全国 保健師長会 だより 生き生きと活力ある保健師活動をめざし、 つながりを強化する基盤を築きます 加藤 静子 乳児死亡率の低下をめざした母子 と、結核を中心とした感染症対策、 保健師活動を振り返ってみる ミュニティーの脆弱化が進展して 域 の つ な が り の 希 薄 化、 地 域 コ 世帯の増加や家族機能の低下、地 みると、単身世帯、特に単身高齢 家族形態や地域コミュニティを る保健事業の可視化、PDCAサ 報の標準化および評価・公表によ 組織間の連携強化、地域保健の情 活 用 が 強 調 さ れ て い ま す。 ま た、 協働したソーシャルキャピタルの ニーズに対応するために、住民と 保 健 活 動 は、 多 様 化 し た 住 民 の 改正されました。これからの地域 地区担当の保健師が地域全体をマ こ と が 重 要 だ と し、 そ の た め に、 と、住民や地域のもつ力を高める 協働により課題解決に取り組むこ 向けて関係機関や組織、住民との 康課題としてとらえ、その解決に する要因や潜在ニーズを地域の健 さらに、住民の個別課題に共通 ことが重要であるとしています。 全国保健師長会 会長 保健活動など、保健師は社会の要 います。また、雇用の基盤が揺ら イクルに基づく保健活動の構築な ネジメントする地区活動の重要性 3657万人 (高齢化率 ・5%) に 請や住民の生活実態の変化に対応 ぎ、貧困や所得格差の拡大などが どが盛り込まれています。 うになりました。人口構造も大き 活習慣病が全体の6割を占めるよ 位レベルに到 達し、疾 病 構 造も生 幅に改善して、平均寿 命は世界上 その結果、国民の健 康状態は大 る中、社会保障制度を持続可能な 費の社会保障給付費が増大し続け れています。年金給付や国民医療 の存在も大きくクローズアップさ おり、格差社会における健康格差 住民の健康状態にも影響を与えて されました。 を 「みる」「つなぐ」「動かす」が明示 保健師の活動の本質として、地域 動 に 関 す る 検 討 会 報 告 書」で は、 た「地域における保健師の保健活 や家族を対象とした個別支援を行 また、地域診断に基づき、個人 長会の調査研究事業などに取り組 月の全国保健師長会総会、保健師 師長研修会やブロック研修会、 平成 年度は、7月の全国保健 年度に実施した さまざまな活動 ることとしています。 が強調され、地区担当制を推進す 月にとりまとめられ く変化し、少子高齢化の加速はと 制度にすることが重要な政策課題 うとともに、地域全体や関連施策 みました。 25 全体を俯瞰して総合的にとらえる 24 平成 年 どまることなく、高齢者人口は「団 策 推 進 に 関 す る 基 本 的 な 指 針」が 平成 年7月には、「地域保健対 となっています。 年には 3 24 11 達すると見込まれています。 し、住民や地域の健康課題解決に 発生しています。こうした現象は、 保健師と地域保健を 取り巻く状況 真剣に取り組んできました。 30 塊の世代」 が 歳以上を迎える平成 歳以上となる平成 37 24 65 年 年 に は3300 万 人 を 超 え、 また 75 25 34 2013.4 公衆衛生情報 年8月現在 4639名となり、活動も年々充 み を 行 っ て ま い り ま す。 さ ら に、 ブロックの研修や研究的な取り組 標準化、可視化が図れるよう、各 ケ ー ジ」な ど の 役 割 を 担 っ て い た 実しています。全国保健師長会の 「地域における保健師の保健師活 会員数は平成 て、 岩 手 県 陸 前 高 田 市 の 健 康 調 査 ことがわかりました。また、統括 会長として、「会の運営に多くの会 動 に 関 す る 指 針」を 受 け、 自 治 体 住民を適切機関につなげるリン 事業 へ の 協 力 で は 、 全 国 の 会 員 に 的役割を担う保健師は「被災地域 員が参画し、活動の充実を図るに ごとの活動指針の作成に向け、研 特に、東日本大震災の支援とし ・ 全体の健康課題を明確にして活動 は ど う し た ら よ い か」を 常 に 考 え ・ 月の健康調査に全国から 年 を推進する」「保健師を適正に配置 ています。 