紙カルテから電子カルテへ - 広島県臨床検査技師会

1.施設・自己紹介
2.診療録とは(法律の側面より)
3.紙カルテ と 電子カルテ
4.データの活用例
5.私の困った事例~データの抽出~
6.まとめ
2.診療録とは(法律の側面より)
3.紙カルテ と 電子カルテ
4.データの活用例
5.私の困った事例~データの抽出~
6.まとめ
急性期総合病院(715床)

診療科数 33診療科

医師190人 看護師747人

職員数1,304人

1日平均入院患者数
(病床利用率
平均在院日数
新規入院患者数
年間手術件数
救急車受入件数
614人
89 . 0%)
13 . 3日
14,253人
6,337件
4,446件
(平成23年度実績)
部
長
(副院長)
診療情報管理室
診療録管理
がん登録管
副部長
•(医事課長)*
•(診療情報管理部会長) *
•(がん登録部会長) *
•(臨床評価指標部会長)
•(医療情報システム部会長)
≪診療情報管理士≫
医療情報管理部内:14名
病 院 内
:20名以上
部員
医事課
医事係
医療情報係
総務課
管理係
平成15年4月 診療録管理室
 平成18年4月 DPC 開始
 平成18年8月 地域がん診療連携拠点病院
 平成19年7月 院内がん登録を開始
 平成21年1月 電子カルテシステム開始

事務局 医事課
 行政職 4名
 看護師 2名(診療情報管理室兼務)

› うち 診療情報管理士

2名
業務内容
・システム全体の管理運用
・部門システム、医用備品の接続調整
・各種マスターメンテナンス
・病名マスター管理、データ後利用
《平成16年4月》
 ケアミックス病院(174床)
紙カルテ
 診療情報管理室の立ち上げ
 医療情報技師を取得
→技師のポイントのために研修会に出席
《平成24年4月》
 県立広島病院 医事課 医療情報係
 データの抽出などを担当
電子カルテ
『紙カルテから電子カルテへ』
↓
『紙カルテの病院から電子カルテの病院に
職場が変わって』
1.施設・自己紹介
3.紙カルテ と 電子カルテ
4.データの活用例
5.私の困った事例~データの抽出~
6.まとめ
第二十一条(病院について)
病院は次に掲げる人員及び施設を有し、かつ、記
録を備えて置かなければならない。
九 診療に関する諸記録
第二十条(病院の施設基準等)
診療に関する諸記録は、過去二年間の病院日誌、
各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、
検査所見記録、エックス線写真、入院患者及び外
来患者の数を明らかにする帳簿並びに入院診療計
画書とする。
第二十四条(診療録の記載義務と保存義務)
医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する
事項を診療録に記載しなければならない。
 2 前項の診療録であって、病院又は診療所に勤務する
医師のした診療に関するものは、その病院又は診療
所に管理者において、その他の診療に関するものは、
その医師において、五年間これを保存しなければな
らない。

第二十三条(診療録の記載事項)
一
二
三
四
診療を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢
病名及び主要症状
治療方法(処方及び処置)
診療の年月日
第九条(帳簿等の保存)
 保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び
書類その他の記録をその完結の日から三年間保存しな
ければならない。ただし、患者の診療録にあつては、
その完結の日から五年間とする。
第二十二条(診療録の記載)
 保険医は、患者の診療を行つた場合には、遅滞なく、様式
第一号又はこれに準ずる様式の診療録に、当該診療に関し
必要な事項を記載しなければならない。
・既往歴・原因・主要症状
・経過等・処方・手術、処置

適切な診療のため
【記録すべき事】
医療行為は障害行為とされる可能性
→医療行為の必要性を証明するのが「記録」
いつ、どのような医療行為が行われたのか
記録がなければ証明できない。

どうして、その医療行為が必要だったのか
医療行為(業務独占)であってはじめて資格が
認められる。
九州医療センター 阿南 誠先生の資料より
1.施設・自己紹介
2.診療録とは(法律の側面より)
4.データの活用例
5.私の困った事例~データの抽出~
6.まとめ
字が読めない
 カルテの取り合い
 外来カルテ・1入院の入院カルテでしか見
ることができない
 カルテの貸出(カルテを探すのが大変)
 データ作りは、ほとんどが手入力

