医薬品の適正使用に欠かせない情報です。必ずお読みください。 使用上の注意改訂のお知らせ 2010年12月 製造販売元 劇薬 処方せん医薬品 このたび標記製品の「使用上の注意」を改訂しましたのでお知らせいたします。 なお、改訂添付文書を封入した製品がお手元に届くまでには若干の日数を必要としますので、 今後のご使用に際しましては本内容をご参照くださいますようお願い申し上げます。 Ⅰ.改訂の概要 ゼローダ錠300 改訂項目 4. 副作用 (1)重大な副作用 改訂概要 「9)重篤な腸炎:出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸 炎等」の項を追記しました。 「10)重篤な精神神経系障害(白質脳症等)」の項を追 記しました。 改訂理由 事務連絡 4. 副作用 「1)重篤な腸炎:出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸 (2)重大な副作用 (類薬) 炎等」の項を削除しました。 「2) 重篤な精神神経系障害(白質脳症等)」の項を削 除しました。 4. 副作用 「精神神経系」の項から「嗜眠、錯乱、脳症、失調、 (3)その他の副作用 構語障害、平衡障害、協調運動異常」を、「消化器」 自主改訂 1)単独療法における の項から「大腸炎」を削除しました。 報告 4. 副作用 (3)その他の副作用 2)他の抗悪性腫瘍剤 「精神神経系」の項から「嗜眠」を削除しました。 との併用投与時に おける報告 「使用上の注意」改訂の内容は医薬品安全対策情報(DSU)(No.195 2010年12月発行予定)に掲載されます。 「医薬品医療機器情報提供ホームページ」(http://www.info.pmda.go.jp/)に最新添付文書及びDSUが掲載されます。 -1- Ⅱ.改訂内容 ゼローダ錠300 改 訂 後(下線 部:改訂) 改 4. 副作用 (1)重大な副作用 1) 〜8) 略 訂 前( 部:削除) 4. 副作用 (1)重大な副作用 1) 〜8) 略 注4) 国 外の臨床試験又は自発報告にて報告された頻 度を算出できない副作用については頻度不明と した。 9) 重 篤な腸炎(頻度不明注4)):出血性腸炎、虚 血性腸炎、壊死性腸炎等があらわれることが あるので観察を十分に行い、激しい腹痛・下 痢・血便等の症状があらわれた場合には投与 を中止し、適切な処置を行うこと。 10) 重 篤な精神神経系障害(白質脳症等)(頻度 不明注4)):歩行障害、麻痺、錐体外路症状、 失調、協調運動障害、平衡障害、構音障害、 意識障害、嗜眠、錯乱、健忘、指南力低下、 知覚障害、尿失禁等があらわれることがある。 また、このような症状が白質脳症等の初期症 状としてあらわれることがあるので観察を十 分に行い、このような症状があらわれた場合 には投与を中止すること。 該当記載なし 該当記載なし 注4) 国 外の臨床試験又は自発報告にて報告された頻 度を算出できない副作用については頻度不明と した。 (2)重大な副作用(類薬) (頻度不明) 1) 溶血性貧血:溶血性貧血があらわれることが あるので、定期的に検査を行うなど観察を十 分に行い、異常が認められた場合には投与を 中止するなどの適切な処置を行うこと。 (2)重大な副作用(類薬)(頻度不明) 1) 重篤な腸炎:出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死 性腸炎等(初期症状:腹痛、頻回の軟便、下 痢等)があらわれることがあるので観察を十 分に行い、激しい腹痛・下痢等の症状があら われた場合には投与を中止し、適切な処置を 行うこと。 2) 重篤な精神神経系障害(白質脳症等):健忘、 歩行障害、知覚障害、錐体外路症状、口のも つれ、舌のもつれ、意識障害、麻痺、尿失禁、 指南力低下、構音障害等があらわれることが ある。また、上記の症状が白質脳症等の初期 症状としてあらわれることがあるので観察を 十分に行い、このような症状があらわれた場 合には投与を中止すること。 3) 溶血性貧血:溶血性貧血があらわれることが あるので、定期的に検査を行うなど観察を十 分に行い、異常が認められた場合には投与を 中止するなどの適切な処置を行うこと。 ➡ (3)その他の副作用 1) 単剤療法における報告 頻度不明注4) 10%以上注5) (3)その他の副作用 1) 単剤療法における報告 10%未満注5) 精神神 経系 不眠症、うつ病、 錯感覚 消化器 消化不良、鼓腸、 悪心(33.2%)、 便 秘 、 腹 痛 、 上 食 道 炎 、 十 二 指 食 欲 不 振 ( 3 0 . 5 腹部痛、口唇炎 腸炎、胃腸出血、 %)、嘔吐 胃炎、口内乾燥、 軟便、口渇、胃 不快感 味覚異常、頭痛、 浮動性めまい 頻度不明注4) 精神神 嗜眠、錯乱、脳症、 失調、構語障害、 経系 平衡障害、協調 運動異常、不眠 症、うつ病、錯 感覚 消化器 注5) A法若しくはB法で実施した国内臨床試験の集計 10%以上注5) 10%未満注5) 味覚異常、頭痛、 浮動性めまい 消化不良、鼓腸、 悪心(33.2%)、 便 秘 、 腹 痛 、 上 食 道 炎 、 十 二 指 食 欲 不 振 ( 3 0 . 5 腹部痛、口唇炎 腸 炎 、 大 腸 炎 、 %)、嘔吐 胃腸出血、胃炎、 口内乾燥、軟便、 口渇、胃不快感 注5) A法若しくはB法で実施した国内臨床試験の集計 -2- 改 訂 後(下線 部:改訂) 改 (3)その他の副作用 2) 他 の抗悪性腫瘍剤との併用投与時における報告 頻度不明注4) 精神神 経系 10%以上注6) 訂 (3)その他の副作用 2) 他 の抗悪性腫瘍剤との併用投与時における報告 10%未満注6) 頻度不明注4) 不眠症、錯感覚、 神 経 毒 性 ( 末 梢 浮動性めまい 異常感覚、感覚 性感覚ニューロ 鈍麻 パシー、末梢性 運動ニューロパ シー等) (93.8%)、 味覚異常(39.1 %)、神経痛(34.4 %)、頭痛 前( 部:削除) ➡ 注6) C 法で実施した国内臨床試験 (XELOX療法6例とXELOX+ BV療法58例) の集計 精神神 経系 10%以上注6) 10%未満注6) 不眠症、錯感覚、 神 経 毒 性 ( 末 梢 浮動性めまい 異常感覚、嗜眠、 性 感 覚 ニ ュ ー ロ 感覚鈍麻 パシー、末梢性 運動ニューロパ シー等) (93.8%)、 味覚異常(39.1 %)、神経痛(34.4 %)、頭痛 注6) C 法で実施した国内臨床試験 (XELOX療法6例とXELOX+ BV療法58例) の集計 Ⅲ.改訂理由 <ゼローダ錠300> 1.厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡(平成22年11月30日付)に基づく改訂 ○「重大な副作用」に「重篤な腸炎」と「重篤な精神神経系障害(白質脳症等)」を追記しました。 これらは従来「重大な副作用(類薬)」に記載していましたが、国内において本剤との因果性 が否定できない副作用が報告されていることから、「重大な副作用」に「重篤な腸炎」と「重篤 な精神神経系障害(白質脳症等)」を追記し、それにともない「重大な副作用(類薬)」から記 載を削除しました。 精神神経系障害の症状については、海外で認められた症状や類薬において認められた症状も 含めて記載を行いました。 2.自主改訂 ○「その他の副作用 1) 単独療法における報告」の「精神神経系」の項から「嗜眠、錯乱、脳症、失調、 構語障害、平衡障害、協調運動異常」を、 「消化器」の項から「大腸炎」を削除しました。 また、「その他の副作用 2) 他の抗悪性腫瘍剤との併用投与時における報告」の「精神神経系」 の項から「嗜眠」を削除しました。 重大な副作用への追記にともない、その他の副作用の関連事象を削除しました。 次ページ以降に症例概要を掲載しましたのでご参照ください。 -3- 症例概要 【壊死性虚血性腸炎】:国内報告 患 性・ 年齢 者 使用理由 (合併症) 副作用 1日投与量 投与期間 副作用経過及び処置 女 局 所 再 発 右 2400mg/日 原発巣:無、転移巣:肺、リンパ節 80代 乳 癌 、 肺 、 リ ン パ 節 転 354日間投与 投与3年3カ月前 外科初診時、右乳癌(T3N2M0、StageⅢA) 投与3年2カ月前 右乳房切除術。Bt+Ax+Ic 移 病理組織:Invasive ductal carcinoma、scirrhous ca、NG3、f、 (なし) ly(+)、V(+)、n2(11/16)、ER(++)、PgR(-)、HER2(0)。ホル モン感受性不確実高リスク群。 