JS技術開発情報メール№.157「長寿命化に関する情報」掲載 禁無断転載 第2回で紹介しました「平成25年度に実施したB-DASHプロジェクト(管渠マネ ジメントシステム) 」の続きを報告します。 JS では「高度な画像認識技術等を応用した効率的な管路マネジメントシステム技術に関 する技術実証事業」として、千葉県船橋市をフィールドにスクリーニング調査技術※の実 証を行いました(日本下水道事業団、日本電気株式会社、船橋市の三者からなる共同研究 体で実施) 。このたび10月28日に国土技術政策総合研究所により「スクリーニング調査 を核とした管渠マネジメントシステム技術導入ガイドライン(案) (以下、 「ガイドライン」) 」 が策定されましたので、その内容と昨年度の成果をご報告させていただきます。 ※スクリーニング調査技術とは、詳細調査の対象を絞り込むスクリーニングのための技 術。広範囲の管渠を、迅速、安価、効率的に調査するため、詳細調査ほどの調査精度は求 めず、調査前の洗浄等の前処理も極力実施しない。 昨年度の実証事業のフィールド概要は次のとおり 調査対象:船橋市習志野台団地地区(住宅地)、湊町地区(ターミナル駅周辺中心市街地) 布設年度:昭和 44 年~昭和 62 年 調査延長:分流式 21km、合流式 9km (うち 27km 調査可能、残りは未洗浄のため調査不可能) 管種:コンクリート管及び塩ビ管 ガイドラインの概要は次のとおり 1.本技術の特徴と分類 分類 ス ク リ ー ニ ン グ 調 査技 調査 スクリーニング 方式 調査対象 走行型 スパン 特徴 ①管渠内を停止することなく走行。撮影 術 ②撮影画像を事務処理持ち帰り展開図 「画像認識型カメラ」 化し異常の程度を判定。現場での拘束時 間短縮、判定作業の軽減が可能 ③管 1 本ごとの異常を把握し、スパン全 体の緊急度を判定 ④異常箇所を自動検出し、判定者の労力 を大幅に軽減 ⑤緊急度判定が可能で詳細調査を必須 としない 画像認識型カメラは、7 つの小型カメラ(前方ステレオカメラ2、周囲カメラ4、後方カ メラ1)を搭載し、前方及び周囲を漏れなく撮影し展開図化が可能で側視による異常箇所 Copyright©2014 日本下水道事業団技術戦略部 JS技術開発情報メール№.157「長寿命化に関する情報」掲載 禁無断転載 の確認が不要です。また異常箇所ごとに機器を停止する必要がないため日進量を大幅に航 行させることが可能です。 また、画像認識技術を用いた不具合検出アルゴリズムにより、異常箇所を自動的に判別 し検出できます。具体的には、予め収集した異常・正常箇所などの画像を教師データとし、 機械学習により検出ソフトウェアの動作を調整します。このソフトウェアに画像を入力す ると欠陥のカテゴリー(クラック、腐食等)を自動に出力するものです。異常診断は自動 検出された箇所のみを室内で技術者が異常程度の判定を行い、報告書も自動作成されるた め内業を大幅に軽減することが可能です。NEC㈱の画像認識技術は、指紋認証や顔認証 の分野では世界トップクラスの精度を誇り、その技術を下水道管渠内の異常箇所の検出に 活用しています。まさにイノベーション! 2.性能緒元 ガイドラインでは、本技術を使用した場合に期待される性能が整理されています。その うち性能諸元(日進量、調査コスト、確認可能な異常項目とランク)を紹介します。 評価項目 日進量(m/日) 定量的諸元 340m/日~480m/日 ※実証研究の結果をもとに 30m スパン想定で算定 ※当研究体の実証では、ほぼ汚泥のない管路で条件の良い場合は、 1,865m÷616 分×6 時間=1,090m/日という試算結果もあります。 調査コスト(円/ 520 円/m~670 円/m m) ※実証研究の結果をもとに 30m スパン想定で算定 ※直接作業費(洗浄費や経費は含まず) 確認可能な異常項 「下水道管路施設の点検・調査マニュアル(案)平成 25 年 6 月 目とランク (公社)日本下水道協会」に基づく 10 項目のA,B,a,b ランク この他にもガイドラインには、調査方法や現場諸元等実証研究をもとに得られた項目が 整理されておりますので、管渠調査に取り組んでいる方々は一度目を通してください。 ガイドラインのおわりに記載があるように管渠マネジメント技術は未だ発展途上であり、 人口減少社会の到来、老朽化施設の急増、下水道技術者の減少などにより、現場のニーズ が益々高まることから、今後もより効率的な技術開発が期待されているところであり、J Sとしても本技術の改良等を加え今後の展開を図っていく所存です。 本技術は、さっそく今年度の受託箇所においてスクリーニング調査に活用する予定です。 また、管内洗浄後に詳細調査としても活用できないかという検証も行う予定です。 アセットマネジメント推進課 Copyright©2014 日本下水道事業団技術戦略部
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