精道三川台中学校 2 年 細井 明延 「沖へ漕ぎ出せ!」 2014 年の夏は、僕にとって忘れられない 職員である加藤さんに「今の日本の姿をど 夏になりました。福岡空港を出発後、初め う思いますか」と、質問しました。すると ての海外への期待と長時間のフライトの恐 「日本は集団主義が徹底しているため服装 怖で一杯でした。しかし、オランダのスキ も持ち物もほとんど同じでつまらなく感じ ポール空港に無事到着した時、2000 年 4 月、 る」とおっしゃっていました。確かに日本 生まれる前(母の胎内にいた頃)に来たの 人は流行りの物があったら、すぐ周囲を気 も、生まれて初めて来たのもこの空港だっ にして、何でも手に入れているような気が たんだなと不思議な縁を感じました。2014 します。それに比べフランス、イギリスは 年 7 月 26 日。海外への一歩を踏みしめた記 服装や持ち物は自分が好きな物を自由に持 念すべき日となりました。 ち、歩く時も群がらずに歩いていました。 翌日の 7 月 27 日、早速パリの観光をしま 個人主義が徹底している国とは聞いていま した。2 つの美術館、ルーブル美術館、ポ したが、まさにこの様子に表れているんだ ンピドゥーセンターを訪れ、有名な芸術作 なと思いました。 品に触れることができました。ルーブル美 ただ、 「あれ?」と感じたこともあります。 術館では宮廷の絵師による絵画が多く、そ それはお土産選びです。最初僕はフランス、 の当時の様子がきめ細やかに描かれていま イギリスでしか手に入らない物を買おうと したが、展示の仕方が一つの壁にぎっしり 思っていました。しかし実際は中国製や東 で、名画の価値を十分に鑑賞することが出 南アジア製の物ばかりで、日本に売ってい 来なかったことは残念でした。しかし後日、 る物までありました。帰国後、国際関係の 新聞やテレビ等でルーブルを見ると、 「こん 本を読んでみると「今、ヨーロッパでしか なにすごい美術館に本当に行って来たん 手に入らない物は無い」と書かれていまし だ!」と、感慨深かったです。ポンピドゥ た。また、グローバル化という言葉も見つ ーセンターは、近代美術が主で個性的な抽 けました。国境を越えて人の行き来も盛ん 象画や作品が多く、大変共感を持ち、 「芸術 になり、様々な文化の沢山の物が流通して は自由である」ということを強く感じまし いる現象のことです。どこに行っても同じ た。 物が売られ、その国の固有の文化が見られ 国際機関も訪問出来ました。フランスで なくなる恐れがあるそうです。 は、UNESCO、OECD、イギリスでは、IMO,JBIC 「もし、世界のグローバル化がさらに進 を訪れました。僕は個人的に OECD の日本人 むと今よりもっと格差が生じ、途上国は取 - 30 - り残される可能性がある。」JBIC の内野さ た。そして、旅行の準備を整えてくれた両 んもそうおっしゃっていました。 親にも感謝したいと思います。 メドウェイの青少年交流は、初めて同年 フ ラ ン ス に 、 Les voyages forment la 代と交流できて楽しい思い出となりました。 jeunesse(旅が若者を成長させる)という 2歳年上のキーランは僕と同じくイタズラ 格言があるそうです。海外での素晴らしい 好きですぐに意気投合しました。今はメー 研修の機会をいただき、大きく成長するこ ルのやりとりを楽しんでいます。ホームス とができたと感じています。この研修でこ テイでお世話になったアンスローさんとも ぎだした、僕の次なる目的地は東南アジア 連絡を取り合っています。皿洗いと食器拭 やアフリカです。グローバル化の事を調べ きを申し出たら、喜んでさせてもらえまし ていくに従い、生命の源である作物、農業 た。また一緒にサッカーをしたり、近くに に関心を持ちました。まだまだ先進国の助 あるケント大学を見学しました。何より驚 けが必要な国に赴き、日本とは異なる環境 いたのは大きな公園が近くにたくさんあっ に身を置いて災害や貧困問題、食糧問題に たことです。これは残念ながら日本にはあ ついて現地の方と共に考え、共に創り出し まり見られない光景だと思いました。 ていきたいです。そのためには、世界で起 ロンドン長崎県人会の方々との夕食会で こる様々な問題を他人ごとに捉えず、これ は、70代位の雲仙市出身の男性がお隣で からの学びも単に成績のためなどではなく、 した。偶然にも出発の1週間前に小浜や口 人のお役に立つ、人の命を救うためのもの 之津に化石採集に行ったばかりでしたので、 だと思って精一杯頑張りたいと思います。 小浜にあった旧軽便鉄道の話などで大いに 盛り上がりました。 今回僕は英語の辞書を持って行くのを忘 れてしまい、わからない時もありましたが コミュニケーションとしては問題なく、楽 しく英会話をすることが出来ました。しか しフランスでは失敗しました。出発前に数 回フランス人の知人から、挨拶はもちろん、 チーズを真空パックにしてもらう頼み方ま で習ったのに、全く相手にしてもらえず、 本当に残念でした。これを機に帰国後もフ ランス語の勉強を続けています。 今回の長崎っ子の研修で、僕たちを 8 日 間引率してくださった長崎県教育庁の本多 先生、長崎県国際課の貞松さん、僕の推薦 書を仕上げてくださった校長先生をはじめ、 中学校の先生方、本当に有難うございまし - 31 -
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