Shinshu University Institutional Repository SOAR-IR

Shinshu University Institutional Repository SOAR-IR
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
Rights
インシデント・アクシデントレポートの分析と対策
勝田, 志保; 加科, 英子; 平林, 由美; 青木, 聡美; 高味, 佐千
子; 深沢, 房江; 平山, 陽一; 安部, 隆宏; 中沢, 恵一; 藤牧, 久
芳; 赤穂, 伸二; 吉沢, 晋一
長野県透析研究会誌 27(1): 79-80(2004)
2004-08
http://hdl.handle.net/10091/16363
イ
62ン
シ
デ
ン
ト
・
ア
ク
シ
デ
ン
ト
レ
ポ
ー
ト
の
分
析
と
対
策
波田総合病院 看護部 1) 臨床工学科 2) 内科 3)
勝田志保1) 加科英子1) 平林由美1) 青木聡美1) 高味佐千子1) 深沢房江1)
平山陽一2) 安部隆宏2) 中沢恵一2) 藤牧久芳2) 赤穂伸二3) 吉沢晋一3)
【はじめに】
リスクとは一般的に 「危機」や 「危険」という意
味を表す。リスクを 「危険」というときには、①事
故発生の可能性②事故それ 自体③事故発生 の条
件 ・事情 ・状況 ・要因 ・環境の 3様意味に近いとい
われている。間窟解決は、リスクの把握- リスクの
分析- リスクへの対応-対応の評価という一連の
プロセスで行われる。医療の真とは、ます r
安全な
医療」の提供が保障される事である。当院ではリス
年 2月より透析圭ヒヤリ
クを把握する為、2001
ハ ットノー ト記載での報告、さらに2002年 1月
より院内統一のインシデン ト・アクシデン トレポー
トでの報告を行 っている。今回これを集計 ・分類 ・
分析 し、頻発 しているリスクに対 し対応策を検討 し
た。
【目的】
院内統一のインシデン ト・アクシデン トレポー ト、
透析皇ヒヤリハ ットノー ト (
以下 :報告香)にて、
その都度対応策を立てていた。それは当事者及び発
見者がミスを報告書へ記載、事故防止対策委且が対
応策を記入 していた。それを個々で確認という形で
事故防止に取 り組んでいた。しかしその後もミスが
減少する傾向は見られなかった。そこでリスクを集
計 し把握、それらを分析 し発生要因を明確にする事
で事故防止に役立てようと考えた。
【
方法】
報告された人為的ミスの中で、発生頻度の高いミ
スに対 して4M-4Eマ トリックスを用いて要田分
析 し、分析結果に基づき対応策を立て実施 した。
4M-4Eマ トリックスとは事故の要田として ・
人間 (
MAN)・機詮 (
MACH INE)・情報、環
境 (
MED IA)・管理 (
MANAGEMENT)
の4つを挙げ、各々に対 して ・教育 (EDUCAT
tON)・技術 (ENG tNEER ING)・強化 (E
NFORCEMENT)・事例 (EXAMPLE)
の4つの視点から対応策を考えるものである。
勝F
]
志保
【
結果】
2001年 2月から2003年 6月までの人為的
ミスの報告書内容は、透析回数 13,209回申2
OO仔 (1.5%)であった。そのうち当院報告書
、
のレベル基準でのレベル0は 29件 (14.5%)
71.5%)
、レベル 2は 2
レベル 1は 143件 (
6件 (13.0%)
、レベル 3は2件 (1.0%)
に分類された。重大アクシデン トであるレベル4と
5は0件である。これは日本透析医会の 「
透析医療
事故防止のための標準的透析操作マニュアル」に基
u がスタッフに理解さ
づ く当院 r
透析圭マ=ユアJ
れていると思われた。(
慕.1)
投薬 ミス」が最も多
当透析真では、レベル1での 「
義.