投与3年1カ月前 術後 補助化学 療法とし てFEC (シク ロホスファ ミド水和物 500mg、エピルビシン塩酸塩50mg、フルオロウラシル500mg) 開始(約4カ月間)。計6コース。 投与2年9カ月前 術後補助化学療法としてアナストロゾール1mg投与開始(約2年 9カ月間)。 投与1年10カ月前 乳癌局所再発。乳癌再発部切除術。 投与1年9カ月前 再発乳癌に対して、右胸壁に放射線療法開始(約1カ月間)計 45Gy 投与約6カ月前 局所再再発。 投与84日前 CT:肺転移、リンパ節転移発現。 投与61日前 再発部切除術。 投与開始日 本剤の投与を開始。 本剤投与開始時の転移部位:局所再発、肺転移。PS:0 投与225日目 左頚部リンパ節転移出現。 投与323日目 CT:肺転移増悪、肝転移、骨転移出現。エキセメスタン併用開始。 投与354日目 本剤投与354日目。 (投与中止日) 投与中止1日後 腰痛、腹痛、食欲不振、便秘等の消化器症状を自覚。壊死性虚 血性腸炎が発現。 投与中止7日後 夜より腹痛増悪、悪心嘔吐が出現。 投与中止8日後 救急搬送、救急外来を受診。イレウス診断にて入院。同日、緊 急手術施行。左半結腸切除術。 術式:ハルトマン又はストーマ造設術 病理診断:Acute colitic necrosis and panperitonitis, suspitious of gangrenous form of ischemic colitis Metastatic adenocarcinoma(peritoneal dissemination) 投与中止16日後 腹腔内膿瘍にて腹腔洗浄+ドレナージ術施行。術式:洗浄ドレ ナージ、人工肛門再造設。 不明 術後、CRP、白血球数は高値を維持。→腹膜炎を合併。 投与中止32日後 吐血あり。 投与中止36日後 DIC、上部消化管出血にて死亡。剖検:なし 併用薬 :エキセメスタン、ピリドキサールリン酸エステル水和物、レバミピド -4- 【白質脳症】:国内報告 患 性・ 年齢 者 使用理由 (合併症) 副作用 1日投与量 投与期間 副作用経過及び処置 男 結腸直腸癌 3600mg/日 原発巣:結腸・直腸 Stage:ⅢA 60代 ( 高 血 圧 、 (不明日) 結腸癌、直腸癌手術施行。 変 形 性 脊 椎 5日間投与 投与開始日 fStageⅢAの大腸癌術後補助化学療法として本剤内服を開始する。 症、耐糖能 本剤投与開始時:PS:0 障害) 投与3日目 元気がなくなる。(家人談) 投与5日目 ふらつきあり、まっすぐ歩けないようになる。(家人談) (投与中止日) 白質脳症発現。 [白質脳症発現時の自他覚症状] 歩行不能、せん妄様状態、構語障害 投与中止1日後 (朝) 全身倦怠感あり、当院を受診するため自家用車を運転。当 院駐車場にて立てなくなり、職員の介助で救急外来診察。 (午前)当初狭心症と思われ、緊急心臓カテーテル検査となるも 冠動脈病変を認めず。 (午後)MRIにて白質脳症と診断。入院加療となった。 [MRI検査] 所見:広範な白質脳症あり。 [心電図検査] 所見(来院時):ST低下あり、狭心症が疑われた。 [頭CT検査] 所見:脳出血、脳梗塞、脳腫瘍なし。 投与中止2日後 不穏状態、せん妄状態著しく、終日鎮静剤持続静注の使用を要 した。(翌日夕方まで) [心電図検査] 所見:ST低下変化が消失していた。 投与中止4日後 (午前)精神状態の改善あるも、歩行不能で呂律がまわらず。 (夕方)徐々に会話が可能となる。ベット上で過ごす。 投与中止6日後 (午前)意識清明となる。ふらつきは残っており、歩けず。 投与中止7日後 (午後)手すりにつかまれば歩行できるようになる。 投与中止8日後 (午後)自立歩行可能、通常会話可能となる。(通常のADLにも どる) 投与中止10日後 (午後)MRIにて、白質脳症が消失。 投与中止12日後 白質脳症回復。軽快退院となった。 併用薬:アムロジピンベシル酸塩、エナラプリルマレイン酸塩、ファモチジン、ボグリボース 臨床検査値 検査項目名 投与26日前 投与中止1日後 投与中止3日後 投与中止11日後 血圧(収縮期) (mmHg) 140 75 135 140 血圧(拡張期) (mmHg) 85 55 80 85 次ページ以降に改訂後の「使用上の注意」を掲載しましたので、併せてご参照ください。 -5- 使用上の注意 **2010年11月改訂(第11版) *2009年 9 月改訂 休薬・減量の規定 * 【警告】 1. 