東京韓国学校 基礎生物 高1 ( )番 氏名( ) いじ 第3編 生物の体内環境の維持 1章 体内環境 1-1 体内環境の特徴 A. 動物の進化と体内環境 こうじょうせい 1) 動物の進化と恒常性 最初の生物な単細胞生物は海水の中で生まれて進化したと考えれている。 進化方向: 海水生物 淡水生物 陸上生物 □ 主な動物の体液濃度 体液(細胞外液)の成分は、海水の成分とよく似ている。 海水の塩の濃度 3.4%~3.6% 淡水生物 1.0% 哺乳類の体液の濃度 0.9% □ 恒常性:体内環境(体温、血圧、血糖、酸素の量、pH、さまざまな物質の濃度など)を常に一定に 保とうとするはたらき。 すべて生物は海水また自分専用の海水(体液)から必要な物質を取り入れ、不要な物質を捨てて、常に一定 に状態を維持しようとする。 まわりは海水 (体外環境) まわりは空気 (体外環境) 進化 自分専用の海水=体液 (体内環境) 必要なもの 必要なもの 不要なもの 不要なもの 最初の生物 (単細胞生物) 多細胞生物 - 1 - 東京韓国学校 基礎生物 高1 ( )番 氏名( ) ▫体内環境:細胞を囲まれている液体。(組織液、リンパ液、血しょう) ▫体外環境:生物が暮す場所。体の外の環境。肺や消化管の内側のように体外につながっている部分 筋肉組織 口腔 肺 胃 腸 肛門 【体内環境:ヒトの体液】 B. ヒトの体液:細胞の周囲を取り囲んでいる液体。 体液(細胞外液)=血液(血しょう)+組織液+リンパ液 ※ ヒトの体液の助成 + イオン Na 濃度 145 - K 117 4 Cl + 2+ Ca 3 ▫組織液:細胞を取り囲んでいる液体。血しょうが毛細血管から組織にしみ出たもの。 ▫血しょう:血液中の液体成分 ▫リンパ液:リンパ管系を流れる無色あるいは淡黄色の透明な液体。組織液がリンパ管に入ったもので,細胞成 めんえき 分としてリンパ球を含む。免疫機能(リンパ球)がある。 C. 組織液と血しょうとの関係 O2、ブドウ糖 毛細血管(血しょう) 組織液 組織細胞 CO2、老廃物 D. 血液の成分(p88~89) 遠心分離 血しょう(55%) 血球(45%):赤血球、白血球、血小板 - 2 - 東京韓国学校 基礎生物 高1 ( )番 氏名( ) 1) 血しょう ① 物質の運搬:水分、アミノ酸、無機塩類(イオン)、グルコース(ブドウ糖)、ホルモン、CO2 ちょうせつ ② 体温調節:水分 かんしょう ③ 緩衝作用(血液のpHの変化を抑える):水分 2) 赤血球:酸素の運搬 ▣ ヘモグロビン:鉄を含んだタンパク質。 (酸素)と結合して体の各部分の組織にO2を運ぶはたらき せんこうしょく あんこうしょく ヘモグロビン(暗紅色) + 酸素 ⇄ 酸素ヘモグロビン(鮮紅色) Hb + 4O2 ⇄ Hb(O2)4 かいり ▣ 酸素解離曲線 酸素ヘモグロビン (肺胞) 解 離 量 解離 ヘモグロビン + O2 (組織) O2 30 組織での酸素濃度 100 - 酸素濃度の低い組織:酸素を放出 - ヘモグロビンが結合する酸素の量は一定以上になると結合量は増えなくなる。 そのため、酸素解離曲線はS字形になる。 