将来の日本を担う科学者・技術者のタマゴを育てます - 兵庫県立教育

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将来の日本を担う科学者・技術者のタマゴを育てます
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『人と自然の博物館』連携セミナー「ビオトープ池を調べる」第3回
希少淡水生物レフェジアビオトープ
-キリンビール神戸工場の環境への取組-
キリンビール神戸工場の環境への取組
近過去の里の水辺の再生・絶滅危惧種の一時避難所 10月11日(火) 田中 哲夫 先生 佐藤裕司先生
キリンビール神戸工場のビオトープでのカワバタモロコ個体数推定調査
の3回目です。今回は、まず前回同様にビオトープ池に仕掛けたトラッ
プで捕獲した個体を麻酔し、体長を計測しました。そして、その個体が、
1週間前に尾ヒレを切って放流した個体かどうかを判定して記録しまし
た。この方法によって、ビオトープ池全体の個体数が推定できます。例
えば、捕獲したカワバタモロコ 100 匹のヒレを切って放流したとします。
1週間後に、150 匹捕獲したところ,そのうち 30 匹がヒレを切られた個
体であった場合、ヒレを切られた魚は全体の約 1/5 と推定されますから、
全体の数が約 500 匹と推定されるというわけです。この日の調査結果は、
今後解析して個体数を推定し、年度
による推定個体数の推移が何を意味
するのかを考察します。
5ヶ所に仕掛けたトラップに掛かったカワバ
タモロコをバケツに移します(写真左上)ベン
チで、カワバタモロコをさらに金属製トレーに
移して麻酔をかけます(写真左下)。個体毎
の体長を測定しながら、前回ヒレを切った個
体かどうかを判定して記録します(写真右)。
キリンビール神戸工場『カワバタモロコ個体数調査』
受講資料(ビオトープの意義)より
企業・住民・博物館協働の調査 2002 年 5 月 19 日に水系を越えないビオトープ池に最も近接した池か
らカワバタモロコ 241 個体をキリンビオトープ池に導入。その後、順調に増殖し 2003 年 10 月の調査会で
総採集個体数 4000 匹に達し、その後は減少に転じた。2005 年から 2009 年にかけては 1000 個体弱で推移。
標識再捕法による 10 月の推定個体数は、2005 年 3200 個体、2006 年 2700 個体、2008 年 3200 個体であり、
総採集個体数と同じように安定している。
魚が増えればトンボは減少 カワバタモロコやメダカの増加に伴って、ショウジョウトンボ・
シオカラトンボなどの不均翅亜目のトンボヤゴは減少したが、均翅亜目(イトトンボ)は影響なし。
目標の再検討 導入したカワバタモロコやメダカの定着には成功した。ただし、魚の増加に伴って
ショウジョウトンボ・シオカラトンボは減少した。元々これらのトンボは、パイオニア種であり、出現し
た一時的水域を真っ先に利用していたと考えられる。絶滅危惧種カワバタモロコの捕食圧は、ある種のト
ンボや水生動物に強く影響を与えていることも確からしい。このことは一つの小さなビオトープ池に多数
種を共存維持することが困難で、どんな水生動物の組み合わせが共存可能か不可能なのかを明らかにした。
今後は、環境の異なった複数のビオトープのネットワーク化をすすめる必要がある。
絶滅危惧種 キヌフラスコモの出現
2005 年 10 月 15 日の観察時に絶滅危惧
種Ⅰ類にあげているキヌフラスコモが見つかった。アオサギなど水鳥による運搬
・ビオトープ造成時の水生植物移植時に混入した等の経路が考えられる。
学校設定科目『自然科学への誘い』特別講義
癌は遺伝子の病気
ガン遺伝子の本当の働きとは!-ガン抑制遺伝子との協働作業による細胞増殖-
「生命科学」第1回講義 関西学院大学理工学部 生命科学科教授 片桐晃子先生 10月11日(火)
