dl234 ダウンロード - 中堅企業・中小企業におけるパッケージ導入の手引き

DL234
BNP
第4章
要件定義作業の準備と基本スキル
4-1
4-2
4-3
4-4
4-5
4-6
1
基本要件と基本手順
体制とメンバーの役割
責任者の役割と品質・リスク
「4・5・3」のマネジメント法則
「コミュニケーション」の基本と応用
「ドキュメント」作成と表現
A)情報整理
B)表現方法
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-1 基本要件と基本手順
1) 基本要件
目的
目的
の明確化
の明確化
成果物
成果物
の設定
の設定
制約条件
制約条件
情報収集
情報収集
の決定
の決定
・ 費用、納期
・ 期間
・ 顧客体制
・ 収集内容
・ 入手方法
・ 整理技法
基本計画
基本計画
の決定
の決定
・ 体制、予算
・ 課題
・ スケジュール
基本手順
基本手順
① 「目的の明確化~基本計画の決定」により、具体的な「基本手順」を決める。
② 「制約条件・情報収集の決定」を決めて、基本計画をつくる。
③ 「基本計画」は余裕をもち、「基本手順」は柔軟性を持つ。
2
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-1 基本要件と基本手順
2) 基本手順
要件定義
要件定義
作業の準備
作業の準備
経営・業務の要求を
漏れなく関係者から
引き出す
要求の重要度を明ら
かにして、要求の体
系化を行う
システム機能・非機
能・業務ルールの具
体化を行う
要求仕様に基づき、
システム要件定義の
確認・合意をする
要求の
抽出
要求の
分析・整理
要件定義
要件定義の
確認・合意
中間成果物
中間成果物
中間成果物
中間成果物
中間成果物
中間成果物
最終成果物
最終成果物
(修正・漏れ・再評価)
● 「要求の抽出」は顧客作成の資料・データを活用する。
● 準備フェーズで、要求の深さ・範囲/成果物に応じた各フェーズ
の工数・期間を決める。
● 各フェーズへの戻りが必ず発生すると想定する。
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-1 基本要件と基本手順
3) 手順を決める要因
経営・業務の要求を
漏れなく関係者から
引き出す
要求の重要度を明ら
かにして、要求の体
系化を行う
システム機能・非機
能・業務ルールの具
体化を行う
要求仕様に基づき、
システム要件定義の
確認・合意をする
要求の
抽出
要求の
整理・分析
要件定義
要件定義の
確認・合意
【基本手順を決める要因】
● 要件定義書の内容
--- スコープの広さと深さ
● 作業上での課題
--- 課題の量と質、ベンダの力量
● 抽出技法の採用
--- 技法の対象範囲と時間
● リスク要因への対応 --- 不透明要因への対策と時間
● 顧客の協力度合い
--- 作業分担と時間確保、能力
● マイルストーンの設定 --- 中間チェック・レビューの実施
● 制約条件への対応
4
--- スケジュール・作業時間・コスト
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-1 基本要件と基本手順
4) 必要要件
● 作業の効率と成果物の精度を重視すると、次のような作業に関する環境・
条件をみたすことが必要になる。
スキル
- 基本能力と応用能力 -
技法
- 作業の精度向上と効率 -
- 顧客・ベンダの情報共有 -
テンプレート
業務知識・IT技術
- 作業支援の道具 -
- 必要不可欠な知識 -
・ スキル -----
・ 技法 ------
・ テンプレート ---
・ 業務知識・IT技術 --
・ 作業環境 ----
5
作業環境
成果物をだすために、ベンダメンバーが保有すべき実践できる技術
情報収集・顧客とのコミュニケーションを効率よく実施できる方法
作業の進捗推進と管理・成果物作成の支援
経営・マネジメント知識、顧客に関する業務知識・情報、IT関連知識
顧客とのリアルでの情報共有、ペーパレス、ベンダ情報、作業共有
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-1 基本要件と基本手順