本 剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療 施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医 師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実 施すること。適応患者の選択にあたっては、本剤及び各併 用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること。また、治 療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を 十分説明し、同意を得てから投与すること。 2. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との 併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれ があるので、併用を行わないこと(「相互作用」の項参照) 。 3. 本剤とワルファリンカリウムとの併用により、血液凝固能 検査値異常、出血が発現し死亡に至った例も報告されてい る。これらの副作用は、本剤とワルファリンカリウムの併 用開始数日後から本剤投与中止後1ヶ月以内の期間に発現 しているので、併用する場合には血液凝固能検査を定期的 に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと(「相互作用」 、 【薬物動態】の項参照)。 【禁忌(次の患者には投与しないこと) 】 1. 本 剤の成分又はフルオロウラシルに対し過敏症の既往歴の ある患者 2. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与 中の患者及び投与中止後7日以内の患者(「相互作用」の項参 照) 3. 重篤な腎障害のある患者(「慎重投与」、【薬物動態】の項参 照) 4. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授 乳婦等への投与」の項参照) <効能・効果に関連する使用上の注意> 1. 手 術不能又は再発乳癌に対して (1)本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確 立していない。 (2)単剤投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性 腫瘍剤を含む化学療法の増悪若しくは再発例に限る。 (3)併用療法に関して、初回化学療法における有効性及び安 全性は確立していない。 2. 結腸癌における術後補助化学療法に対して Dukes C以外の結腸癌における術後補助化学療法での、本 剤の有効性及び安全性は確立していない。また、国内での 術後補助化学療法に関する検討は行われていない(【臨床成 績】 の項参照)。 * <用法・用量に関連する使用上の注意> 1. B法について (1)B法において副作用が発現した場合には、以下の規定を 参考にして休薬・減量を行うこと。 NCIによる毒性の Grade判定注2) 治療再開時 の投与量 治療期間中の処置 Grade1 休薬・減量不要 減量不要 Grade2 初回発現 2回目発現 3回目発現 4回目発現 Grade0-1に軽快するまで休薬 減量不要 Grade0-1に軽快するまで休薬 減量段階1 Grade0-1に軽快するまで休薬 減量段階2 投与中止・再投与不可 − Grade3 初回発現 Grade0-1に軽快するまで休薬 減量段階1 2回目発現 Grade0-1に軽快するまで休薬 減量段階2 3回目発現 投与中止・再投与不可 − Grade4 初回発現 投与中止・再投与不可 あるいは治療 継続が患者に とって望ましいと判定された 減量段階2 場合は、Grade0-1に軽快する まで投与中断 上記の休薬・減量の規定に応じて減量を行う際、次の用量を 参考にすること。 