› 手入力できる量は限られる
› 入力ミスが起きやすい
物の管理
 診療情報管理システムに手入力→集計
 「診療録」の範囲を規定
 各用紙について

› 記載の目的
› 誰が、いつ、何を書くか
› どの部署に伝達するか

すべて把握できていた。
中小規模だからこそかもしれないが、
紙伝票の動きと記入項目から流れが把握しやすい
実際に県病院に入職してみると
文字が読める
 いつでもどこでも端末さえあれば情報が見
れる
 入院・外来にかかわらず情報が見れる
 情報がたくさん抽出できる

どこに何が記録されているのか知識がない
と見ることができない
 各種部門システムと連携
 オーダリングシステムに記事がプラス

指示

実施
請求
円滑な業務のためのシステムという側面
 膨大な情報の蓄積
有効的な二次利用
1.施設・自己紹介
2.診療録とは(法律の側面より)
3.紙カルテ と 電子カルテ
5.私の困った事例~データの抽出~
6.まとめ
小児感覚器科

国立病院機構の臨床指標を
当院でも作成しHPで公開している
がん診療拠点病院のがん登録を公表
(性別・部位・ステージ・来院経路 等)
広島大学病院
県立広島病院
広島市立広島市民病院
広島赤十字・原爆病院
広島県厚生連 廣島総合病院
国立病院機構
呉医療センター
東広島医療センター
JA尾道総合病院
福山市民病院
市立三次中央病院
広島市立安佐市民病院
0
500
1000 1500 2000 2500 3000
広島大学病院
県立広島病院
広島市立広島市民病院
広島赤十字・原爆病院
広島県厚生連 廣島総合病院
国立病院機構
呉医療センター
東広島医療センター
JA尾道総合病院
福山市民病院
市立三次中央病院
広島市立安佐市民病院
0%
00-39
40-49
20%
50-59
40%
60-69
60%
70-79
80%
80-
100%
広島大学病院
県立広島病院
広島市立広島市民病院
広島赤十字・原爆病院
広島県厚生連 廣島総合病院
国立病院機構
呉医療センター
東広島医療センター
JA尾道総合病院
福山市民病院
市立三次中央病院
広島市立安佐市民病院
0%
自主
紹介
20%
40%
60%
他疾患経過観察中
剖検
その他
80%
不明
100%
1.施設・自己紹介
2.診療録とは(法律の側面より)
3.紙カルテ と 電子カルテ
4.データの活用例
6.まとめ
4月から紙カルテから電子カルテに職場が変
わって、いきなりデータ抽出する立場に。
入職当時、Excelしか使えなかった。
Accessのデータの抽出は初体験。
電子カルテもDWHも全然分からず、人に聞きま
くり、研修会に参加し、なんとか10か月。
より良い方法をご存じの方は、ご指導いただけ
ると本当に嬉しく思います。
検索機能
リアルタイムに
コピー
電子カルテの
サーバー
DWHサーバー
参照カルテ
データ
電子カルテの
DWH
対象
全患者
内容
注意事項
種類が豊富
オーダー・テンプレート・サ
運用が分からなけ
マリー・文書など
れば使えない
退院患者の主病名・入院経
診療情報管理
入院患者
転科・退院時に作
過・転帰・退院先・手術情報
システム
(各科ごと)
成
など
DPCデータ
一般病棟の
患者
レセプトデー
タ
全患者
院内がん登録
情報
初診のがん
一般病棟の患者の患者方法と 診療報酬のルール
(退院3か月後)
診療報酬請求データ
診療報酬請求データ
初発のがんの診断日・部位・
ステージ・治療内容など
診療報酬のルール
(1ヶ月毎)
初診のがん
その他、各部門システムのデータ→各特徴をふまえて抽出
「事務員が出した数字は嘘」
 「学会アンケートや各種調査を医師が回答
するとは、なんのための電子カルテだ」
 「もっと電子カルテの活用を考えなさい」