5) スキルとは
【対象】
状
現
現状
ス
ス
オ
オ
カ
カ タ
ータ
デ
デー
【求める結果】
スキル
とは
あるべき姿
あるべき姿
システム
システム
情報活用
情報活用
① 対象を認識し、問題点を特定することができる
② 対象の「求める結果」の仮説設定ができる
③ 対象の「求める結果」を導きだせる
④ 「結果」に対して、顧客の理解・確認が得られる
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-1 基本要件と基本手順
6) 作業環境
● ドキュメントの一元管理
→ ドキュメントのリアル更新と作成
→ ドキュメントの同期化(顧客とベンダ)
● 作業の精確性と生産性の向上
→ ノンペーパによるビジュアル資料
→ セッション方式による合意形成
→ テンプレート群の提供
Webサーバ
セッション・打合せ
セッション・打合せ
ブレインストーミング
ブレインストーミング
要件定義情報
要件定義情報
各種情報・資料
各種情報・資料
議事録
議事録
要件定義作業
要件定義作業
インターネット
各種ドキュメントの
各種ドキュメントの
閲覧と管理
閲覧と管理
7
顧客
各種情報とドキュメント
各種情報とドキュメント
の一括管理
の一括管理
ベンダ
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-2 体制とメンバーの役割
1) 組閣の手順
STEP
1)顧客体制の条件
STEP 1)顧客体制の条件
・ 経営者の役割明示、実行責任者の指名
・ 意思決定の対象事項、ルート、決定者の明示
・ 顧客プロジェクトの組織的位置付け(最終責任者の下)
STEP
2)顧客メンバーの条件
STEP 2)顧客メンバーの条件
・ 経営者の承認を受けたメンバー構成
・ メンバーの「要件定義作業の目的・目標・スコープ・期待効果」の理解
・ メンバーの担当役割の明確化と作業時間の確保
STEP
3)ベンダの組閣
STEP 3)ベンダの組閣
・ 顧客の体制と制約条件の確認と対応
・ 必要スキル、人員、スケジュール、予算の確定
・ 要件定義作業における問題点・課題の整理
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-2 体制とメンバーの役割
2) 組閣の背景と理由
目的・目標
要件定義作業
● 顧客の現状を踏まえて、要件定義作業の必要
になった「背景・理由・事情」をおさえる。そして、
目的・目標を理解することが大事。
(例)
顧客の現状
- システムが古くなり、業務が支障
- 事業が変わり、システムが支障
- 業界での競争力の強化が必要
- システム/情報活用基盤を作る
3) メンバーの役割
参加メンバーが「作業の背景・理由・目的」を理解して、要件定義作業に入
ることが大事である。
a.現状業務の把握
目的・スコープ
9
管理
業務
作業
● 目的・スコープの対象になる範囲を、顧客より
情報提供をしてもらう。
管理 -- 利益管理、指標管理・・・
業務 -- 取引先関連、仕組み・・・
作業 -- 商品特性、取引条件・・・
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-2 体制とメンバーの役割
b.現行システムの把握
目的・スコープ
システム
システム連携
外部連携
● 目的・スコープに関連している稼動システム
の実体をおさえる。
システム--稼動システムの全て
PC作業(単独・連液)
システム連携--サブシステム間の
データ授受
外部連携--取引先とのデータ授受
c.顧客情報の入手と理解
・ 会社方針の問題点・課題への理解
・ 事業環境(業界動向・競争相手・・)の情報
d.メンバーの作業
・ 関係者からの情報収集(要求・問題点)と整理
・ 問題点・課題への改善策・具体策の作成
・ セッション(意見交換・討議)への参加
・ 要件定義への評価、意見
・ 要件定義の成果物への評価、合意
10
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-2 体制とメンバーの役割
4) キックオフ
