材料評価学 第 7 回 前回: 引張試験における ・応力

材料評価学 第 7 回
前回:
引張試験における
・応力集中
・Griffith の破壊モデル
・弾性ひずみエネルギー
今回:
硬さ試験における
・
「硬さ」とは?
・ブリネル硬さ試験
・ビッカース硬さ試験
「材料評価学」第 7 回
7. 硬さ試験 1
7.1 「硬さ」とは?:
●硬さ試験の種類
(a) 押込み硬さ試験
(b) 動的硬さ試験
図 7.1 硬さ試験の種類
(c) 引きかき硬さ試験
●硬さ試験の全般的特徴
①
②
③
・問い:硬さ試験の結果は材料のどのような特性と関連付けられるか?
1
「材料評価学」第 7 回
7.2 ブリネル硬さ
・圧子:
・荷重範囲:
・定義:
図 7.2 ブリネル硬さ
HB =
W
2W
=
S π D D − D2 − d 2
(
)
●ブリネル硬さ試験実施上の注意点
①試料表面:
②試料寸法:
③試料と圧子の硬さ:
・
④圧子直径 D と荷重 W の選定:
・
図 7.3 圧子材質がブリネル硬
さに及ぼす影響
・
2
「材料評価学」第 7 回
7.3 ビッカース硬さ
ビッカース硬さ試験の実施風景映写(5 分程度)
・問い:硬さ試験の結果は材料のどのような特性と関連付けられるか?
・圧子:
・荷重範囲:
・定義:
HV =
W 2W sin (α 2 )
W
=
=
1.854
d2
S
d2
注:
→
●ビッカース硬さの特徴
①
②
3
図 7.4 ビッカース硬さ
「材料評価学」第 7 回
●ビッカース硬さ試験実施上の注意点
①試料表面:
②試料寸法:
③試験荷重:
・例題:炭素鋼試験片に対して,押込み荷重 W = 10.0 kgf にてビッカース硬さ試験を行ったと
ころ,下図のようなくぼみが得られた.ビッカース硬さの定義式 HV = 1.854
W
よりビッカー
d2
d2 = 272 µm
ス硬さ値 HV を求めよ.
d1 = 268 µm
4
「材料評価学」第 7 回
7.4
第 7 回講義に関する意見・感想・質問のまとめ
●意見・感想
・特になし:20
・分かりやすかった,興味深い内容だった,よく分かった,今回は内容が理解しやすかった:4
・復習をしっかりする,しっかり復習して次回のテストで満点が取れるように頑張る,各硬さ試験について復
習する:3
・小テストが久しぶりに上手くいってよかった,小テストができてよかった:2←確かに今回はここ数回の中で
全体的に小テストの出来が良かったです,この調子で頑張りましょう!ちなみに来週は硬さ試験の概要
についての説明が大事になると思います(語句の穴埋めとか・・・?)
・硬さ試験が何種類もあることが分かった,硬さ試験がいろいろあって面白いのでもっと詳しく調べてみた
い:2
・硬さ試験の名前が覚えにくかった,ブリネルとビッカースの区別して覚えるところと同じところがありややこ
しい:2
・以下一人ずつ:
硬さ試験はとってもシンプルなのに試験準備がとても大変,新しく硬さ試験に入ったので頑張っていきた
い,HB も HV も単位は付さないが次元は kgf/mm2 であることをしっかり覚える,難しかった,小テストで導
出過程まで理解できていなかったのでもう少し時間をかけて丁寧な勉強をする,
最近お腹の調子が悪い←生活が不規則だと腸内環境も悪くなるって聞いたことがありますが・・・そういう
のは谷口・落合研の専門ですね!
もう 6 月で 1 年が早い←確かに・・・でもその段で行けば夏休みももう少し!
座席から見て右のスクリーンにプリントを映してほしい(こっちの方がスクリーンが大きいので)←マルチス
クリーン設定において,各プロジェクターの対応解像度等の関係もあり単純に入れ替えられるかどうかは
やってもないと分からないので・・・とりあえず来週試してみます.
関数電卓を忘れてしまった←スマホの電卓アプリはなかったのですか?
実験等でただでさえ忙しいのに部活での悩み事が多くて勉強がはかどらない←大変だと思いますが,私
のようなおっさんからするといかにも青春って感じでむしろ羨ましいです!
