食中毒を起こす 動植物の分析方法の開発 - 福岡市

食中毒を起こす
動植物の分析方法の開発
環境局
環境監理部 保健科学課
(福岡市保健環境研究所)
1 はじめに
2 日本国内及び福岡市で発生した食中毒の
患者数(2000~2012年)
3 福岡市で発生した自然毒食中毒(2000~2012年)
4 福岡市が分析方法を開発した検査項目
5 原因不明の食中毒のために
6 今後について
1 はじめに
1 はじめに
2 日本国内及び福岡市で発生した食中毒の
患者数(2000~2012年)
3 福岡市で発生した自然毒食中毒(2000~2012年)
4 福岡市が分析方法を開発した検査項目
5 原因不明の食中毒のために
6 今後について
福岡市は、人と環境と都市の調和のとれたアジア
のリーダー都市を目指しており、アジア各国を始
め世界中の人が行き来し、多岐にわたる食品が
流通している。
保健科学課は、市民の健康や食の安全・安心の
ためにウイルスや感染症、
細菌、食品添加物、
残留農薬などの検査を
感染症法、食品衛生法
に基づき行っている。
食中毒などの健康被害が発生した場合には、
早期に原因物質の特定をすることにより、食中毒
患者への適正な医療処置や市民への食中毒の拡
大防止、啓発活動に活かすことができる。
食中毒の検査は、市民の安全・安心を確保する
上で重要な役割を担う。
2 日本国内及び福岡市で発生した
食中毒の患者数(2000~2012年)
1 はじめに
2 日本国内及び福岡市で発生した食中毒の
患者数(2000~2012年)
3 福岡市で発生した自然毒食中毒(2000~2012年)
4 福岡市が分析方法を開発した検査項目
5 原因不明の食中毒のために
6 今後について
化学物質
2,910人 0.8%
52人 1.4%
植物性自然毒
3,601人 1.0%
28人 0.8%
動物性自然毒 943人 0.3%
14人 0.4%
その他 1,247人 0.3%
32人 0.9%
不明 20,081人 5.4%
33人 0.9%
2000~2012年患者数
ウイルス
166,518人 44.7%
1,066人 29.1%
全 国 総数 375,599人
福 岡 市 総数 3,658人
内円:福岡市
外円:全 国
細菌
177,259人 47.6%
2,433人 66.5%
2000~2012年の食中毒患者数について
福岡市では細菌(2,433人66.5%)、次にウイルス
(1,066人29.1%)が多い。
実際の検体数は、患者数の10数倍。
(患者+家族+従業員+関係者)
=発生時の受入体制が整っている。
動・植物性自然毒による食中毒は少ない。
=常時、受入体制を整えるのは難しい。
3 福岡市で発生した自然毒食中毒
(2000-2012年)
1 はじめに
2 日本国内及び福岡市で発生した食中毒の
患者数(2000~2012年)
3 福岡市で発生した自然毒食中毒(2000~2012年)
4 福岡市で分析方法を開発した検査項目
5 原因不明の食中毒のために
6 今後について
福岡市で発生した自然毒食中毒(2000-2012年)
患者数
ツキヨタケ
15
フグ
12(14)
チョウセンアサガオ
6
スイセン
4
白インゲン
3
福岡市で発生した自然毒食中毒(2000-2012年)
患者数
ツキヨタケ
15
フグ
12(14)
チョウセンアサガオ
6
スイセン
4
白インゲン
3
動物性食中毒の
発生件数では1位
自然毒の死亡者1位
福岡市で発生した自然毒食中毒(2000-2012年)
患者数
ツキヨタケ
15
フグ
12(14)
チョウセンアサガオ
6
スイセン
4
白インゲン
3
根をゴボウと間違える.
開花前のつぼみをオクラと間
違える.