● 顧客・ベンダを含めて、今後の作業をスムーズに進めるために、キックオフ・ミー
ティング開催が望ましい。
【目的】
・ 顧客メンバーとベンダメンバーの意思統一
・ メンバー間の懇親とコミュニケーション
【アジェンダ】 A. 「要件定義作業の目的・目標・期待効果」の確認
B. 「作業の推進体制・基本スケジュール」の確認
C.当面の作業スケジュールの案内と意見交換
D.自己紹介と参加表明
【留意点】
・ 経営者なり実力者の参加が必要である。
・ メンバーへの教育をかねての「研修」要素も取り入れる。
・ 顧客メンバーの発言機会を設ける。
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-3 責任者の役割と品質・リスク
1) 責任者の役割
● 責任者(アナリスト)は、「顧客特性・基本手順・品質・リスク」をマネジメン
トをしながら、要件定義の成果物を作る責任がある。
顧客の経営者
プロジェクト管理
・ プロジェクトの目的・目標
・ プロジェクトのスコープ
・ 経営の要求
顧客
プロジェクト
・ プロジェクト計画/実行
・ リスクマネジメント
責任者
(アナリスト)
・ 業務の要求
・ システム機能・非機能の要求
顧客
ユーザ
・ 業務の要求
・ システム機能・非機能の要求
12
システム構築
パッケージ導入
・ 設計、カスタマイズ
・ テスト
ステークホルダー
(取引先・他)
・ 業務の要求
・ システム機能の要求
稼動
・ 移行、稼動案内
・ 教育研修
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-3 責任者の役割と品質・リスク
2) 品質の基準
顧客の要求
要件定義書
理解! 要件定義書
合意!
・ プロジェクトの目的達成
・ 全体、個別要求の確認
・ ステークホルダーの理解
と確認
次作業の実行
正確! 次作業の実行
次作業の実行
次作業の実行
確実!
・ プロジェクト目標の達成
・ 作業の成果物が有効
・ システム構築者の理解と
確認
3) 品質向上のために
■ 顧客を含む関係者の協力と自主性・愛着の発揮。
■ 顧客要求の具体化と全体整合性による作業の重視。
■ 問題点の整理とその優先に応じた解決策の明確化。
■ 次作業の成果物と最終成果物との整合性と連携。
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-3 責任者の役割と品質・リスク
4) 顧客要求からのリスク
○=大いに関係あり、△=多少関係あり、-=関係なし
要求の内容
リスク
・ 要求の不理解、誤解
経営
業務
システム機能
・非機能
業務ルール
全体
14
・プロジェクト目的・スコープの不確実、未決定
・ 経営、マネジメント知識の欠如
・ 要求の不理解、誤解
・ 経営、マネジメント知識の欠如
・ スコープと個別業務の不整合
・ 新技術、未経験の技術
・ 情報技術の知識
・ 性能、品質属性(信頼性・再利用性・・・・・)
・ 改定業務ルールの未決定、未着手
・ 経営者の未承認、未確認
・ 顧客の参加度合いの少なさ、顧客メンバーの弱さ
・ プロジェクト進捗が見えない
・ メンバーの交代
顧客
△
○
-
△
-
○
-
△
-
○
○
○
○
△
ベンダ
○
△
○
○
○
○
○
○
○
△
-
-
○
○
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-3 責任者の役割と品質・リスク
5) 基本手順からのリスク
○=大いに関係あり、△=多少関係あり、-=関係なし
要求の手順
要件定義作業
の準備
要求の抽出
要求の分析
・整理
要件定義
要件定義の
確認・合意
全体
15
リスク
・ 顧客プロジェクトの体制不備、メンバー不足
・ プロジェクト目的、目標、期待効果への理解不足
・ 要求スコープのズレ、未決定
・ 要求への不理解、情報の収集不足
・ 要求の優先度、重要度の判断
・ 要求の体系化、分類化、評価
・ 問題解決策の未定
・ システム機能と業務ルールの棲み分け
・ 新技術、未経験技術の利用
・ 性能、品質属性(信頼性・再利用性・・・・・)
・ プロジェクト目的、目標との整合性
・ 顧客の理解、納得、合意の内容
