減損会計に対する 税務の対応 坂本ゼミナール 2015/10/1 1 本日のもくじ Ⅰ 減損会計の概要 1.減損会計の意義 2.減損会計導入の背景 3.減損会計導入の経緯 4.減損会計の適用会社と実施時期 5.減損会計の会計処理 Ⅱ 減損会計に対する税務の対応 1.税法規定と減損処理 2.資産売却による対応 3.評価損規定による対応 4.減価償却規定による対応 5.減損会計の派生的影響 2015/10/1 III 結び 2 参考資料1 減損会計の記事数 日経 見出し 記事 合計 2003/8 2 5 7 15 2003/9 2 7 9 8 10 2003/10 2 12 14 1 7 8 2003/11 5 17 22 2002/8 4 8 12 2003/12 2 5 7 2002/9 2 4 6 2004/1 4 6 10 2002/10 2 4 6 2002/11 1 9 10 2004/2 4 17 21 2002/12 1 6 7 2004/3 5 10 15 2003/1 1 7 8 2004/4 10 18 28 2003/2 3 9 12 2004/5 9 35 44 2003/3 17 33 50 2004/6 9 9 18 2003/4 9 17 26 2004/7 1 15 16 2003/5 5 19 24 2003/6 1 12 13 2004/8 2 17 19 2003/7 3 5 8 2004/9 6 17 23 121 354 475 2002/4 4 3 7 2002/5 2 13 2002/6 2 2002/7 合計 2015/10/1 3 9月 年 8月 年 2 04 15 20 7月 10 10 9 04 年 6月 18 20 04 20 4 5月 10 年 14 04 17 20 4月 17 年 6 4 年 21 04 22 20 3月 年 5 04 19 20 2月 7 04 2 年 5 20 5 1月 7 04 9 20 月 12 17 17 年 04 20 月 2 年 2 11 7 03 月 10 13 12 20 年 03 5 3 20 9月 年 8 年 03 1 20 8月 5 03 9 20 7月 年 12 03 15 20 6月 3 年 20 03 年 5月 26 20 03 年 4月 9 20 03 年 50 20 3月 1 03 1 20 2月 76 87 年 1 03 10 9 20 1月 4 2 年 6 03 8 20 月 月 12 11 12 年 03 20 年 1 4 2 02 月 10 4 6 20 年 02 87 20 9月 13 年 02 0 20 8月 2 年 2 年 8 02 10 20 7月 年 7 02 10 20 6月 年 02 4 3 20 5月 年 02 2015/10/1 20 4月 年 02 20 02 20 参考資料2 減損会計の記事数(日経) 60 50 44 40 33 35 30 28 日経 見出し 日経 記事 日経 合計 24 23 18 19 16 15 17 17 12 9 5 6 1 2 4 参考資料1 減損会計の記事数 日経 見出し 記事 合計 2003/8 2 5 7 15 2003/9 2 7 9 8 10 2003/10 2 12 14 1 7 8 2003/11 5 17 22 2002/8 4 8 12 2003/12 2 5 7 2002/9 2 4 6 2004/1 4 6 10 2002/10 2 4 6 2002/11 1 9 10 2004/2 4 17 21 2002/12 1 6 7 2004/3 5 10 15 2003/1 1 7 8 2004/4 10 18 28 2003/2 3 9 12 2004/5 9 35 44 2003/3 17 33 50 2004/6 9 9 18 2003/4 9 17 26 2004/7 1 15 16 2003/5 5 19 24 2003/6 1 12 13 2004/8 2 17 19 2003/7 3 5 8 2004/9 6 17 23 121 354 475 2002/4 4 3 7 2002/5 2 13 2002/6 2 2002/7 合計 2015/10/1 5 1.減損会計の意義 減損会計とは、収益性の低下により投資額 を回収する見込みがたたなくなった帳簿価額 を、一定の条件のもとで、回収可能性を反映 させるように減額する会計処理である。 すなわち、将来に損失を繰り越さないための 臨時的な帳簿価額の減額(帳簿価額の減額 修正)である。 2015/10/1 6 2.減損会計導入の背景 IAS(国際会計基準)の大枠が決定 会計ビッグバンの総仕上げ バブル崩壊後の固定資産価格の暴落による 含み損の処理 2015/10/1 7 3.減損会計導入の経緯 (1)企業会計審議会における検討 2002年8月9日 「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する 意見書」 (2)企業会計基準委員会における検討 2003年10月31日 「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」 2015/10/1 8 4.