2年3組 国語科学習指導案 平成23年10月27日(木)4限 指導者 杉野 瑠美 研究主題 「主体的に考え、学び合う子をめざして」 〜言語活動の充実を通した教科指導のあり方〜 1.単元名 気持ちを考えて音読をしよう「お手紙」 2.単元の目標 ◯音読げきをするという目的に向かって、興味をもって心情を考えたり、読んだりしようとする。 (関) ◯場面の様子について、登場人物の行動や会話を中心に想像を広げながら読む。 (読) ◯語のまとまりや声の大きさ等に気をつけて音読することができる。 (読) ◯自分の経験したことから書くことを決め、相手がうれしくなるような手紙を書くことができる。 (書) ◯主語と述語との関係に注意しながら、読んだり書いたりすることができる。 (伝国) 3.指導にあたって (1)教材について 本教材は、かえるくんとがまくんの会話で物語が進んでいく。 「〜が言いました。 」 「〜は〜しました。 」と いう主語、述語がはっきりとした文型が多く、誰が何をしたかが読み取りやすい。また場所や時間の推移が 分かりやすく、会話文がとても多い。二人の会話文から気持ちの移り変わりを感じることができ、音読を繰 り返すことによって、より深く心情を感じとることができる教材である。 「お手紙」は、挿絵をアーノルド=ローベル自身が描いている。挿絵からも二人の心情を読み取ることが でき、児童の読み取りを助ける重要な材料となる。文章から読み取るのが苦手な児童にも、意欲的に取り組 める教材である。またかえるくんの、自分のことのように一緒に悲しんだり喜んだりする心や、がまくんの 少しわがままで自分勝手なところがある性格が、2年生の発達段階に近いところがある。かえるくんとがま くんになったつもりで心情を考え、役になりきって音読劇ができると考えられる。 (2) 「教科の知」にせまるために 本単元を通し、登場人物の心情が伝わるような音読劇にしたい。そのために、第一次では単元のゴールが 音読劇であることを明示し、音読に対する意欲をもたせたい。全文概観では誰が何をしたのかを明確にし、 物語の読み取りに入るようにしたい。登場人物のシールなどを利用し、意欲をもって理解させたい。 第二次の物語の読み取りでは、叙述をもとに心情を考えることに加え、挿絵の表情から様子や心情を読み 取ったり、吹き出しを書かせて台詞を考えさせたりして、読み取りを深めたい。毎時間の授業の終わりには、 まとめとして音読の練習時間をとりいれる。その際、読み取った心情を根拠にし、声の出し方や表情などを 工夫するように助言したい。 第三次の音読げきは、かえるくんとがまくんの心情を根拠として、声色や声量だけでなく表情、身体の向 きなどでも表現できるようにしていきたい。そのために、行間に読み取った心情を書き込んで1人練習をし たり、グループ練習をしたりする時間を設ける。 第四次の手紙を書く活動の際には、自分の経験したことから書くことを決める。そのために、読み取りの 際、児童の経験と結びつけて同じようなことはないか比べさせながら読むようにしたい。また、もらった相 手がうれしい気持ちになるように、何を書くか考える時間をしっかりと設けておくようにさせたい。 4.単元計画(総時数12時間) 次 目 標 主な学習活動 ◎支援と★評価 一 本単元のめあてをとらえ、 ◯今までにお手紙をもらったことや、書いたことはあるかな。 ◎自分の経験を想起し、教 次 学習の見通しをもつことが ・おうちの人に書いたことあるよ。 材に興味をもたせる。 ② できる。 ・手紙をもらうととてもうれしいよ。 ◎挿絵を使って、 「お手紙」 ◯これから「お手紙」というお話を読むよ。 の全文概観をする。 <「お手紙」ってどんなお話かな> ★お話に興味を持ち、感想 ・ 「かえるくん」と「がまくん」が出てきたよ。 を書いている。 (関) ・おもしろいお話だったよ。 ◯「お手紙」を読んで感想を書こう。 ・4日間も待つなんて、大変だな。どうしてかたつむりにたの んだんだろう。 ・最後はお手紙がとどいてよかったよ。 ・かえるくんとがまくんはとってもなかよしだね。 「お手紙」がどんなお話か分かったね。つぎはだれの せりふか考えるよ。 主語を明確にし、誰の台詞 <だれが話した言葉かな> ◎「 なのか分けることができ ◯かえるくん、がまくん、かたつむりくんの言葉の上に、シー がまくん、かたつむりくん る。 ルをはっていこう。 