固体表面化学研究室 - 化学科 - 岡山理科大学

岡山理科大学 理学部 化学科
教授 橘高 茂治
講師 高原 周一
固体表面化学研究室
ナノテクノロジーの基礎となるナノチューブ・多孔体の合成方法や
ナノ空間に閉じ込められた物質の性質について研究しています。
ナノメートル(10-9 m)程度のミクロな構造を作り、
新しい機能を発現させるための技術。ナノテクは、
IT(情報技術)、バイオとならぶ、これからの
キー・テクノロジー。
ナノテクのもたらすもの:
情報:
LSI、メモリーの高密度化
量子コンピューター
機能物質: 物質分離、分子カプセル
センサー 超微粒子
機械:
マイクロマシン、分子機械
ナノテクノロジーの中でも重要な分野である
新しいナノチューブの合成を行っている。
触媒作用をもつ五酸化バナジウム水和物(V2O5・nH2O)ナノ
チューブを合成。
(五酸化バナジウム水和物は硫酸の合成にも使われる酸化触媒)
1 nm(ナノメートル)って?
-
+
難燃剤として
使われる
Mg(OH)2で、
ナノチューブ
を合成。
0.1nm
1 nm = 原子10個分程の長さ
分子カプセルにも使われる
多孔性シリカ(MCM-41)
ナノ空間(10-9 m程度のサイズの微細空間)に液体が
閉じ込められると、液体分子の運動性が変化する。
固体表面上に分子がどのように吸着してい
るかを調べている。
例えば、メタノールなどの水素結合を形成する液体では、
ナノ空間内での分子の運動性が著しく低下することが明ら
かになった。
吸着とは:
アセトニトリル
物質の表面に分子がくっつくこと。
身近な吸着現象:
シリカゲルによる水分の吸着→乾燥
活性炭による有機物質の吸着→浄水・脱臭
メタノール
Cr2O3表面上に吸着した水分子
(シミュレーション結果)
固体表面
固体表面
水素結合がないと、分子は
あまり動きにくくならない。
水素結合があると、分子の
動きにくさが伝播する!
この研究は、潤滑油やクロマトグラフィー(物質分離技術
のひとつ)などの研究に応用できる。
例えば、酸化ク
ロムCr2O3表面
上に吸着した水
分子は低温で
「二次元氷」を
形成することが
わかった。
273.1 K
低温では分子1層からなる
「二次元氷」を形成。
353.5 K
高温では「2次元氷」
が融解。