オーステナイト系ステンレス鋼SUS316材の 低温浸炭処理層厚さと疲労

オーステナイト系ステンレス鋼SUS316材の
低温浸炭処理層厚さと疲労強度特性との関連の評価
福田
ステンレス鋼の疲労強度を向上させる手法の一つとして,近年金属の耐食性の低下を伴わない
硬化処理が可能な低温浸炭処理法が研究されている.この処理法を用い,ステンレス鋼が持つ高
い疲労強度特性をより低コストで引き出すためには,浸炭層厚さと疲労強度特性の関連を明らか
にする必要がある.本研究では,浸炭層厚さ7 mと30 mの供試体に対し疲労試験を行い,浸炭
層厚さと疲労強度特性との関連を評価した.
疲労試験による疲労強度特性評価
A
B
C
低温浸炭処理(厚さ)
7 m
30 m
無
処理時間(時間)
4
24

表面破壊
● : 供試体A
応力振幅  (MPa)
■ : 供試体B
浸炭層
▲ : 供試体C
+
ビッカース硬さ (Hv)
供試体
疲労前と疲労後の硬さの変化
繰り返し
加工硬化
破断繰り返し数 Nf (cycle)
供試体
A
B
C
疲労限度(MPa)
245
280
210
切削による加工硬化:
▲
有
溶体化処理
加工硬化の影響
:
無
 低温浸炭処理 (7 m)
低温浸炭処理により
表面からの距離 (m)
ビッカース硬さ (Hv)
疲労限度の
向上
疲労前
切削加工のみ
疲労後
表面が硬化
● : 供試体A
■ : 供試体B
▲ : 供試体C
浸炭層が厚い方が,
繰り返し加工硬化の
表面からの距離 (m)
影響が
大きい