正かな同人誌 投稿原稿の表記統一の御願ひ 初版

正かな同人誌 投稿原稿の表記統一の御願ひ 初版
伊川清三
日本語原稿では、原則として記号類は多バイト文字(所謂
全角文字)で統一します。一バイト文字(所謂半角文字)は
1 記号類の表記
背景が灰色で示された部分はテキストファイルにおける表
記例です。また、表記例中の□は全角空白を示します。
執筆してくださるやう御願ひいたします。
イル原稿、何れの形式においても、これらの書式にて原稿を
正かな同人誌 投稿原稿の表記統一の御願ひ 初版
本稿は正かな同人誌における投稿原稿の表記の統一に関す
る要項であります。本要項が守られてゐないことを理由に原
稿の受領を拒否するといふことはございません。あくまで参
考といふ形ですが、投稿者の方は表記の統一に御協力してく
ださるやう御願ひいたします。
要 項 は 大 き く 八 項 目 あ り ま す が、 特 に「 1 記 号 類 の 表
記」「2 段落一字下げ」「8 レイアウト指示」の項目を優
先的に参照してくださるやう御願ひいたします。
工程における時間の短縮に繋がり、投稿してから組版原稿が
欧文原稿用の記号ですから、混在させられません。
表記統一がされることによって、正かな同人誌の体裁の統
一性確保による品質向上に繋がります。また、組版・校正の
送付せられるまでの期間が短くなります。
を考慮せられてデザインせられてゐるためです。
和文中に欧文記号が混じってゐると、次の例のやうに不恰
好になります。一バイト記号はアルファベットのディセンダ
縦組み原稿(執筆段階ではなく、完成時点での組方)を前
提としてゐます。テキストファイル原稿もしくはワードファ
1 
和文中における(全角)と 半
(角 の
) 違ひ。
ス)、
「‐」
(全角ハイフン)との混同も多いので注意してくだ
さい。
るいは外国人名の姓名の区切りとして使はれる記号です。
余韻または沈黙を示す三点リーダ(…)で表記します。中
黒(・)を連ねることは誤りです。中黒は列挙、小数点、あ
ただし、引用などで完全に独立した箇所が欧文である場合、
記号類は半角で表記します。
なほ、これらの記号は偶数回繰り返して表記します。
明日――平日であるが――は休む。
テスト中……テスト中…………本日は晴天なり?
一体どうしたことか?□原稿が集まってゐない。
例外として、区切り約物の直後に終り括弧類が来る場合、
区切り約物の直後に二倍ダーシもしくは三点リーダが来る場
4・1 例 外 事 項
持つためです。
区切り約物(疑問符・感嘆符)の直後には原則として全角
空白を挿入します。これは当該記号が句読点と同等の役割を
4 区切り約物の表記
2 段落一字下げ
半角空白を連ねずに全角空白を以て段落冒頭の一字下げを
明示してください。
2・1 段落冒頭に始め括弧類が来た場合
□「明日、原稿を入稿する」と彼は言った。
始め括弧類の直前に同様に全角空白を挿入してください。
3 二倍ダーシ、三点リーダの表記
繋ぎなどの意味を示す二倍ダーシの表記は――です。長音
記号(ー)との違ひに充分注意しませう。また「-」
(マイナ
2 正かな同人誌 投稿原稿の表記統一の御願ひ 初版
合、全角空白の挿入は不要です。
合、文脈の都合上全角スペースを挿入すると不自然になる場
イト文字の引用符 の
"" 使用はしないでください(一バイト文
字では受けと起しの区別がありません)。縦書き用の引用符
の引用符 “” で表記してください(本来は横書き用)。一バ
能性があります。
として〝〟がありますが、環境依存文字のため文字化けの可
倫敦!□倫敦?と彼は言った。
「倫敦!□倫敦?」と彼は言った。
組版時に作業者が “” を〝〟に置換します。
e=二・七一八……
π=3・14……
中黒を用ゐることで表現します。
7・1 小数点の表記
アラビア数字・漢数字のどちらを使っても問題ありません
が、原稿内においては基本的に統一します。
7 数字の表記
引用符の “ 多バイト ” と 一
" バイト の
" 違ひ。
引用符の〝縦書き〟は環境依存文字。
倫敦!――倫敦?……と彼は言った。
や などは原稿中では全角文字でそのまま連ねてくださ
い。DTPソフトウェアで適宜処理します。
6 引用符の表記
「そこで彼は『警察!』と叫んだのです」
『そこで彼は「警察!」と叫んだのです』
鍵括弧と二重鍵括弧は次のやうに使ひ分けます。
5 括弧類の使ひ分け
!?
