平成19年度科学技術情報研修 専門資料各論 (4) 博士論文 国立国会図書館 関西館 文献提供課 参考係 久保田誠二 構成 1 2 3 4 5 6 博士論文とは 国立国会図書館の所蔵 国内博士論文の検索と入手 海外博士論文の検索と入手 まとめ 演習 2 1 博士論文とは 1.1 博士論文とは 博士の学位(博士号)を得るための論文 呼び方は「博士論文(博論)」、「学位論文」 学位審査を受けている 1名につき 1論文が存在 学位の種類につき 1論文が存在 3 1 博士論文とは 1.2 博士論文ができるまで(日本の場合) 報告 提出 研究活動 博士論文 学位審査 文部科学省 寄贈 学術論文 学会会議録 購入ほか 大学図書館 国会図書館 4 1 博士論文とは 1.3 国内博論の特徴と形態 一般にはほとんど流通しない 形態(版型、ページ数、冊数)はさまざま 論文ごとに「報告番号」が与えられている 例: 甲第6420号 ※甲=課程博士 乙=論文博士 要旨集がある 5 1 博士論文とは 1.4 海外博論の特徴と形態 書誌表記上の特徴 「Ph.D」「Doctoral」「Thesis」「Dissertation」 引用例: John Thomas, The Archstand Theory of Design for Innovation, MIT PhD Thesis, 1995 欧州--- 製本された単行本形態が多い 北米--- UMI(現ProQuest)が複製頒布 6 1 博士論文とは 1.5 博士論文の複製頒布(北米の場合) 大学 注文 博士論文 の提供 頒布 図書館 個人 複製頒布機関 UMI(現:ProQuest) 7 1 博士論文とは 1.6 主な入手手段 入手先 国立規模の図書館 学位授与大学の図書館 電子学位論文 確実性 コピー 料金 (部分) (有料) ○ ○ (部分) (有料) (学位授与大学の機関リポジトリ、 ×~△ (全文) (無料) 学位論文データベース等) 頒布機関からの購入(海外) ○ 全文 有料 8 1 博士論文とは 1.7 電子学位論文について (ETD:Electronic Theses and Dissertations) インターネットでの全文公開 原則は無償公開。限定公開の場合もある。 「入れ物」として機関リポジトリがある 大学等の学術機関が、所属する研究者の手による研究 成果を収集・蓄積・(無償)提供するデータベースシステム。 収録する資料(電子ファイル)は、学位論文のほかに、 学術論文、紀要、貴重書画像など、機関によって数も種類 もさまざま。 9 2 国立国会図書館の所蔵 2.1 所蔵範囲 ・国内博士論文 関東大震災(1923.9)以後の全分野 寄贈により収集(近年の収集率は96%程度) ・海外博士論文 科学技術分野のものを選択的に収集 ※人文・社会科学分野のうち、日本関係を主題とする 論文も選択的に収集 北米: UMI(現:ProQuest)やMITから購入 欧州:ドイツ、スイスなどから国際交換で入手 10 2 国立国会図書館の所蔵 2.2 ご利用について ・閲覧 関西館または東京本館(関西からの取寄せ) で閲覧できます。 ・複写 原則は半分まで(著者の許諾がない場合)。 雑誌論文の抜き刷りは各論文の半分まで。 ※貸出はできません。 ※学位が授与されてから当館で利用できるようになるまでに 数ヶ月のタイムラグがあります。 11 3 国内博士論文の検索と入手 3.1 どこを検索するか? 入手先 国立国会図書館 学位授与大学の図書館 確実性 コピー 料金 (部分) (有料) ○ ○ (部分) (有料) 電子学位論文 (学位授与大学の機関リポジトリ、 ×~△ (全文) (無料) 学位論文データベース等) 12 3 国内博士論文の検索と入手 3.2 NDL-OPACの検索 ( )で ★1973(昭和48)年整理以前の論文は検索できません。 関西館資料案内に電話でお問い合わせください。 検索語 NDL-OPACの入力欄 論文名 (ヨミも可) ⇒ タイトル 著者名 (ヨミも可) 学位授与大学、機関名 ⇒ ⇒ 著者・編者 出版者 学位授与年 学位の種類、学位分野 ⇒ ⇒ 出版年 件名 報告番号※拡張検索画面のみ ⇒ 「標準番号」を報告番号にセット 13 3 国内博士論文の検索と入手 3.3 NDL-OPACの検索の実際 (例) 小山慎哉(2002) 学位論文 筑波大学 14 3 国内博士論文の検索と入手 3.4 学位授与大学の図書館の検索 (留意点) Webcatではまずヒットしない。 