1/4 日本自閉症協会熊本県支部 講演会:平成16年6月27日(日) テーマ:∼通所・入所の施設での暮らしと支援費システムについて∼ --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- ★支援費制度と今後の施設運営について:甲斐正法先生(第二城南学園園長) ◆城南学園(入所施設)∼第二城南学園(通所施設)開園∼現在 ・城南学園で生活する方(6歳から親元を離れ肥後学園や城南学園などで暮らしている方)の一言が 印象に残っている。 「自分はいつまでここに居ればいいのか?」 「施設しか行くところが無いのか?」 この言葉を受けて、 「入所施設の出口を作りたい」と思うようになった。 (平成2年) 修士課程で学んでいる時に、グループホームを見学したりした。 → 当時は就職先がある人だけしかグループホームに入れなかった。 ・平成5年、宇城で初めての通所施設である第二城南学園開園。 入所、通所の両施設ができたことで、障害者の選択肢が増えた。 しかし、宇城地区に一箇所しかないという意味では選択肢はない。 例えば、通所施設に通いたい方がいる場合、第二城南学園が断れば その方は入所施設しか行き場が無くなる。 ・開園当初はバブル崩壊後で仕事の発注業者が倒産し、予定していた授産科目がなくなった。 → そこで、マンション・アパートの清掃管理事業「福祉の掃除屋さん」をはじめた。 → 例えば自閉症の方は以前の状態を鮮明に覚えているので、その時に比べて汚れているところに よく気付く。そして汚れたところに真っ先に行き綺麗に掃除する。 ⇒ これらの方は掃除、家事などができるので、老人の介護ヘルパーができるのでは? 実際にヘルパー3級の養成をしてくれる養護学校もある(?)。 ・平成6年、グループホーム藤山を設け、グループホームから通所授産施設への通所が可能となった。 (県内で初めての試み) グループホームでのこと: → 当初、みんなで共同で使うところ、台所、お風呂などについては、誰も掃除しようとしない。 2∼3日放っておいてもそのまま。 → 指示待ちの状態になっていることがわかった。 → みんなで話し合って決めることができるようになった。 ・平成11年、熊本県より障害者ケアマネジメント事業の委託を受け、試行事業を行う。 ・平成14年、グループホームくぬぎの森を設ける。 ◆今後の施設運営の展開 1.障害者ケアマネジメントを通じて ・支援費制度には「施設支援」「居宅支援」の2つがある。 2/4 通所の方は両方受けることができる。 ・障害者の家族および障害者本人は、支援費制度についての情報を適正に知る権利がある。 福祉事務所の担当者は、利用者が分からない時は、分かるように説明する義務がある。 福祉事務所の担当者が多忙などの理由で説明できない時は、ケアマネージメント従事者に 説明を依頼する必要がある。 利用者 申請 申請 説明 説明 福祉事務所の担当 利用者から、ケアマネージメント従事者へ 直接の申請はダメ。また、依頼を受けずに ケアマネージメント従事者から利用者へ制 度の直接のアナウンスもダメ。 (障害者がい るのを知られたくない方もいるため) ケアマネージメント従事者 依頼 ・老人介護と障害者介護は、サービスの提供の仕方が異なる。 老人介護 :最初は少しのサービス。歳をとる毎にサービスの幅を広げる。 障害者介護:最初は幅広いサービス。自立できる毎にサービスを減らす。 2.親の思い ・施設の椅子とりゲームはやめよう → 「学校卒業後、ある施設に通える(入れる)ようになったら、何があってもその席は渡さない」 ということはやめよう。後から入っていく人の居場所がなくなる。 3.利用者のニーズ ・障害の度合い、種類によって方法を変える。 4.地域の中に利用できる資源をいかに作り上げるか? 5.資源が無ければ自分でつくる。 (小規模作業所:就労支援センターくまもと) → 最近は掃除の仕事なども入札で破れることもある。 ・平成11年より、フードパル内に無認可の小規模作業所を開設。 ・平成13年NPO法人の事業として展開 6.NPO法人のネットワークの構築 ・企業や他施設、他のNPO法人とのネットワークの構築が始まった。 → フードパル内でお菓子の資材管理を行っているが、需要に対し供給が追いつかなくなった。 今まで色々取り組んできた中で、知り合った他の施設に仕事を分けた。 ◆今後 ネットワークの構築 ・就職しても2∼3年で辞めるてしまう。 → 企業内での孤立が原因。 → 仕事はできるが、人間関係で孤立する。 ⇒ 「何をしたいのか?」「どういうことをしたいのか?」ということを考える必要がある。 ・余暇の幅を広げる。 → 3/4 障害児者の複合教室がある。 (水泳、パソコン) 水泳 :泳げるようになったら、その人を障害児者水泳教室のアシスタントにできないか? パソコン:今は韓国に依頼している、アニメの色塗りや切抜きの仕事ができないか? ◆まとめ ・支援費制度を活かして欲しい。 ・支援費制度は自立するための制度である。 例)月曜日:仕事 火曜日:ショートステイ 水曜日:仕事 木曜日:仕事 金曜日:仕事 土曜日:ガイドヘルパーで外出(働いたお金で買い物など) 日曜日:ガイドヘルパーで外出 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- ★城南学園での様子:上田福穂先生(城南学園主任) ◆肥後学園で学んだこと ・トイレトレーニング → 6:30 に起こしておねしょをしていたら、翌日は 6:20 に起こす。それでもだめなら、その翌日は 6:15 に起こすなどして、おねしょをしなかった喜びを教えてあげる。 ・親として躾ける → 怒る時はその時に怒る。後ではダメ。 怒る時は本当に恐い顔をして怒る。その代わり、褒めるときは 100 万ドルの笑顔で褒める。 ・育て方は統一する。 → 指導者によって方法が異なっては、本人が戸惑う。 ・常に冷静であること → 80%の気持ちで接すること ◆城南学園での様子 ・城南学園について紹介(日課、作業内容など) ・支援費制度は自立に向けた制度。 家族、本人、支援者の3者会談を行っている。 ・地域のイベントに積極的に参加している。 ・行動療法、TEACCHプログラム、マカトン法を取り入れている。 ・進路について → 2名の方について就業を目指す → 障害者雇用促進協会にお願いしコーディネータの聞き取り調査 → 宇城ハローワークに登録 → 仕事の向き不向きを判断するために、熊本障害者職業センターで職業適性検査を受けた。 (熊本市のハローワーク4階にある) → ここには様々なトレーニングの教材が揃っていた。 ここには誰でも行っていい。 (ハローワークに登録していなくてもよい) ・VTR上映(城南学園での様子) 4/4 ・積極的に、支援費制度を利用いて欲しい。 ・支援費制度について説明 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------■質疑応答 ・ケアマネージャーは200名ほどいるということだがどこにいるのか? お願いする時はどうすればいいのか? → 実数としては100名ちょっとではないか。市町村役場の保健福祉課に問い合わせて欲しい。 ケアマネージャーは県の認定制度。家族や当事者でもOK。 以上 会場で配布された資料の内容については省略しております。
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