化学Ⅱ 中間演習解答例 2014/12/8 第二・三章 1. 炭素とネオンの電子配置を記載しなさい。 主殻 軌道 L 2p K 2. 炭素 ↑ ↑ ネオン ↑↓ ↑↓ 2s ↑↓ ↑↓ 1s ↑↓ ↑↓ ↑↓ 次の結合の違いが分かるように、電子の側面から説明しなさい。 イ)イオン結合:閉殻構造を満たすようにイオン化したカチオンとアニオンが、静電的相互作用に よりつくる結合 ロ)共有結合:不対電子により形成される結合。結合を形成する二つの原子がそれぞれ電子を出す ハ)配位結合:ある原子の非共有電子対を他の原子が受け入れることにより形成される結合。 3. ナトリウムは自然界ではイオン化してイオン結合による分子を形成するが(例:塩化ナトリウム)、 炭素は自然界ではほとんどイオン化せず共有結合を形成することで分子として存在する。閉殻構造 という言葉を用いて、この理由を説明せよ。 炭素は電子 4 つの授受が閉殻構造の形成には必要である。4 価のアニオン、カチオンになるためのイ オン化エネルギーは、閉殻構造の形成による安定化と比べてもエネルギー的に不利なため、炭素は イオン化ではなく共有結合の形成により閉殻構造を満たす。 4. 炭素原子が他の原子と共有結合を形成する際に、2s 軌道の電子を 2p 軌道に移して混成軌道として 4 本の結合を形成する。なぜ、このような電子の昇位が必要なのか説明しなさい。 炭素は不対電子を 2 個しか持っておらずそのまま共有結合を形成してもでは閉殻構造を満たすこと が出来ない。そのため電子を昇位させて不対電子を 4 個に増やす。 5. sp3、sp2、sp 混成軌道を形成した炭素を中心とした際の、炭素と結合している原子の空間的な配置 を簡単に説明しなさい。 sp3 混成軌道:正四面体の頂点 sp2 混成軌道:三角形の頂点 sp 混成軌道:直線上の前後 6. 次の分子を A)平面上に全ての原子が存在する分子、B)直線状に全ての原子が配置された分子、C)そ れ以外、に分類しなさい。 A) 平面上に全ての原子が存在する分子 B) 直線状に全ての原子が配置された分子 1 C) それ以外 H C H 7. H H3C H σ結合の電子軌道は二つの原子核を結ぶ直線上に形成されるため、電子は主に二つの原子核の間に 留まり、強い結合となる。ではπ結合はなぜσ結合に比べて弱いのか、電子軌道から説明せよ。 π結合は結合軸から垂直方向に延びる p 軌道により形成されるため軌道の重なりが少なくその分結 合としては弱い。また、電子軌道も結合軸から垂直方向に離れて形成され、電子が原子核の正電荷 に縛られずに動き回りやすいため、弱くなる。 8. 電気陰性度は何を意味する指標か? 電子を引き付ける強さの指標。 9. 次の原子の電気陰性度の大小は? 炭素 < 酸素 炭素 > 水素 炭素 < 窒素 炭素 < 臭素 炭素 < 塩素 第四章 10. 次の分子の四角で囲った結合で生じる誘起効果を により示し、部分電荷を記載しなさい。 またそれぞれの分子が共鳴効果により電荷が分離した構造を記載しなさい。 δ NH2 δ+ δ HO O H δ+ O NH2 H O HO O 11. メタン(CH4)の沸点は-161.6℃、メタノール(CH3OH)の沸点は 64.7℃。この違いを誘起効果に より説明しなさい。 2 メタノールは酸素原子の誘起効果によりヒドロキシ基の酸素原子がδ-、水素原子がδ+となって いる。この部分電荷により水素結合が分子間で生じるため沸点が高くなる。一方メタンは炭素と水 素の電気陰性度の差が小さいためそれほど影響しない。そのため沸点は低い。 12. 次の分子の共鳴構造式を記載しなさい。また記載されている構造を基準として、相互に変換するた めの電子の動きについても記載しなさい。尚、閉殻構造が保たれている構造のみとする。 O O S O O O O S O O O O S O O O O S O O O O S O O O O S O O O O S O O 2 or 1/2 - O 1/2 O S O O - 1/2 - 1/2 13. 次の分子の共鳴構造式を記載しなさい。また記載されている構造を基準として、相互に変換するた めの電子の動きについても記載しなさい。尚、閉殻構造が保たれている構造のみとする。 A) O O O O H B) O H O H O O H O C) O O O 14. 