2014 年 11 月 20 日(木) M2 中間報告 GI-SAXS 法による Bi ナノ粒子の形状観察 3 研 M2 渡辺拓 菱面体晶系である Bi は、基本構造として 3 配位のシート構造を作り、そのシートがスタックしている 2 次構造を作ってい る。このように、基本構造と 2 次構造という階層性がある Bi がナノ粒子になったときに、金属元素や Si,Ge のナノ粒子と異な る形状や粒子間相互作用を有することが期待される。粒子の形状を観察するには、電子顕微鏡という手段もあるが、それで は断面しか観察出来ない。そこで今回、試料表面にすれすれ入射して薄膜内部の小角散乱強度を測定する微小入射角 X 線散乱(GI-SAXS)の実験を行い、Bi ナノ粒子の形状や粒子サイズ・粒子間距離などを検討した。 試料は研磨した Si 基板に島状蒸着法によりナノ粒子を作製した。測定は KEK の PF BL-6A で試料を真空容器にセッ トし、GI-SAXS 測定を行った。測定の模式図を図 2 に示す。GI-SAXS 測定では、X 線の波長は 1.5Å であり、カメラ長は 1071mm、検出器は二次元検出器である Pilatus を用いた。解析は、Igor pro のマクロである公開されている FitGISAXS で行った。 図 3 の左に平均膜厚 1nm の GI-SAXS パターンを示す。𝑞𝑦 : − 1~1(𝑛𝑚−1 )、𝑞𝑧 ∶ 0~2(𝑛𝑚−1 )の所に強い特徴的な 強度分布が見られた。まず、いくつかの形状因子を仮定し、GI-SAXS シミュレーションを行い、実験結果をよく再現している 形状因子がどれかということを調べた。その結果、一番よく再現されているのは半楕円球であることが分かった。次によりよく再 現するために𝑞𝑦 方向に切り出し、粒子の分散などを考慮しプロファイルフィッティングを行い、粒子の粒径などの構造パラメータ ーを導出した。解析の結果から、粒径が10.8nm,粒径の分散の半値幅は 5.1nm、粒子間距離は 18.2nm であることが 分かった。次に、導出したパラメーターを用いて GI-SAXS パターンのシミュレーションを行った結果を図 3 の右に示す。また、シ ミュレーションで得られた画像は実験結果と比べて、qy ∶ −1~1(𝑛𝑚−1 )の所の強度分布と形状、qz ∶ 1~2(𝑛𝑚−1 )の特徴的 な強度分布が似ているので、Bi ナノ粒子の形状因子は半楕円球に一番近いと考えている。 図 1:結晶ビスマスの構造 図 3:左:測定データ、 図 2:測定の模式図 中央:形状因子:Hemispheroid、 右:シミュレーション結果
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