手段による供給残高の推移
いる。
によって縮小させる方針が示されて
効果を中心に、LSAPの説明を行
「金利の押し下げ」という直接的な
ってきている。なお、QQEに関す
る実証分析はまだ限られているよう
冒頭にみたように、日銀は去る
月に追加緩和を実施したものの、そ
場合、並行して行われている拡張的
キ論文の整理に鑑みれば、QQEの
今後望まれる政策運営
の際、政策委員会メンバーの間には、
なスタンスでの財政政策運営による
年のバーナン
QQEによる金融政策運営の今後の
効果についても、今次緩和において
に見受けられるが、
在り方に関するスタンスに相当な差
10
内外が活発に取り組んできた実証分
一定の高さにあることもあり、組織
Fedの首脳陣は、市場金利水準が
に 見 受 け ら れ る。 こ れ に 対 し て
を置いた説明を行ってきているよう
な働きかけや、シグナル効果に重点
もむしろ、インフレ期待への直接的
QQEによる金利押し下げ効果より
も異なる。日銀の首脳陣はこれまで、
も異なるほか、効果に関する考え方
ース・マネーに対する考え方や扱い
ように見受けられる。そもそも、ベ
策運営とはかなり異なる側面もある
り組みなど、日銀のQQEによる政
認識の仕方、出口戦略の検討への取
の把握の仕方や、副作用やリスクの
これに対して、FedのLSAP
による政策運営をみると、その効果
があることが明らかになった。
くことが望まれる。
在り方を、国全体として議論してい
よく踏まえつつ、今後の政策運営の
要中央銀行における取り組みなどを
わが国としては、こうした事態に
ついての認識を広く共有し、他の主
と読み替えることができよう。
策運営上抱えているリスクの大きさ
は、各中央銀行が、先行きの金融政
銀の突出した動きが目を引く。これ
較 し て み れ ば( 図 表6、7 ㌻)、 日
産規模に表れている。その推移を比
このような政策運営スタンスの違
いの一つの帰結は、各中央銀行の資
対外的に説明してきている。
年の検討開始とともに、その内容を
を守っているのに対し、Fedは
期待形成への影響を考慮してか沈黙
は留意する必要があると考えられる。
11
また、出口戦略については、日銀は
析結果を基に、客観的に確認できる
04
8
2014.12.8[月] 金融財政ビジネス 第 3 種郵便物認可