2)その内訳は、
く発生 していた。(
●終了時の注射薬剤の投与に関するもの
●抗凝固剤の注入に関するもの
レベル2では 「透析の中断 ・中止」が多く発生 して
おり、その内訳は
●カプラ未接続
●運転スイッチ入れ忘れであった
ここでの運転スイッチ入れ忘れは、30分以上の透
析延長が必要 となった場合のものを挙げている。
レベル3は、2件とも 「回路離断」であった。内訳
は
●置換液ライン未接続
●ライン接続不良であった。
波田町立波田総合病院看証か
〒3
90-1
401 東筑摩EB
汝田町 441
7-1
80
-7
91
2001年 2月-2003年 6月の間に報告された報告書
3,209回申
透析回数 1
200件 (
1.5%)
レベル0 2
9件 (
14.5%)
レベル1 1
43件 (
71.5%)
_
pレベル2 2
6件 (
13.0%)
レベル3
2件( 1.0%)
レベル4
0件
レベル5
0件
<レベル1>
43件
(
》投薬ミス
・
「
終 了時 の注射薬 剤の投与 J
に関
するもの
(
診除水ミス
31件
③ 透 析中断 ・
17件
・
r
抗凝固剤の注入」に関するもの
イ計 井J
に関するもの
イ入 力」に関するもの
・
カプラ逆接続
・
運転スイッチ入れ忘れ
<レベル2>
① 透析中断・
中止
6件
② 穿刺ミス
3件
・
hプラ未接続
・
運転スイッチ入れ忘れ
イ穿刺針の外筒」に関するもの
・
使用済みの針の再使用
4件
③ 除水ミス
・
「
計算」に関するもの
くレベル3>
2件
○回路敵断
・
置換液ライン未接続
・
∨ライン接続不良
表.
2
例 として 「投薬 ミス」に対 しての対策を挙げる。
①視覚から訴えとしてシリンジの色を変え、薬品名
を記入 したカー ドを作成 し目に付 く場所に吊るす。
② 2人での指差 し呼称を行 う為 にチ ェック項 目カ
ー ドを作成、項 目に狩 って呼称する。以上のことを
徹底 した。結果、投薬 ミスに関する報告書の件数が
減少 した。(
義.3)
Ma
n
(
^r
l
l)
Mi
L
C
h
i
n○) (
手虎.
M○
方法
d
.
j
Z
a
E
故) Nh
l
q
Y
T
1
一
也
(
物
.
拙技
(
t
fZ
l
)
対
策
具
休的 い
た
・
足、
丘
抗
.
ス
丑
b
J
タ
E
i
J
国
J
.
L
E
J
妊
井
T
フ
l
J
i
で
*
lの
J
あ
8B
不
っ
Iが
日
r
な
7
のサ
か
■ン
.
>
く
」
た
I所
の
●
明己
L
= f
ン
・
汚
あ
扶
ー
1
J
,
亡
し
)
i
l
任
Z
l
氏
た
を
t
用
い
.
F
J
Z
l
B
J
F
正
f
刑
の
P
せ
Z
r
I
注
f
書
フJ
サ
暮
で
L タ
・
る
さ
た
マ
8
ッ
れ
.
Z
ニ
I
フ
t
8
て
.
が暮行
ユ
J
の
I
い
7
知
j
な
ル
I
t
い
仕
か
.
J
ス
れ
っ
E
En
dn●
■
∩
n
一 者を
フサン
捉
使用患
抜 す ンジを
変更.赤色へ 壬
す
・
J
赤
る
E
R
蛙
色
の
岳
へB
の
(充
h
王3
.
に
t
.
対 王
ジ
・
プ
.
‡
サ
赤
ン色
食へE
用*
(
扶持.
工事) る. _
紀のカ
皮.
・
r
フサンJ
ード作
明 -P
・
7サ
tン
最明
古色
Tの
.力 は
の
す.