所蔵していてもOPAC未収録の場合がある。 その大学の学位論文データベースはないか? 15 3 国内博士論文の検索と入手 3.5 電子学位論文の検索 (手順) ①筑波大のリポジトリor学位論文DBがあるか? リンク集などを活用します ・「国内の機関リポジトリ一覧」 ・「日本の大学の学位論文を探すサイト」 ②そのデータベースに目的の博士論文があるか? 16 3 国内博士論文の検索と入手 3.6 書誌事項調査のためのツール 「博士論文書誌データベース」(NII-DBR) NDL-OPAC収録以前の書誌も検索可能 学位論文データベース 「日本の大学の学位論文を探すサイト」を活用 要旨集 『日本博士録』などの目録 17 4 海外博士論文の検索と入手 4.1 どこを検索するか? 入手先 (その国の)国立図書館 学位授与大学の図書館 電子学位論文 確実性 コピー 料金 (部分) (有料) ○ ○ (部分) (有料) (学位授与大学の機関リポジトリ、 ×~△ (全文) (無料) 学位論文データベース等) 頒布機関からの購入(海外) ○ 全文 有料 18 4 海外博士論文の検索と入手 4.2 NDL-OPACの検索にあたって 種別により検索に使う画面が違います。 UMI博士論文以外 ⇒ 欧州各国、MIT、1958-62のCIT(Caltech) UMI博士論文 ⇒ 北米の大学(除:MIT、1958-62 のCIT) 19 4 海外博士論文の検索と入手 4.3 NDL-OPACの検索(UMI以外) で 何をどこに入力するか 検索語 論文名 著者名 学位授与大学、機関名 学位授与年、出版年 ⇒ NDL-OPACの入力欄 タイトル 著者・編者 出版者 ⇒ 出版年 ⇒ ⇒ 20 4 海外博士論文の検索と入手 4.4 NDL-OPACの検索(UMI) タイトルや著者名、大学名からは検索できません。 で UMIのOrder No.(オーダー番号)から検索します。 (手順) ① ”Dissertation Express”でOrder No.を調査。 ② リポート番号欄にOrder No.を入力して検索。 ※古い資料の一部は検索できません。 レファレンスでお問い合わせください。 21 4 海外博士論文の検索と入手 4.5 UMI博士論文の実例 (例) Joford T. Lim, Program allocation and implementation of cache in a dataflow environment. Ph.D. Pennsylvania State University(2001) 22 4 海外博士論文の検索と入手 4.6 電子学位論文の検索 (手順) ①ペンシルバニア州立大学のリポジトリor学位論文DB があるか? リポジトリのリンク集などを活用します。 ROAR (http://archives.eprints.org/) OpenDOAR (http://www.opendoar.org/) ②そのデータベースに目的の博士論文があるか? 23 4 海外博士論文の検索と入手 4.7 書誌事項調査のためのツール 学位授与機関のOPACや地域の総合目録 例) Karlsruhe Virtual Katalog KVK 学位論文複製頒布機関の目録 例) Dissertation Express インターネット上の引用情報 24 5 まとめ 希少性が高く、一般には流通しにくい資料 主な入手先は 国立図書館・学位授与大学・複製頒布機関 (最近では電子学位論文も) 利用者の要望に応じて入手先を検討 NDLの所蔵・・・国内=網羅的 海外=選択的 NDLの検索・・・UMI と UMI以外の違いに注意 25 演習問題 1 多羅尾進,高速ロボットによるハイブリッドモー ションシミュレーションの実現と応用,博士論文, 東北大学,仙台,2000 26 演習問題 2 この文献を入手したい。できるだけ早くほしい。 Thiel, S.W.van. Doctoral thesis, Leiden University. 2005 27 演習問題 3 Voelker, M.A. Construction of a duel-tip scanning tunneling microscope : A Prototype nanotechnology workstation. Ph.D. Thesis. University of Arizona. 1993 28
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