日本人の死亡原因の一位は、ガンです。ガンはガン細胞の集まりです
が、初めは体の一部のたった1個の細胞から始まります。今回は、関西学
院大学生命科学科教授の片桐晃子先生に「癌は遺伝子の病気」のテーマで
講義をして頂きました。片桐先生は、免疫学・免疫細胞の動態制御機構が
ご専門で、海外の研究室でも大変活躍されて 2009 年度から関西学院大学
で、研究活動と学生の指導にあたられています。講義は、高校1年生に
もわかるように平易な言葉で話して頂き、非常に分かりやすい講義でした。
ガン細胞がガンに進展するメカニズムから始まり、遺伝子 DNA の構造や
働き、先進的なガン遺伝子治療に内容は広がりました。その中で『ガン遺
伝子』は正常細胞の増殖に重要な働きをしている遺伝子であり、『ガン遺
伝子』を抑制する治療は良い効果をもたらさないこと、正常細胞がガン化
するのはその『ガン遺伝子』が変異してしまうからであること、『ガン抑
制遺伝子』は正常細胞に対しては、その増殖コントロールや傷ついた遺伝
子の修復に機能していること、特に最近発見された『p 53 遺伝子』は「遺
伝子の見張り役」と言われるガン細胞の増殖を抑える遺伝子で、胃ガン、
肺ガン等のガンの種類に関係なくガンを発症している人の多くがこの遺
伝子に異常が生じている事実等を教えて頂きました。片桐先生の第 2 回講義「免疫の仕組み」も楽しみです。
Japan Science & Engineering Challenge
2011
第9回
第9回 高校生科学技術チャレンジ
高校生科学技術チャレンジ 2011
2011
3年次生がエントリーしています!!
本校の探究活動の集大成であるゼミⅡでの成果を、高校生科学技術チャレンジに応募しました。3 年生が 6
月に書き上げて提出した論文を、その後必要に応じて追実験をし、加筆訂正して JST(独立行政法人科学技術
振興機構)認定の本コンテストに応募しました。以下はエントリーした論文テーマです。
◆生物分野 生体調節講座
「プラナリアの高密度分裂抑制機構」
◆生物分野 生体調節講座
「プラナリアと光の関係」
◆生物分野 植物群落と環境要因の関係講座
「季節変化におけるタンポポの花粉形態の比較」
◆生物分野 植物群落と環境要因の関係講座
「タンポポにおける在来種と外来種の繁殖競争について」
◆化学分野 化学発光講座
「ルミノール時計反応」
◆化学分野 化学発光講座
「二色の化学発光を示す時計反応」
◆化学分野 色素増感太陽電池講座
◆化学分野 色素増感太陽電池講座
◆化学分野 色素増感太陽電池講座
「増感色素分子構造から見る色素増感型太陽電池」
「色素増感型太陽電池の性能向上に資するガラスフリットの利用研究」
「接合型色素増感太陽電池-光合成色素を用いた三層接合セルの可能性」
JSECの開催目的 -開催概要から- 高校生・高等専門学校生を対象とした全国レベルの科学技術コ
ンテストを開催し、理科教育並びに科学技術に対する理解増進、能力向上を推進します。既存のジャン
ルにとらわれない先端的かつ意欲的な「科学技術自由研究」の成果を広く募集します。暗記や詰め込み
型の学力では補いきれなかった自ら意欲的にものごとを考える力や、課題を発見する力、問題を解決す
る力などを育成、評価する事で、科学技術に関する総合的な学力や科学技術探究心・知的好奇心を啓発
します。~中略~
優秀な高校生を 2012 年にアメリカ合衆国ペンシルバニア州ピッツバーグで開催予
定の ISEF(インターナショナル・サイエンス&エンジニアリング・フェア)に派遣予定です。
JSEC2011のスケジュール
応募期間〈9/1 ~ 10/6〉→予備審査〈10 月中旬〉50 作品に選出→一次審査会(書類審査)〈11/5〉30 作品に選出
→最終審査会(東京:日本科学未来館)〈12/3〉各賞決定
→ ISEF研修プログラム〈2012.03〉→ ISEF〈2012.05〉