9月号 - 山陰経済経営研究所

調 査 報
山陰経済
2014 年 9 月 ≪№ 54 ≫
基調判断
(2014/7月中心分)
株式会社 山陰経済経営研究所
消
費税増税前の駆け込み需要の反動により個人消費や
住宅建設で弱さが残るものの、公共投資、生産等で
増勢を維持しており、基調としては持ち直している。
最近の国内経済については、緩やかな回復基調が続いており、消費税率引き上げに伴う駆け込み
需要の反動も和らぎつつある。
このような状況のもと、当地経済をみると、
公共投資は、7月の公共工事請負金額が7カ月ぶりに前年を下回った。基調としては持ち直して
いる(2014年4~7月累計の対前年比は9.6%増、全国11.4%増)
。
設備投資は、2014年度は、製造業は前年度を上回るものの、非製造業が下回る計画となってお
り、全産業でも前年度を下回る計画(日銀短観6月調査の全産業設備投資額は、2013年度実績対
前年度比52.8%増、2014年度計画同4.9%減)
。
住宅建設は、6月の新設住宅着工戸数が2カ月連続で前年を下回った。消費税増税前の駆け込み
需要の反動があり、持家を中心に減少傾向にある。
個人消費は、大型店売上高(7月)が4カ月連続で、乗用車新車登録台数(7月)が2カ月ぶりに、
家電量販店販売額(6月)は3カ月連続で、それぞれ前年を下回った。消費税増税前の駆け込み需
要の反動は和らいでいるものの、弱い動きになっている。
生産は、6月の鉱工業生産指数(季調済指数)が、鳥取県で3カ月ぶりに、島根県も2カ月ぶりに、
それぞれ前月を下回った。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が一部でみられるものの、
総じて緩やかに持ち直している。
雇用情勢は、6月の有効求人倍率が、鳥取県では前月差0.02ポイント低下の1.00倍、島根県で
は前月差0.03ポイント上昇の1.22倍であった。両県ともに持ち直している(全国は1.10倍)
。
企業の業況判断は、足元、製造業、非製造業ともに悪化し、全産業でも悪化となった(前回3月
調査20→今回4)。先行きについては、製造業、非製造業ともに横ばいを見込んでおり、全産業で
も横ばいの見通しとなっている(日銀短観6月調査)
。
このように、当地の景気は、消費税増税前の駆け込み需要の反動により個人消費や住宅建設で弱
さが残るものの、公共投資、生産等で増勢を維持しており、基調としては持ち直している。
先行きについては、個人消費を中心に消費税増税前の駆け込み需要の反動による影響が徐々に薄
れるなかで、公共投資や生産等が堅調に推移すると見込まれることから、緩やかな持ち直しの動き
が続くものと予想される。
Monthly San-in Economy
お でみる 経済ダイジェスト
1公投 共資
基調
判断
トレンド
3 住建 宅設
6 雇情 用勢
(▼)
(△)
(△)
2 設備
投資
トレンド
4 個消 人費
トレンド
5 生産
トレンド
トレンド
企業の
7業況判断
トレンド
区 分
明るい
トレンド
トレンド
一部に明るさ
停 滞
不 振
厳しい
会議室 の ウ ラ
※詳細は 4 ページ以降を
ご覧下さい。
△:前月より区分を上方修正
▼:前月より区分を下方修正
( )
は区分修正の一歩手前
の状況。
「トレンド」 は、前月の判断
と対比しての変化方向を示す
(区分修正を伴わない場合
もあり)
。
話
Confidential Talk
第54回
「あなたもクリエイターに?」
研究員A:そろそろ休憩時間も終わりだよ。はやくスマートフォンしまって仕事を始めてね。
研究員B:すみません、友人とのやりとりが長引いてしまって…すぐ片付けます。
研究員C:私はまだ携帯電話を使っていますが、周りはスマホが多くなってきましたね。
研究員A:内閣府の「消費動向調査(平成26年3月実施)
」によると、スマートフォンの普及率は
※1
54.7% と5割を超える結果になったようだね。
研究員B:総務省の「家計調査」では平成12年に電話通信料の個別集計を開始して以来、1世帯
1カ月当たりの移動電話通信料※2の支出金額は増加傾向にあるようですね。
研究員C:ところでさっきBさんがしていたのは?
研究員B:ああ、先ほどは友人と無料通話・メールアプリで週末出掛ける予定の打ち合わせをして
いました。
研究員C:そういえば先日、無料通話・メールアプリの1つ“LINE”の利用者数が世界で4億人
を突破したというニュースがありましたね。
研究員B:最近その中で、クリエイターズスタンプをよく使っているんですよ。
研究員A:それも先日話題になっていたね。ユーザーがオリジナルのスタンプを世界中に販売でき
ると、今年5月から開始されたサービスで、人気のものになると、ここ3カ月で1000
2
2014/9 No.54
SEMI’s Eye
∼ 今 月のトピックス∼
S an-in E conomics & M anagement I nstitute
境港、浜田港の貿易総額推移
境港貿易額
︻輸出額︼
輸出
輸入
輸出
2013年の境港、浜田港の
輸入 210
640
140
480
70
320
160
70
0
140
160
320
280
480
640
︻輸入額︼
︻輸入額︼
210
貿易総額(輸出+輸入)は、
両港とも前年対比増加しま
した(境港+28.6%、浜田
港+4.8%)。
なお、各港の取扱品目で
︵億円︶
︵億円︶
0
︻輸出額︼
800
浜田港貿易額
最も多いものは、境港『輸
出=鉄鋼、輸入=木製品及
びコルク製品(除家具)』、
浜田港『輸出=自動車、輸
入=石炭』でした(2013年
分)。
350
2005年 06
07
08
09
10
11
12
13
2005年 06
07
08
09
10
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12
13
《資料出所:神戸税関》
お伝えしている山陰の経済動向。
背景にはどんなお話が隠れているのでしょうか?
毎月開かれている研究員の月例会議の様子を、
ほんのちょっとですが紹介します。
万円以上の収入を得ているクリエイターもいるようだね。
研究員C:これに限らず、情報を発信する場が増えることで自分のアイディアが思わぬ収入に繋が
る可能性が広がってきますね。
研究員A:収入とはならなくても自分のアイディアが地域の活性化に一役買うこともあるだろう。
イベントや地域を象徴するキャラクター、施設の名称など日々様々な場所でアイディア
を募っている。まだ残暑も厳しいけれど、そろそろ芸術の秋だ、君たちも何か自分の創
造性を発揮してみたら。
研究員B:そういえば、今年度全線開通予定の中国横断自動車道尾道松江線の愛称が募集されてい
る(9月末まで)ようですよ。
研究員C:全線開通によって、
“ヒト・モノ”の動きが一層活発になることが期待されますね。応
募締切まで約1カ月…ちょっと考えてみます!
※1 一般世帯(2人以上の世帯)を対象
※2 2人以上の世帯を対象
移動電話通信料(携帯電話、PHS及び自動車電話通信料(データ通信[パケット等]料を含む)など)
~まだまだ研究員たちのお話は続いていますが、今日はこの辺で~
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