第24回雨水貯留浸透技術講習会 (平成20年11月6日)に加筆修正 プラスチック製地下貯留浸透 施設技術指針(案)について 社団法人雨水貯留浸透技術協会 地下貯留:砕石空隙貯留法 1983(昭和58)年住宅都市整備公団により実用化 効 果 ① 雨水有効利用のための貯留 ② 雨水の流出抑制のための貯留 ③ 雨水の流出抑制の地下浸透 同じころ海外では、 ・1980年代に空隙率90∼95%を有するプラスチック製品が軽量盛 土材としてフランスにて開発される。 ・フランスのボルドーの駐車場地下貯留 ・1986年フランス土木分野における技術革新賞を受賞。 ・平成2年頃日本に輸入され、雨水貯留浸透施設に適用。 ・軽量(1m×2m×0.5m、45kg/m3)で人力施工。 ・工事費:砕石空隙貯留と同額 課題 ①水平方向の圧縮強度が小さく、 埋設深度が浅い ②水平方向の通水性がない ③輸送効率が悪い ニーダプラスト ニーダプラストによる貯留槽施工例 各種貯留材:雨水貯留浸透技術評価認定工法 シンシンブロック槽(360-1型、360-1N型、720-2N型、720-3A型、720-3B型) リングサイクル工法 ニュートレンチくん アクアプラ工法 ジオボックス工法 クロスウェーブ工法 MA-1工法 システムハニカム工法 各種貯留材:雨水貯留浸透技術推薦工法 レインステーション工法 シンシンブロック槽(542型、720-2N B型) システムパネル スタジアム パネケーブ 貯留槽タイプの施工方法 ①掘削・シート敷き ②貯留材の設置 ③貯留槽の構築 ④シートによる巻き込み 浸透トレンチタイプの施工方法 施工事例:配送センター、150m3 掘 削 シート施工 端部処理 桝施工 貯留材組付 埋戻し 8 施工事例:店舗、238m3 施工事例:店舗、6600m3 施工事例:店舗、1070m3 プラスチック製地下貯留浸透施設の施工実績 600 500 357.7 400 310.6 300 0 435.8 1,500 1,200 900 199.6 200 100 2007年度実績(総容量435,820m 3 ) 1,800 600 111.3 136.3 1.0 5.2 50.2 15.1 29.3 H9 H10 H11 300 累計(千m3) 単年度実績(千m3) ① 96,335 , 22% 142,960 , 33% 23,343 , 5% 0 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 年度 プラスチック単年 住宅 学校 公園 道路 商業施設 その他 152,395 , 35% 17,537 , 4% 3,250 , 1% プラスチック累計 平成13年度に本施設の設計に資する ガイドラインづくりに着手 貯留タイプ38%、浸透タイプ61%、 貯留浸透タイプ1% プラスチック製地下貯留浸透施設技術指針(案)の構成 雨水の流出抑制施設等を目的として設置するプラスチック製の 地下貯留浸透施設における技術指針 Ⅰ設計総論編 1.一般(目的、適用範囲、適用基準、施設構成と定義など) 2.調査計画(地盤調査、配置計画) 3.設計(基礎、貯留槽、シート、付帯施設) 4.レベル2地震動に対する耐震性能照査 Ⅱ参考資料 1.貯留材の力学的特性に関する試験方法 2.耐震解析 3.貯留槽の設計例 Ⅲ巻末資料 ・貯留材問い合わせ先 上記の他に、①と②の混合タイプの貯留浸透型がある。 適用範囲 遊水地 オフサイト貯留 ※車道については適用外とする。 多目的遊水地 治水緑地 防災調節(整)池 防災調節池 雨水貯留施設 下水道雨水調整池 雨水貯留施設 大規模宅地開発に伴う調整池 流域貯留施設 公共・公益施設への貯留 (公園・緑地・校庭・広場貯留等) オンサイト貯留 集合住宅用地等への貯留 (集合住宅の棟間・駐車場等) 雨水貯留浸透施設 各戸貯留施設 戸建住宅の庭等での貯留 (地下貯留槽) 空隙貯留浸透施設 雨水浸透施設 本指針で対象とするもの 浸透法 (拡水法) 浸透ます 浸透トレンチ 透水性舗装 浸透側溝 浸透池 井戸法 湿式井 乾式井 施設構成 自動車荷重を考慮 する場合、最少土 被り厚は50cm以上 点検口人孔蓋に、プラス チック製貯留浸透施設が 埋設されていることを明 示し、注意喚起。 貯留水深 計画水位 貯留施設(参考図) ※貯留槽が浸透型の場合は、遮水シートおよび保護シート が透水シートとなる。 貯留槽の設計:材料の強度・耐久性 ・貯留材の構造体としての ①鉛直圧縮強度 Arsit A-1:2008 ②水平圧縮強度 Arsit A-2:2008 ③クリープ特性 が明らかにされていなければならない。 ・耐震性能の照査のために ④貯留槽全体の変形特性(せん断変形角) 正負交番載荷実験 圧縮試験 クリープ試験 Arsit A-3:2008 構造部材の圧縮試験方法:Arsit A-1:2008 (従来) 応力 σmax σmax 照査に用いる応力値 σc /γ σc:部材のみなし比例限界応力 γ :材料係数、1.15∼1.3 σ2=σmax×2/3 σC=σmax×0.7 ひずみ 最大応力 (圧縮強さ)σmaxの70%を 「みなし比例限界応力σC」とすること ができる。