などなど、様々な叱咤激励をいただきました
インプット
入力の形式
マスタの整備
オペレーション
入力の運用
アウトプット
正しい条件で
データを使い
こなす
正しい情報が抜き出せない要因
≪インプット≫
 フリー入力、データ抽出できない形式・項目
≪オペレーション≫
 どこで誰がいつ入力しているのか、入力もれがないか
≪アウトプット≫
 取得するデータテーブルの特徴を知る
【目的】
心臓カテーテル検査の看護師の業務量を図るため
【抽出方法】
電子カルテのDWH:実施オーダーの実施時間
【抽出した結果】
 時間外の件数が、レセの時間外加算よりも少ない。
 オーダーの実施時間と検査結果に印字されている
実施時間を比較すると、かなり食い違う。
 実施時間を入力していた受付の担当者は、自分が
入力した時間が電子カルテに記載されているとは
知らなかった。
【問題点】
 担当者が、部門システムの実施時間が電子カルテ
に記載されることを知らなかった
 カルテ開示には,検査の実施時間が表示
→患者の信頼を失う
(個人的な感想)
 各部署は、各部門システムの専門家
 電子カルテから部門システムのオーダーの流れな
どに注意が払われる
 もっと電子カルテにも関心を払っていただきたい
【目的】
日本超音波医学会に提出
【抽出方法】
電子カルテのDWH:エコーの実施オーダー
(診療報酬:同一部位のエコーは月に上限2回)
【結果】
 医師・検査技師に聞くと、エコー実施は全5種類
①医師が技師に依頼
実施する場所も、
②医師が直接実施
オーダーのシステムも
③内視鏡検査の実施
すべて異なる
④心臓カテーテルの実施
⑤手術室での実施
【問題点】
 院内でどのような検査を誰がいつ実施するか
 どのように記録に残しているのか
→把握しなくてはいけない
 各システムのオーダー構造が異なるため、デー
タの項目名やデータの格納方法も異なる
(医師と会話をする中で)
医師の実施するエコーは診療報酬のためにオー
ダーされ,漏れている?実施記録も残らない
 オーダリングシステム:診療報酬請求も目的
 電子カルテ:記録を残す

【目的】
 摂食障害のある患者の体重の推移
【抽出方法】
 電子カルテのDWHの経過記録から抽出
(以前、詳細な体重の変化を経過記録から
抽出したことがあったため)
【抽出結果】
 該当診療科では、体重を経過記録ではなく、
患者情報に入力していたため,抽出できな
かった
【問題点】
 各診療科により、入力の運用が異なる
 各診療科と随時確認をしつつ抽出を行う
 医療安全面などからも、全診療科の統一
が望ましいが、それぞれ特徴があり困難
 全体の把握が難しい
(オチ)
 経過記録のデータは患者情報にリンクし
ていた。単に担当者の知識不足・・・
【目的】
 厚生労働省からの調査
【抽出方法】
 電子カルテのDWHより、実施オーダー
(看護師が胃瘻の管理をすると実施)
【結果】
 膨大な種類のオーダーから抽出
 「胃瘻の管理継続」・「PEGの管理継続」
→各診療科で、使用コード・名称が異なる
【問題点】
 オーダーマスタに複数の名称が存在している
《マスタの管理者》
・マスタの中を把握
・新規作成を依頼:重複していないか確認
↓
医療の知識・電子カルテシステム・診療報酬請
求などの各分野の専門的な知識が求められる
(3・4年で異動があり知識の蓄積が困難)
1.施設・自己紹介
2.診療録とは(法律の側面より)
3.紙カルテ と 電子カルテ
4.データの活用例
5.私の困った事例~データの抽出~
現場にいない立場にいるため、見えている
データが全てだが、たくさんの落とし穴
≪インプット≫
 どの入力形式に入力されているのか
≪オペレーション≫
 システムの動作を知る
 現場の運用方法を知る
→システム側の思惑とは異なる運用
≪アウトプット≫
 膨大なデータを正しく処理されなければ、
正しい情報にはならない。

データの抽出を考慮に入れた仕組み作り
 電子カルテ:紙カルテのかわりの記載
⇒再利用を目的としたデータベース
 どの種類のデータ入力が適しているか、現
場とコミュニケーションをとっていく

現場とデータの流れを良く知ることにより、
本来の業務の流れを妨げずにデータの抽出
することができないか、考えていきたい