●視察での「気付き」を活かして、 6市町村が足並み揃えて広域観光の推進へ 現在、高崎~長野間で営業運転中の北陸新幹線 だが、2014年度末には長野~金沢間の開業が見込 まれている。長野駅の隣には飯山駅が完成予定。新 幹線駅が誕生すれば飯山を中心に大幅な集客アッ プが期待できると同時に、手をこまねいていては単 に通過駅となってしまう危険性もある。この一大チャ ンスを逃すまいと、飯山駅周辺の6市町村では北信 地域の広域的な観光推進の取り組みを進めている。 北信州は志賀高原を中心とした高原と千曲川河 畔に広がる里山に恵まれた地域。湯田中渋温泉郷 や野沢温泉などの大温泉街から秘境の温泉までが 点在し、緩やかな時の流れと豊かな自然を実感でき る。そうした「北信州エリア」という観光エリアを旅行 者に認識してもらうためには、まず市町村の枠組み を超えた地域連携が必要だ。JRCが行った8月の講 演会には該当地域の行政・観光関係者が出席し、地 域連携に向けた意識を育む機会となった。また旅の 目的が多様化した最近の旅行者動向にもふれ、ユ ーザーの意見を取り入れて観光資源を適切に組み 合わせた観光商品開発が求められる点も指摘した。 講演会を受けて9月からは6市町村の視察を順次 開始した。JRCでは全国の観光地を見てきた経験を 活かして「旅行者視点」から各地域の観光資源を 探っていった。北信州エリアには多様な自然景観が 残され、地域の人々のホスピタリティーが高いといっ たエリアの強みを確認することができた。 視察を踏まえた北信州エリアのブランド化の方向 性は、1月の報告会で共有。旅行者のニーズを探る 「じゃらん宿泊旅行調査2011」のデータも参考にファ ミリー層、シニア層それぞれに向けた北信州観光モ デルコースを提案して、本視察の締めくくりとした。 「視察時は各市町村の自然や観光施設を周ってあり のままの姿を見てもらったのですが、JRCの視察者 の目を通すことでさまざまな気付きがありました。地 元では珍しくない山ノ内町や栄村の郷土料理『早そ ば』も県外の人には興味深く思える点ですとか、単体 では目的地にはなりえない観光資源でもモデルコー スとして提案すると十分な売りになる点など、多くの 収穫がありました。あくまでも今回は北信州エリアの ブランド化へ向けた第一歩。今後の取り組みに活か したいです」(長野県北信地方事務所・角張友幸氏) 【取り組んだ地域の方々】 長野県北信地方事務所商工観光課/飯山市/木 島平村/栄村/中野市/野沢温泉村/山ノ内町 ほか 視察後の報告会、および報告書では、「じゃ らん宿泊旅行調査」の長野県データ分析結 果とともに、6市町村・観光資源視察を通して、 視察者の目からの気づき、北信らしさを訴求 できるコース例を紹介した
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