生命を維持するはたらき

第2章 生命を維持するはたらき(教p90~)
1 呼吸
ヒトの器官のうち、体外とのガス交換をおこなうのは
肺である
(やってみよう)肺が空気を出し入れしているしくみを
考えてみよう(教p91)
○方法
①教科書の写真にあるように肺のモデル装置を作る
②ペットボトルの底の風船を手で引いたり、戻したりし
たときの内部の風船の様子を観察する
③ペットボトルの側面を押しつぶしたり、戻したりした
ときの内部の風船の様子を観察する
○結果
風船を引いたとき →内部の風船は
風船を戻したとき →内部の風船は
ペットボトルを押したとき →内部の風船は
ペットボトルを戻したとき →内部の風船は
(便覧40-2B)
○考察
肺には筋肉がないので、自ら運動することができない
ペットボトルの底につけた風船は
にあたり、
ペットボトル自体は
にあたる
息を吸うときは、ろっ骨が筋肉によっ
ろっ骨が
て
、横隔膜が縮んで
→肺が
空気が
横隔膜が
息を吐くときは、筋肉が
ろっ骨
ろっ骨が
は元の位置に戻り、横隔膜は
→肺は
ので、
空気が
横隔膜が
(便覧40-2)
ヒトの呼吸器官の構造
気管支
気管
気管支
肺動脈
肺胞
肺静脈
肺胞
毛細血管
横隔膜
※肺胞は直径0.3mmほどの小さな袋で、気管支の
先端に位置する。ヒト(成人)ではその数は2~3億個
※肺胞のつくり
といわれる
※毛細血管は非常に細い血管で、肺胞を包み込んで
いる。気体は血管壁を
※肺胞と毛細血管との物質交換
○取り込まれた空気の流れ
口や鼻 →気管 →肺(気管支) →肺(肺胞)
→空気中の酸素は血液中の
(血液(血しょう)中の二酸化炭素は肺胞の中へ)
気体
酸素
窒素
酸素
水蒸気
赤血球 二酸化炭素
吸気
78.42%
20.19%
呼気
74.34%
15.76%
0.75%
0.04%
6.18%
4.21%
二酸化炭素
※肺が無数の肺胞からつくられている理由
肺の
ため
→
が大きいと、効率よくガス交換を行うこ
とができる ※肺のはたらき動画1 ※肺のはたらき動画2 ※肺のはたらき動画3
いろいろな呼吸器官
○肺呼吸:肺を用いるガス交換
(例)
○えら呼吸:えらという器官を通して、水中でおこなうガス
※魚のえら
交換
※外鰓
(例)
○皮ふ呼吸:体表を使って行うガス交換
(例)
2 血液とその循環(教p93~)
血管
からだの隅々まで血液を運ぶ管
(便覧38-1C)
血管
動脈:心臓から血液が
血管壁は厚く、弁はない →圧力がかかるため
血管
静脈:心臓に血液が
血管壁は薄く、弁がある →逆流を防ぐため
毛細血管と組織液およびリンパ管とリンパ液 (便覧39-3)
毛細血管:動脈の末端と静脈の末端をつなぐ細い血管
血管壁が薄いので、血液の液体成分が浸み
出し、細胞を浸す(→
)
※組織液
リンパ液 :組織液が全身にはりめぐらされたリンパ管
に入ったもの。
で血管に戻る
血液
赤血球
組織液
リンパ液
リンパ球
※リンパ球は異物を排除する機構(
)に関与して
いる
観察3(メダカの尾びれの毛細血管を観察しよう)(別紙)
メダカの尾びれの毛細血管に見られた粒は
と
呼ばれる血液の成分である
血液の成分
赤血球 :ヘモグロビン(Hb)という鉄
(便覧39-2)
を含む色素をもち、酸素を運
※赤血球の働き
搬する細胞
固形成分
Hbは、O2が
、CO2が
ときほど酸素と結合しやすい
白血球:体内に進入した細菌や異
血液
物を排除する細胞(
)
※血液の成分
※血液と血球
※白血球の食作用
血小板:けがをしたとき血液を
※血液凝固動画
※血小板
させる
液体成分・・・血しょう :栄養分・老廃物(CO2)・熱
※血しょうの働き
などの運搬
心臓と血液の循環
心筋と呼ばれる筋肉からなり、全身に血液を送り出す器官
