二 て 枚 し 重 に 後 ふ へ な ね ま ん 礼 と し な 伊 父 る 藤 の 切 白 国 符 潮 の く る 太 寄 や を に の 字 う ば 流 人 人 花 れ 見 花 茅 ホメラレモセズ 来 た 返 う の ぼ 筍 む か し 四 国 春 月 指 の 尽 定 男 の 波 ご あ 後 郷 ざ 知 り 期 け 高 り 齢 の ざ 子 ご 茶 弟 る 新 の 覧 披 者 ま る の く 落 し 文 た 梅 も 落 減 と 師 る す め 言 詰 狂 袋 と 老 人 医 療 費 天 引 き さ れ て 春 行 か す 行 戴 す 頂 陶 枕 と の い え 骨 ば 壷 は ほ は ど そ の は 箱 母 の か 田 か 股 ふ 引 思 ひ 出 せ ず を り 風 鈴 の し ま ひ 場 所 蛭 蛇 椀 捕 の り の 粥 南 す 京 す り 袋 出 干 づ さ 夏 は れ じ あ め り ホ メ ラ レ モ セ ズ ニ 植 田 を 見 て 廻 る 一 の 一 句 が あ る ば か り 。 強 い て 言 え ば 、 浮 海 早 苗 ば か 花 り 冷 ま や こ 老 と い に に 平 酷 静 し で き わ ま ず つ か り に ご 、 と さ て 俳 壇 の 方 に 目 を 移 す と 、 ど こ 吹 く 風 と 金 か ら の 天 引 き と い う 方 法 に も 問 題 が 残 る 。 ま た 医 療 制 度 そ の も の に も 問 題 が あ り 、 年 て 駄 目 押 し さ れ た よ う に 感 じ た の だ 。 後 期 が 付 く こ と に よ っ て 当 事 者 と し て は 改 め て も 今 迄 役 所 な ど で 悩 ん だ と い う が 、 今 回 の 老 人 寒 と 冷 い 前 う 線 言 葉 中 に 田 抵 国 抗 太 が 郎 あ り 、 呼 称 に つ い 黒 ぞ ﹁ 後 々 奮 と 然 期 七 と 高 十 し 齢 五 て 者 歳 春 ﹂ に の 言 引 雪 わ か 掻 し く て れ お た る 小 け 線 林 ば は 勝 言 う 余 幸 も 生 の の て 私 自 身 大 い に 関 心 を 持 っ た 。 と な っ て い る 後 期 高 齢 者 問 題 が 採 り 上 げ ら れ 論 作 を 展 開 し た 時 期 が あ っ た 。 し か し 、 論 議 が 盛 ん に な り 、 沢 木 欣 一 や 金 子 兜 太 等 が 日 、 五 月 五 日 と 四 週 を 読 ん で 、 今 社 会 に 話 題 る か ら だ 。 四 月 十 四 目 、 二 十 一 日 、 二 十 八 に そ の 生 き 方 が 特 に 短 歌 の 方 に 強 く 反 映 さ れ 免 れ ま い と い う も の だ 。 も そ れ に 入 る か も 知 れ ぬ が 、 隔 靴 掻 痒 の 感 は 続 け て 読 ん で い る 。 そ の 時 代 を 写 す 鏡 の よ う 朝 日 歌 壇 、 俳 壇 は そ の 昔 虚 子 選 の 時 代 か ら 、 〈旦過亭風信〉114 伊藤白潮 社会性俳句? 考 え 避 け て 通 っ て は な ら な い 問 題 で あ ろ う 。 は こ と 俳 句 で 失 敗 作 だ が 、 こ れ か ら を 本 番 と ら れ 四 て 月 し 馬 か 鹿 る 己 べ れ き も だ 後 と 期 考 高 え 齢 る 者 。 私 の 、 詠 む に し て も 生 き 方 に 関 し て 切 実 に 受 け 止 め 俳 壇 に 於 て も 直 接 で は な く て も 、 一 木 一 草 を 俳 句 運 動 に 比 し て 余 り に も 規 模 は 小 さ い が 、 採 り 上 げ ら れ 論 議 を 呼 ん で い る の は 、 社 会 性 今 回 の 後 期 高 齢 者 問 題 が 、 短 歌 に 於 て 特 に る 運 命 を 辿 っ て い っ た 。 