調 査 報 山陰経済 2014 年 2 月 ≪№ 47 ≫ 基調判断 (2013/12月中心分) 株式会社 山陰経済経営研究所 個 人消費は上向きつつあり、また、公共投資、住宅建 設、生産等で持ち直しの動きがみられるなど、総じ て持ち直している。 最近の国内経済については、緩やかに回復している。 このような状況のもと、当地経済をみると、 公共投資は、12月の公共工事請負金額が2カ月連続で前年を下回った。水準は低いながらも持 ち直している(2013年4~12月累計の対前年比は9.2%増、全国17.9%増) 。 設備投資は、2013年度は製造業、非製造業ともに前年度を上回る計画(日銀短観12月の全産 業2013年度設備投資額は対前年度比69.7%増) 。 住宅建設は、11月の新設住宅着工戸数が8カ月連続で前年を上回った。持家を中心に持ち直し ている(2013年1~11月累計の対前年比は13.1%増、全国10.4%増) 。 個人消費は、 大型店売上高(12月)が2カ月連続で、 乗用車新車販売台数(12月)が4カ月連続で、 家電量販店販売額(11月)が3カ月連続で、それぞれ前年を上回った。消費税増税前の駆け込み の動きがみられるなど、総じて上向きつつある。 生産は、11月の鉱工業生産指数(季調済指数)では、鳥取県は3カ月ぶりに前月を上回り、島 根県は3カ月ぶりに前月を下回った。一部に弱さが残るものの、総じて緩やかな持ち直しの動きが みられる。 雇用情勢は、11月の有効求人倍率が、鳥取県では前月差0.03ポイント上昇の0.97倍、島根県 では前月差0.03ポイント上昇の1.15倍であった。両県ともに持ち直しの動きとなっている(全 国は1.00倍)。 企業の業況判断は、足元、製造業、非製造業ともに改善したことから、全産業で改善(4→14) となった。先行きについては、製造業、非製造業ともに悪化を予想しており、全産業でやや悪化 (14→10)の見通し(日銀短観12月) 。 このように、当地の景気は、個人消費は上向きつつあり、また、公共投資、住宅建設、生産等で 持ち直しの動きがみられるなど、総じて持ち直している。 先行きについては、公共投資は、水準は低いながらも堅調な推移が見込まれ、また、個人消費は 消費税増税前の駆け込み需要が強まるなど、総じて持ち直しの動きが続くものと予想される。 Monthly San-in Economy お でみる 経済ダイジェスト 1公投 共資 基調 判断 2 設備 投資 トレンド 3 住建 宅設 (△) トレンド 4 個消 人費 5 生産 トレンド 6 雇情 用勢 トレンド トレンド 企業の 7業況判断 トレンド 区 分 明るい トレンド トレンド 一部に明るさ 停 滞 不 振 厳しい 会議室 の ウ ラ ※詳細は 4 ページ以降を ご覧下さい。 △:前月より区分を上方修正 ▼:前月より区分を下方修正 ( ) は区分修正の一歩手前 の状況。 「トレンド」 は、前月の判断 と対比しての変化方向を示す (区分修正を伴わない場合 もあり) 。 話 Confidential Talk 第47回 「消費税引き上げ前に買った(買う)ものは?」 研究員B:いよいよ「第22回オリンピック冬季競技大会(2014/ソチ) 」が開催しますね。 研究員A:現地(ソチ)と日本の時差は約5時間のようだよ。深夜の放送もあるだろうから、2月 7日~23日の17日間は中継に没頭して寝不足にならないようにね。 研究員C:テレビといえば、地デジ移行や家電エコポイントの反動で映像関連商品等を中心に苦戦 していた家電業界ですが、最近は持ち直しの動きがみられるようですね。 研究員B:山陰両県の家電量販店販売額(直近11月)は前年比2.3%増で3カ月連続のプラスと なっています。価格の低下で、台数が売れても販売額はさほど伸びなかったテレビです が、4Kテレビなど高価格商品の登場等によって、前年を上回る売り上げ(単月)とな る店舗もあるようです。 研究員A:Windows XPとOffice2003の延長サポート終了※(2014年4月9日)を間近に控 えて、パソコンにも動きが出ているようだね。 研究員C:消費税率引き上げ(2014年4月:5%⇒8%)も大きく影響しているでしょうね。こ れまでは住宅建設が好調でしたが(山陰の住宅着工戸数は2013年4月以降8カ月連続 2 2014/2 No.47 SEMI’s Eye ∼ 今 月のトピックス∼ S an-in E conomics & M anagement I nstitute 基準地価変動率の推移 (%) 2.0 【住宅地 基準地価変動率推移】 0.0 ▲ 2.0 ▲ 4.0 全国 鳥取県 島根県 ▲ 6.0 ▲ 8.0 2003 04 05 06 07 08 09 10 11 12 2013年 10 11 12 2013年 (%) 【商業地 基準地価変動率推移】 2.0 0.0 ▲ 2.0 ▲ 4.0 ▲ 6.0 全国 鳥取県 島根県 ▲ 8.0 ▲ 10.0 ▲ 12.0 2003 04 05 06 07 08 09 《資料出所:国土交通省「都道府県地価調査」》 山陰両県の基準地価の変動 率は、バブル経済崩壊後、デ フレや人口減少、人口構成の 変化等の要因により、下落が 継続している。 住宅地の基準地価の変動率 は、鳥取県は2000年から、島 根県は2003年からマイナス圏 で推移している。ただ、両県 ともに下落率は縮小となって いる(鳥取県:2012年対比0.4 ポイント縮小、島根県:同0.3 ポイント縮小) 。 また、商業地も2013年の基 準 地 価 の 変 動 率 は、2012年 に比べ鳥取県は下落率が縮 小(2012年 対 比1.2ポ イ ン ト 縮小) 、島根県も縮小(同0.4 ポイント縮小) となっている。 お伝えしている山陰の経済動向。 背景にはどんなお話が隠れているのでしょうか? 毎月開かれている研究員の月例会議の様子を、 ほんのちょっとですが紹介します。 プラス(4-11月) 。10月は前年比73.1%増) 、昨年秋頃からは家電や自動車などの耐久消 費財も前年を上回る売り上げ等がみられます。 研究員A:より高額な商品から順に影響が感じられたね。年度末に向けて嗜好品や日持ちのする食 料品などにも駆け込みがみられるだろうし、小売店の動向にも注目したいね。 研究員B:そういえば今回発刊の『消費動向調査』 (当社調べ、2013年11月実施)では特別調 査として増税による影響について尋ねていたね。 研究員C:はい。 “増税となった場合の消費行動”や“消費税引き上げ前に購入または購入予定の 商品について”など調査結果をまとめています。 研究員A:定例の部分についても、足元の動向に加えて、消費者が増税後の消費行動についてどの ような見通しをしているのか気になるところだね。 ※Windows Vista、Office2007は2017年4月に延長サポート終了予定 ~まだまだ研究員たちのお話は続いていますが、今日はこの辺で~ 3
© Copyright 2024 ExpyDoc