審査事務規程 4−6 新規検査及び予備検査 安定性 4−6−1 (1) 第4章 テスタ等による審査 自動車は、安定した走行を確保できるものとして、安定性に関し、重量計、傾斜角度測定機 等その他適切な方法により審査したときに、次の基準に適合しなければならない。(保安基準第 5 条 関 係 、 細 目 告 示 第 8 条 関 係 、 細 目 告 示 第 86 条 関 係 ) ① 空車状態及び積車状態におけるかじ取車輪の接地部にかかる荷重の総和が、それぞれ車両重 量 及 び 車 両 総 重 量 の 20 %( 三 輪 自 動 車 に あ っ て は 18%) 以 上 で あ る こ と 。 ただし、側車付二輪自動車にあっては、この限りでない。 ② 牽引自動車にあっては、被牽引自動車を連結した状態においても、①の基準に適合すること。 ③ 側車付二輪自動車にあっては、空車状態及び積車状態における側車の車輪(駆動輪を除 く 。 ) の 接 地 部 に か か る 荷 重 が 、 そ れ ぞ れ 車 両 重 量 及 び 車 両 総 重 量 の 35%以 下 で あ る こ と 。 ④ 空車状態において、自動車(二輪自動車及び被牽引自動車を除く。4−6−1において同 じ 。 ) を 左 側 及 び 右 側 に そ れ ぞ れ 35°( 側 車 付 二 輪 自 動 車 に あ っ て は 25° 、 最 高 速 度 20 ㎞ / h 未 満 の 自 動 車 又 は 車 両 総 重 量 が 車 両 重 量 の 1.2 倍 以 下 の 自 動 車 に あ っ て は 30°) ま で 傾 け た 場合に転覆しないこと。この場合において、「左側及び右側に傾ける」とは、自動車の中心線 に直角に左又は右に傾けることではなく、実際の転覆のおこる外側の前後車輪の接地点を結ん だ線を軸として、その側に傾けることをいう。 ⑤ 被 牽 引 自 動 車 ( ポ ー ル ・ト レ ー ラ を 除 く 。 ) に あ っ て は 、 空 車 状 態 の 牽 引 自 動 車 と 連 結 し た 状態において、④の基準に適合すること。 ⑥ ポ ー ル ・ト レ ー ラ に あ っ て は 、 空 車 状 態 に お い て 左 右 最 外 側 の 車 輪 の 接 地 面 の 中 心 の 間 隔 が 荷 台 床 面 の 地 面 か ら の 高 さ の 1.3 倍 以 上 で あ る こ と 。 (2) 積車状態における側車付二輪自動車の側車輪の接地部にかかる荷重は、次の例により算出した 値とする。 (参考図) (算式) W =w + a ・ p / T ただし、 W :積車状態における側車輪の接地部にかかる荷重 審査事務規程4−6(35) −1− 審査事務規程 第4章 新規検査及び予備検査 w :空車状態における側車輪の接地部にかかる荷重 p :積載物品又は乗車人員による荷重(側車における物品積載装置又は乗車装置の幅の中 心に集中荷重として作用するものとする。) a :車両中心線から、荷重pの作用位置までの最短水平距離 T :輪距(側車付二輪自動車を平坦な面に置いたときの、車両中心線から側車輪のタイヤ 接地部中心点までの最短水平距離。なお、三輪以上の自動車にあつては、直進姿勢にあ る空車状態の自動車を平坦な面に置いたときの前車輪又は後車輪のそれぞれの左右のタ イヤ接地部中心点間の水平距離を車両中心線に直角に測った長さとする。) ( 3) (1) ④ の 規 定 は 、 自 動 車 を 左 側 及 び 右 側 に 傾 け た と き に 自 動 車 が 転 覆 し な い 最 大 の 角 度 (「最大安定傾斜角度」という。4−6−1において同じ。)を、次のいずれかにより計測し、 又は算出若しくは算定した値で審査するものとする。 ただし、理事長が指定する自動車にあっては、①により計測した値とするものとする。 ① 傾斜角度測定機により計測する場合 ア 測定条件 (ア) 測定する自動車は、空車状態とする。 (イ) 測定する自動車のタイヤの空気圧は、指定された値とする。 (ウ) 車高調整装置が装着されている自動車にあっては、標準(中立)の位置とする。 ただし、車高を任意の位置に保持することができる車高調整装置にあっては、車高が 最低となる位置と最高となる位置の中間の位置とする。 (エ) 空気ばね装置を有する自動車にあっては、レベリングバルブが作動しない状態とする。 (オ) 測定する自動車は、一時的に安定性を増大させることを目的として荷重を取り付け、 又は輪距を変更する等の措置が施されていない状態とする。 (カ) 車 軸 自 動 昇 降 装 置 付 き の 自 動 車 に あ っ て は 、 車 軸 を 上 昇 さ せ た 状 態 と す る 。 イ 測定方法 (ア) 測 定 す る 自 動 車 に つ い て 、 左 側 又 は 右 側 の 前 後 車 輪 の 最 外 側 輪 の 外 側 面 を 傾 斜 角 度 測 定 機の車輪止め(測定車両を傾斜させた際に車両の横滑りを防止するために踏板の側端に設 けた車輪止めをいう。4−6−1において同じ。)に接して傾斜させたとき、反対側の全 ての車輪が当該測定機の踏板を離れる瞬間において踏板が水平面となす角度(単位は度 (゜)とし1゜未満は切り捨てる。4−6−1において同じ。)を計測し、当該角度を最 大安定傾斜角度とする。 た だ し 、 踏 板 が 水 平 面 と な す 角 度 が 35°( 側 車 付 二 輪 自 動 車 に あ っ て は 25°、 最 高 速 度 20 ㎞ /h 未 満 の 自 動 車 又 は 車 両 総 重 量 が 車 両 重 量 の 1.2 倍 以 下 の 自 動 車 に あ っ て は 30 °) に 達 し た と き に 、 反 対 側 の 車 輪 の 一 部 が 踏 板 に 接 地 し て い れ ば 、 当 該 自 動 車 の 最 大 安 定 傾 斜 角 度 は 「 35 °( 側 車 付 二 輪 自 動 車 に あ っ て は 2 5° 、 最 高 速 度 20 ㎞ /h 未 満 の 自 動 車 又 は 車 両 総 重 量 が 車 両 重 量 の 1.2 倍 以 下 の 自 動 車 に あ っ て は 30°) 以 上 」 と す る こ と が できる。 (イ) (ア) の 場 合 に お い て 、 傾 斜 角 度 測 定 機 の 車 輪 止 め は 、 次 の 図 の う ち 何 れ か の 形 状 に よ る ものとする。 (図 ) 審査事務規程4−6(35) −2− 審査事務規程 第4章 新規検査及び予備検査 (ウ) 自 動 車 の 前 後 車 輪 の 最 外 側 輪 と 傾 斜 角 度 測 定 機 の 車 輪 止 め は 次 の 図 の よ う に 接 す る よ う 配置し、測定するものとする。 (図) ② 傾斜角度計算により算出する場合 次 に 掲 げ る 計 算 方 法 に よ り 算 出 し た 値 ( 重 心 高 の 算 出 を ア (イ)の 方 法 に よ る 場 合 は 、 算 出 し た 値 か ら 5 °を 減 じ た 値 ) を 最 大 安 定 傾 斜 角 度 と す る 。 こ の 場 合 に お い て 、 重 心 高 を ア (イ ) の 方 法 に よ っ て 算 出 し た 結 果 、 当 該 検 査 申 請 に 係 る 自 動 車 を 重 量 計 を 用 い て 測 定 し た と き の 車 両 重 量 が 設 計 時 の 車 両 重 量 と ±50kg( 普 通 自 動 車 及 び 大 型 特 殊 自 動 車 に あ っ て は ± 100kg ) の 範 囲 を 超 え て 相 違 す る と き は 、 当 該 計 算 方 法 に よ り 算 出 した値を無効とする。 ア 重心高の算出 (ア) 自動車の水平状態と傾斜状態における接地する輪荷重を測定して算出する場合(前輪 揚程法) (算式) 審査事務規程4−6(35) −3− 審査事務規程 第4章 新規検査及び予備検査 ただし H:重心高 R:タイヤの有効回転半径(前後のタイヤの有効回転半径が異なるときは、両者の平 均値とする。) L:軸距 h:前車輪を揚げたときの揚程 ただし、前車輪は可能な限り60cm以上揚げるものとする。 