第2学年 国語科学習指導案 1~4

第2学年梅組 国語科学習指導案
1 単元名
指導者
冨岡
知美
ぼく,わたしの大すきをつたえよう
~「ふたりはなかよしカード」をつくろう~
「お手紙」(光村図書)
2 単元の目標
○物語に描かれている世界に浸りながら,大好きな作品や場面を見つけようとしている。
【関心・意欲・態度】
○場面の様子などについて,登場人物の行動や会話を中心に想像を広げながら読むことができる。
【
「読むこと」
(1)ウ】
○物語を楽しんで読むために,シリーズの作品を選んで読むことができる。
【
「読むこと」
(1)カ】
○文中における主語と述語との関係に注意することができる。
【
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」
(1)イ(カ)】
3 単元と児童
児
童
の
実
態
本学級の児童は,4月に「ふきのとう」の学習をとおして,登場人物がよく分かるように工夫し
て音読することを楽しんできている。6月には,レオ・レオニ作品に登場する人物を紹介する言語
活動にも取り組んできている。これらの学習を通じて,児童は登場人物の行動から様子を想像し,
物語の山場を探り,初発の感想よりも深まった振り返りができるようになってきている。
しかし,登場人物が複数になると会話や行動が誰のものか区別がつかなくなる場合が見られた。
そのために自分の意見に自信が持てず,発言に消極的な児童がみられた。
日常では,読み聞かせタイムを心待ちにし,集中してお話を聞く姿が見られる。スイミーの学習
ではブックリストがあると進んで読書に取り組む様子が見られた。同じ作者の本を探して読むこと
も経験してきている。しかし読書傾向が偏っている児童も見られる。そこで読書を楽しむ経験を積
み重ね,読書の幅を広げていく必要があると考える。
付 ○登場人物の行動や会話に
け
着目し,場面や人物につ
た
いて想像を広げて読む力。
い
力
単
元
に
つ
い
て
〈単元を貫く言語活動とその設定の理由〉
ぼく,わたしの大すきをつたえよう
~「ふたりはなかよしカード」をつくろう~
○自分の好きな場面を紹介できるように,ふたりはなか
よしカードを作る活動を設定する。シリーズをとおし
て描かれる登場人物の行動や,ストーリーのつながり
に気付くことができ,場面の様子を想像をより広げて
読むことができる。ふたりはなかよしカードを使って
友だちと感想交流するゴールを示すことで,学習への
意欲が持続できる。
本単元を貫く言語活動として,アーノルド・ローベルのがまくん,かえるくんが登場人物である
「ふたりは~」シリーズを読んで,自分の好きな場面を選び,「ふたりはなかよしカード」に表す
ことを設定した。
この単元では,シリーズ読みをとおして,がまくんとかえるくんの世界に児童をどっぷりと浸ら
せたいと思う。一つの作品を精読する以上に場面の様子を想像豊かに読むことができ,がまくんと
かえるくんの関係を理解できると考える。また,自分の大好きな場面が見つけやすくなり,友だち
に紹介したいという意欲の高まりが期待できる。
主教材「お手紙」はがまくんとかえるくんが出てきて,主として会話で話が語り進められていく
作品である。二人の会話や行動が醸し出すユーモアに着目させていくことで,場所や時間の移り変
わりを捉えたり,相手のことをおおまじめに思っていることを実感したりできる。「お手紙」で作
成した「ふたりはなかよしカード」は,自分が好きな作品と比べたり,共感したりするためのより
どころとなる。
「ふたりはなかよしカード」は「お話一文」
「自分が好きな言葉と場面,登場人物の吹き出し」
「な
ぜその場面を選んだのかという理由」で構成する。お話を一文で書くことは話の展開のおもしろさ
を読むために,また吹き出しは場面や登場人物の心情を読み深めるために,そして好きな言葉と場
面を選んだ理由は表現のおもしろさを参考にし,
自分の言葉で表現するものとして取り上げていく。
カードを作成していく学習活動をとおして,お話全体を見とおした読みが期待できると考える。
単元の関連
〈第1学年〉
【言葉の響きやリズムを楽しみながら読む。音読劇をする。】
・くじらぐも
▼
【物語を読んで感想を書く。お話列車で紹介する。】
・ずうっと,ずっと,大すきだよ
▼
〈第2学年〉
【場面の様子について,人物の様子や会話を中心に想像を広げながら読む。音読発表会をする。】
・ふきのとう
▼
【人物の行動や場面の様子などについて,想像を広げながら読む。物語を読んで,紹介カードを書く。】
・スイミー
▼