・ 時間、スケジュールの配分
・ プロジェクト進捗が見えない
顧客
○
○
○
-
○
△
○
○
-
-
○
○
○
○
ベンダ
-
○
○
○
-
○
○
○
○
○
○
-
○
○
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-4 「4・5・3」のマネジメント法則
〔4・5・3の法則〕
A) 「4 Relation」の管理
組織
組織
①
・ 状況把握
・ 判断、指示
アナリスト(責任者)
アナリスト(責任者)
②
要員
要員
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③
・ 指導、支援
④
顧客
顧客
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-4 「4・5・3」のマネジメント法則
2) 「5 Box」の作業構造
作業の連続性
②
目的
目的
(PURPOSE)
(PURPOSE)
①
材料
材料
(INPUT)
(INPUT)
④
作業
作業
(WORK)
(WORK)
③
⑤
成果物
成果物
(OUTPUT)
(OUTPUT)
成果物の継承
事実・条件
事実・条件
(FACT)
(FACT)
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-4 「4・5・3」のマネジメント法則
3) 「3 View point」の視点
① 重点管理
・ ABC分析を行い、「A」を重点扱い
・ 感情的でなく、合理的に判断
・ 「今、何を」を重点に置くか
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② 「ゴール」から
見る
・ ゴール(終結)から逆算
③ 「事実」を押さ
える
・ 課題発見、課題解決策の提示
・ スケジュール、コストの課題
・ クリティカルパスをゴールから見る
・ 「4 Relation」の状況把握
・ 「5 Box」の判断、指導、指示
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-5 「コミュニケーション」の基本と応用
〔 コミュニケーション 〕
A) コミュニケーションとは
社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達しあうこと。
言語・文字・身振りなどを媒介として行われる。
-辞書より-
コミュニケーション能力
・顧客の声を聴く、聞く
・顧客の声を聴く、聞く
・顧客の声を理解する力
・顧客の声を理解する力
・ポイントを押える質問
・ポイントを押える質問
・表現力、書く力、纏める力
・表現力、書く力、纏める力
・約束を守る
・約束を守る
ビジネス知識
・要件定義知識
・要件定義知識
・情報技術知識
・情報技術知識
・ノウハウ、活用指導
・ノウハウ、活用指導
・実績、成功・失敗事例
・実績、成功・失敗事例
19
ビジネス姿勢
・誠実な姿勢
・誠実な姿勢
・問題解決への提案
・問題解決への提案
・顧客の立場に立つ
・顧客の立場に立つ
・チームプレーの徹底
・チームプレーの徹底
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-5 「コミュニケーション」の基本と応用
B) コミュニケーションの種類
コミュニケーションは、発信者が「何か」を伝えて相手が「意味のある・反応する・役立
つ」時に価値がある。顧客・社内を含めて同じことが言える。故に、社内でしていない
ことは顧客にもしていないことになる。
種類
種類
伝達
結果
・コミュニケーションの種類と
内容を明らかにしてのコミ
ュニケーションのやり方が
大事になる
20
情報を理解してもらう
情報を理解してもらう
内容
内容
・情報共有
・情報共有
・情報提供
・情報提供
回答をもらう
回答をもらう
・判断、選択、指示
・判断、選択、指示
・意見、アドバイス
・意見、アドバイス
行動を起こしてもらう
行動を起こしてもらう
・顧客のアクション
・顧客のアクション
・自社のアクション
・自社のアクション