減損会計の適用対象会社と実施時期 2006(平成18)年3月期決算から強制適用 ⇒ 商法上の大会社 (資本金5億円以上、または 負債総額200億円以上の株式会社) 証券取引法が採用される上場企業 中小企業には強制されない!! 連結財務諸表を作成している適用会社の 連結子会社や関連会社は例外 2004(平成16)年3月期決算から 減損会計の早期適用を実施する企業が多く見られる 2015/10/1 9 5.減損会計の会計処理 資産の グルーピング なし 減損の兆候 減損処理不要 あり 減損損失の 認識 なし 減損処理不要 あり 減損損失の 測定 会計処理および 開示 2015/10/1 10 Ⅱ 減損会計に対する税務の対応 1 税法規定と減損処理 ①金融庁の対応 ②日本公認会計士協会の対応 2 資産売却による対応 3 評価損規定による対応 4 減価償却規定による対応 ①普通償却 ②臨時償却 5 減損会計の派生的影響 ①同族会社の特別規定に対する影響 ②受取配当金負債利子計算に対する影響 ③資産税に対する影響 2015/10/1 11 1.税法規定と減損処理 税法では減損会計の規定はいまだ定まっていない 金融庁 日本公認会計士協会 税制改正の要望書を公開!! 対応されなかった(´ヘ`;) 2015/10/1 12 2.資産売却による対応 800万円 800万円 1000万円 売却損 200万円 現金 200万円 売却損 800万円 2015/10/1 土地 1,000万円 13 デメリット ・・・財務体力のある企業に限られる ・・・事務コストがかかる ・・・地価の下落やデフレの悪循環を 引き起こす可能性がある 2015/10/1 14 3.評価損規定による対応 減損処理→現在、税務上の規定はない 評価損規定で対応できるか・・? 評価損規定→法33条1項では評価損の損金算 入を認めていない ↓しかし… 法33条2項「特定の事実(法令68-3)」が発生し たときは評価損が計上できる 2015/10/1 15 例) 特定の事実に 当てはまる 災害等 1000万円 400万 600万 評価損として計上 減損損失はこの「特定の事実」に当てはまらない 2015/10/1 その理由は…(?_?) 16 企業会計上 法人税法上 保守主義の原則 債務確定主義 損失は見込であっても 損失は確定しなければ 計上される 認められない 評価損規定での対応は困難 2015/10/1 17 4.減価償却規定による対応 減価償却規定で対応できるか? 上限⇒ 法人税法基本通達7-5-1(5)を検討 ※2003年12月16日の改正により、 減損損失が評価損に含まれることとなった 上限⇒ 償却 不足額 償却 不足額 上限⇒ 超過 超過 上限⇒ 減損 損失 償却費 2015/10/1 除却損 評価損 減損損失 償却費18 (1)普通償却規定での対応 普通償却費 発生源 通常の営業活動におけ る減価償却資産を使用 した事実 性質 当該期間に獲得した収 益と期間的に対応 減損損失 固定資産の収益性が低 下し、投資額が回収で きなくなった場合 収益獲得に貢献するも のではない 困難(××;) 2015/10/1 19 (2)臨時償却規定での対応 陳腐化償却 減損会計 対象 資産 減価償却資産に限定 目的 当初予見することので 将来の収益性の低下を きなかった原因等によ 反映させるため帳簿価 り減価部分を修正する 額を減額する 有形固定資産、無形固 定資産、投資その他の 資産 困難(>_<。)~ 2015/10/1 20 それでは全く兆しが見えないのか? 普通償却規定の枠内において損金算入さ 上限⇒ せる余地はまだ存在する! 償却 不足額 なぜならば.. 償却不足額 約3兆円 減損損失(見込額) 減損損失(見込額) 平成16年度 平成17年度 (早期適用) (強制適用) 約3兆円 入る余地が ある!! 2015/10/1 1400億円 入る余地が ある!!! 1兆6千万円 21 5.減損会計の派生的影響 減損会計の減損損失の計上が 税務の派生的な面に影響を与える 分子 分母 総資産 減損損失 1、同族会社特別規定に対する影響 2、受取配当金負債利子計算に対する影響 3、資産税に対する影響 2015/10/1 22 Ⅲ 減損会計をめぐる国際的動向 IASC・SFAS・わが国の減損会計基準の概要の比較図 IAS36号 SFAS121号 わが国 認識 回収可能価額 が期末帳簿価 額を下回るとき 測定 帳簿価額と回収 帳簿価額と公正価値 帳簿価額と回収 可能価額の差 の差額 可能価額の差 額 額 戻入 損益計算書にお 禁止 ける収益として 認識 2015/10/1 割引前キャッシュフ 割引前キャッ ローが期末帳簿価額 シュフローが期 を下回るとき 末帳簿価額を下 回るとき 禁止 23 III. 結び 2006年3月期決算より強制適用 (2005年3月期決算より早期適用) 資産売却による対応 企業へのデメリットが大きく、悪影響を避けられない!! ①評価損規定による対応 ②減価償却規定による対応 2015/10/1 24 ②減価償却規定による対応 データ上、普通償却限度額の枠内において 損金算入の 余地あり 税法の早急な対応が望まれる 2015/10/1 25
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