はいほう ▫ 肺胞の酸素ヘモグロビンの割合(96)% ▫ 組織の酸素ヘモグロビンの割合(30)% かいり ▫ 組織での酸素の解離量 96-30=(66)% - 3 - 肺胞 肺胞での酸素濃度 【ヘモグロビンの酸素解離曲線】 - 酸素濃度の高い肺:多くの酸素と合結 組織 東京韓国学校 基礎生物 高1 ( )番 氏名( しんにゅう ) はいじょ 3) 白血球:体内に侵入した細菌・ウイルスなどの異物の排除 ⇒ 免疫担当 けっしょうばん ぎょうこ 4) 血小板:血液の凝固 〔血液凝固反応〕 組織が傷つく → 血小板が集まってきます → 血小板は血液凝固因子を分泌 → 血液中にフィブ せんいじょう から リン(fibrin)という繊維状のタンパク質を形成 → フィブリンは赤血球などの血球と絡み合っ て血ぺい(かさぶた)をつくる → 止血 - 4 - 東京韓国学校 基礎生物 しんぞう 高1 ( )番 氏名( ) じゅんかん 1-2 心臓と血液循環(p86) A. 血液の循環 肺静脈 肺動脈 肺 大静脈 肺循環 大動脈 右心房 左心房 右心室 左心室 体循環 体 1) 血管の特徴 ▫(動脈):心臓から血液が出ていく血管。血圧が 高く壁が(厚い)。 ▫(毛細血管):動脈と静脈をつなぎ、組織の細胞 と接触する微細な血管。 ▫(静脈):血液が心臓に戻てくる血管。血圧が低 いので逆流を防ぐ(静脈弁)がある。 ▫門脈: 2) 心臓の特徴 ① 四つの弁がある ⇒ 血液が逆流するのを防ぐ ② 左心室の壁が右心室より厚い ⇒ 左心室は 全身に血液を送り出すために血圧を高くする必 要があるから。 3) 血液の分類 ▫(動脈血):酸素の多い(酸素ヘモグロビン が多い)血液、鮮やかな赤色(鮮紅色) ▫(静脈血):酸素が少なく二酸化炭素が多い(酸素ヘモグロビンが少ない)血液、暗い赤色(暗赤 色) - 5 - 東京韓国学校 基礎生物 高1 ( )番 氏名( ベン ) ※リンパ管と静脈の内部にはリンパ液、血液の逆流を防ぐ弁がついていて、筋肉の運動やリンパ管の しゅうしゅく 収縮運動によって、リンパ液、血液は一方向へゆっくり流れる。 ▣ 肺循環:細胞が出したCO2を体外へ出し、 O2を取り入れる。 心臓 CO2 ③ 肺 O2 ④ 心臓 ▣ 体循環:全身の細胞へ血液を送る。 心臓 O2 ① 体 CO2 ② 心臓 B. 血液循環量の調節 ▫全身の血液の循環速度→心臓の拍動の(頻度)や収縮力の(強弱)で調節。 ▫臓器ごとの血流量調節→各臓器の毛細血管の(入口)の大きさを変えて行う。 → 断面積の合計が最も大きいのは (毛細血管)。 → 血液量が最も多いのは(大静脈)。 → 血圧は毛細血管で急激に低下し,物質 のやり取りが可能になる。 - 6 - 東京韓国学校 基礎生物 高1 ( )番 氏名( ) 1-3 体内環境を調節する器官(p92) A. 肝臓による体内環境の調節 肺動脈 肺 肺静脈 静脈 静脈 動脈 肝動脈 肝静脈 肝臓 リンパ管 肝門脈 毛細血管 (水溶性) リンパ管 (脂溶性) 小腸 腎臓 尿素 きも 1) 肝臓の特徴 ① 成人で1~2kg,体内最大の臓器である。 ② 静脈・動脈および小腸の静脈とつながる(肝門脈)がつながっている。 しょうよう ③ 肝臓内に肝小葉(直径1mmほど)が集まる。 2) 肝臓のはたらき しょうちょう じゅうもう ① 栄養の貯蔵:小腸の(柔毛)から吸収された栄養分は(肝門脈)を通って肝臓に入る。 グルコースは(グリコーゲン)に合成され,貯蔵。必要に応じてグルコースに分解されて血液中に戻し (血糖値)の調節を行う。 - 7 - 東京韓国学校 基礎生物 高1 ( )番 氏名( ) ② タンパク質の合成と分解:体内環境を一定にするために大切なタンパク質 (例:アルブミン など)を合成し血液中に戻す。 ③ 尿素の合成:タンパク質が分解されたときに生じる有害な(アンモニア)を比較的無害な尿素につ くりかえる。 ④ たんじょう 胆汁の合成:古くなった赤血球のヘモグロビンを分解して,脂肪消化に関わる(胆汁)を生成。胆 たくわ 管を通して胆のうに蓄える。 ⑤ 熱の発生:肝臓内の化学反応に伴って熱を発生,発熱源として体温調節に役立てる。体の全熱発 生量の約22%を産生。 げ どく ⑥ (解毒)作用:有害な(アルコール)やアルデヒドなどを分解し無毒化する。 じんぞう B. 腎臓による体内環境の調節 胃 腎臓 肝臓 小腸 尿菅 大腸 ぼうこう 1) 腎臓のはたらき ① 老廃物(NH3から生じた尿素など) 排出 〔老廃物 生成〕 栄養素 構成元素 老廃物 排出方法 炭水化物、脂肪 C, H, O CO2, H2O タンパク質 C, H, O, N CO2, H2O, NH3 尿、汗、呼吸 ※ アンモニア(NH3)を肝臓で尿素として解毒して尿で排出 アンモニア 〈毒性物質〉 肝臓 尿素 〈無毒〉 腎臓 尿で排出 ② 体液の水分量やイオンの濃度調節=体液の濃度を一定に保つ。 - 8 - 東京韓国学校 基礎生物 高1 ( )番 氏名( ) 2) 腎臓の構造 しきゅうたい ① ネフロン(糸球体+ボーマンのう+細尿管):尿を作る構造単位 しきゅうたい ② 腎小体:糸球体+ボーマンのう 糸球体:毛細血管が複雑に絡まった小球。 ボーマンのう:糸球体を包み込む袋状の構造。 ③ 細尿管:ボーマンのうにつながる細長い管。 集合菅 尿 腎小体 拡大 細尿管 〔ネフロン〕 3) 尿ができるまで ① ろ過:糸球体からボーマンのうへろ過される。 ※ ろ過が起きる理由:血圧差によって押し出す。 (動脈より糸球体の毛細血管が細かく血圧高いため) - ろ過されないもの:血球、血しょう中のタンパク質。 - ろ過されるもの:水分、ブドウ糖(=グルコース)、無機塩類、アミノ酸など。 しきゅうたい ・原尿:糸球体で血液がろ過された液体。 ・尿:原尿から必要な成分を血液中に戻した残りの液。 きゅうしゅう ② 再吸収:原尿から必要なものを回収する。 ・原尿が細尿管や集合管を通過するときに周囲の毛細血管へ回収されて血しょうへ戻される。 + + - 再吸収されるもの:水分、ブドウ糖、無機塩類(Na 、K )、アミノ酸 ・ブドウ糖とアミノ酸はすべて細尿管から毛細血管へ再吸収。 ・水分と無機塩類は必要に応じて再吸収。 - 9 - 東京韓国学校 基礎生物 高1 ( )番 氏名( - 再吸収されずに濃縮するもの:(尿素)や老廃物。⇒ 尿として排出。 ∴ 尿素の濃度:原尿 〈 尿 3) 血しょう、原尿、尿の中のおもな物質濃度の比較と濃縮率 (單位:g/100mL) 成分 血しょう 原尿 尿 排出加無 タンパク質 7.2 0 0 血しょうに残る ブドウ糖 (グルコース) 0.1 0.1 0 再吸収 アミノ酸 0.05 0.05 0.00 再吸収 尿素 0.03 0.03 2.0 濃縮して排出 + 0.3 0.3 0.34 排出 2+ Ca 0.02 0.02 0.15 排出 水 90.92 98.92 97.10 排出 Na - 10 - )
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