心房(静脈が戻ってくる部屋)と心室(動脈を送り出す部
屋)からなる
肺
全身の組織
逆流を防ぐ弁
厚い
薄い
(ヒトの心臓を正面から見た図)
○拍動 ※心臓内の血液の流れ
心房と心室が交互に収縮・し緩を繰り返すこと。1日に10
万回にもなる
①心房がし緩し、
血液が静脈から
心房へ
②心房が収縮、
心室がし緩し、
血液が心室に
流入
③心室に血液が
溜まる
④房室弁が閉じ、
心室が収縮し、血
液が動脈へ
※体循環
※肺循環
○血液の循環
(便覧38-1A)
:酸素を多く含み、二酸化炭素の乏しい血液
:二酸化炭素を多く含み、酸素の乏しい血液
血液は二つの経路を通って全身を循環している
:心臓 →肺動脈 →肺 →肺静脈 →心臓
( 脈血)
( 脈血)
:心臓 →大動脈 →全身の組織 →大静脈→心臓
( 脈血)
( 脈血)
※肺動脈には
ことに注意
が、肺静脈には
が流れる
(確認)
右図はヒトの血液循
環の道筋を模式的に
示したものである
血液の流れを矢印で
表すと共に、各部の
名称を記入せよ
ただし、動脈血、静脈
血の流れる血管をそ
れぞれ赤、青の矢印
で表すこと
肝臓
門脈
腎臓
小腸
○いろいろな心臓のつくり
魚類
全身への血流が
は虫類
不完全だが隔壁が生じ、
心室で血液が
(教p99図22)
両生類
心室で動脈血と静脈血
が混合
鳥類
哺乳類
心室での混合なし
3 消化と吸収(教p100~)
食物 ※食物に含まれる養分
:生物のからだを構成するもののうち、炭素を含
む化合物
:からだの調子を整えるためなどに必要な成分
ビタミン・食塩・カルシウムなど
これらのからだを構成する物質はどこから来るのか?
(有機物の例)
(便覧36-1D)
○炭水化物 :
・
・
からなる糖で、主要なエネ
ルギー源である
パン・ご飯などの食品に含まれる
(例)
、
など
○タンパク質:
・
・
・
・
からなり、から
だをつくる成分になるほか、エネルギー源に
もなる
肉・魚・牛乳などの食品に含まれる
と呼ばれる物質が結合してできて
いる
(例)コラーゲン、ケラチンなど
○脂肪 :炭素・水素・酸素からなる物質で、エネルギー源
として貯蔵される
油・バターなどの食品に含まれる
と
が結合してできている
消化
消化:食物に含まれている有機物などの養分を吸収さ
れやすい形に変化させる過程
(実験1)デンプンに対するだ液のはたらきを調べよう
のはたらきによって、
<結果1> デンプンは
(
)や
(
)などに変
化した →
によって変化した
<結果2> だ液のはたらき具合は
→
(
)で最もよくはたらいた
○消化器官
食物から必要な養分を
体に取り入れるはたらき※食道のはたらき動画
をしている器官
○消化管 (便覧36-1A) ※胃のはたらきアニメーション
※胃のはたらき動画
口から始まり、食道、胃、
小腸、大腸を通ってこう門
に終わる一本の長い管
※食べ物の通り道アニメーション
(問)右図の(
)に名称を
※小腸のは
記入し、消化管を赤で塗りま たらき動画
しょう
※消化管以外の消化器系(ナレーション付)
※消化管を通る食物の様子
※大腸のはたらき
アニメーション
○消化液
消化器官から出される性質の異なる液
消化液
作られる場所 はたらく場所
だ液
胃液
たん汁
すい液
腸液
※十二指腸
胃と小腸をつなぐ消化管。約25cm(指12本分)の幅
であることからこのように呼ばれる
※十二指腸のはたらきアニメーション
○消化酵素
消化液に含まれ、食物の養分を大きい分子から小さ
い分子に変えるはたらきをもつ
でできており、ある決まった相手にしか
はたらかない
消化酵素自体は
ので、
はたらくことができる
付近の温度で最もよくはたらく
(消化酵素の具体例)
炭水化物を分解する消化酵素 ※デンプンの消化
大きい分子
→
アミラーゼ
デンプン
→
マルターゼ
