九州・沖縄・台湾において感染症を媒介・伝搬する可能性を持つ双 翅目衛生害虫リスト ~カ科、ヌカカ科、クロバエ科について~ 坂巻祥孝・津田勝男・櫛下町鉦敏 鹿児島大学農学部害虫学研究室 要約 九州沖縄地域に分布して人間だけでなく家畜や伴侶動物などの感染症を媒介・ 伝搬しうる双翅目衛生害虫のうち、特に媒介者となる可能性の高いカ科、ヌカカ科、 クロバエ科の一部のグループについての文献記録や標本の収集・整理を行った。 九州本土および南西諸島からカ科83種(亜種)、ヌカカ科77種、クロバエ科28種の 昆虫種を列挙することができた。また、これらのグループに属する台湾産の種の記 録も調査して併記した結果、合計種数がヌカカ科157種、カ科176種、クロバエ科 45種となった。本稿ではこれら3地域の分布記録を容易に比較できるリストを科別 に作成した。 岡本のミスにより「平成17年度鹿児島大学新興感染症対策研究プロジェクト報告 書」 への掲載が漏れてしまいました。陳謝いたします。来年度の報告書に掲載す ることで御了解していただきました。 H5N1高病原性鳥インフルエンザ感染による死亡者数の推移(WHO) WHOに報告されたヒトの高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)感染確定症例数 2006年3月24日 2003 2004 2005 合計 2006 症例 数 死 亡 数 症例 数 死亡 数 症例 数 死亡 症例 数 数 死亡 数 症例 数 死亡数 アゼルバイ ジャン 0 0 0 0 0 0 7 5 7 5 カンボジア 0 0 0 0 4 4 1 1 5 5 中国 0 0 0 0 8 5 8 6 16 11 インドネシア 0 0 0 0 17 11 12 11 29 22 イラク 0 0 0 0 0 0 2 2 2 2 タイ 0 0 17 12 5 2 0 0 22 14 トルコ 0 0 0 0 0 0 12 4 12 4 ベトナム 3 3 29 20 61 19 0 0 93 42 合 計 3 3 46 32 95 41 42 29 186 105 H5N1による死亡者数は100名余に留まっているが、人に爆発的流 行する新型ウイルス誕生の危険性は高まっている。 米、渡り鳥調査を強化 鳥インフルの拡大懸念 【ワシントン20日共同】米政府は20日、米国でも今年中に 高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した 鳥が見つかる可能性が「徐々に高まってきた」として、アラス カ州などで渡り鳥調査を強化すると発表した。米国への鳥イ ンフルエンザ感染拡大は、アジアなどから渡り鳥が到達する アラスカ州経由の公算が大きい。 アラスカ州や北米の太平洋岸、太平洋上の島を中心に野 生の鳥のサンプル調査を実施。ほかに北米大陸の中央地 域やミシシッピ川流域、大西洋岸の3つの渡り鳥の飛来ルー トも調査することにしている。 (共同通信) - 3月21日9時44分更新 ウエストナイル熱 1.蚊が吸血する際に運ばれる。 2.自然界では鳥類との間でウイルスが維持されている。 3.ヒトや馬は感染し、発病しても、ウイルス血症を起さない終末宿主である。 蚊 ヒト 鳥類 ウマ その他の動物 ウエストナイルウイルス(赤)と 日本脳炎ウイルス(緑) の分布地域 密輸された野鳥? 2XXX年? ヒトでの主な流行 インド西部には 両方が分布する クンジンウイルス 1950-54年 イスラエル 1950年代 エジプト 1963年 フランス 1974年 南アフリカ 1996年-97年 ルーマニア ウエストナイルウイルスは、1937年にウガンダのウエストナイル州で分離された 1999年8月、ニューヨークにウエストナイル熱が突然流行 : ヒト以外の流行 : ヒトでの流行 米国におけるウエストナイル熱の広がり: 1999年 : ヒト以外の流行 : ヒトでの流行 米国におけるウエストナイル熱の広がり: 2000年 : ヒト以外の流行 : ヒトでの流行 米国におけるウエストナイル熱の広がり: 2001年 : ヒト以外の流行 : ヒトでの流行 米国におけるウエストナイル熱の広がり: 2002年 : ヒト以外の流行 : ヒトでの流行 米国におけるウエストナイル熱の広がり: 2003年 : ヒト以外の流行 : ヒトでの流行 米国におけるウエストナイル熱の広がり: 2004年 First Reported WNV Activity, by 州別にみたウエストナイル熱の初発年度 斜線はヒトの流行を含む State, 1999-2004* * Reported as of 1/11/2005 1999 2000 2001 2002 2003 2004 Humans 野 生瞬 動く 物間 にに 侵、 入ア しメ てリ しカ ま全 っ土 たに の広 でが 、っ 清て 浄し 化ま はっ 困た 難。 。 患者数 10000 媒介蚊が飛行機で やってくる危険性は 日本も同様であり、 そのための監視体 制を強化しなければ ならない。しかし、そ の予算と人員は、 BSEと比べて微々 たるものでしかない。 これでも、「全頭検 査」を求めますか? 英国において25年間で発生した 9,862 vCJD患者総数は 150人。 ウエストナイル熱の脅威は遥かにまさる 1999~2004年 8000 : 患者数 : 死者数 致命率 6000 16,637人 654人 3.93% 4,156 4000 2000 100 0 死者数 2005年 患者数:2799人 死者数:102人 284 264 300 2,470 88 62 7 1999 66 21 2 9 2000 2001 200 100 0 2002 2003 2004 米国におけるウエストナイル熱発生の推移 BSE頭数 40000 35000 30000 25000 BSEのピーク BSE問題より緊急を要する新興感染症に、 予算と人員を配置しなければならない! 37,280頭 vCJDのピーク 28人 vCJD患者数 8年 30 特定危険部位の 食用禁止 12年 25 20000 20 15000 15 10000 5000 0 検査法の 確立 2004年 初 10年 338頭 発 9人 85 年 「食品の品質と安全性システム(FAO、1998)」の付属文書2。 10 5 0 「危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解することは、適切 な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要である。 不幸なこと に、食品について『ゼロ・リスク』のような事態はありえない(その他の 英国におけるBSE頭数とvCJD患者数の推移 何についても言えることだが)。」 平成17年度鹿児島大学新興感染症対策研究プロジェクト報告書 あとがき 海外からの悪性伝染病等の侵入を阻止する監視 体制の構築が重要であるが、それでも侵入する危 険性はあり、その際のリスク管理において大衆的 パニックを抑制することが重要である。実務的な防 疫活動が必要な緊急時に、多数の専門家がパニッ ク対策に動員されるのでは、活動力を削がれてしま う。リスクについて日頃から国民に正しい理解を広 めることが重要であり、BSE騒動の折に本学が果 たした役割を継承していくことが望まれている。
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