平成 26 年度 計量経済学 I 第 9 回 「重回帰係数の t 検定」 原 尚幸 . . 新潟大・経済 http://www.econ.niigata-u.ac.jp/˜hara/ecm1/ [email protected] H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 1 / 20 重回帰モデルの両側 t 検定 重回帰モデル Yi = β0 + β1 Xi1 + · · · + βK−1 Xi,K−1 + i , i = 1, . . . , n ある k に対して 帰無仮説 H0 : βk = 0 対立仮説 H1 : βk = 0 という両側検定を考える Yi は Xik によって説明されているか否かの検定 ⇔ Yi が Xik の関数になっているか否かの検定 議論は単回帰モデルの両側 t 検定とほとんど同様 H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 2 / 20 t 統計量 t 統計量 tk := bk OLSE = ck S 標準誤差 . を t 統計量と言う. [t 統計量の性質] 1 H0 : βk = 0 が正しいとき t ∼ t(n − K) . H0 の下で tk は 0 の周辺に分布 H0 の下では |tk | は小さい値を取りやすい 2 H1 : βk = 0 が正しいときは βk が 0 から離れるほど tk も 0 から離れて分布 もはや t 分布にはしたがわない tk は 0 から離れた値を取りやすい ⇔ |tk | は 大きい値を取りやすい H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 3 / 20 両側 t 検定 両側 t 検定の手続き |tk | > t0.025 (n − K) で H0 を棄却し , H1 を採択 |tk | ≤ t0.025 (n − K) で H0 を採択 . 重回帰モデルの場合も , このような t 分布に基づく検定を 両側 t 検定という . |tk | > t0.025 (n − K) を満たす tk の領域を棄却域という |tk | ≤ t0.025 (n − K) を満たす tk の領域を採択域という H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 4 / 20 より一般の両側 t 検定 H0 : βk = c, H1 : βk = c の検定 H0 : βk = c H1 : βk = c の両側検定も tk := bk − c ∼ t(n − K) ck S となることを用いて |tk | > t0.025 (n − K) で H0 を棄却し , H1 を採択 |tk | ≤ t0.025 (n − K) で H0 を採択 . で検定を行う 変わったのは t 分布の自由度くらい あとの議論はほぼ同様 H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 5 / 20 一般の t 統計量・p 値 重回帰モデルの場合も一般に t 統計量は t= OLSE − 仮説の値 標準誤差 とあらわすことができる t∗ : t の実現値 検定の p 値も単回帰モデルの場合と同様に p 値 = P (|t| > |t∗ |) で定義する H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 6 / 20 復習:検定の p 値 検定の p 値 t : t 統計量 t∗ : t 統計量の実現値 . P (|t| > |t∗ |) をこの検定の p 値, あるいは有意確率と言う . p 値 = 水色の部分の面積 両側 t 検定 p 値 < 0.05 で H0 を棄却 p 値 ≥ 0.05 で H0 を採択 p 値は H0 からの離れ具合の指標 −t∗1 H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 0 t∗1 Dec 2, 2014 7 / 20 復習:検定の p 値 検定の p 値 t : t 統計量 t∗ : t 統計量の実現値 . P (|t| > |t∗ |) をこの検定の p 値, あるいは有意確率と言う . p 値 = 水色の部分の面積 両側 t 検定 p 値 < 0.05 で H0 を棄却 p 値 ≥ 0.05 で H0 を採択 p 値は H0 からの離れ具合の指標 −t∗1 H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 0 t∗1 Dec 2, 2014 7 / 20 検定の結果のまとめ方 1 実証研究において, OLS 推定を用いた実証結果を論文・レポート に する際には 1 2 3 4 . OLS 推定値 標準誤差 t 統計量 p値 の情報を β0 , . . . , βK−1 のすべてについて書きましょう. . . . H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 8 / 20 区間推定と仮説検定 両側検定 H0 : βk = c, H1 : βk = c 棄却域 |tk | = bk − c > t0.025 (n − K) ck S βk の信頼区間 Ik = [bk − t0.025 (n − K)ck S, bk + t0.025 (n − K)ck S] 信頼区間に c が入っていないとする bk − t0.025 (n − K)ck S > c, or bk + t0.025 (n − K)ck S < c ⇔ H. Hara (Niigata U.) bk − c > t0.025 (n − K) ck S 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 9 / 20 区間推定と仮説検定 両側検定 H0 : βk = c, H1 : βk = c 採択域 |tk | = bk − c ≤ t0.025 (n − K) ck S βk の信頼区間 Ik = [bk − t0.025 (n − K)ck S, bk + t0.025 (n − K)ck