原稿執筆時では、受けと起しの区別ができる多バイト文字
3 !!
8 レイアウト指示
レイアウト関係の指示は原則として「【指示する内容】」と
表記してください。所謂丸括弧()を用ゐて組版指示をしな
いでください。丸括弧では本文における註釈なのかレイアウ
ト指示なのか区別がつかぬため、作業者がレイアウト指示を
見落とす可能性があります。
□本稿では戦後の国語改革について述べる。
□当用漢字とは将来来たる漢字全廃に向けて、……
当用漢字【見出し】
(空白行)
組版結果は次のやうになります。
(見出し直前の空白行)
本稿では戦後の国語改革について述べる。
当 用 漢 字 (三行に跨る見出し)
当用漢字とは将来来たる漢字全廃に向けて、……
□本稿では戦後の国語改革について述べる。
見出しの直前の一行の空白行を入れない場合、テキストフ
ァイル段階での表記は次のやうになります。
当用漢字【見出し】
□当用漢字とは将来来たる漢字全廃に向けて、……
4 ここでは特に多用されるレイアウト指定の統一書式を示し
ま す が、 見 出 し 表 記 に 関 す る「 8・1」、 ル ビ 表 記 に 関 す る
れる場合、テキストファイル段階では次のやうになります。
見出しの直前に空白行を一行入れるか入れないかは原稿内
においては統一しませう。見出しの直前の一行の空白行を入
使ひ分けてください。
見出しの直後に【見出し】と掲げてください。なほ、見出
しを階層的に用ゐる場合、【中見出し】【小見出し】のやうに
8・1 見出しの指定
「8・2」と「8・3」の項目を優先して参照してください。

正かな同人誌 投稿原稿の表記統一の御願ひ 初版
本稿では戦後の国語改革について述べる。
当 用 漢 字 (三行に跨る見出し)
当用漢字とは将来来たる漢字全廃に向けて、……
【市場:マーケツト】
8・3 ルビを多用する原稿
原稿中にルビを多用する場合(目安として十箇所以上)、
「【親文字:ルビ:フラグ】」としてください。フラグは当て字
である場合は0、さうでない場合は1を半角数字にて示して
ください。
当て字でない場合、漢字とそれに対応するルビの区切りが
必要となります。この区切りは半角スペースを以て示しませ
同一種の見出しにおいて空白行を入れる・入れないが混在
してゐる場合、見出しの書式の揺れとして作業者が適宜修正
する場合があります。中見出しでは直前に空白行を入れる、
】
【段落:パラグラフ: 0
】
【電子:エレクトロン: 0
らく: 】
1
【段落:だん
かい だう: 】
1
【東海道:とう
う。
ルビを多用せられる執筆者の方はこの書式で原稿を投稿し
てくださるやうお願ひいたします。
小見出しでは入れないといった指定は特に問題ありません。
8・2 ルビの指定
紫陽花【あぢさゐ】
大阪【おほさか】
東京【とうきやう】
親文字(ルビが振られる文字)の直後に「【ルビの文字】」
のやうに指定してください。
ただし、当て字や熟字訓など、ルビと親文字の対応が不明
確な場合は【親文字:ルビ】と指定してください。
5 
8・4 傍点・強調の指定
傍点を振りたい場合は「【傍点を振りたい箇所:傍点】」と
指定してください。強調したい場合は「【強調したい箇所:強
調】」と指定してください。
明日、【原稿:傍点】を入稿する。
明日、【原稿:強調】を入稿する。
8・5 引 用 文
引用文を独立した段落として挿入する場合、引用文の最初
の段落に【引用文開始】と記し、引用文の最終段落に【引用
文終了】と記してください。なほ、引用文が段落一つで終る
場合は、単に【引用文】と段落末尾に記してくだされば結構
でございます。
引用文は本文行頭と比較して行頭一字下げで一字下げで組
まれます。
9 参 考 文 献
「1 記号類の表記」、「3 二倍ダーシ、三点リーダの表
記」から「7 数字の表記」の項目は『文字の組方ルールブ
ック タテ組編』『標準 編集必携 第2版』(何れも日本エ
ディタースクール出版部)をもとに作成しました。
初版公開:二〇一三年六月十五日
作成者:伊川清三
6