種子をゴマと間違える
葉をモロヘイヤ,アシタバなど
と間違える
福岡市で発生した自然毒食中毒(2000-2012年)
患者数
ツキヨタケ
15
フグ
12(14)
チョウセンアサガオ
6
スイセン
4
白インゲン
3
福岡市で発生した自然毒食中毒(2000-2012年)
患者数
平成18年5月6日
に、テレビ番組(ダイ
ツキヨタケ
15
エット)で紹介され、
フグ
12(14) 加熱不十分な調理品
を喫食し、嘔吐、下痢
チョウセンアサガオ
6
等の症状を呈した。
スイセン
白インゲン
4
3
全国で患者数158名
入院者数 30名
4 福岡市が分析方法を開発した
検査項目
1 はじめに
2 日本国内及び福岡市で発生した食中毒の
患者数(2000~2012年)
3 福岡市で発生した自然毒食中毒(2000~2012年)
4 福岡市が分析方法を開発した検査項目
5 原因不明の食中毒のために
6 今後について
4 福岡市が分析方法を開発した検査項目
動植物名
フグ
原因物質
件数・人数
改善点
凄いところ
全国初!福岡市で開発
動物試験(マウス)
血液・尿・嘔吐物からも
8件・ 12人
テトロドトキシン
→LC-MS/MS
355件・506人
(高感度機器分析) 検査可能 迅速分析
現在は、全国的に普及
LC/UV(低感度) 食中毒発生即日に開発
1件・ 6人
→LC-MS/MS
血液・尿・嘔吐物からも
28件・77人
(高感度機器分析) 検査可能 迅速分析
チョウセン
アサガオ
アトロピン・
スコポラミン
ツキヨタケ
形態鑑定(専門家) 全国初!福岡市で開発
2件・ 15人
調理残物・嘔吐物からも
(遺伝子鑑定)
→リアルタイム
199件・786人
PCR(機器分析) 検査可能 英文論文
件数・人数は、2000-2012年に発生した数 上段:福岡市/下段:全国
学術論文の発表
学会・地方衛生研究所の
協議会などでの口頭発表
市民を対象にした福岡県・
北九州市との合同発表会
福岡市において発生した動植物による
自然毒食中毒の事例(平成24年)
フグによる食中毒
平成24年9月9日、市内在住の
一人暮らしの女性が、自宅で調理した煮魚を喫食。
30分後、吐き気、手足のしびれ等の症状が出始め
たので市内在住の家族に電話し、医療機関へ。
診察を受けていたが意識不明、呼吸停止 。
9月18日意識・自発呼吸回復。10月4日退院。
保健福祉センター:フグの購入の恐れがある商店
街の調査・指導(後日、知人より入手を確認)。
保健科学課の検査:患者の血清、尿、胃内容物、
煮魚からフグ毒成分のテトロドトキシンを検出。
当日中に検出の速報。
調理残品からは、フグの組織を確認できず。
煮汁からはテトロドトキシンを検出。
患者がフグを食べたと推測。
テトロドトキシン(TTX)の分析方法
試験法
マウス
感 度
5MU
(1100ng/g)
LC-MS/MS
0.0005MU
(0.11ng/g)
問題点
緊急時に対応しにくい
尿や血液には感度不足
ツキヨタケによる食中毒
平成24年10月8日、市内在住の家族4人が、山林
で採取したキノコを喫食。
全員が約10分後に嘔吐、腹痛等を発症。医療機関
を受診し、10月10日には、全員退院。
保健福祉センターは、未調理品の専門家による鑑
定および医師の所見からツキヨタケによる食中毒
と判断。
保健科学課の検査:
残品から毒成分のイルジンSを検出。
遺伝子検査によりツキヨタケと種の判定。
ツキヨタケの分析方法
試験法
問題点と評価点
形態鑑別
専門家への依頼が必要。
未調理品が必要。
毒成分:イルジンS
(LCーMS/MS)
標準品が市販されていない。
水煮、塩焼き調理でも検出できる。
鍋の残り汁からでも検出できる。
遺伝子
(Real Time PCR)
水煮、塩焼き調理でも検出できる。
鍋の残り汁からでも検出できる。
患者の嘔吐物からでも検出できる。
5 原因不明の食中毒のために
1 はじめに
2 日本国内及び福岡市で発生した食中毒の
患者数(2000~2012年)
3 福岡市で発生した自然毒食中毒(2000~2012年)
4 福岡市が分析方法を開発した検査項目
5 原因不明の食中毒のために
6 今後について
5 原因不明の食中毒のために
分析方法のマニュアル化
いつも食中毒の原因が推定できるとは限らない
模擬訓練実施
九州沖縄8県+福岡市・北九州市・長崎市・熊本市
福岡市危機管理計画
福岡市保健環境研究所危機管理対応要綱
に従って実施
6 今後について
1 はじめに
2 日本国内及び福岡市で発生した食中毒の
患者数(2000~2012年)
3 福岡市で発生した自然毒食中毒(2000~2012年)
4 福岡市で分析方法を開発した検査項目
5 原因不明の食中毒のために
6 今後について
現在、日本国内だけでなく世界各地の食品が流
通し、習慣や嗜好も多様化していることから地域
特性を伴わない食中毒が起こることが考えられる。
今後は、食中毒に関する啓発活動を
関係部署と連携することに加え、
多様化する健康危機に迅速・的確に
対応できるように,平常時から検査体制
を充実・強化していく。
ご清聴ありがとうございました
福岡市保健環境学習室“まもる~む福岡”に遊びに来て下さい!
(福岡市保健環境研究所(ヤフオクドーム東側)の1Fに併設)