開催案内(PDF 272KB)

第1回 理工学研究部テニュアトラックセミナー
坂本 竜哉 教授
(共同利用拠点・岡山大学理学部附属臨海実験所(UMI) 所長)
日時
場所
2014 年 11 月 17 日 16:30‐17:30
五福キャンパス 理学部 A238
四足動物の副腎皮質ホルモン系は、グルココルチコイド系とミネラルコルチコイド系に分
化している。ミネラルコルチコイド系がないとされていた魚類でも、ミネラルコルチコイド
受容体(MR)分子とその内因性リガンドが同定され注目を浴びている。しかし、消化管等
の体液調節器官において、このミネラルコルチコイド系ではなく、グルココルチコイドのコ
ルチゾルがグルココルチコイド受容体を介して、高濃度で淡水適応型へ、低濃度で海水型へ
の分化を誘導した。淡水・海水双方向への適応に、リガンド濃度依存的なグルココルチコイ
ド受容体の標的遺伝子群で関わると考えられ、その網羅的同定を行っている。
一方、魚類の MR は体液調節器官ではなく中枢神経系に多く存在する。発生過程では、
まず網膜、次いで脳で高まった。成魚の脳では、視索前野や視蓋、小脳に多く存在した。こ
れらの分布は高等脊椎動物でも保存されている。そこで、以上の MR の機能を解明するた
め、TALEN により mr ノックアウトメダカを作出した。哺乳類では mr ノックアウトは腎
障害で致死となる。このメダカは、外部形態、体液調節能は正常で、MR の中枢機能の解明
に突破口が開かれたと考えている。現在までに、移動するオブジェクトを追従する視運動が、
この mr ノックアウトでは、明確に阻害され不要な動きが多いことを発見している。MR は、
副腎皮質ホルモン・プロゲステロン・アンドロゲン受容体からなる核内受容体サブファミリ
ーの原型とされている。MR の普遍的機能と思われる脳-行動制御作用から、このファミリ
ーの機能の原点が示唆されるかもしれない。
哺乳類
真骨魚類
DOC コルチゾル
コルチゾル アルドステロン
糖代謝
GR
MR
中枢作用:
本質的機能?
MR
GR
糖代謝
水・電解質代謝
水・電解質代謝
主催:理工学研究部テニュアトラック若手育成部門
世話人:中町 智哉(テニュアトラック助教)内線 6620
共催:理学部生物学科セミナー