のシールを貼ることで、誰 ・たくさん「 の台詞かが視覚的に捉え 」があるね。 」にかえるくん、 ・ 「〜が言いました。 」 「〜は〜しました。 」が手がかりになりそ られるようにする。 うだ。 ★誰の台詞かがわかり、音 ・だれの言葉かはっきりしてきたよ。 読げきへの意欲をもつこ ◯かえるくんやがまくんの役を決めて、音読してみよう。 とができる。 (関) ・本当に話しているように読めるといいな。 ◎「〜が言いました。 」 「〜 ・最後は音読げきをするよ。 は〜しました。 」を手がか だれが話した言葉かはっきりわかったね。かえるくん やがまくんになって音読したいな。 りに主語を見つけるよう 助言する。 《音読げきをしよう》 ニ 【一の場面】 <どうして二人ともかなしい気分なのかな> ◎挿絵の二人の表情から 次 かえるくんとがまくんが玄 ・手紙がこないから二人ともかなしい気分なんだよ。 も、気持ちが読み取れるこ ⑤ 関の前に座っている時の気 ・手紙をまつ時間がふしあわせな時間だからだよ。 とを働きかける。 持ちを想像しながら読むこ ◯どこからがまくんの気持ちがわかるかな。 ★二人がなぜかなしい気 とができる。 ・ 「今一日のうちのかなしい時なんだ」というところから、が 分で座っているのかに気 まくんのかなしい気持ちがわかるよ。 づき、音読に生かしてい ・ 「お手紙もらったことないんだもの。 」というところで、私も る。 (読) 手紙をもらえなかった時、かなしい気持ちになったよ。 ◯どうしてかえるくんもかなしい気分になったのかな。 ・かえるくんは、がまくんが悲しんでいるから自分も悲しいと 思ったんだよ。 ・かえるくんはとってもやさしいね。 ・友達が悲しい気持ちの時、自分も悲しかったことがあるよ。 ◯音読の練習をしよう。 ・どうやったら悲しい気持ちが表れるのかな。 ・声を暗くして言ってみよう。 ・声の大きさはどうかな。 がまくんは一度もお手紙をもらったことがないから悲 しいんだね。それを聞いてかえるくんも悲しくなった よ。 【ニの場面】 <どうしてかえるくんは大いそぎで家へ帰ったのかな> ◎かえるくんの行動を順 かえるくんがいそいでがま ・かえるくんはがまくんに手紙を書いてあげることをおもいつ 序よく取り入れるために、 くんへの手紙を書いたとき いたんだよ。 動作化を取り入れながら の思いを想像しながら読む ・早くよろこばせてあげたいと思っているよ。 確認する。 ことができる。 ・がまくんの喜ぶ顔を考えながら書いてるよ。 ・知り合いのかたつむりくんに、がまくんの家まで届けてほし ★かえるくんの行動を順 いってお願いしたよ。 序よく読み取り、早くがま ◯どうしてかたつむりくんにお願いしたのかな。 くんを喜ばせたいという ・がまくんに内緒にしたかったんだよ。 気持ちに気づき、音読に生 ・内緒にして、もっと喜ばせたかったんだよ。 かしている。 (読) ・がまくんはお手紙が届くことを楽しみに玄関で待っているか ら、誰かに届けてほしかったんだよ。 ◯音読の練習をしよう。 ・わくわくした気持ちを表すにはどうしたらいいかな。 ・かたつむりくんは張り切っている感じで読もう。 かえるくんはがまくんを喜ばせてあげたいから、大急 ぎで家に帰って手紙を書いたんだね。内緒にしてもっ と喜ばせてあげたかったのかな。 【三の場面】 <どうしてかえるくんは何度もまどをのぞいていたのかな> ◎二人の会話を板書で対 昼寝をしているがまくんと ・早くかたつむりくんから手紙が届かないか見ていたよ。 比させることで、二人の気 手紙を待つかえるくんの気 ・がまくんをはやく元気にしたかったんだよ。 持ちの違いや変化を読み 持ちを想像しながら読むこ ・お手紙がくることを言っちゃいけないと思っているよ。 取るようにする。 とができる。 ・なかなかかたつむりくんが来なくて、ちょっと心配している よ。 ★早く手紙がこないかと ◯がまくんはこの時どんな気持ちかな。 待つかえるくんと、お手紙 ・どうせ今日もお手紙なんて届かないよってあきらめている が来なくて投げやりにな よ。 っているがまくんの気持 ・ぼくにお手紙をくれる人なんてやっぱりいないんだって悲し ちを想像して音読してい い気持ちになっているよ。 る。 (読) ・だんだんイライラしているよ。 ◯音読の練習をしよう。 ・かえるくんのところは少しわくわくした感じで読もう。 ・がまくんのあきあきした感じはどうやったら出せるかな。 かえるくんはお手紙が届くのをすごく待っているのに なかなか来ないよ。がまくんはお手紙なんて絶対こな いって思っているよ。 【四の場面】 <どうして二人とも幸せな気持ちなのかな> ◎二人の会話を板書で対 かえるくんの手紙を聞いて ・かえるくんはがまくんが元気になってくれてうれしくて幸せ 比させることで、二人の気 がまくんの心情が変化した 持ちを想像する手助けに なんだよ。 がことを読み取り、二人で ・がまくんはかえるくんが親友って言ってくれたことがうれし なるようにする。 幸せな気持ちで手紙を待っ いんだよ。 ◎お手紙がとどいていな ていた様子を想像しながら ・がまくんは初めてお手紙が届くことがうれしいんだね。 いのに二人とも幸せな気 読むことができる。 ◯お手紙のどこがうれしかったのかな。 持ちになっていることに 【本時】 ・お手紙の「親愛なる」 「親友」って言ってくれたところがう 気づかせる。 れしかったよ。 ◎挿絵の表情から二人の ・ぼくの親友であることがうれしいって書いてあるところだ 気持ちを想像させる。 よ。 ・ 「ああ。 」 「とてもいいお手紙だ。 」のところから、手紙がすご くうれしかった気持ちがわかるよ。 ◯お手紙を待っているときの二人の様子を考えよう。 (がまくん) ・僕のことを「親友」って言ってくれる友達がいて幸せだな。 ・早くお手紙が届いて読みたいな。 (かえるくん) ・がまくんが元気になって本当によかったな。 ・早くかたつむりくん、こないかな。 ○音読の練習をしよう。 ★かえるくんの手紙を聞 ・ 「きみが。 」は驚いているように読もう。 いたがまくんの気持ちを ・ 「ああ。 」 「とてもいいお手紙だ。 」のところは気持ちをこめて 想像し、音読に生かしてい 読もう。 る。 (読) がまくんは手紙がもらえることと、かえるくんの気持 ちが嬉しかったんだね。かえるくんもがまくんが元気 になってうれしかったんだね。親友って言ってくれて とても嬉しかったんだね。 【五の場面】 <お手紙がとどいた時、ふたりはどんな気持ちだったかな> ◎物語の中での心情の変 手紙が届いた時の気持ちを ・がまくんは初めてお手紙が届いてとてもよろこんだよ。 化をとらえるために、6ペ 想像しながら読むことがで ・手紙の内容を読んで、もっとうれしくなったよ。 ージの挿絵と比較する。 きる。 ・かえるくんも幸せながまくんをみてとてもよろこんだと思う よ。 ◯お手紙をもらったあと、がまくんはどうしたかな。 ・きっとかえるくんにお返事を書いたと思うよ。 ・またかたつむりくんにたのんで、今度はかえるくんの家の前 で4日間待ってたんじゃないかな。 ◯音読の練習をしよう。 ★手紙をまつ間の二人の ・間のとり方はどうしようかな。 幸せな様子や手紙をもら ったがまくんの気持ちを がまくんはかえるくんみたいな友達がいて幸せだなと 想像し、音読に生かしてい 思っているよ。かえるくんはがまくんが喜んでくれて る。 (読) とても幸せな気持ちになったよ。二人は親友だね。 三 グループで協力し、音読す <音読発表会のじゅんびをしよう> ◎音読メモが音読に生か 次 る場面を決めることができ ・4グループに分かれて、音読発表会をするよ。 せるように、気持ちから音 ③ る。 ・自分の読む所をノートに書き写すぞ。 読の工夫が考えられた児 ・どんなふうに読むか、どんなうごきをするかをノートに書き 童を認める。 入れるぞ。 自分の発表する役や場面が決まったよ。次は登場人物 の気持ちがあらわれるように、音読の練習をするぞ。 ★二人の会話と行動から、 音読の工夫を考えている。 (読) 登場人物の気持ちから間の <気持ちを考えて、音読を工夫しよう> ◎二人の会話や行動から とり方や声の大きさ、動き ・気持ちをこめて読みたいな。 音読の工夫ができるよう、 などを工夫して音読するこ ・動きや声の大きさに気をつけて読んでみよう。 ノートや学習履歴の掲示 とができる。 ・グループで通して練習してみよう。 を参考にするよう助言す る。 グループで音読の工夫ができたよ。いよいよ次は発表 会だ。 ★これまで学習したこと をもとに、読み方を話し合 いながら音読の練習をし ている。 (読) 登場人物の気持ちや様子が <音読発表会をしよう> ◎音読メモを見て読むこ よく表れるように音読する ・登場人物になったつもりで音読するぞ。 とで、自信をもって読める ことができる。 ・声の大きさは教室に合った声かな。 ようにする。 ・他のグループはどんな工夫をしているのかな。 ★登場人物の気持ちや場 本当にお話ししているみたいに音読できたよ。他のグ ループの友達もいろんな工夫がしていたね。 <おうちの人にお手紙を書こう> 面の様子を考えて音読し ている。 (読) 四 もらった人がうれしくなる 次 ようなお手紙を書くことが ・おうちの人がうけとってうれしい気持ちになる手紙を書きた を設けるために、事前に書 ② できる。 いよ。 く内容を見つけておくよ ・いつもご飯を作ってくれるお母さんに書きたいよ。 うに指導する。 ・この間の休みの日、いっしょにキャッチボールをしてくれた ★もらった人がうれしい お父さんに書きたいよ。 気持ちになる手紙を三文 もらった人がうれしい気持ちになるような手紙が書け たよ。早く渡したいな。 ◎何を書くか考える時間 程度の内容で書いている。 (書) 作者の他の作品に興味をも <アーノルド=ローベルの作品を読もう> ち、読書することができる。 ・がまくんとかえるくんはどのお話でもとても仲良しだね。 ◎かえるくんとがまくん が出てくる他の話を読ん ・けんかもしているけど、二人はいつも一緒だね。 で、自由に感想を出し合 ・他の動物のお話もいっぱいあるんだね。読んでみたいな。 い、 「お手紙」との共通点 いろんな本がたくさんあったね。これからもいろんな 本を読んでいきたいよ。 に気づかせる。 ★作者の作品に興味をも ち、楽しんで読んでいる。 (関) 5.本時の学習(第ニ次中の4時) (1)教材 「お手紙」 (2)本時のねらい 手紙をまつ間の二人の幸せな様子や気持ちを想像し、音読することができる。 (読) (3)準備 挿絵、前時の掲示、ワークシート、会話を書いた短冊 (4)展開 学 習 活 動 時 児童の活動と思考の流れ ◎支援と★評価 1.前時の振り返 5 ◯音読をして昨日の勉強を振り返ろう。 ◎前時の学習の足跡の りをし、学習課題 ・がまくんはあきらめてお昼寝をしていたよ。 掲示や音読で前時を振 をつかむ。(つか ・かえるくんはお手紙がくるのをずっと待っていたよ。 り返り、かえるくんとが む) <どうして二人とも幸せな気持ちなのかな> まくんの心情を思い出 2.課題について (がまくん) すように助言する。 話し合う。(考え 20 ・初めてお手紙がもらえると知ったからだよ。 ◎手紙は届いていない る) ・かえるくんが親友と言ってくれて幸せだって思って のに、二人とも幸せな気 いるんだよ。 持ちになったことに気 ・ 「ああ。 」 「とてもいいお手紙だ。 」のところから、手 づかせる。 紙がすごくうれしかった気持ちがわかるよ。 ◎かえるくんとがまく (かえるくん) んの二人の気持ちを比 ・親友のがまくんが自分のお手紙で元気になってくれ べるために、分けて板書 てうれしいんだよ。 する。 ・手紙を書いてよかったなって思ってるよ。 ◯お手紙のどこがうれしかったのかな。 ・お手紙の「親愛なる」 「親友」って言ってくれたとこ ろがうれしかったよ。 ・ぼくの親友であることがうれしいって書いてあると ころだよ。 3.手紙を待つ二 10 ◯お手紙を待っているときの二人の様子を吹き出しに ◎二人の気持ちを自由 人の気持ちを考え 書いてみよう。 に想像させるため、吹き る。 (深める) (がまくん) 出しのなかに台詞を書 ・僕のことを「親友」って言ってくれる友達がいて幸 くようなワークシート せだな。 ・早くお手紙が届いて読みたいな。 (かえるくん) ・がまくんが元気になって本当によかったな。 ・早くかたつむりくん、こないかな。 を用意する。 がまくんは手紙がもらえることと、かえるくんの気 持ちで幸せになったんだね。かえるくんもがまくん が元気になったから幸せな気持ちになったんだね。 ★手紙をまつ間の二人 の幸せな様子や手紙を もらったがまくんの気 4.本時の学習を 10 ◯音読の練習をしよう。 持ちを想像し、音読に生 まとめ、ふりかえ ・ 「きみが。 」は驚いているように読もう。 かしている。 (読) る。 (まとめる) ・ 「ああ。 」 「とてもいいお手紙だ。 」のところは気持ち ◎次時は音読劇の準備 を込めて読もう。 をすることを伝える。 ◯今日のまとめを書こう。 視点 手紙をまつ間の二人の幸せな様子や気持ちを想像しながら、工夫して音読することができたか。
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