w:車両重量 wr:空車状態の被測定車を平坦な面に置いたときの後軸重 wr :前車輪をhだけ揚げたときの後軸重(この場合において、前2軸又は独立し た軸を有する自動車にあっては、中間の軸の車輪が接地しないようにして後軸重 を計測する。) (イ ) 自動車の部分ごとの重心位置を既知として算出する場合(モーメント法) (算式) W 1 ・ Z 1 + W 2 ・ Z 2 + W 3 ・ Z 3 + ・ ・ ・ ・ W n ・ Zn H= W ただし H :重心高 W 1 、 W 2 、 W 3 、 ・ ・ ・ Wn : 第 1 ∼ n 番 目 の 部 分 の 重 量 Z1 、 Z2 、 Z3 、 ・ ・ ・ Zn : 第 1 ∼ n 番 目 の 部 分 の 重 心 位 置 の 垂 直 方 向 の 距 離 ( 車 軸 自 動昇降装置付きの自動車については、車軸を上昇させた状態における距離) W :設計時の車両重量 審査事務規程4−6(35) −4− 審査事務規程 イ 安定幅の算出 (参考図) 審査事務規程4−6(35) −5− 第4章 新規検査及び予備検査 審査事務規程 第4章 新規検査及び予備検査 (算式) ただし Br:右側安定幅 Bl:左側安定幅 Tf:前車輪の輪距 Tr:後車輪の輪距 L :軸距 w :車両重量 wfl:左側前輪荷重 wfr:右側前輪荷重 wrl:左側後輪荷重 wrr:右側後輪荷重 α:前後車輪の接地部中心点を結ぶ直線が、車両中心線と交わってなす角度 G:重心位置 ウ 最大安定傾斜角度の算出 (算式) Br 右側β=tan−1 H Bl 左側β=tan −1 H ただし β :最大安定傾斜角度 H :重心高 Br :右側安定幅 Bl :左側安定幅 審査事務規程4−6(35) −6− 審査事務規程 ③ 第4章 新規検査及び予備検査 最大安定傾斜角度実測書により算定する場合 ア 傾 斜 角 度 測 定 機 を 有 し 、 か つ 、 能 力 を 有 す る 者 が ① の 測 定 条 件 及 び 測 定 方 法 ( ① イ (ア)た だし書を除く。)により計測したときの値を記載した書面(最大安定傾斜角度実測書)によ り算定した値を最大安定傾斜角度とする。 こ の 場 合 に お い て 、 イ (ア)の 車 両 重 量 と 当 該 検 査 申 請 に 係 る 自 動 車 を 重 量 計 を 用 い て 測 定 し た と き の 車 両 重 量 が ± 50k g ( 普 通 自 動 車 及 び 大 型 特 殊 自 動 車 に あ っ て は ± 100 kg ) の 範 囲 を超えて相違するときは、当該最大安定傾斜角度実測書により算定した値を無効とする。 イ アの場合において、最大安定傾斜角度実測書には、次に掲げる事項が記載されたもので あること。 (ア) 計測を行った自動車の車名、型式、車台番号又はシリアル番号、車両重量及び最大安 定傾斜角度計測値 (イ) (4) 最大安定傾斜角度の測定を行った者の氏名又は名称、測定場所及び測定日 次 に 掲 げ る 自 動 車 ( 理 事 長 が 指 定 す る 自 動 車 を 除 く 。 ) に あ っ て は 、 (1 ) ④ の 規 定 に 関 し 、 (3)の 規 程 に か か わ ら ず 、 視 認 そ の 他 適 切 な 方 法 に よ り 審 査 す る こ と が で き る 。 ただし、イに掲げる自動車にあっては、同一の受検者により同一の事務所等に申請された場 合に限る。 ア 次のいずれかに該当する自動車 (ア) 指定自動車等と同一の構造を有すると認められるもの (イ) 指定自動車等を基本として、リヤリフトゲートの装備、燃料タンクの増設、荷台床面 の鉄板の装備、バケットの変更、その他の改造(重心高が著しく高くなるものを除く。) を行ったもの (ウ) (ア)及 び (イ)以 外 の 自 動 車 で あ っ て 、 車 体 の 形 状 が 箱 型 、 幌 型 、 ス テ ー シ ョ ン ワ ゴ ン 、 ピックアップ、ボンネット、キャブオーバ、トラクタ又はダンプのいずれかであるもの ただし、ハイリフト車、簡易クレーンの装備等重心高が著しく高くなる架装を行った自 動車を除く。 イ (3) ① に よ り 計 測 し た 結 果 、 基 準 に 適 合 し て い る こ と が 確 認 さ れ た 自 動 車 と 同 一 と 認 め られる自動車 審査事務規程4−6(35) −7−
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