平成23年度パイロット事業 - 全国健康保険協会

支部資料3
2011/04/25
平成23年度 パイロット事業
-糖尿病未治療者の抽出と早期受診促進への取組み-
平成23年4月
事業の目的および背景
目的
糖尿病未治療者の治療促進により重症化を予防し、将来的な医療費の増加を抑制する。
背景
1.糖尿病患者の状況(平成19年度国民健康・栄養調査<厚生労働省>結果より)
● 糖尿病が強く疑われる人
※1
約 890万人
合計 約2,210万人
● 糖尿病の可能性が否定できない人
※2
約1,320万人
※1:ヘモグロビンA1cの値が6.1%以上または質問票で「現在糖尿病の治療を受けている」と答えた人
※2:ヘモグロビンA1cの値が5.6以上6.1%未満で、※1以外の人
・ほとんど治療を受けたことがない人
・以前受けたことがあるが、現在受けていない人
糖尿病が強く疑われるのに、
治療を受けていない人
39.2%
5.0%
44.2%
(約393万人)
2.福岡支部の医療費に占める糖尿病の割合(平成21年度協会けんぽレセプトデータより)
●入院外医療費の
5.8%
(約77億円)
●入院医療費の
2.1%
(約13億円)
未治療者を放置しておくと…
→重症化(合併症の発症)
→患者のQOL(生活の質)の低下
→医療費増大
→社会保障費の増大
1
テーマおよび選択理由
テーマ:糖尿病未治療者の抽出と早期受診促進への取組み
選択理由
●「糖尿病の疑いが強い人」は全国で約890万人いると推計されており、その内の約4割もの人が ほとんど
治療を受けたことがない(※1)
●さらに、「糖尿病の可能性を否定できない人」も全国で約1,320万人いると推計され、合わせて 約2,210万人
もの人が糖尿病および予備群の可能性がある(※1)
●糖尿病は初期段階では自覚症状がないため、検査で数値が高くても治療を受けない人が多いと考えられる
が、放置しておくと重症化し、深刻な合併症を発症する場合もある
●福岡支部の医療費に占める割合についても、入院外の医療費の5.8% (※2)と、高血圧症に次いで高い
割合を占めており、早期に対応しないと、重症化によりさらに医療費が増大する恐れがある
(※1) 平成19年度国民健康・栄養調査<厚生労働省>結果より
(※2)平成21年度協会けんぽレセプトデータより
・福岡支部の加入者の中で、糖尿病および予備群で未治療者がどれくらいいるのかを把握し、未治療
者に早期の治療や生活習慣改善指導を受けていただくための取組みが必要
・取組みの成果を県や他の保険者と共有し、県全体として取組み拡大を図っていく
2
事業の概要・取組み内容について
概要
①生活習慣病予防健診のデータを基に、糖尿病未治療者を抽出し、受診までのアプローチを実施する
②未治療者を受診に導くまでの、効率的で効果的なアプローチ法や動機付け等の手法の開発をおこなう
③治療を要する健診結果でありながら受診されない方の理由、問題点の把握をおこない今後の取り組みに生かす
取組み内容
(次ページのフロー図参照)
1.本部より提供されている「健診受診者リスト」を活用し、アプローチの対象者を抽出する
対象者 → 生活習慣病予防健診結果データから糖尿病が強く疑われる方(未治療者・治療中断者)
なお、抽出条件については、対象のボリュームにより有所見重複群などを検討していく
2.行動変容が起きるような「受診勧奨ツール」を 糖尿病療養指導士との協働により開発しマニュアル化する
(糖尿病療養指導士については、委託予定の疾病管理プログラム専門機関のスタッフ)
3.アプローチを段階的に実施する
1:自宅通知
2:電話勧奨(事業所電話番号で呼び出し)
3:事業所訪問により面接
→受診につながった方は、
専門機関による糖尿病疾病管理プログラム導入へ
4.受診につながらなかった方に対する「未受診理由のヒアリング、アンケート」を実施し、問題点を分析する
3
取組みフローおよび目標数
23年度パイロット事業
50名
データ
の
抽出
糖尿病
未治療者
○
本人
への
勧奨
×
健診受診者リスト
●抽出条件の設定方法の検討
・糖尿病
・糖尿病予備群
・治療をうけていない
・治療をやめた
(例)空腹時血糖
+腎機能
+耐糖機能
取組みポイント①
●アプローチの方法の検討
①自宅通知
②電話勧奨(事業所電話番号で呼び出し)
③事業所訪問により面接
受診
受診
しない
●なぜ受診しない?