マルトース
→
酵素名
小さい分子
※グルコース=
マルトース=
タンパク質を分解する消化酵素 ※タンパク質の消化
酵素名
大きい分子 →
小さい分子
→
ペプシン
タンパク質
→
タンパク質
トリプシン
ペプチダーゼ (ポリ)ペプチド →
※アミノ酸がいくつか(50個未満)結合したものをペプチド
といい、それ以上多く結合したものをポリペプチドという
(タンパク質はポリペプチドのうち機能的にはたらくもの)
脂肪を分解する消化酵素 ※脂肪の消化
→
酵素名
大きい分子
小さい分子
リパーゼ
脂肪
→
○消化の過程
消化管 消化液 炭水化物
だ液
口腔
胃液
胃
たん汁
十二指腸
すい液
小腸
(便覧36-1B)
タンパク質
脂肪
※
腸液
最終物質
吸収場所
小腸の
小腸の
※たん汁には消化酵素は含まれないが、たん汁に含ま
れる
は脂肪の消化を助ける作用がある
(やってみよう)デンプンとブドウ糖の分子の大きさを比
べてみよう
右図のような操作を行い、セロ
ファン内の液体とビーカー内の
液体をそれぞれヨウ素液とベ
ネジクト液で検査した。結果は
どのようになると考えられるか。
ヨウ素液
セロファン内
ビーカー内
ベネジクト液
○草食動物と肉食動物の歯の違い(教p106トピック)
具体例
肉食動物
ライオン
草食動物
シマウマ
骨格
発達している歯
腸の長さ
比較的
比較的
※肉食動物と草食動物の消化管
○草食動物はなぜ植物だけを食べて生きていけるのか
(教p106トピック)
草食動物の胃には微小な生物がおり、動物が消化でき
ない炭水化物を分解してくれる
また、それらの微小生物も栄養源として吸収するため
吸収と利用
消化された養分はどうなるのだろうか?
→消化された養分は消化管から体内に吸収される
有機物は小腸の壁から吸収される
(便覧37-2A)
(小腸の表面)
毛細血管
リンパ管
※小腸の壁のつくり
小腸の壁には多数のひだがあり、小さな突起(
)で
覆われている
→
を大きくし、効率よく吸収するため ※小腸の表面積
(便覧37-1B)
○養分のゆくえ
グルコースやアミノ酸 →柔毛の
→
→肝臓
→心臓
※小腸の血管
→全身の細胞へ
脂肪酸やモノグリセリド →柔毛の
(柔毛で脂肪に再合成)
→
→心臓
※小腸のリンパ管
→全身の細胞へ
水分や無機塩類 →大腸の
→
(一部はそのまま静脈へ)
→肝臓
→心臓 →全身の細胞へ
これらの養分は全身の細胞で細胞呼吸に用いられる
※ヒトの消化器
○肝臓のはたらき(教p109トピック) ※ヒトの肝臓
①
をつくる
②養分を蓄える
グルコースからグリコーゲンをつくる
③解毒作用
有害な物質を無害な物質にする
(例)アンモニアから
をつくる
排出
細胞でできた不要な物質を体外に出すはたらきのこと
細胞(の)呼吸の結果生じる物質
→水・二酸化炭素・老廃物
※老廃物 :飲食物が利用されたあと、体内に不要となっ
た物のこと
最終的には便や尿、汗などになる
この水や老廃物の排出には、腎臓や肝臓などがかか
わっている
○腎臓
(便覧41-1)
腹部左右に一対存在する
血液をろ過し、不要な物質をこしとる
→不要な物質とこしとられた水はぼうこうに貯められ、
尿として排出される
腎臓は多数の腎単位(ネフロン)からなる
髄質 皮質
※腎臓のしくみ
※腎臓のはたらき
拡大
ろ過
腎う
皮質
腎臓
ぼうこうへ
髄質
※ブドウ糖などの栄養分も
一旦ろ過されるが、水と共
に毛細血管に
される
腎うへ
毛細血管
集合管
(復習)
それぞれどんな元素から構成されていたか?
炭水化物・脂肪 :炭素・酸素・水素
→よって、呼吸によって生じるのは と
タンパク質 :炭素・酸素・水素・窒素・硫黄
→よって、呼吸によって生じるのは と
と
(と
)
※アンモニア(毒性
)は肝臓で尿素(毒性
変えられて排出される
)に