力
r
フ
サ
F
ン
を
J
明
烏t
i
a
I
除水 ミスに対 し、最低 3人の目で ドライウエイ ト
の確認ができるよう目に付 く場所に明記 した。結
果、転記 ミスが削減され、計算 ミスが生 じても未
然に防 ぐ串が出来るようになった。
透析中断 ・中止に対 しては、2人での指差 し呼称
を徹底することでミスの削減を図った。結果、運
転スイ ッチの入れ忘れがな くなりカプラの逆接続
な どの ミスが生 じても、未然に防 ぐ事ができるよ
うになった。
穿刺 ミスに対 しては 2人で穿刺針の確認を行 うこ
とで、AV針の間違いが減少 した。
加えて、リキ ャ
ップしない事の徹底で針刺 し事故につながる危険
性が少な くなった。
回路離断に対 しては、回路をロック式へ変更する
事で接続不良による出血や、エアー混入が無 くな
った。HDFでは詮もが注意できるようルー ト確
認 と明記 したカー ドを作成 し、Aラインの気泡セ
ンサーを使用する事で置換液 ラインの未接続が無
くなった。
目的としている報告書の件数の減少は余 り見られ
なかったが、 リスクのレベルは低 くなっており報
告 をするとい う意識付けに加え、安全対矧 こ対す
る意識付けがスタッフに周知されてきたと思われ
る。
【結 論 】
今回報告書の要因を集計 ・分析 した串で、個人
の支任を追及することではな く、効果的な事故防
止対策を講 じる為病院全体の問題 として取 り組む
事が必要である事がわかった。 リスクを報告する
事が具体的に取 り組む為のスター トであると考え
る。4M4Eマ トリックスでの分析は、4つの視
点から具体的要田を見ることができ、それぞれに
対 し具体的な対応策を検討するのに有効である。
マニュアル作成の一助 に出来ると同時にスタッフ
の事故防止への意識も高められると考えられる。
医療事故を減 らしてい くには組稔全体の意識の向
上 を目指 し、スタッフ一人一人の安全対策に対す
る意識を高める事が不可欠である。今後も対応策
を検討 してい くに当た り、透析皇 ヒセリハ ットノ
ー トでの報告方法も統一 してい く必要があると考
える。
【参考 ・引用文献 】
(
Enー
i
L化.
i
r¢暮在
■m -)
1
工
の
・
L
.
J
i
L
l
ク
J
L
t
リ
E
■
l
ス
.
の
ト
作
■丘
書1 A
t
ても
.
に
ら
美
う
■
.をiRし 故
・
立
る
Y
ス
事
.
7
6
タ
A
F
枚
ッ
.
な
細
フ
T
ど
の
書
に
.
一
の
■
己
J
J
暮
l
i
す
事
L
. A
(
の
・
■
ス
t
i
.
L
■
8
タ
■
立
ッ
に
7
.
F
フ
J
.
4
の
持
丁書
■
も
己
1) 日本 看 護 協 会
医療 安 全 対 策 マニ ュアル捻 台 リンク
組織で取り組む医療事故防止
Ed
u
ca
t
j
On
S&
J
t
7
甲
F
.
+L
=
I
I
T事
相
・
・
フ
他
t
暮
サ
坑
の
ン
井
再
の
月
事
暮
N
T
I
と
.
d
の
}人
E
指
J
E
tの
し
ス
■
指
ー
タ
称
+
示
J
で
フ
Jの
に
i
を
t
て
2 長
師
の
指
示
i
E拝
を
l
●
■
.
■
■
I k
で
L
2
=
の
て
人ヰ
f
の
i
Z
鼓
ス
8
.
ケ7
し
巧
7
2) 透析 療法 の リス クマネ ジメ ン ト 飯 田書俊他
3
)財 団法人 日本 腎臓 財 団 :平 J
d1
4年 度
事散見研修 27.
28
Exampi
○S
を
A
暮
・
フ
持
E
.
Z
u.
サ
t
主
の
ン
L
使
l
J
中
I
用
林
知
J
で
.
L
書
の
I 打正したマ
持
クJ
の
J
主
t
I
丘
知
し
用
け
.
■
で
等
J
E
の
チ
.
i
ェZ
ッ
B 指差し
透析療法従
4
)小林 敦:
航空史全管理と医療危捜管理から学ぶ事故
防止 策 の ヒン ト
- 80-