問 11 の B と C は同じ炭素数でどちらも酸素原子に電荷が存在する構造であるが、どちらがより安 定か理由と共に述べなさい B は共鳴構造式が 4 つ記載できて電荷も分子全体に分散しているが、C は共鳴構造式は 3 つでかつ 電荷が分子の右側には分散していない。そのため B の方が安定である。 15. 共役している範囲を丸で囲みなさい 3 C 第五章 16. 問 10 の化合物について、官能基の名称を全て記載しなさい。 ミ 基 ア ノ NH2 H O 基 ケト HO ロキ 基 ヒド シ ル 基 O ア デヒド 17. カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基の構造を記載しなさい。 R O H R N O カルボキシ基 O O ニトロ基 R C シ アノ N 基 18. 分子式 C4H11N の構造異性体 9 種類をすべて記載しなさい。立体異性体も考慮すること。 NH2 NH2 NH2 NH2 N H N H NH2 N N H 19. 次の化合物を IUPAC 命名法に従って命名しなさい。立体配置はここでは考慮しなくてよい。尚、命 名の答えはアルファベット表記とする。 A) OH B) NH2 C) A) (S)-pentan-2-ol B) 2-methylpropan-1-amine C) (R)-5-methylhept-1-ene D) (S)-2-ethylpentanoic acid D) COOH 20. 以下の IUPAC 名を元に構造を記載しなさい。立体配置は考慮しなくてよい。 4 2-bromo-3-fluorobutanal ②2-ethyl-3-oxopentanoic acid ③8-amino-3-ethyldecan-3-ol ① ① F O ② O OH O Br ③ OH NH2 第六章 21. 単結合が結合を軸として自由に回転できる理由と、二重結合が回転できない理由を説明しなさい。 単結合は電子軌道が結合軸に沿って伸びているため回転しても軌道の重なりは変化しないため回転で きる。二重結合のπ軌道は結合軸から垂直方向に延びた p 軌道を利用しているため、回転すると軌道の 重なりがなくなり結合が切断されてしまうため回転できない。 22. 次の分子の炭素-炭素二重結合のシス・トランス(または E・Z)を答えよ。 H O ト ラン ス E CH3 シス Z 23. 次の分子について、A は CH3 と OH がアンチ配座、B は Cl と CH3, Cl と OH が共にゴーシュ配座 である配座異性体を矢印の方向から見た際のニューマン投影図を記載しなさい。 A) Br H HO Br CH3 H H H CH3 OH B) H H3C H H H HO H Cl HO H Cl H 24. 左右化合物は配座異性体か立体異性体か? H3C CH3 S S R H H H3C CH3 CH3 H3C H CH3 S R H3C H Br H - (R) 2 bromobutane R CH3 Br H CH3 - (R) 2 bromobutane 5 立体異性体 配座異性体 CH3 H 第七章 25. 次の構造の鏡像異性体(エナンチオマー)を記載しなさい。紙面の手前は より表現すること。 H O HO HOOC N H NH2 H Me Me OMe O H H2N Me MeO H N H OH HO COOH HOOC Me 、紙面より奥は H O N H Me Cl Cl に NH2 Me H OMe Cl 26. D 体の糖とアミノ酸の例を一つずつあげ、その構造式を記載しなさい。 H HO H H CHO OH H OH OH CH2OH H2 N OH O -a an ne D l i D glucose 27. 問 25 の化合物とその鏡像異性体の不斉炭素の RS を全て示せ。 H O HO HOOC S N H H Me Cl S NH2 Me OMe O H H2N Me MeO H N H H O HOOC R N H COOH Me Me S S HO OH R Cl Cl R NH2 Me H OMe R 28. 次の化合物の立体異性体をすべて記載し、ジアステレオマーとエナンチオマーに区別しなさい。 HOOC OH COOH CH3 CH3 HOOC OH HOOC COOH OH COOH CH3 CH3 CH3 CH3 全てジアステレオマー 6 HOOC OH COOH CH3 CH3
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