昨日の時点で今日の授業のファイルがアップロードされていた←実は今日は 1 限終わった後出張に出て
るので,どこからでもアップロードできるように HP のリンクだけ更新しておいたんです.やっぱりちょっと無
理っぽいので,pdf ファイルのアップ自体は土曜日に行います.
大木研の学生実験が楽しみ←こちらも楽しみです,しっかり準備しておきますので!
ありがとう←こちらこそ,毎回丁寧にありがとうございます.でもこれが私の仕事なので,毎回お礼はなく
てもいいですよ!
●質問
・鉛筆の HB は硬さ値の HB から来ているのか?←うーん,鉛筆の HB は「H と B の中間」って意味じゃな
かったでしたっけ?
・超硬合金球圧子の使用のために理論値などが定められればもう少しブリネル硬さも使えるか?←理論値
というか,ここまできたら超硬合金球に統一すればいいのに,って個人的には思います.
・昔テレビでタングステンを使った日本刀を作る番組があったが通常の日本刀よりすごいのだろうか?←日
本刀では表面の硬さと芯の部分の粘り強さのバランスが求められますので,タングステンでかつそういっ
た構造が実現できればかなり良いかもしれませんね!
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「材料評価学」第 7 回
・小テスト 0 点でも期末で点数を取れば単位は取れるか(小テストの出来が悪いと期末関係なしに落とされ
るか)?←第 1 回で説明した通り,成績評価は「小テスト 4 割,定期試験 5 割,レポート 1 割」ですので,
計算上は小テスト 0 点でも定期試験とレポートで満点が取れれば単位は取れますが,現実にはありえな
いでしょう.ですので,小テストであまりに点を取れていない人は相当の危機感を持った方がいいです.
・授業が 1 限であることが多いが普段から 8 時頃には大学にいるのか?←授業のあるなしに関わらず,だ
いたい 8 時前後には大学に来てますね.
・ダイヤモンドは硬いが簡単に割れるイメージがあり,また先端も尖っているが圧子の寿命としては鋼球より
長いのだろうか?←いい質問です.ダイヤモンドは衝撃的な負荷(ハンマーで殴ったり高い所から落とし
たり)をかけない限りそう簡単には割れませんが,それでも少しずつ形状が変化していきます.その結果,
新品時には鋭利だった先端形状が長期間(数年〜十数年)使用することによって先端が丸まってきます.
このような圧子先端形状変化は,大きな荷重での試験ではほとんど影響を及ぼしませんが,ごく小さな荷
重で試験をする場合顕著に影響します.そこでそのような条件の試験においては,圧子先端形状の経年
変化を予め正確に把握しておく必要があります.一方,鋼球圧子ではそもそもそのようなごく小さい荷重
は適用されませんし,大荷重側で塑性変形が生じない限りほとんど形状は変わりません.
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「材料評価学」第 7 回
7.5
第 6 回小テスト解答
dU 2πaσ 2
Q.1
き裂進展によって解放される弾性ひずみエネルギーの変化分
,および き裂進展に必
=
da
E
dT
= 4γ より,ぜい性破壊する限界き裂長さを与える式を導出すると?[6
要な表面エネルギーの変化分
da
点]
A.1
dU dT
≥
da da
2πaσ 2
≥γ
E
⇒
a≥
4γE
2γE
2 =
2πσ
πσ 2
Q.2
ぜい性体である溶融石英無限平板(γ = 4.30 J/m2,E = 70.0 GPa,単位厚さ)にσ = 35.0 MPa の引張
応力を負荷するとき,ぜい性破壊する限界き裂長さを求めると?[4 点]
A.2
a≥
2γE
πσ
2
,
γ = 4.30 J/m2 = 4.30 N・m/m2 = 4.30 N/m
E = 70.0 GPa = 70.0×109 N/m2
σ = 35.0 MPa = 35.0×106 N/m2
∴a≥
2 ⋅ 4.30 ⋅ 70.0 ×10 9
π ⋅ (35.0 ×10
6 2
)
= 1.564…×10-4 m
き裂長さは 2a → 2×(1.564…×10-4 m) = 0.313 mm 以上のき裂ではぜい性破壊する.
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