・アンケート
・ヒアリング
●受診勧奨ツールの開発
取組みポイント②
取組みポイント③
フィードバック
4
専門機関による
疾病管理
プログラム
業務委託予定先および協働内容について
委託予定先
合同会社カルナヘルスサポート
九州大学病院、九州大学工学院、九州電力グループによるワーキンググループからスタートした機関であり、特定健診・
保健指導制度に基づく保健指導実証実験などを経て、糖尿病外来連携パス(※1)による患者と医療機関の連携を主軸に、
糖尿病の1次~3次予防への取組みを目指している。
(※1)外来連携パス:患者と医療機関を結び付けるために、検査・治療等の実施計画を一覧表にして明示するもの。
協働予定内容
○取り組みポイント①(※2)において
健診受診者リストからの対象者抽出条件における医学的根拠に基づいたアドバイス
(九州大学病院糖尿病専門医による、優先順位・重複リスクなどの条件づけ)
(※2):前ページ参照
○取り組みポイント② (※2)において
自宅通知の文書、電話勧奨時のマニュアル、事業所訪問での受診勧奨面接、面接時の受診勧奨ツールの開発など、一連の勧奨行動に
関して、糖尿病専門医や糖尿病療養指導士のノウハウを盛り込み、今後の他支部での展開を視野に入れながら、より糖尿病未受診者に
効果的な勧奨手法・保健指導時の勧奨ツールを開発する
○取り組みポイント③ (※2)において
残念ながら受診につながらないケース→ 理由調査や再勧奨方法の検討。
受診開始につながったケース→ 「疾病管理プログラム」(下記参照)につなぐ
「疾病管理プログラム」(委託を想定)
カルナヘルスサポートが展開している事業であり、県内のうち了解を得られた市町村医師会傘下の登録医療機関を中心に
(登録外医療機関も選択肢あり)ご本人了解のもと、①紹介時のパス作成②患者説明③フォローアップ に関わる。
5
パイロット事業 取組み体制について
プロジェクトチーム
・事業の進捗報告
・結果報告
支部長
評議会
企画総務部長
業務部長
・事業の進捗確認
・結果確認
企画総務
グループ長
保健
グループ長
企画
リーダー
保健
専門職
企画
スタッフ
保健
スタッフ(保健師)
・対象者抽出
・報告書、資料作成
・受診勧奨対象者
リスト提示
・受診勧奨方向性の
指示
・受診勧奨ツール作成
・受診勧奨マニュアル作成
6
業務委託先
・対象者抽出条件に
関するアドバイス
・受診勧奨実施
・受診勧奨マニュアル、
ツール作成のための
ノウハウ提供、作成
支援
参考データ
●治療を要する健診結果だが健診後3ヶ月経っても治療していない人がどれくらいいるのか?
「健診受診者リスト」(本部提供)より抽出
A
空腹時血糖
126~160mg/dl未満
(糖尿病初期)
平成22年8月生活習慣病予防健診受診者25,664人のうち、以下の条件で抽出
①資格喪失者を除く ②任意継続被保険者を除く ③県内の健診機関を受診した者
B
未治療 414人(60.7%)
682人
高血圧症関連数値異常
収縮期血圧≧140㎜Hgまたは
拡張期血圧≧ 90㎜Hg
AかつB
治療中 268人(39.3%)
・未治療:11月レセプトに糖尿病出現なしor11月レセプトなし
・治療中:11月レセプトに糖尿病出現あり
139人
AかつBかつC
AかつC
12人
さらに・・・
38人
【eGFR】推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)の略。腎臓が1時間あたりに処理でき
る尿量を示すGFR(糸球体濾過量)を、計算式から求めたもの。GFRを正確に測定するには、1日分の尿を貯める
検査が必要であるが煩雑なため、血液中のクレアチニンという老廃物を利用して推算する。eGFRの値が60以下
の場合、腎機能の低下が疑われる。
空腹時血糖
160mg/dl 以上
(糖尿病重度)
454人
未治療 246人(54.2%)
7
C
腎臓障害関連数値異常
空腹時血糖160mg/dl 以上
かつ高血圧数値異常
かつ腎臓障害関連数値異常
eGFR≦60
6人
スケジュール
8
期待できる成果および成果物イメージ
期待できる成果
・糖尿病未治療者の割合が把握できる
・未治療者への早期介入により、重症化予防・対象者のQOL(生活の質)の低下予防に寄与できる
・合併症発症による重症化から予測される医療費の伸びを抑制する効果が期待できる
・未治療者への有効なアプローチ法などの検証ができ、得られたノウハウをマニュアル化することで
他支部と共有できる
・得られた成果を県や他保険者と共有することにより、県全体の取り組みとしての提言や拡大が図れる
成果物イメージ
事業報告書
健診受診者リストからの
糖尿病未受診者抽出
マニュアル(手順書)
受診勧奨マニュアル
9
受診勧奨ツール