S] 信頼区間に c が入っているとする bk − t0.025 (n − K)ck S ≤ c ≤ bk + t0.025 (n − K)ck S ⇔ H. Hara (Niigata U.) bk − c ≤ t0.025 (n − K) ck S 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 10 / 20 区間推定と仮説検定 帰無仮説 H0 : β1 = c が有意水準 5% で棄却されることと , c が 95% 信頼区間の外に出ることは等価 帰無仮説 H0 : β1 = c が有意水準 5% で採択されることと , c が 95% 信頼区間の中に入ることも等価 ⇓ 区間推定と仮説検定は互いに背中合わせ H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 11 / 20 重回帰モデルの片側 t 検定 重回帰モデル Yi = β0 + β1 Xi1 + · · · + βK−1 Xi,K−1 + i , i = 1, . . . , n ある k に対して 帰無仮説 H0 : βk = 0 対立仮説 H1 : βk > 0 という片側検定を考える Yi が Xik と比例的か否かの検定 議論は単回帰モデルの片側 t 検定とほとんど同様 H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 12 / 20 H1 : βk > 0 の片側検定 t 統計量 tk := bk ck S は以下の性質を持つ H0 : βk = 0 が正しいとき tk ∼ t(n − K) H1 : βk > 0 が正しいときは βk が 0 から離れるほど tk は 0 から正の方向に離れて分布 H1 が正しいとき, tk は正の大きな値を取りやすくなる tk が負の方向に大きくずれることはまずない H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 13 / 20 片側検定 片側検定の手続き H0 : βk = 0 H1 : βk > 0 の場合 tk > t0.05 (n − K) で H0 を棄却し , H1 を採択 tk ≤ t0.05 (n − K) で H0 を採択 . 重回帰モデルの場合も , このような t 分布に基づく検定を 片側 t 検定という tk > t0.05 (n − K) を満たす tk の領域を棄却域という tk ≤ t0.05 (n − K) を満たす tk の領域を採択域という H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 . Dec 2, 2014 14 / 20 H1 : βk < 0 の片側検定 H1 : βk < 0 の片側検定も同様 t 統計量 tk := bk ck S は以下の性質を持つ H0 : βk = 0 が正しいとき tk ∼ t(n − K) H1 : βk < 0 が正しいときは βk が 0 から離れるほど tk は 0 から負の方向に離れて分布 H1 が正しいとき, tk は負の小さな値を取りやすくなる tk が正の方向に大きくずれることはまずない H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 15 / 20 片側検定 片側検定の手続き H0 : βk = 0 H1 : βk < 0 の場合 tk < −t0.05 (n − K) で H0 を棄却し , H1 を採択 tk ≥ −t0.05 (n − K) で H0 を採択 tk < −t0.05 (n − K) を満たす tk の領域を棄却域という . tk ≥ −t0.05 (n − K) を満たす tk の領域を採択域という . H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 16 / 20 Excel による回帰分析 Excel を用いると簡単に回帰分析ができる 便利な計量経済分析用のソフト ウェアはいくらでも存在する F166・経済調査実験室にも「 Eviews」と「 R」を入れてもらった Eviews は有償で , そこそこ高価 R はフリーだが , プログミング言語なので苦手な人も多いかも その点で Excel は汎用性も高いし , 非常に気楽に分析ができる 今回は簡単な分析のデモをしてみる Windows 環境を前提としています Mac 版には対応していません H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 17 / 20 Excel による回帰分析 準備 1 分析ツールの組み込み ファイル ⇒ オプション ⇒ アド イン アド インの Box から「分析ツール」を選んで「 OK」 . Mac 版は分析ツールをサポートしていない 別の方法もあるのだがここでは省略 . H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 18 / 20 Excel による回帰分析 準備 2 データの用意 説明変数が連続した列にくるようにデータを配置 3 とりあえず散布図などを描いてみる データをド ラッグ 挿入 → 散布図 → 散布図 (マーカーのみ ) . H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 19 / 20 Excel による回帰分析 分析の手順 1 2 3 データ → データ分析 分析ツールから「回帰分析」を選択して OK 入力 Y 範囲に被説明変数, 入力 X 範囲に説明変数のデータ範囲を 指定 該当するデータをド ラッグして指定すればよい 4 5 データにフィールド 名を加えた場合は「ラベル」をチェック . 出力先を適当に指定して OK t 検定までなら非常に簡単に分析できる 自分の素手で分析を行うと理解度は格段にアップする H. Hara (Niigata U.) 重回帰係数の t 検定 Dec 2, 2014 20 / 20
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