減量時の投与量 体表面積 1.13m2未満 1.13m2以上1.21m2未満 1.21m2以上1.45m2未満 1.45m2以上1.69m2未満 1.69m2以上1.77m2未満 1.77m2以上 1回用量 減量段階1 減量段階2 900mg 600mg 1,200mg 900mg 1,500mg 1,200mg 1,800mg (2)一旦減量した後は増量は行わないこと。 (3) 「結腸癌における術後補助化学療法」に関しては、投与期 間が8コースを超えた場合の有効性及び安全性は確立し ていない。 2. C法について (1)C法において副作用が発現した場合には、休薬・減量を 行うこと。休薬・減量の規定はB法の規定を参考にし、 減量を行う際は次の用量を参考にすること。 減量時の投与量 体表面積 1.41m2未満 1.41m2以上1.51m2未満 1.51m2以上1.81m2未満 1.81m2以上2.11m2未満 2.11m2以上 1回用量 減量段階1 900mg 減量段階2 600mg 1,200mg 900mg 1,500mg 1,200mg (2)治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌において、本 剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は、【臨床成績】の項の内 容を熟知した上で、患者の状態やがん化学療法歴に応じ て選択すること。 (3)治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対して、本 剤を含むがん化学療法を実施する場合、併用する他の抗 悪性腫瘍剤の添付文書を熟読すること。 -6- 注2) B法による国内臨床試験においてはNCI-CTC(Ver.2.0)によりGrade を判定した。手足症候群は以下の判定基準に従った。 また、C法による国内臨床試験においては手足症候群も含めてNCICTCAE (Ver.3.0)によりGradeを判定した。 手足症候群の判定基準 Grade 臨床領域 機能領域 1 しびれ、皮膚知覚過敏、 日常生活に制限を受ける ヒリヒリ・チクチク感、 ことはない症状 無痛性腫脹、無痛性紅斑 2 腫脹を伴う有痛性皮膚紅 日常生活に制限を受ける 斑 症状 3 湿性落屑、潰瘍、水疱、 日常生活を遂行できない 強い痛み 症状 該当する症状のGradeが両基準(臨床領域、機能領域)で一致 しない場合は、より適切と判断できるGradeを採用する 【使用上の注意】 1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1)腎障害のある患者[副作用が重症化又は発現率が上昇するお それがある(「重要な基本的注意」、【薬物動態】の項参照) 。 ] (2)肝障害のある患者 (3)冠動脈疾患の既往歴のある患者[心障害があらわれるおそれ がある。] (4)骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増強するおそれがある( 「重 要な基本的注意」の項参照)。] (5)消化管潰瘍又は出血のある患者[症状が悪化するおそれがあ る。] (6)高齢者(「高齢者への投与」の項参照) 2. 重要な基本的注意 (1)テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与 中止後、本剤の投与を行う場合は、少なくとも7日以上の間 隔をあけること(「相互作用」の項参照)。 (2)本剤投与中は定期的(特に投与初期は頻回)に臨床検査(血液 検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十 分に観察すること。異常が認められた場合には、休薬等の 適切な処置を行うこと。 (3)感染症・出血傾向の発現又は悪化に十分注意すること。 (4)生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性 腺に対する影響を考慮すること。 3. 相互作用 本剤が肝チトクロームP450(CYP2C9)の酵素蛋白合成系に影 響し、酵素活性が低下する可能性があるので、CYP2C9で代 謝を受ける薬剤と併用する場合に併用薬剤の血中濃度が上昇 するおそれがある。 (1)併用禁忌(併用しないこと) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 テガフール・ギメ 早期に重篤な血液障 ギメラシルがフルオ ラシル・オテラシ 害や下痢、口内炎等 ロウラシルの異化代 ルカリウム配合剤 の消化管障害等が発 謝を阻害し、血中フ (ティーエスワン) 現するおそれがある ルオロウラシル濃度 ので、テガフール・ が著しく上昇する。 ギメラシル・オテラ シルカリウム配合剤 投与中及び投与中止 後7 日以内は本剤を 投与しないこと。 -7- (2)併用注意 (併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 ワルファリンカリ 併用開始数日後から 本剤が肝チトクロー ウム 本剤 投与 中止後 1ヶ ムP450(CYP2C9)の 月以内の期間に血液 酵素蛋白合成系に影 凝固能検査値異常、 響し、酵素活性が低 出血の発現が報告さ 下している可能性が れている。定期的に 考えられている。 血液凝固能検査(プ ロトロンビン時間、 INR等) を行い、必要 に応じて適切な処置 を行うこと。 フェニトイン フェニトインの血中 濃度が上昇したと の報告があるので、 フェニトインの血中 濃度の変化に注意す ること。 本剤が肝チトクロー ムP450(CYP2C9)の 酵素蛋白合成系に影 響し、酵素活性が低 下している可能性が 考えられている。 *4. 副作用 <単剤療法における副作用発現状況の概要> 承認時迄の調査298例において、副作用は277例(93.0%)に認め られた。主な副作用は、手足症候群176例(59.1%) 、悪心99例 (33.2%) 、食欲不振91例(30.5%) 、赤血球数減少78例(26.2%) 、 下痢76例(25.5%) 、白血球数減少74例(24.8%) 、血中ビリルビン 増加72例(24.2%) 、口内炎67例(22.5%) 、リンパ球数減少64例 (21.5%) 等であった。 (効能・効果、用法・用量追加を含む承認時) <他の抗悪性腫瘍剤との併用投与時における副作用発現状況 の概要> 承認時迄の調査64例 注3)において、副作用は64例(100%)に認 められた。主な副作用は、末梢性感覚ニューロパシー60例 (93.8%) 、食欲不振57例(89.1%) 、疲労52例(81.3%) 、悪心 49例(76.6%) 、手足症候群49例(76.6%) 、色素沈着障害38例 (59.4%) 、下痢36例(56.3%) 、口内炎35例(54.7%) 、好中球数減 少33例(51.6%)等であった。 (効能・効果、用法・用量追加時) 注3) XELOX療法(本剤とオキサリプラチン併用)6例とXELOX+BV療法 (XELOX療法とベバシズマブ併用)58例を集計した。 (1)重大な副作用 1) 脱水症状(頻度不明注4)) :激しい下痢(初期症状:腹痛、頻 回の軟便等)があらわれ脱水症状まで至ることがあるので 観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合に は、投与を中止し補液、電解質投与等の適切な処置を行 うこと。 2) 手足症候群(Hand-foot syndrome) (頻度不明注4)):手掌 及び足底に湿性落屑、皮膚潰瘍、水疱、疼痛、知覚不全、 有痛性紅斑、腫脹等の手足症候群があらわれることがあ るので観察を十分に行い、異常が認められた場合には、 投与を中止し適切な処置を行うこと。 3) 心障害(頻度不明注4)):心筋梗塞、狭心症、律動異常、心 停止、心不全、突然死、心電図異常(心房性不整脈、心房 細動、心室性期外収縮等)等の心障害があらわれることが あるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には、 投与を中止し適切な処置を行うこと。 4) 肝障害、黄疸(頻度不明注4)):肝機能検査値異常、黄疸を 伴う肝障害があらわれ、肝不全に至った症例も報告され ているので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、 異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な 処置を行うこと。なお、肝機能検査値異常を伴わない黄 疸があらわれることが報告されている。 