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-5 「コミュニケーション」の基本と応用
C) コミュニケーション媒体の比較
機能
①内容の保存
②内容の
再利用
③双方向の
やり取り
④一斉同報
電子メール
◎
◎
▲
◎
○
◎
FAX
○
▲
×
○
○
◎
電話
×
×
◎
×
▲
×
▲
×
郵便
○
▲
▲
▲
○
▲
▲
○
会議
○
○
×
◎
○
◎
×
○
▲
×
○
▲
×
対話
×
▲
×
▲
◎
▲
×
○
▲
○
▲
ドキュメント
による対話
◎
▲
◎
▲
◎
▲
×
○
▲
◎
○
▲
* 媒体の評価
◎=最も適している ○=適している ▲=少し不適 ×=不適である
媒体
21
● スピード・工数・情報伝達を基準にした評価内容である
⑤送る側の ⑥受ける側の
負担
負担
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-5 「コミュニケーション」の基本と応用
D) コミュニケーションと「書くこと」
書く
書く
・ 文章、図表
・ 論理的、現実的
・ 正しく整理
纏める
纏める
・ 顧客要求の整理
・ システム的把握
顧客・社内に対し
「書くこと」を通しての
理解する
理解する
・ 顧客要求への答え
・ 実現条件の把握
課題発見
課題発見
・ 顧客要求の疑問
・ 実現条件の課題
コミュニケーションが
要件定義の向上
に繋がる
ドキュメント作成
「書く」ということは、「漏れ・抜け・矛盾・無知」に気づくこと。
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-6 「ドキュメント」作成と表現
〔 ドキュメント 〕
A)情報整理ー手順と視点
1.情報の収集
1.情報の収集
23
2.情報の選択
2.情報の選択
① 「各論の項目(見出し)」を基準にして、情報を集める。
② 入れる情報と棄てる情報を選別する。
3.情報の分類
3.情報の分類
① 「項目(見出し)」 の目的に応じて、整理の分類を決める。
② 表現の目的が、並列型か比較型かを決める。
並列型
並列型
■ 記述の順序を次の方法で行い、情報を整理する
比較型
比較型
■ ある事項に対して複数項目を比較して、情報を整理する
・ 重要度――顧客にとって、重要性の高い順序
・ 時間 ――作業・意志などの順序により決める
・ 構造 ――業務(営業・生産・経理)などに使用
・ マトリックス(縦・横)の表にする
・ 縦軸 ――判断すべき事項、重要性の高い順
・ 横軸 ――比較対象とする事象なり項目
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-6 「ドキュメント」作成と表現
A)情報整理ーサンプル
・これからの流通環境の変化に柔軟に対応できる事業活動の基盤を提供する
並列型
①
②
③
④
変化に対応でき、効率的で正確性の高い業務処理(作業・物流・他)を実現する
取引先管理・営業支援等に必要に応じた的確性の高い情報を提供する仕組みを創る
社外との様々なデータ交換を可能にし、運用管理のし易い仕組みを創る
大量のデータ処理と多様な業務処理を保証するインフラを整備する
重要性の高い順序
移行対応
並列型
比較項目
比較型
データ管理基準
管理技法
A.現行システムの調査・整理
B.次期システムの検討
C. 業務処理としての確定
D.相違点の整理
E. 移行処理システムの設計
F. 移行処理の作業手順
オブジェクト
作業順序(時間)
パッケージ
手作りシステム
多目的管理(大福帳)
単一目的管理
単一目的管理
起点・基幹計・明細・履歴
起点・基幹計・明細・履歴
残高・集計
比較の対象項目(アピール順)
データの一貫性
過去・現在・未来を一元管理
(売上・受注)
残高・集計
連続性は少ない
判断すべき事項
24
集計レベルの管理
連続性は少ない
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-6 「ドキュメント」作成と表現
B)表現方法ー「段落・並列」の記述
■ 文章の記述の開始位置は、必ず段落をつける。
■ 並列した記述の最後は、同じ種類で並べる。(文/句/語)
■ スペースも表現の一つとして扱う。
「文」による最後の記述