ただし、その値がSSカーブの 直線上にない場合は、直線上にある最 も近い値を「みなし比例限界応力σC」 とする。 歪み→ 構造部材のクリープ試験方法(案):Arsit A-2:2008 試験結果を最小二乗法によ り適切な式で近似する。 近似式により、50年後のク リープひずみを推定し、その 値がみなし比例限界応力の ひずみより小さいことを確認 する。 測定値 ここから50年を外挿 103 時間(hr) 4×106 (50年) 載荷する荷重は、みなし比例限界応力以下 かつ最大土被り厚に相当する荷重 構造部材の正負交番載荷実験方法:Arsit A-3:2008 | τmax| 供試体のせん断変形角とせん断 応力(水平載荷荷重/上載荷重 載荷面の面積)の関係をグラフに して、最大せん断応力(| τmax| ) 時のせん断変形角を求める。許 容せん断変形角は、そのせん断 変形角の80%とする。 せ ん 断 応 力 τ ・載荷する荷重は、想定される土 被りの最少厚と最大厚に相当する 荷重の2ケース ・貯留材の段数も複数ケース | τmax| 図4 せん断変形角とせん断応力との関係図 せん断変形角(rad) この場合、許容せん断変形角は、 0.03×0.8 = 0.024 貯留槽の規模、貯留水位(満水・ 空水)や現場条件に応じた適切な 動的解析を実施し、その結果が貯 留槽の許容せん断変形角および 部材の許容応力を満足することを 確認する。 荷重条件 構造計算 荷重の種類 浮力の安定計 算 耐力 クリープ ○ ○ ○ 鉛 自動車荷重 活荷 直 荷 重 群集荷重 重 浮力〔地下水・貯留 水〕 ○ − − ○ − − − − ○ 常 時 水 平 土圧 地震時 荷 重 地下水圧(静水圧) ○ △ − ○ − − ○ △ − 死荷重 ○:基本的に考慮する必要のある荷重 −:基本的に考慮する必要のない荷重 △:埋設深度が深く長期的に水平土圧や地下水圧の影響が懸念される場合、考慮する必要のある荷重 土圧 埋設深さが4m以上においては静止土圧を、4m未満 についてはクーロンの主働土圧を用いて計算する。 常時 土圧係数 地震時 土圧係数 ≧4m KA=0.5 <4m クーロン主働土圧 ≧4m KEA=0.6 0.5(1+0.2(水平震度)) <4m クーロン主働土圧 構造の検討 照査項目 鉛直方向 水平方向 荷重の種類 照査に用いる応力値 備 考 設計荷重に対 する照査 死荷重 活荷重 σvc/γ − クリープ変形に 対する照査 死荷重 クリープ試験結果に 基づき設定(※) 設計荷重に対 する照査 常時土圧 地下水圧(静水圧) σhc/γ 地震時土圧に 対する照査 地震時土圧 地下水圧(静水圧) σhc 常時応力のγ 倍とする σvc:貯留材の鉛直方向のみなし比例限界応力 σhc:貯留材の水平方向のみなし比例限界応力 γ:材料係数(材料のバラツキ等に対する安全率) (※)長期使用に際して、みなし比例限界ひずみ以下となる応力値をクリー プ照査時の応力値とする。また、水平方向のクリープ変形に対する照査に ついては、埋設深度が深く長期的に水平土圧や地下水圧の影響が懸念さ れる場合にクリープ試験を実施して、照査に用いる応力値を設定する。 浮力安定性の検討 Fs=(P+P’)/U ≧1.2 P:上載土による荷重 P’:自重(=0) U:地下水による浮力 地表面 P P' 地下水面 Fs :浮力に対する安全率 P :土被りによる鉛直荷重 P=Σ[γt・H] (kN/m2) P’ :施設の自重(P’= 0) U :浮力 U=γw・He H :土の土被り厚(m) He :施設底面から地下水面までの高さ (m) γt:土の単位重量 (kN/m3) γw:地下水の単位重量 (9.8kN/m3) H He U ※貯留槽が軽量なため、施 工時や施工後に地下水位に より、貯留槽の安定性が損 なわれる場合があるので、 地下水位より上位に設置す ることが望ましい 本指針の位置付けと今後の展開 ・雨水貯留浸透技術認定委員会で、個々の貯留材の技術評価で得られ た現時点での知見に基づきまとめられたものである。新しい知見が得ら れたならば、更新していく。 →(財団法人下水道新技術推進機構におけるプラスチック製雨水地下 貯留浸透施設共同研究委員会がH20年度に発足。設計・施工・維持管 理マニュアルづくりがスタート。 →フランスにおいて、超軽量構造体(Ultra Light Cellular Structures)の 短期および長期耐力に関する試験方法を標準化するガイドラインづくり を行っている。
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