れ る よ う に な り 、 や が て 社 会 性 俳 句 論 は 消 え や 社 会 観 は 反 映 さ れ る ﹂ と い っ た 論 に 帰 結 さ 一 草 の 形 姿 を 素 材 と し て も 、 そ の 人 の 生 き 方 血 肉 化 し た 作 家 の 生 き 方 の 問 題 で あ り 、 一 木 ﹁ 社 会 性 と は 素 材 の 問 題 で は な く 、 思 想 を そ れ で 思 い 出 す の だ が 、 戦 後 俳 壇 で 社 会 性 花 冷 え や 誰 も 居 ぬ 家 退 院 す 本 田 葉 子 踏みちらす 六 月 井 集 上 朝 一 度 き り の 鶯 若 か ら む 落椿人行き交ひてをりにけり 戦 争 を 中 に は さ み し 春 の 服 雉笛を吹くにのんどのうすかりし げんげ田でありしか夜を踏みちらし ただ歩くだけの恋せり春の月 卒業へつなげるためのビーズ玉 村 信 恭 子 子 鈍行の花菜あかりにうなじあり 初蝶や少年の瞳のすぐあそび 川 の 詩 を 深 く 彫 る 石 遠 山 火 き 背 山 崎 木ぶし咲く音なき雨の降りゐたり 大 高からぬ山を前途にわらび おほかたは俯くさくら抱く山 一 山 の 花 の 数 と も 人 の か ず しばらくは菜の花平らなりにけり 彼岸寺裏より風の湧き立てり 中 ひもろぎの靄のなかより初ざくら 厚みある石に出遇へり春の雲 桜 磯 屑 に ず ぶ 濡 れ 雀 蛤 に 追 従 の な ら ず 朧 の 大 き 背 初 貝 寄 風 の 残 せ し 艀 浦 じ ま ひ 靖 子 残 照 戸 田 和 子 恰 幅 の よ き 船 主 の 毛 糸 帽 老僧の電動で来るすかんぽう 子 寺の嫁種物すべてとりしきる 来 由 仏 壇 の 一 火 春 め く も の の 影 出 平飾りの御殿雛には正座かな 雛 巡 る 見 物 衆 は し ん と し て 古代雛座敷わらしもそこら中 古 民 家 に 集 合 し た る 古 代 雛 古代雛まつり 血統書かなぐり捨てし恋の猫 昭 看とられてゐればほどほど亀鳴けり 和 講中に背の子をおろす草の 残照を貴きいろにさくら満つ 彼 岸 寺 祈 る 姿 を 見 守 ら れ 今 生 は け ふ の ひ と 日 や 蓬 井 味 噌 汁 の 上 ず み に 浮 く 春 愁 荒 古民家と云へど巡らす春の堀 治 あたりまへのやうに土筆を摘みにけり 摘 幸 水 目まとひの浮遊をさそふ水車かな 清 息惜しみつつ膨らます石鹸玉 後 ろ よ り 耳 の 形 に 花 菜 風 目 借 時 少 女 の 肩 を 与 れ る 蕗 の 薹 探 す 眼 の 吾 と 会 ふ 種 下 ろ し 麦 踏 に 声 か け 村 に 入 り け り 人 山 頂 の 畑 焼 く 煙 の ろ し め く 山 耕 の 関 東 ロ ー ム 層 風 の 中 水野俊さん 殯待つうつらうつらの春日差 春 昼 の 四 劫 の 内 の 欠 伸 か な 穴 を 出 づ 四 六 の 蟇 の 口 上 に 藤 となりたる病者のおなら藪椿 佐 種下ろし忍び足にて終りけり 書 春耕を見つつ杜氏ら帰途につく 仰向けにをちこちの音花の昼 統 婆 さ ま の 話 ふ く ら む 彼 岸 講 春泥の真ん中に子を落とす真似 血 山笑ふ蹴上げしやうな家の位置 寒 麦 目 春 一 押 残 然 薇 風 り 虫 入 の 潮 港 し 雪 集 山 に 国 境 の 海 島 の 全 て が 利 閉 ぢ 流 氷 の る 流 氷 原 の 林 雄 鹿 は 角 尾 尻 犇 機 を 本 白 富 け 関 研 無 鷲 士 り 音 ぐ 蓋 け ぐ い り 飛 り る つ に ぶ 片 山 タ ケ 子 の や う に 流 氷 来 た り の 芽 を 一 入 色 の 雨 過 や い つ も 遅 れ て 来 る あ の 佳 境 ゴ ッ ホ の ひ ま は 出 て 結 婚 式 の ブ ー ケ 色 前 や を 渡 の 国 境 の 海 一 当 薔 鳥 囀 地 卒 と 名 春 縄 水 朧 つ 亀 春 五 業 富 沢 敏 りどりのパンジー置かる式次 を 呼 ば れ 春 の 階 段 上 り け 落 葉 手 紙 は す べ て 焼 き ま し 文 の 土 掘 り 返 す 若 葉 の 桶 に 新 た な 喫 水 子 第 り た 風 線 藤 井 佐 和 子 下 昌 子 む 音 て り る 竹 夜 の お ぼ ろ が 胸 に 入 り 込 る し 雛 見 に ゆ く 朝 の 雨 の 鳴 く と 言 ひ し あ な た に 従 ひ 愁 の 綿 菓 子 か ほ を か く し け 臓六腑うごきて春の風邪なほ 子 見 玲 勝 愁 ろ 橋 ふ 木 な ふ 薔 薇 人 に は 見 せ ぬ ふ た ご こ 夕 焼 東 京 湾 に 架 か る 室 を 画 像 で 見 た り 春 愁 レットの黄を眩しめり土佐水 炬 燵 株 価 の 話 夫 と か 夜 苗 木 屋 の 舌 先 三 寸 躱 し け り 二 度 聞 き の 話 と な り ぬ 春 炬 燵 下 校 児 の 喚 声 届 く 種 下 し 両の手に受くる浅蜊の死んだ振り ふかふかの地を欲しいまま花なづな 花 な づ な 朧 春 冬 春 脳 パ 春 伊藤白潮選 句 俳 鴫 力 抜 く 薄 氷 水 に も ど る と き 死 ぬ る ま で 刃 物 を 使 ふ う ぐ ひ す 菜 食 卓 に 少 し は な れ て 豊 後 梅 遠 近 の 目 の 運 動 や 犬 ふ ぐ り 空 洞 を 何 も て 埋 め む 鳥 雲 に 針 に 糸 一 気 に 通 り 龍 天 に 引 鶴 に 風 の 介 添 あ り に け り 満 杯 の め ぐ み な り け り 種 俵 わ が 影 の 脳 の あ た り を 耕 せ り 学 科 卒 を 封 印 入 社 式 大 層 な 羽 繕 ひ な り 春 の 鴨 哲 子 に は 子 の 道 順 の あ り 卒 園 式 三 月 や 県 民 手 帳 に 予 定 書 く 如 月 の 二 十 九 日 や 猫 消 え し 助 手 席 に 春 の 帽 子 の 忘 れ ら る 吉 笠 田 井 明 敦 子 子 川 柏 濱上こういち 市 大網白里 鳥 帰 る 食 事 の 不 満 こ ぼ し け り 最 果 て の 風 に な り た る 尾 白 鷲 流 氷 の 一 片 夜 の オ ン ザ ロ ッ ク シ ャ ガ ー ル の 年 譜 目 で 追 ふ 春 灯 ま づ 雛 の 髪 の 乱 れ を 直 し や る た ん ぽ ぽ の 何 か 忘 れ て ゐ る か た ち 吐 息 よ り か す か な 風 に 散 る 桜 花 開 く わ た し の 中 の 天 の 邪 鬼 しやぼん玉大人になつて気づくこと 春 の 虹 恋 に 恋 す る こ ろ の 恋 ど こ ま で も 伸 び さ う な 雲 雛 の 月 ハ ミ ン グ と ミ モ ザ の 似 合 ふ 水 曜 日 春 雨 の 甘 し 信 号 待 つ あ ひ だ ビ ス ケ ッ ト 程 の 軽 さ の 春 の 風 邪 草 摘 み に 行 く 約 束 の お お つ ぴ ら 高 倉 富 田 持 沢 令 梨 敏 子 恵 子 山 我孫子 流 橋 船 選 後 余 録 伊 藤 白 潮 死ぬるまで刃物を使ふうぐひす菜 敦 子 刃物を辞書で引くと﹁刃がついていて物を切ったり削っ たりする道具類の総称﹂とある。ふつう包丁やナイフなど をいうが、この句の場合作者は主婦ということで、包丁と いうことになろう。 包丁は主として料理の場合野菜など、果物その他皮を剥 く時に、特に料理好きならば魚など刺身にしたりいろいろ な使いみちがあろう。 そういえば人間は一生涯このように、生きるために食事 を作り刃物を手離せないことに気づく。 それをこのように句にしたのだが、今までにありそうで 見なかったなあとしみじみ思う。うぐいす菜といった季語 の配合も力まずに使われているようだ。 哲学科卒を封印入社式 こういち 毎年四月になると、大小の会社では新入社員たちの入社 式がテレビなどで報道され話題にもなる。 その年の経済事情で、大学を卒業しても望み通りの就職 ができなかったり、学生たちもそれぞれ悲喜を味わうこと だろう。この作者自身はこの三月長年勤めた児庁を退職し、 二、三年は第二の職場に移り働くというが、公務員生活を 通じて大学の専攻などどの位役に立ったのだろうか。 そんなこんなのことが、この変った一句から想像されて こんな句もあっていいのだと思わせられる。 花開くわたしの中の天の邪鬼 梨 恵 天の邪鬼といえば、先ず仁王の像が踏みつけている悪鬼 を思い浮かべる。昔話に出てくる悪者なのだが、転意して 何でもわざと人にさからって行動する人、またそうした性 一 定 期 間 続 く こ と だ が、 こ の 天 の 邪 鬼 は 大 人 に な っ て か 質という意になる。