【場面の様子や登場人物の行動をもちに,中心人物の心情を想像しながら読む。感想を交流する。】
・本は友だち 黄色いバケツ
▼
・お手紙
▼
【文章の内容と,自分の経験を結びつけて読む。登場人物と自分を重ね,感想を書く。】
・わたしはおねえさん
▼
【登場人物の行動や会話を中心に想像を広げながら読む。心に残ったお話を選び,発表する。】
・スーホの白い馬
4 指導にあたって
本単元に入る前に,読み聞かせタイムで「ふたりは~」シリーズの「ボタン」の読み聞かせをきっかけと
し,シリーズ読みを児童に提案していく。本単元では取り上げないお話もあるが,ブックリストを活用して
多くのお話に触れさせていきたい。そのための読書環境を整えておく。
第一次では,「お手紙」を読み,おもしろいと思ったところに注目させていきながら感想を書き,学習計
画を立てていく。ここで書いた感想は拡大した教材文に添付し,振り返ったり,確かめたりする学習のより
どころとして大切にしていく。
第二次では,主教材「お手紙」を使って,「ふたりはなかよしカード」を作るための方法を学ぶ。挿絵は
つなぎ合わせてあらすじをおさえたり,登場人物の表情に注目させたりすることに活用していく。このシリ
ーズは,会話文で構成されているので,音読をとおして主語と述語を確認し,誰が何を言っているのかを把
握させていく。繰り返し音読をすることは,登場人物の気持ちを表す言葉や行動に気付きやすくなり,さら
にサイドラインを引くことで,常に意識させていくことができると考える。
お手紙の話を一文で書くときには,大きく気持ちが変わったのはがまくんであることを押さえた上で,
「が
まくんが○○によって○○する話」を書く。自分が好きな場面を選ぶときには,気持ちが分かるサイドライ
ンを意識させていくことで場面を選び,その理由を書き,その場面を豊かに想像したことは吹き出しに書く
ことにつなげていきたい。
作成したカードを使って友だちと交流することは,自分の考えに自信をもったり,修正したりできる場面
として大切にしていく。
第三次では,友だちに紹介したいお話を選び,「ふたりはなかよしカード」を作る活動を進める。第二次
で学習したことを想起させて,挿絵を使ってあらすじを押さえてからカード作りに取り組ませる。同じシリ
ーズを読んだとしても,選ぶお話や場面,選んだ理由はそれぞれ違い,互いの読みを交流することに児童は
喜びを感じることができると考える。
本単元の学習以降もシリーズ読みを提案し,幅広い読書に取り組ませていきたい。
本校の研究主題
「読解力を身に付けた子どもの育成~目的に応じて読むことの指導の工夫をとおして~」に関わって
(方法1)主体的に読ませるために
・単元の最初にオリエンテーションを設定し,児童の主体的な学びを支えるものとする。
・単元を貫く言語活動として,アーノルド・ローベルの作品の中から自分の好きな場面を選び,友だちに
紹介することを設定する。
(方法2)読み取るスキルを身に付けさせるために
・これまでの授業でも活用してきた「よむぞう」「読む力がついたぞう」を学習計画や,振り返りで活用
し,学習に対する見通しを持つことができるようにしていく。
・「ことばのたからばこ」を活用し,登場人物の気持ちを表す言葉を見つけることができるようにする。
・学習シートを工夫し,お手紙でも,自分で選んだお話でも使えるようにしておく。
(方法3)自分の考えを深めさせるために
・
「ふたりはなかよしカード」を使って友だちと意見を交流する。選んだ場面やお話の違いに気付いたり,
がまくんとかえるくんの関係に共感できるようにさせていきたい。
・「ふたりはなかよしカード」は図書室やワークスペースの読書コーナーに掲示し,他の児童の読書の広
がりの一助としたい。
・「ふたりはなかよしカード」を交流するときには友だちから感想カードを書いてもらい,自分の考えの
よさに自信がもてるようにする。
(方法4)言語環境の整備
・なるべく多くの作品に触れることができるようにする。そのためには十分な図書がそろえられるように
図書館利用を効果的に行う。
・これまで取り組んできた読書貯金(読んだ本の題名とおすすめ度を記入したもの)を活用し,ブックリ
ストをあらかじめ提示しておく。「ふたりはなかよしカード」は「ふたりは~」シリーズ内の作品から
選んで作成するが,ブックリストに他の作者によるシリーズも選定しておく。読み聞かせやDVD絵本
なども取り上げて児童の興味関心が持続していくことができるようにする。
おれたちともだちシリーズ:内田麟太郎
きつねの子シリーズ:もりやまみやこ
ふたりは~シリーズ:アーノルド・ローベル