5) 腎障害(頻度不明注4)):腎機能検査値異常を伴う腎障害が あらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観 察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中 頻度不明注4) 皮膚 爪の異常(爪甲離 色素沈着障害 床症、脆弱爪、爪 変色、爪ジストロ フィー等)、紅斑 性皮疹、 皮膚亀裂、 光線過敏、放射線 照射リコール症候 群、皮膚乾燥、剥 脱性皮膚炎、皮膚 落屑、そう痒症、 皮膚炎 眼 眼障害(結膜炎、 角膜炎、眼刺激 等) 、流涙増加 止するなど適切な処置を行うこと。 6) 骨髄抑制(頻度不明注4)):汎血球減少、顆粒球減少等の骨 髄抑制が、また、骨髄抑制の持続により易感染症、敗血 症等があらわれることがあるので定期的に血液検査を行 うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、 投与を中止し適切な処置を行うこと。 7) 口内炎(頻度不明注4)):口内炎(粘膜炎、粘膜潰瘍、口腔内 潰瘍等)があらわれることがあるので観察を十分に行い、 有痛性の紅斑、口内潰瘍、舌潰瘍等が認められた場合には、 投与を中止し適切な処置を行うこと。 8) 間質性肺炎(頻度不明注4)):間質性肺炎(初期症状:咳嗽、 息切れ、呼吸困難、発熱等)があらわれることがあるので、 観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中 止し、胸部X線等の検査を行い、副腎皮質ホルモン剤を投 与するなど適切な処置を行うこと。 篤な腸炎(頻度不明注4)):出血性腸炎、虚血性腸炎、壊 **9) 重 死性腸炎等があらわれることがあるので観察を十分に行 い、激しい腹痛・下痢・血便等の症状があらわれた場合 には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 **10) 重 篤な精神神経系障害(白質脳症等) (頻度不明注4)):歩行 障害、麻痺、錐体外路症状、失調、協調運動障害、平衡 障害、構音障害、意識障害、嗜眠、錯乱、健忘、指南力 低下、知覚障害、尿失禁等があらわれることがある。また、 このような症状が白質脳症等の初期症状としてあらわれ ることがあるので観察を十分に行い、このような症状が あらわれた場合には投与を中止すること。 注4) 国 外の臨床試験又は自発報告にて報告された頻度を算出できな い副作用については頻度不明とした。 **(2)重大な副作用(類薬) (頻度不明) 類似化合物(ドキシフルリジン等)で次のような副作用が報 告されている。 1) 溶 血性貧血:溶血性貧血があらわれることがあるので、 定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認め られた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行う こと。 (3)その他の副作用 次のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて休 薬等の適切な処置を行うこと。 **1) 単剤療法における報告 頻度不明注4) 10%以上注5) 精神神 不眠症、うつ病、 経系 錯感覚 10%未満注5) 味覚異常、頭痛、 浮動性めまい 消化器 消化不良、鼓腸、 悪心(33.2%)、食 便秘、腹痛、上 食道炎、十二指腸 欲不振(30.5%)、 腹部痛、口唇炎 炎、胃腸出血、胃 嘔吐 炎、口内乾燥、軟 便、口渇、胃不快 感 循環器 胸痛、下肢浮腫、 心筋症、心筋虚血、 頻脈 呼吸器 呼吸困難 血液 貧血 肝臓・ 肝機能異常、血中 血 中 ビ リ ル ビ ン 腎臓 クレアチニン増加 増加(24.2%)、 A S T( G O T )増 加、LDH増加、 A L T( G P T )増 加、Al-P増加 ヘマトクリット 減少、血小板数 減少、単球数増 加、プロトロン ビン時間延長、 好中球数減少 10%未満注5) 発疹、脱毛症 尿沈渣陽性、蛋 白尿、BUN増加、 尿中ブドウ糖陽 性 その他 無力症、脱力、四 倦 怠 感 、 体 重 減 鼻咽頭炎、体重 肢痛、 電解質異常、 少、発熱、血中ブ 増加、疲労、背 胸痛、筋痛 ドウ糖増加 部痛、血中アル ブミン減少、関 節痛、血圧上昇 注5)A法若しくはB法で実施した国内臨床試験の集計 **2) 他の抗悪性腫瘍剤との併用投与時における報告 頻度不明注4) 10%以上注6) 10%未満注6) 精神神 不眠症、錯感覚、 神経毒性(末梢性 浮動性めまい 経系 異常感覚、感覚鈍 感 覚 ニ ュ ー ロ パ 麻 シー、末梢性運動 ニューロパシー 等) (93.8%)、味 覚異常(39.1%) 、 神経痛(34.4%) 、 頭痛 消化器 消化不良 食 欲 不 振( 8 9 . 