1.顧客選定の理由
・ MMMと共同で提案している新規顧客である。
・ 新規案件であり、自分の勉強のために適性な企業規模と内容である。
・ 情報システム部の知識レベルがそれほど高くなく、コンサルティング営業に適した環境である。
スペース
2.商談の狙い
① 最終的に売込みたい商品
・ 現行ホスト(KKKK)を含めた、全システムのHHHH製品によるシステム再構築。
② 当面、売込みたい商品
・ ネットワークのIP/VPN化とSFA絡みのBBBBBBBBBの導入。
③ ソリューションの対象
スペース
3.顧客の現況
・ 現行システムへの不信感を踏まえて、他社との差別化を狙った業務改革。
① この3年の業績
25
同一位置の段落
「語」による最後の記述
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-6 「ドキュメント」作成と表現
B)表現方法ー「図解と文章」の使い分け
■ 分かりやい図解にして、理解と判断しやすいものにする。
■ その図解に対して、補足説明なり理解支援に文章の記述をする。
■ 「図解と文章」記述のそれぞれの良さ生かす表現にする。
図解による説明
ドキュメントと
ドキュメントと
コミュニケーション
コミュニケーション
顧
顧 客
客
・信頼感の向上
・的確な指摘、意見
ドキュメント
・協力内容の把
握
・自主的行動
・配置表現のバラ
表現の面積による
ンスをとる の促進
バランスもとる
・スペースも表現
協力者
協力者
・もやもやの整理
・目標達成の道筋
SE担当
SE担当
図解への補強の
ための文章記述
● SE担当・顧客・協力者間のコミュニケーション・ツールである。
● 信頼関係の基になり、的確で必要な情報がやり取りできる。
● 要件定義作業の目標達成のための近道である。
26
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-6 「ドキュメント」作成と表現
B)表現方法ー文章記述
■ 主語/述語をはっきりさせる。また、「・・・が、」は避ける。
■ 修飾語の乱用を避け、具体的な単語を使う。
■ 句点(。)を正しく打ち、「ある」調か「ます」調に統一する。
×
〇
×
〇
×
〇
27
MMM製PCの価格が高いため、GGからEEEE製のPCを導入しているが、社内的にはハードの選択が
悪いと言われている。
この接続は避ける。後にくる文章が「肯
定か否定か」分からない。理解しずらい。
MMM製PCの価格が高いため、GGからEEEE製のPCを導入している。しかし、情報システム部が選択
しているPCを初めとするハードウェアの選択に関して、他部門より悪い評価があがっている。
主語がない
弊社のA在庫が、過剰であり月平均を上回っている。そのため、資金繰りを圧迫している。
修飾語
弊社のA在庫が、月平均1.5月を0.8月上回っている。そのため、資金繰りを圧迫している。
弊社のA在庫が、過剰であり月平均を上回っている。そのため資金繰りを圧迫しています。
「ある」調に統一
弊社のA在庫が過剰であり、月平均を上回っている。そのため、資金繰りを圧迫している。
読点(トウテン)
読点
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第4章.要件定義作業の準備と基本スキル
4-6 「ドキュメント」作成と表現
B)表現方法-名称・表記
■ ドキュメントとして、要求されなくても基本として記述する項目がある。
■ 期間なり時間軸の表現は、その数字表現をする。
■ 使用する言葉は統一をする。
・ 「タイトル・氏名・作成日付」「相手名」など。
基本記述項目
・ 簡単な報告、メモのときに考慮する。
・ 「ページ」表示を挿入する。
(単位:千円)
時間軸表示
A営業課
B営業課
2005.3
30、000
28、500
2005.4
35、200
24、400
2005.5
33、100
30、800
・ 「取引先・得意先・仕入先・消費者・・・」など。
記述表現
・ 「部門・部署・組織・・・」など。
・ 顧客と相談して統一表現を用いる
28
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