協 力 を 要 請 し た 結 果、 名の 方 々 に 協 力 を い た だ く こ と が す る」な ど、 迅 速 な 対 応 を と っ て 保健師の受け入れ体制や派遣保健 今後の検討課題としては、支援 て、全国からの会員が参加できる 区部会、市町村部会の委員につい 政令市・指定都市・中核市・特別 で以上に求められます。そのため わたる専門的能力の充実がこれま 今後の保健師活動には、多岐に り組みたいと考えています。 修会を開催するなど、積極的に取 でき ま し た 。 ま た 、 青 森 県 支 部 や いたことが明らかになりました。 期的に「社会福祉協議会の相談員」 師の体制整備、中長期的な支援体 ように輪番制を導入しました。 や現任教育の実施を通して、とも 月から本年3月まで定 への 相 談 支 援 事 業 に 協 力 を い た だ 制、発災前に準備すべき公衆衛生 年度からは運営委員や委員会体 に育ち合う組織風土を醸成し、保 は、 年 きま し た 。 さ ら に 、 被 災 地 の 保 健 看護活動などが挙げられました。 制を強化するため、副会長を増員 日本 大 震 災 に お け る 保 健 師 活 動 の 地域保健総合推進事業では、「東 まれました(本誌2月号「東日本大 県の 保 健 師 と の 交 流 事 業 に 取 り 組 応などを記載しました。また、被 関する記述の追加、津波の際の対 役割や中長期的な支援のあり方に した。統括的立場にある保健師の 健 師 活 動 マ ニ ュ ア ル」を 改 訂 し ま 月に作成した「大規模災害時の保 す。 護の連携を図る組織体制としま の参加を促し、保健衛生部門と介 ンターに配置されている保健師 では、介護保険や地域包括支援セ するとともに、健康日本 なる発展のため、会員一人ひとり ながら、つながりを強化する基礎 を担う若い保健師の成長を支援し ある保健師活動をめざし、次世代 切です。そして、生き生きと活力 年度の活動テーマは、「社会の れ な が ら、 実 践 を 理 論 に つ な げ、 求められる保健師活動を視野に入 健康格差の縮小など新たな時代に 保健師長会は、健康寿命の延伸や を 目 指 し ~」を 掲 げ ま し た。 全 国 がけてまいります。 最後に、全国保健師長会のさら を築いてまいります。 健師活動を伝承していくことが大 実 際 と そ の 課 題」を テ ー マ に 研 究 災地で活用する健康調査票等様式 課題に向き合う保健師活動の展開 委員会 事業 に 取 り 組 み ま し た 。 具 体 的 に 集についても、関係機関と連携し 21 返り、命と健康と生活を守る活動 25 震災から一年」参照)。 は、 東 日 本 大 震 災 に お い て 被 災 地 の意見を反映させた活動を常に心 年度のテーマは、 「社会の課題に向き合う 保健師活動の展開」 ~公衆衛生看護活動の原点に立ち 25 ながら改訂に取り組みました。 師の 活 動 報 告 書 の 分 析 お よ び 被 災 地自 治 体 で 統 括 的 役 割 を 担 っ た 保 健師 へ の イ ン タ ビ ュ ー を 行 い ま し た。その結果、災害直後は「情報 54 年 目 を 迎 え ま す。 全国保健師長会は昭和 年に発 足 し、 今 年 で 35 収集や分析」「避難所の公衆衛生看 25 支援 を 行 っ た 自 治 体 に 対 し 、 保 健 には、保健師基礎教育過程の充実 師へ の 支 援 と し て 、 大 場 エ ミ 前 会 以上の結果を受け、平成 年3 年 度 か ら は、 都 道 府 県 部 会、 埼玉 県 支 部 の 会 員 な ら び に O B に 24 長や 藤 山 明 美 前 常 任 理 事 が 、 福 島 24 10 54 24 護診断」「医療や福祉ニーズをもつ 公衆衛生情報 2013.4 35 18 10 12 24 11
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