1 口唇炎、胃不快 %)、悪心(76.6 感、下腹部痛、 %)、嘔吐(42.2 歯周病、歯痛、 %) 、便秘、腹痛、 歯肉出血、上腹 歯肉炎 部痛、齲歯 呼吸器 呼吸困難 鼻出血(37.5%) 、 鼻漏、発声障害、 しゃっくり 鼻粘膜障害 血液 皮膚 好 中 球 数 減 少 ヘモグロビン減 (51.6%) 、血小板 少 数減少、白血球 数減少 皮膚乾燥 色 素 沈 着 障 害 爪の障害、脱毛 (59.4%) 、発疹 症、爪囲炎、蕁 麻疹 肝臓・ 腎臓 蛋 白 尿 、 A S T 血尿、膀胱炎 ( G O T )増 加 、 A L T( G P T )増 加、血中ビリル ビン増加 その他 四肢痛、無力症、 温度変化不耐症、 低カリウム血症、 顎痛 疲労 (81.3%) 、注 射部位反応(疼痛 等)、高血圧、発 熱、上気道感染 ( 鼻 咽 頭 炎 等 )、 薬物過敏症 咳嗽 赤血球数減少 (26.2%)、白血球 数減少(24.8%)、 リンパ球数減少 (21.5%)、ヘモグ ロビン減少 10%以上注5) 背部痛、倦怠感、 体重減少、胸部 不快感、潮紅、 殿部痛 注6)C法で実施した国内臨床試験(XELOX療法6例とXELOX+BV療法58例) の集計 -8- 5. 高齢者への投与 8. 過量投与 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態 本剤の過量投与により、嘔気、嘔吐、下痢、粘膜炎、消化管刺 を観察しながら慎重に投与すること。[特に80歳以上の高齢者 激・出血、骨髄抑制等があらわれることがある。このような において、重症の下痢、嘔気、嘔吐等の発現率が上昇したと 場合には、症状に応じて一般的な対症療法を行うこと。 9. 適用上の注意 の報告がある。] 6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服 (1)動物実験で胚致死作用及び催奇形作用が報告されているの で、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しな いこと。[マウスにおいて、早期胚死亡、脳室拡張、骨格変 異の増加、化骨遅延(198mg/kg/日以上 反復投与)、サル において、流産、胚死亡(90mg/kg/日以上 反復投与)が報 告されている。] (2)授乳婦に投与する場合には、授乳を避けさせること。[動物 実験(マウス)において、乳汁への移行(198mg/kg 単回投 与)が報告されている。] 7. 小児等への投与 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性 は確立していない。 -9- 用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭 角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等 の重篤な合併症を併発することが報告されている。] 10. その他の注意 (1)フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジ ンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損等の患者がごくまれに存在 し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した 場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、 神経障害等) が発現するとの報告がある。 (2)外国において、肺塞栓が発現したとの報告がある。 - 10 - - 11 - - 12 -
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