反抗期というのは子供のそんな時期が ら、人によってそうした性質の強弱があるということ。時 によっては人間関係のスパイスとして働くこともあろう。 花の時期には心もさまざまに変化するのだ。 さよならを塞ぐ口づけ夕桜 知 子 自然のどまん中へ出て大いに五感を鋭くしてほしいと願っ るようだ。私は句会などで﹁足で作れ﹂を唱導しているが、 間の風景といわず空気までもが察せられて実感を強めてい NHK文化センター柏教案は、当初金曜日しかなかった ものが、現職の人や若い人たちを対象に土曜日を増やした この句の場所は知らぬが、さぞかしこの石段は町の中心 に近く、そして遠くには赤く染まった川があり、美しい構 うという人々の知恵なのだろう。 とは少子化の時代で、家の中に眠らせておかず活用させよ 最近町起しのためか、雛人形を一家の中だけでなく、持 ち寄ってこの句のように飾ることが多くなった。というこ 石段の雛遠目の赤い川 もと子 句も望みたいものだ。 気づく。反面またこの作者には向日性のあるプラス指向の い繊細な感性を思わせて、実に美意識を強めていることに みが病んでいるといった、目のつけどころがこの作者らし 人の体も生き生きと活溌になる。が、紅差指といった指の 紅差指などという美しい言葉に先ず圧倒される。冬の季 語に﹁手足荒る﹂があるが、水も温み気温も上昇すると、 水温み紅差指を病みにけり 園 子 てのことである。 いきさつがある。それが的中して男性も多く、若い二十代 の女性が加わり活気を帯びた時代が続いた。 現在ではこの作者のほか、数が減って老人が増えたが、 それでもこの句のように青春時代でなければ作れない作が 見られ、私もそうした若さを大いに呼び戻したい思いだ。 ロケットは宇宙へわれは畑打ちに 佐和子 宇宙衛星の打ち上げは現在も続き、世界の話題を集めて いるが、人類の夢の実現といっていい、こうしたアプロー チは大いにわれわれを明るくさせている。 この作者は山口県周南市で、いまもこのように農に精出 しながら自然たっぷりな句を作り続けている。都会生活者 が自然から遠ざかり、人事句ばかり量産している中で、こ の作者の存在は実に貴重であろう。 吊橋を過ぎて身の揺れ烏交る 美 代 この作者は県庁に勤める現職の身でありながら、休日に はこのように自然に触れ作句しているのは偉とするに足り よう。特に﹁過ぎて身の揺れ﹂が臨場感を増していて、山 図の中に納まっているものと思われる。赤い川もこの場合 インパクトがあろう。 紅さしなほす流氷の迫る椅子 タケ子 その昔石川桂郎が流氷を見に行き、十地の俳人と大いに交 二、三人で北海道の流氷見学に出かけたという。流氷と いえば﹁流氷や宗谷の門波荒れやまず誓子﹂が有名だが、 歓したという文章があるが、実際に出かけるにはかなり勇 気も要る。こうした所へもあえて出かけて作句する積極性 を大いに期待している。 矍鑠と春の闇あり寝ねがたし かをる かくしゃくといったこの漢字は、おいそれと書けないほ どむつかしい。そして老人に対して元気さを表わすことに 主として使われるが、春の闇の濃密な感じを思い切ってこ の言葉を使ったことに実は驚いている。 こうした見立てや擬人法めいた手法は、安易に使うと失 敗することが多いのだから。 三月の長方形の箱とどく 恭 子 実にぶっきらぼうな一句といえる。が、三月という季節 といい、長方形の箱といい実に決まっているから不思議だ。 いろいろ言いたいことは省き、人に想像力を駆りたてる 句もあっていいのだ。 春大根下ろし金ごと渡さるる 幸 治 この句も計らいのない実にすっきりと作られている。俳 句とはべたべた修飾するものではないことを知るべき。 涅槃図に青光りする虫は吾 き み 実際には見えない虫なのだが、こう言われると確かに見 えてくるというものだ。 朝に書くきのふの日記スイートピー カオル 銀行名はみ出してをり納税期 千 代 カオル句の日常性と律儀さ、千代句のそれとない目のつ け所など、俳句は殊更に力まずとも題材は身近に転がって いることを知るべきだ。
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